神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
束さんとの驚きの邂逅を経て、私達は海へとやって来た。
海辺には既に多くの生徒が遊んでいて、みんな思い思いに過ごしている。
「日差しが眩しいねぇ~!」
「でも、暑すぎるって訳でもないよね~」
「うん。変な言い方だけどさ、丁度いい暑さだよね」
まだ夏本番って訳じゃないからね。
日本の夏はまだまだこれからですよ。
「私的には……佳織の方が眩しい…」
「うん……同感…」
「お綺麗ですわ……」
「ん?」
何を後ろでぶつぶつと言いながら突っ立ってますかね?
私の水着は前に買った赤いビキニ。
でも、なんでか赤い生地に白でハイビスカスが描かれたパレオもついてきたんだよね。
実際にお金を払った千冬さん曰く『おまけでくれた』だそうだ。
それを知った時、偉く興奮したらしい。
「水着とは……露出が多ければいいと言うものでもないんだな…」
「これはこれでエロいよね…」
「パレオのスリットから見える太ももがまたなんとも…♡」
いい加減に見るのをやめてくれませんかね?
そんな風にしているお三方も凄く似合ってるって思うけど?
一夏は私も前に見た白のビキニで、箒は薄紅色の大人しめのデザインのビキニ。
セシリアは私達と同じように機体色を意識したのか、青いビキニに水色のパレオ。
三人とも、私以上に魅力的だって思うんだけどな~。
「…で、なんで本音ちゃんは『ソレ』を態々チョイスしたの?」
「え~?似合わない~?」
「似合わないと言うか……」
それ以前の問題と言いますか…。
本音ちゃんはなんと、いつも彼女がパジャマとして着ているようなデザインと大して変わらない顔以外の全身を覆う感じのキツネの着ぐるみのような水着。
いや…これは水着と言っていいのか?
そもそも、こんな水着が本当に売ってあったの?
何処のブランドなの?とか、値段は幾らぐらい?とか気になる事は山程あるけど、今は最も気になっている事を聞こう。
「本音ちゃん……」
「な~に~?」
「その恰好……暑くないの?」
「別に?思ってるよりも通気性はいいよ~」
いや…通気性が良ければいいというもんじゃ……。
つーか、なんで後ろの三人は本音ちゃんの恰好に一言もツッコみを入れないんだ!?
この溢れ出る違和感に気が付かないのか!?
「これもまた……気にしたら負けなのか……」
「???」
まぁ…本音ちゃんらしいからいいか。
「あ!?」
ん?通りすがりの生徒の一人がこっちを振り向いたぞ。
「仲森さん……やっぱり水着も赤いんだ…」
「え!?ホントだ!」
「しかも、スタイル抜群ときてるし……」
なんか段々と視線が集まってきてるんですけど!?
「パシャっとな」
「そこ!何を撮ったの!?」
「仲森さんの水着姿」
「正直だな!?」
少しは誤魔化そうとしろよ!?
「………よし。これ…私の携帯の壁紙にしよう」
「お願いだからやめてください」
「写真のタイトルは『赤い彗星、渚に立つ!』ね」
私はガンダムか!?
「ありがとね、仲森さん。これで暫くはオカズには困らないわ」
「人の水着姿で自家発電は止めて!!」
あぁ~……行ってしまった。
唯我独尊過ぎて困ったな…。
パシャ!
「ん?」
シャッター音?後ろから?
「「「はぁ…はぁ…」」」
アンタ等もかい!!
三人揃って鼻血を垂らしながら写真を撮りおって!
少しは本音ちゃんを見習ってよね!
「………………」
「ほ…本音ちゃん?」
こっちを凝視してどうしたの?
「かおりんの水着姿を脳内フォルダに保管してる」
「そう来たか!!」
それは防ぎようがないわ!
「ほ…ほら!皆!折角海に来たんだよ!今日ぐらいは羽目を外して遊ぼうよ!ね?」
「そ…そうだね。私ってば何をしてたんだろ…」
「これも佳織の魅力の成せる技だな」
「そこまで言うか」
箒はどこまで私を過大評価すれば気が済むの?
