神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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なんで?






第2話 ルームメイト

 やっと初日の授業が全部終わった……。

授業自体は大丈夫だったけど、問題は私がセシリア・オルコットと試合をすることになったこと。

 

「うぅ~……」

 

どうしてこんな事になってしまったんだろう…。

私ってばどこかで何かを間違えた?

 

「えっと……その……ごめんね?」

「謝るぐらいなら、今後はもう少し沸点を高く設定してほしい……」

「本当にゴメン…」

 

隣の一夏が済まなそうにしているが、私にはそんな事を気にする余裕が無い。

 

「佳織……」

「箒?」

 

今度は箒か。

 

「さっきは悪かった…。あの女の発言についカッ!となってしまって、気が付けばあんな事に……」

 

シュン…として落ち込んでいる箒。

心なしか、彼女のポニーテールも下がっているような気がする。

 

「はぁ……。もういいよ、二人とも」

「え?」

「し…しかし!」

「決まってしまった事は仕方が無いよ。こうなったら、ウジウジと考えるより、試合に向けて何が出来るのか考えた方が建設的だ」

「「佳織ぃ~…」」

 

大体、私がこの二人に文句とか言うわけないじゃん。

経緯はどうあれ、一夏と箒は私の事を思って立ち向かったんだし。

私一人だったら、絶対にあの迫力に負けてたしね。

 

「取り敢えず、今日の所はもう帰ろうよ。IS学園の寮がどんな風になっているか興味もあるし」

 

実はアニメで見た事はあるんだけど、やっぱり生で見てみたいよね~。

 

「そうだね。噂じゃかなり高級な仕様になってるって聞いたけど」

「そうなのか?」

「うん。ネット上でIS学園の色んな噂が飛び交っていて、その中にそんな事が書かれてあったの」

 

機密だらけのIS学園が、よくそんな事を許したな。

まだ噂の段階だからか?

 

少しだけ後ろを向いてセシリアの事を見てみると、案の定と言うか、誰にも話しかけられてなくて、完全なボッチになっていた。

自業自得とは言え、見ていて何とも不憫な気持ちになる。

 

「どうした?」

「ううん。なんでもない」

 

私達はさっさと帰りの準備をして、教室を後にした。

 

今は皆が女の子なので、特別処置で寮の部屋決めをされてはいない。

私達全員が入学時に予め寮の部屋の場所は教えられている。

だから、ここで千冬さんと山田先生がやって来ることは無い。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 寮の中を見学しながら私達は歩いて行く。

 

こうして見てみると、廊下すらも高級感満載だな。

流石は、この世界の根幹を成すISを学ぶ学校だ。

細かい所にも気配りが見え隠れしている。

 

「夕食って何時からだっけ?」

「確か、18時から19時までで寮にある一年生用の食堂で食べられる筈だ」

 

一時間か~。

使う時は早く行かないと、場所取りが大変そうだな。

 

「ここには大浴場もあったな。でも、あまり使う機会はないだろうな」

「え?なんで?大きなお風呂って気持ちよさそうじゃん」

 

女になっても、一夏のお風呂好きは変わらない…と。

 

「一応、各部屋にシャワー室もあるから、嫌だったらそれを使えばいいでしょ」

「でもさ、シャワーだと体はあんまり温まらないよ?」

 

前にテレビでも言ってたな。

可能であれば肩まで湯船に浸かって体を温めた方が疲れも取れやすいとか。

 

「か…佳織は大浴場を使う気なのか?」

「う~ん……私は機会があれば行こうかな?」

 

興味が無いと言えば嘘になるし。

大きな風呂に浸かりたいと言う一夏の気持ちも理解できるしね。

 

「二人の部屋はどこなの?」

「私は1025室だ」

「え?私もだよ?」

「なに?」

 

……ここも原作と変わらないようだ。

性別が変わっても、この二人はセットなのね。

 

「佳織と一緒じゃないのか……」

「いや、こんだけ生徒がいるんだから、私と相部屋になる可能性なんて皆無に等しいと思うけど?」

「それでも願ってしまうよね…」

 

一夏よ、お前もかい。

 

