神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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もう30話ですか……なんか早いですね。

それと、前回の展開に想像以上の反響があってビックリな私です。

果たして、今回はどうなるかな?






第30話 お前は私を怒らせた

 佳織が変異したIS……ボインスレイヤーと死闘(?)を繰り広げている光景を観客席で見ているのは、一夏達だけではなかった。

 

「佳織さん……!」

 

彼女の事を誰よりも尊敬している四組のクラス代表であり日本代表候補生でもある少女、更識簪も悲痛な顔をしながら佳織の戦いを見ていた。

 

「あ……!」

 

佳織がフルスイングの末に地面に投げ飛ばされる。

その途端に周囲からざわめきが零れる。

 

「佳織さん!」

 

まるで自分の事のように涙を浮かべる簪。

彼女がたった一人で戦っているのに、何も出来ないでいる自分の事を歯痒く感じていた。

 

「本当に……私は何も出来ないの…?」

 

彼女も佳織と同じ趣味を持つ人間の一人。

故に、ニンジャの掟はよく分かっていた。

可能ならば今すぐにでも駆け付けたい気持ちで一杯だが、仮に行けたとしても自分に出来る事は何もない。

誰かが一緒に戦う事が許されるのならば、とっくに教師部隊やステージにいる鈴やシャルロットがやっている筈だから。

 

「今の私に出来る事……それは……」

 

必死に頭を巡らせる。

自分に出来る事は何か?

 

そうして考えている間にも、佳織はふらつきながら立ち上がる。

 

それを見た簪は、無意識の内に声を上げて叫んでいた。

 

「頑張れ――――――――!!佳織さ――――――――ん!!!」

 

普段の彼女からは想像も出来ない程の声量。

それだけ、簪が佳織を心配している証拠でもあった。

 

「かおり~~~~ん!!!がんば~~~~~!!!」

「ほ…本音?」

 

いつの間にか隣に座っていた本音も、同じように叫んでいた。

 

「大丈夫だよ、かんちゃん」

「本音…?」

「かおりんが誰かを守ろうとする時は、絶対に負けないから」

 

そう簪に言い聞かせる本音の顔は、とても大人びていた。

 

「その通り。私達が信じないで、誰が佳織ちゃんを信じるの?」

「お姉ちゃんまで……」

 

神出鬼没な簪の姉、更識楯無も現れ、その手に握られた扇子には『必勝』と書かれていた。

 

「と言う訳で………佳織ちゃ~~~~~ん!!!負けちゃ駄目よ~~~~~!!!」

 

楯無も二人に負けないぐらいの大声で佳織に声援を送る。

そんな彼女達の姿に、少しずつ周囲の生徒達も表情が変わっていく。

 

「そうよ……。皆、私達も応援しよう!」

「賛成!」

「あんな奴に大切な学園を荒らされるとか、絶対に嫌だし!」

 

急に顔が生き生きとしだして、活気が戻る。

 

「仲森さぁ~~~ん!!負けるな~~~~!!!」

「そうよ!!そんな奴、ガツンとやっちゃえ~~~!!」

「赤い彗星は伊達じゃないってところを見せてよね~~~~~!!」

 

次第に声援の輪は広がっていき、最終的には簪達がいた観客席一帯が佳織への声援に包まれていた。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 片方の観客席が声援に包まれたのなら、当然のようにもう片方の観客席も同じ様に声援に囲まれた。

 

「佳織~~~~~!!成せばなる!!自分を信じて!!」

「お前なら絶対にやれる!!だから、最後まで決して諦めるな!!!」

「私も信じていますわ!!佳織さんの勝利を!!!だから!!!」

「「「いっけ~~~~~!!!佳織(さん)~~~~~~!!!!」」」

 

主に一夏、箒、セシリアの三人が声を上げているが、それに釣られるような形で皆も応援をしている。

 

「負けんじゃないわよ~~~!!」

「頑張れ~~~~!!!」

「そこよ!いけ!!」

 

皆の声がアリーナ全体を包み込む。

その声が、佳織に最後の力を与えてくれた。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「凄い……!アリーナにいる皆が佳織を応援してる……」

「そうね…。本当なら逃げ出したいでしょうに、それでも佳織の事を信じてくれている」

 

やっぱり佳織は凄い。

相手の方が上手なのに、決して諦めようとしてない。

ここから見える佳織の目は……全く死んでいない。

 

「聞こえる……皆の声が……仲間たちの声が……」

 

さっきまで俯きかけていた佳織の背筋が急に伸びた?

しかも、なんか上を向いて呟いてるし……。

 

「だ…大丈夫かな?流石の佳織も、体力も機体のSEももう限界に近い筈だけど…」

「確かにね。だけど、それでもやるのが佳織って女の子なのよ」

 

昔からそうなのよね。

諦めが悪いって言うか、往生際が悪いって言うか。

兎に角、自分から背中を見せるような真似だけは絶対にしない子なのよ、佳織は。

 

『周囲からの声援がシャア・アズナブル=サンに力を与えるか…!だが!それでも越えられぬ壁が我だ!!それを思い知るがいい!!』

 

好き放題言ってくれちゃって。

あんなパチモン、私的にも許せないのよね。

 

急に佳織の体がフラ…っと前に倒れそうになる。

 

「か…佳織!!やっぱりもう限界なんだよ!!」

 

シャルロットが必死に叫ぶが、私は耐えた。

本当は私だって叫びたいほどに心配なのよ!