「そ…それでしたら!少しお待ちいただいてもよろしいですか!?」
「う…うん?」
何を始める気だ?
セシリアはどこかへとダッシュで走っていって、数分後に息を切らせながら戻ってきた。
「はぁ…はぁ…か…佳織さん……こちらに来ていただけませんか…?」
「い…いいけど……」
セシリアに連れられて歩いて行くと、そこには砂浜に立てられたビーチパラソルと、そこに敷かれたシート、その上に置かれたサンオイルがあった。
「佳織さん!」
「は…はい!」
「私に…その…サンオイルを塗って頂けませんこと!?」
「「「「えぇっ!?」」」」
……一夏に箒に本音ちゃん……ついて来てたんだ。
「な…何を言っているセシリア!破廉恥だぞ!!」
「うわぁ~…セシリンってば大胆だねぇ~…。大胆淑女だねぇ~」
「イギリス人の女の子って、こんなにも積極的なんだ…。油断できない…!」
三者三様の反応、あざっす。
「破廉恥上等ですわ!文句がお有りなら箒さんも佳織さんに頼めばよろしいじゃありませんの!」
「そ…それは……」
急速に箒の顔が真っ赤に染まっていく。
リアルにこんな反応する人いるんだ…。
「それが出来たら苦労せんわ~~~~~~~!!!!!」
「箒~~~~~~~~!?」
叫びながらどっかに走っていったんですけど!?
一体何がどうしたの!?
「……行ってしまった……」
「しののんって足が速いね~」
「感想そこ!?」
もうちょっと何か言う事無いの!?
「これでライバルが一人脱落ですわ…!さぁ!佳織さん!お願いします!」
「う…うん…」
箒の心配は誰もしないのね…。
「箒なら大丈夫でしょ。別段危険な場所って訳じゃないし」
「それもそう……なのか?」
いざとなったら他の子が何か言ってくれる事を祈るしかないか。
あれじゃ、箒がどこに行ったか分からないし。
「でも、私ってサンオイルを誰かに塗った事なんて一度も無いんだけど…いいの?」
「問題無いですわ。誰にでも初めてはありますもの。気にする必要はありませんわ」
その言い方だと別の意味に聞こえるぞ…。
私が困惑している間に、セシリアはパレオを外してから傍に置き、同時に胸を隠している水着の紐を解いてから、それを手で押さえながらそっとシートに寝そべった。
その仕草が凄く色っぽくて、同性だと分かっていてもドキドキしてしまった。
「一応聞いておくけど……背中だけだよね?」
「佳織さんが望まれるのでしたら前の方もよろしいですわよ?」
「こっちがよろしくないのでいいです!」
何を言い出すかな!この子は!
イギリスは紳士淑女の国だったんじゃないの!?
「……で?お二人はなんでこちらをジッと見てますの?」
「佳織とセシリアが変な事にならないように監視」
「私はかおりんの傍にいたいだけ~♡」
「ま…まぁ…いいですわ。邪魔さえしなければ」
そうなんだ。
てっきり『向こうに行ってくださいまし!』とか言うと思ってた。
「うぐ……」
白人特有の綺麗な肌が眩しくて、真っ直ぐに見られません…。
つーか、純粋にエロいんだよ!
自分で言うのもなんだけど、今日の私はどうした!?
ドキドキしながらサンオイルが入った容器の蓋を開けて、中身を手の平に出す。
「あ、こういった時はまず手の中で少しオイルを温めるといいですわ」
「わ…分かった」
温める…ね。こうして手で捏ねるようにすればいいのか?
「か…佳織いきます」
「どうぞ♡」
そ~っと手を近づけてセシリアの背中に触れる。
「ひゃう!」
「あ…ごめん!くすぐったかった?」
「だ…大丈夫ですわ…」
き…緊張する…。どうして臨海学校に来て緊張しなければいけないの?