「まぁ……さっきの佳織ではないが、決まってしまったものは仕方が無い。一緒のクラスであるだけ、まだマシと考えよう」

「そうだね。前向きに前向きに」

 

ポジティブシンキングですな。

後ろ向きな考えよりはずっといい。

 

話しながら歩いていると、いつの間にか1020と書かれた部屋の前にいた。

 

「む?ここが1020ならば…」

「この5つ先が私達の部屋だね」

「そうなるな。では、私達はこれで」

「うん。夕食ぐらいは一緒に食べようか」

「あぁ。時間になったら待ち合わせでもするか」

「それいいね!」

 

二人とはそんな事を話しながら一旦別れた。

 

「さて、私の部屋は……こっちか」

 

私の部屋は二人の部屋からは少し離れている。

別に苦ではないが、会いに行くには少し面倒かも。

 

私の部屋はどこかしら~♪

 

「お?ここか」

 

1047室。

かなり離れてるな~。

 

「まずはノック。コンコ~ンと」

 

軽くドアを叩くと、中からは全く返事が無い。

 

「ん?誰もいないのか?」

 

まだ来ていないのか。もしくは私の一人部屋?

まさか、寝ているってことは無いよな?

あ……もしかして。

 

(原作の一夏みたいに、シャワーを浴びていてこっちのノックに気が付いていないって可能性も……)

 

でも、女同士でそんなラッキースケベとか意味無いしな。

場合によっては私の方が『きゃ~!』って言う立場だし。

 

「鍵は……」

 

あ、開いてるし。

 

「……入ってみようか」

 

そっと扉を開けてから中に入る。

念の為に静かに入室。

 

「失礼しま~す…?」

 

抜き足差し足忍び足。

爪先を立てて歩いて行くと、中はガラ~ンとしていた。

 

部屋の中を調べてみると、シャワー室には誰もいないし、かといって他の誰かの荷物があるわけじゃない。

この状況から察するに、つまりは……

 

「私の心配は杞憂だった?」

 

自分の早とちりだったと分かると、急に力が抜けた。

適当に荷物を置いてから、ベットに倒れ込んだ。

 

「うわぁ~……ちょーふかふかなんですけど~」

 

すげ~……これならマジで熟睡できそうだわ~。

吉良吉影もびっくりだ。

 

「ま、寝ないけどね」

 

まだ寝るには早すぎる。

って言うか、全然眠気とか無いし。

 

「……本当に一人なのかな」

 

だとしたら寂しいかも。

最初は気楽に感じるかもしれないけど、きっと途中から孤独に耐えられなくなるって思う。

人は一人では生きられないから。

 

そんな感じに一人でシリアスごっこをしていたら、再び部屋のドアが開かれた。

 

「ん?」

 

誰だ?って…入学初日にここに来る人間なんて限られてるじゃん。

まず間違いなく同居人だろう。

一体誰ざんしょ。

 

「あれ~?もしかして、かおりん~?」

 

この間延びした声は……まさか?

 

「えっと……布仏さん…だったよね?」

「本音でいいよ~。そっか~…かおりんが私のルームメイトだったんだね~」

 

布仏本音。

制服の袖がやたらと長い彼女も立派な原作キャラの一人だ。

他のヒロインよりは出番は少ないが、それでも結構な人気はある。

この独特のキャラ性が人気の秘密だろうな。

何気に生徒会役員だし。

 

「えっと……これからよろしくね?」

「うん。よろしく~」

 

基本的にいい子ではあるし、よくあるテンプレのように更識簪や監視目的で生徒会長の更識楯無が来るよりはずっといい。

あの姉妹とこの段階で知り合うとか、ストレス以外のなにものでもない。

決して嫌いと言うわけではないが、こっちにだって心の準備が必要なんだ。

 

「そうだ。どっちのベットがいい?なんとなく私はこの窓側にいるけど、もしこっちがよかったら……」

「私はどっちでもいいよ~。かおりんが好きな方を選んで、残った方を私が使うから」

 

本音ちゃん……なんていい子や~!