でも、私は黙って佳織の戦いを見守るって決めたんだから!

 

佳織の体が地面につきそうになった瞬間……佳織の体が消えた(・・・)

 

「「え?」」

 

そして、いつの間にか敵の懐に飛び込んでいた。

 

『なにっ!?』

 

流石のアイツも一瞬で間合いを詰められては、そう簡単に対処は出来ないようで、ほんの少しだけ、でも確実に隙が出来ていた。

 

「肘打ち!!イヤーッ!!」

『グワーッ!』

「裏拳!!イヤーッ!!」

『グアーッ!!』

「正拳!!イヤーッ!!」

『グアーッ!!!』

 

ボインスレイヤーの腹部に見事な三連コンボが炸裂した!

あれは流石に効いたでしょ!!

けど、佳織のターンはまだ終わらない。

 

「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤァァァァァァァァァァッ!!!!!」

『グア――――――――――――――――ッ!!!』

 

そこからまさかのオラオララッシュならぬイヤイヤラッシュ!

 

「凄いラッシュ…!だけど、今の佳織の一体何処にこんな力が……」

 

もうツッコみをしなくなったと言う事は、シャルロットも状況に慣れ始めたわね。

 

「これもある種の『フーリンカザン』なのかしら…」

「フ…フーリンカザン?」

「自然環境や周囲の状況を味方につけて、少しでも戦闘を有利にするべし……と言う教えよ」

「成る程……実に合理的な考えだね。でも、それが今の状況とどう関係が?」

「分からない?佳織は今、皆の声援を浴びながら戦ってるのよ?つまり、佳織はもう限界な自分の体力と気力、そしてISを皆の声援で奮い立たせているの。自分が負けたら後が無い。皆が大変な目にある。そう自分に言い聞かせて」

「そ…そんな……」

 

シャルロットが驚くのも無理ないわ。

自分で言ってて驚愕してるし。

でも、だからこそ、私達は皆、仲森佳織と言う女の子の事を好きになったの。

どこまでも誰かの為に頑張れる、あの子の事を。

そう、佳織はいつだって『どこかの誰かの未来の為』に戦っている。

 

『くっ…!この私が!遅れを取る事など!あって……たまるかぁぁぁぁぁっ!!』

 

なんとかガードをして威力を軽減して、佳織が見せた一瞬の隙を狙って回し蹴りを放つが、もうそこには佳織はいなかった。

 

『なにっ!?』

「イヤァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

瞬時に背後に回った佳織の拳がボインスレイヤーの顔面にヒット!

そのまま凄い勢いで地面に激突する。

 

『グアァァァァァァァァァァァァッ!?』

 

地に伏したボインスレイヤーにトドメと言わんばかりに突っ込んでいく佳織。

その目は完全に何かを狙っていた。

 

「先程の攻撃(ラッシュ)ようやく分かった(・・・・・・・・)そこにいるな(・・・・・・)ラウラ(・・・)!!」

 

分かった…?そこにいる…?

 

「ま…まさか!?」

 

さっきのラッシュは……その為に(・・・・)!?

 

『や…やめろ!!』

「イヤ――――――――――――――――――ッ!!!!!」

 

佳織の渾身の手刀がボインスレイヤーの腹部に突き刺さる!!

そして、その状態のまま、何かを引きずり出そうとしている。

 

「あ…あれは!?」

「やっぱり……!」

 

アイツの中から出て来たのは……

 

「「ラウラ!」」

 

なんでか全裸の状態のなっているラウラだった。

 

佳織は気絶しているラウラをお姫様抱っこしたまま後退し、私達の所まで来た。

 

「頼む」

「分かったわ。この子は私達に任せて」

 

シャルロットも無言で頷く。

 

向こうでは、ボインスレイヤーが腹を抱えて膝をついている。

 

『グ…グォォォォ……』

 

もうああなったらニンジャじゃないわね。

唯の化け物だわ。

 

何を思ったのか、佳織は再びヤツの元まで行った。

 

「もう勝負はついた」

『何……を……』

「最初に言ったはずだ。私の勝利条件はラウラを救出することだと。それは無事に達成された。故に、この勝負は私の勝利だ」

 

これは佳織なりの慈悲なのかしら…。

まさか、機械にまで情けを掛けようとするなんて…。

 

「で…でも、どうして佳織はラウラの居場所が分かったんだろう?」

「さっきのラッシュよ」

「え?」

「あの連続ラッシュの時に攻撃しながらラウラがどの位置に取り込まれているのか探っていたのよ」

「と言う事は……まさか!佳織が最初から無手で戦っていたのは……」

「多分、ラウラの場所をより正確に探る為でしょうね。武器越しよりも確実性はあるもの」

「そ…そこまで計算に入れていたなんて……」

「前に佳織が言ってたわ。戦いとは常に二手三手先を考えて行うものだって」

「いやいや……幾らなんでも先を読み過ぎだよ…」

「それには同感だわ」

 