(うわ~…セシリアの肌ってスベスベで柔らかい……。なんか触ってて気持ちいいかも…)
(佳織さんの手が私に触れてますわ~♡勇気を出してお誘いして正解でしたわ♡)
顔が無駄に熱い…。
今の私の顔って絶対に真っ赤になってるよ…。
「お…お上手ですわ……。流石は佳織さんですわね…」
「そ…そう?」
「えぇ…。佳織さん…出来れば下の方もお願いできますか?」
「し…下の方?」
下ってどこまでの事を言ってる?
「脚やお尻などもして頂けると嬉しいですわ…♡」
「にゃ…にゃにを!?」
いやいやいや!幾らなんでもそこはダメでしょ!
「「はいダウト~~~!!」」
「えぇっ!?」
ダ…ダウト?
「セシリア。それは流石にやりすぎ」
「うんうん」
「い…いいではありませんの!実際に塗らなくてはいけませんもの!」
「だったら…「あたしがしてあげるわよ」…へ?」
こ…この声は……
「「鈴!?」」
「リンリン?」
「鈴さん!?どうしてここに!?」
「いや、それはこっちのセリフだから」
何処からともなくやって来た鈴は、スポーティーなタンキニタイプの水着を着ていた。
オレンジと白のストライプで、なんとも鈴らしい水着だ。
「さっき箒が叫びながらどっかに走っていくのを見て、何があったのか気になって箒が走って来たルートを逆に歩いて来たら、案の定…!」
「そ…そんな…去っていった箒さんの行動が仇になったなんて……」
仇って、そんな大袈裟な…。
「っていうか、アンタ等も止めようとしなさいよ」
「いや、さっきまでは普通に塗ってたんだよ。でも…」
「リンリンが来る直前にこうなって……」
「成る程。つまり危機一髪だったって訳ね」
危機一髪とな?
「佳織。ちょっとソレ貸して」
「え?」
私が反応するよりも早く鈴が私の足元に置いてあったサンオイルの容器を奪い取った。
「そんなに塗ってほしかったら……」
「り…鈴さん?何を……」
「アタシが塗ってあげるわよ!!」
自分の手に適当にオイルを出して、いきなりセシリアの体に塗りだした!
「きゃ…きゃ~~~!?」
「ほらほらほらほらほら!!」
「ちょ……やめてください!」
セシリアが絡みつく鈴の手を振りほどこうとすると、その拍子に体から離れていた水着が下に落ちた。
「「「「あ」」」」
その瞬間、場の空気が凍った。
「その…佳織さん?優しくお願いしますわ…♡」
「何の事を言ってるのかな!?」
「お母様…お父様……セシリアはとうとう…大人への階段を昇りますわ…♡」
「昇りませんよ!?昇らないからね!?」
完全にトリップして、こっちの声が届いてないし!!
この作品は健全な全年齢対象の作品だよ!?ここでいきなりR-18な展開はNOだよ!?
「何言ってんのよアンタは!とっとと着なさいよ!!」
「り…鈴さん!?」
鈴は落ちていた水着を拾い上げて、無理矢理セシリアに渡した。
「いつからアンタは痴女にジョブチェンジしたのよ…」
「佳織さんの為ならばいつでもチェンジしますわ!」
「その意見には共感しないでもないけど、今はダメでしょ。仮にも臨海学校に来てるんだし」
共感はするかよ!?
っていうか、正論のように聞こえて正論じゃない!
「全く……アタシはもう行くから。佳織、行きましょ」
「え?」
ちょ…ちょっと?鈴?私の手を引いてどこに行くつもり?
「……はっ!?鈴さん!なに自然な動作で佳織さんを連れて行こうとしてますの!?」
「ちっ!ばれたか」
確信犯だった!
「こうならやったもん勝ちよ!アンタだって同じことをしたんだし、お相子でしょ!それじゃ~ね~!」
「こら~!待ちなさ~い!!!」
「り…鈴!?どこに行くの!?」
「かおりん~!」
「私の意思は基本無視か~~~~~!?」
ちょ……わ~~~~~!?