やべぇ……本音ちゃんマジ天使。

 

「ねぇ…『かおりん』って私の事?」

「そうだよ。嫌だった?」

「そんな事は無いよ。ただ、同じように私の事を『かおりん』って呼ぶ人がいるからさ。ちょっと気になって」

「そ~なんだ~。かおりんがかおりんなのは、もう運命なんだね~」

 

運命で渾名を決められても。

 

「それじゃあ、軽くこの部屋のルールとか決める?」

「そうだね~」

 

本音ちゃんとなら、いいルームメイトになれそうだ。

きっと、この子が私の癒しになっていくんだろうな……。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 授業が終わり、私と真耶は職員室に向かって歩いていた。

 

「にしても、なんだか大変なことになりましたね。まさか、試合にまで発展してしまうなんて……」

「そうかもしれんが、これもいい機会だと思って割り切ろう」

「織斑先生は達観してますね~」

「達観と言うよりは、慣れだな」

「慣れ?」

 

束の相手をしている時は、いつもがトラブルの連続だった。

私を初めとして、一夏や箒、佳織もよく巻き込まれていたものだ。

 

「けど、仲森さんは大丈夫でしょうか…」

「と言うと?」

「だって、オルコットさんは代表候補生ですよ?これが三学期とか二年生になった時ならいざ知らず、今の段階で仲森さんが勝つのは……」

 

実に常識的な意見だ。

確かに、普通に考えればちゃんとした訓練を受けてきたオルコットに素人同然の佳織が勝利するなど、万に一つもあり得ないかもしれない。だが……

 

「そうとも限らんぞ?」

「え?」

「山田先生は、仲森の入学試験の時の実技を見ているか?」

「え……はい。一応は」

「あの時にアイツの試験官をしたのは私だった」

「はい。よく覚えてます」

 

試験の際、打鉄を纏った佳織を見て、柄にもなく興奮したもんだ。

あの歳にして中々にスタイルがいいからな、あいつは。

 

「実はな、あの時の最初の一撃だけ、私は全力だったんだ」

「えぇっ!?でも、それって……」

「あぁ」

 

結果としては佳織は秒殺に等しかったかもしれない。

だが、あの最初の一撃を佳織は完全に回避して見せたのだ。

私の全力の一撃を…だぞ?

引退したとはいえ、まだまだ腕は錆びついてはいないつもりだったが、あれには本気で驚かされた。

しかも、その後も佳織は的確に防御と回避を駆使して見せた。

まぁ…最終的には私の勝利だったがな。

それでも、今までISに乗ったことも無い少女とは思えないほどの動きを見せたのは事実だった。

 

「確かに仲森はド素人だ。だがな、それはあくまで『今』の話だ。アイツには間違いなく天性の才能がある。何かが切っ掛けとなってそれが目覚めれば、凄い事になるかもしれんぞ?」

「先輩がそこまで言うなんて……。だから、さっきも止めようとしなかったんですね?」

「そういう事だ」

 

おいおい、先生が抜けてるぞ。

今更、気にはしないが。

 

「仲森さんのIS適性ってA+でしたよね?」

「そうだ。だから、あの試験を見ていた連中が早くも仲森に関して色々と話し合っているようだぞ?」

「じゃあ、もしかして専用機が?」

「可能性は高いだろうな。仮に用意できなくても訓練機をアイツ用に貸し出すくらいの事はしそうだ」

 

今のIS委員会は将来性を重視する傾向にあるからな。

その点で言えば、私の妹の一夏も目を付けられているが。

一夏も実技試験で中々の動きを見せた上に、IS適性がAだった。

この分だと、一夏にも専用機が用意される可能性も出てくるな。

 

「兎に角、試合があるまでの一週間は少し目を掛けてやってくれないか?私も可能な限りフォローはするつもりだ」

「分かりました。どこまでやれるか分かりませんが、せめてちゃんと試合が出来るぐらいにはしてあげたいですからね」

「そうだな」

 

佳織。お前はよく自分の事を卑下するが、お前にはお前自身も知らない才能が埋まっているかもしれないんだ。

だから、自らの可能性を閉ざそうとはするなよ。

私は信じているからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




千冬の妹だからと言う理由で専用機を用意されるのはおかしいと思ったので、一夏ちゃんの適性を上げたうえで試験で活躍したことにしました。

これなら大丈夫……だよね?
なんか強引な気もするけど。




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