なんて言ってみたものの、あれは完全に場の流れに任せた結果、無手で戦わざるを得なかったに違いないわね。

昔から佳織は信念はあっても流れには逆らえない、不思議な性格をしてたから。

まぁ…勘違いとは言え、シャルロットがそれで納得したんだから、今はそれでいいか。

 

『まだだ……我には使命が……』

 

うぅ……私が名付け親みたいなものだけに、すっごく恥ずかしい…。

誰にも知られてないって言っても、確実に黒歴史確定ね…。

 

「……いいだろう。貴様に偉大なる先人の言葉を教えてやる」

『なんだと…?』

 

……?一体何を言うつもりかしら?

 

「貧乳はステータスだ!!!希少価値だ!!!!!」

『「ナ…ナンダッテ―――――!?」』

 

あ、思わず一緒に叫んじゃった。

って、そうじゃなくて!

 

『ステータス……希少価値……だと……!』

「そうだ。嘗てこの言葉を言った女子高生は、自らの貧乳を何よりも誇っていた。誰に何を言われようとも、貧乳である事を卑下などしなかった」

 

そ…そんな子が世の中にいると言うの…!?

しかも、女子高生って……

 

「私と同じ……」

「ちょ…鈴っ!?なんで鈴もダメージを受けてるの!?」

 

最も多感な時期である高校時代にそんな言葉を残せるだなんて……。

それに比べて私は……。

 

「こんなんじゃ駄目ね……」

「鈴…?」

「決めたわ!私もう……胸が大きい子を僻むのをやめる!」

「そ…そう……」

 

なんか隣でシャルロットが呆れているけど、今は無視で。

 

私も自分の胸に自信を持つわ!

佳織が言ってくれた言葉を抱きながら!

希少価値でステータスな私の魅力で佳織をメロメロにしてみせるんだから!

 

『グォォォォォォォォォォォォォッ!!!!』

 

なんだか苦しんでるわね。

もしかして、自分の使命を否定されて、プログラムが自己崩壊をしてるのかしら?

 

「あ、隙だらけ」

 

分かってても言っちゃ駄目よ、佳織。

 

「イヤ―――――――――――――――!!!」

 

最後の一撃はWビーム・トマホークでの一刀両断。

ここまできたら、もう拳にこだわる必要も無くなったのかもしれない。

 

ボインスレイヤーの斬られた後からは火花と紫電が散っている。

 

「勝負ありだ、ボインスレイヤー=サン。潔くハイクを詠むがいい」

『ひ…貧乳も……巨乳も皆……同じ胸……』

 

何気に五・七・五になってるわね。

意外なところで律儀な奴。

 

『見事なワザマエだった……シャア・アズナブル=サン……では…サヨナラ――――!!!』

 

最後に一言言い残して、ボインスレイヤーは爆発四散した。

 

「なんで……なんで最後に俳句を詠むのさ~~~!?あと、季語が入ってなかったんですけど~~~!!」

 

佳織の勝利を祝うように湧き上がるアリーナを余所に、シャルロットの全力のツッコみが炸裂した。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

うぅ……私は……どうして……。

 

『ど…どうしたの?どこか痛いの?』

 

強いて言えば、心が痛い…。

 

『こ…心?』

 

皆に迷惑を掛け、お前を傷つけてしまった…。

本当に済まない……。

 

『いやいや!それを言ったら私も悪かったよ!』

 

何を言っている……お前は被害者じゃないか…。

 

『別に私は被害を受けたなんて思ってないんだけど…』

 

お前と言う奴はなんで……。

 

『つーか、私の方も思いっきり殴ったり蹴ったりしちゃったし…』

 

あれは完全に不可抗力だろう…。

それこそ気に病む必要はないと思うぞ。

 

『う~ん……でもなぁ~……』

 

これでクラスの皆や教官に嫌われたら……私は……。

 

『だ…大丈夫だよ!普段は厳しそうに見えても、本当は優しいのが千冬さんだし!それは君だってよく分かってるでしょ?』

 

それは……

 

『それに、クラスの皆もこんな事ぐらいで君を見限ったりはしないよ。もしも誰かが何かを言ってきても、私が何とかする!これでも私はクラス代表だもん!大丈夫!』

 

ふふ……その根拠無き自信はどこから出てくるんだ…?

 

『どこからと言われましても…』

 

あぁ……確かにこれは教官の仰る通りだ。

彼女は間違いなく『底なしのお人好し』だ。

 

周りの女子達が彼女に惹かれるのも納得かもしれない…。

 

『私だけは絶対に君の傍にいる。私は君を…裏切らない』

 

こんな風に優しくされたら……私だって……

 

仲森佳織……私はお前を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ボインスレイヤー撃破!!

そんでもって、ラウラフラグ成立?

今回もネタを盛り込みすぎましたかね?

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