鈴はどこに行きたいの~?って、呑気にネタ発言してる場合じゃないでしょ!
本気でどこに行くんだ~!?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
そのまま鈴と手を繋いで走る事10分。
セシリア達がいた場所からかなり離れた所まで来た。
「ハァ…ハァ…ハァ……いきなり走り出さないでよ…」
「あはは……ゴメンゴメン。でも、こうでもしなきゃ佳織は来てくれないでしょ?」
「いや…ちゃんと言ってくれれば素直について行くよ…」
「それは…そうかもだけど……」
途中でモゴモゴしだしたぞ?
お蔭で何を言っているのかよく聞き取れない。
(そうしたら……一夏や本音までついて来るに決まってるじゃない…)
耳を澄ましても聞こえません。
何か機嫌を損ねるような事でもしてしまったかな?
「……佳織!あそこのブイまで競争しましょ!」
「え?いきなり何!?」
「負けた方は罰ゲームとして駅前の『@クルーズ』で特大パフェを奢る事!それじゃ、よいドン!」
「と…特大パフェ!?それによいドンでスタートしたし!?」
特大パフェって何さ!?そんなメニューあそこにあったっけ!?
つーか、私が運動関係で鈴に勝てるわけないじゃん!!
なんて言ってる間にも鈴はどんどんと離れていくし~!!
待てやごらぁ~~~!!!
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
穏やかな海を泳ぎながら私は考えていた。
(少し強引だったかもしれないけど、こればっかりは譲れないのよね…)
サンオイル…か……。
セシリアみたいにスタイルが良かったら、効果も絶大でしょうね。
実際、塗ってた佳織も顔を真っ赤にしてたし。
ボインスレイヤーの一件以降、自分のスタイルを卑下しないように決意したけど、そう簡単には割り切れない。
私が『例の女子高生』の領域に至るには時間が掛かりそうだ。
(なんか…羨ましかったな……)
もしも私がセシリアの場所にいたら、どうなっていたのかな…?
やっぱり、同じように大人の階段を昇りかけるのかしら…。
この臨海学校は佳織に自分をアピールする絶好の機会。
だけど、それは何も私だけじゃないのよね…。
一夏だって凄い水着を着てたし、走っていった箒だって結構可愛い水着を着てた。
セシリアも凄く似合ってたし、多分、シャルロットやラウラもかなり気合を入れた物を着てくるだろう。あの簪って子も佳織の事が好きだったみたいだし…。
え?本音?いつもならば最大のライバル認定してるけど、今回は大丈夫でしょ。
だって、あの着ぐるみじゃアピール以前の問題だし。
「あ」
そういや、千冬さんと言う最強のライバルもいたんだった…!
あらゆる意味であの人こそがラスボスだと思う。
(しかも、山田先生も満更じゃない顔をしてた事が何回かあったのよね…)
先生もライバルとか……どんだけモテるのよ、佳織…。
(いやいやいや!ここでめげてどうすんのよアタシ!何のためにIS学園に来たのか、もう忘れたの!?)
名目上の目的は甲龍の戦闘データ収集だけど、それは上の都合。
私自身は佳織に会う為に二度目の日本来日を果たしたんだから!
心の中で気合を入れ直した瞬間、力んだ拍子に足が攣ってしまった!
(い…痛っ!?)
足が…動かない…!しかも、その拍子に海水まで飲んでしまった!
(き…気管に海水が入って…!まずは海面に出なくちゃ……!)
でも、半ばパニックになっているアタシは思うように泳げないでいた。
足の痛みに加え息が出来ない事が重なって、完全に溺れ始める。
(ヤ…ヤバイ…!これは冗談抜きでヤバい!!)
このままじゃアタシ……!
(佳織……!)
思わず目を瞑った時、誰かの手が私の腕を掴んで引っ張り上げてくれるのを感じた。
ホント……敵わないなぁ~……。
今回の事で、セシリアが少しだけリード?
でも油断は禁物だ!臨海学校ではすぐに逆転されてしまう可能性があるぞ!