神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
その代わり、夕飯は水炊きでした。
お蔭で心も体もポカポカです。
やってきました学年別トーナメント当日。
試合会場となるアリーナは満員御礼と言った感じで、試合を見ようとする生徒や外からのお客さん、果ては各企業や各国から来たVIPの方々の誘導で先生達や係の生徒が忙しそうに走り回っている。
そんな中、私達は選手専用に用意された更衣室にて着替えを行っていた。
ここには私とシャルロットの他にも、一夏と箒、セシリアも一緒にいた。
それ以外にも色んな生徒が沢山いて、なんとも賑やかな感じになっている。
因みに、鈴とラウラは別の更衣室にいる。
「うわぁ~……凄い人の数だね……」
「そうだな…。私が嘗て出場した剣道の全国大会でも、これ程の観客はいなかったぞ……」
一夏と箒が驚くのも無理は無い。
私だって驚いてるし、他の子達だって観客席の事を映しているモニターを見て、改めて緊張しているみたいだし。
けど、そんな心境とは無縁の人物が二人程いたりする。
「3年生にはスカウトが、2年生には去年1年の成果を確認しに来ている人々がいるからね。ある意味では当然だよ」
「1年生は?」
「今はあまり関係ないけど、取り敢えずは能力の確認ってところじゃないのかな?」
「でも、注目している生徒は少なからずいるでしょうね」
そう、私達の隣で現在進行形で説明をしてくれているセシリアとシャルロットの二人だ。
この二人はきっと、お互いに代表候補生と言う事もあって、こう言ったイベントには場慣れしているんだろう。
うん、慣れって怖い。
「注目している生徒だと?」
「織斑先生の妹である一夏さん。剣道で全国の頂点にまで上り詰め、尚且つ篠ノ之博士の実妹でもある箒さん。そして……」
「今や『赤い彗星』の名で世界中のIS関係者に一目置かれている佳織……だね」
なんつーか……溜息しか出ないな。
「姉さんの妹だからって理由で注目されてもね……」
「私もだ。なんだか複雑な気分だ」
「でも、このトーナメントはそれを払拭するいい機会じゃないかな?」
「そうですわ。お二人の実力を実際に見せつければ、お偉方も少しは静かになるでしょう」
「セ…セシリアって結構過激だね……」
「それはきっと、皆さんの影響ですわ」
「「「えぇ~…」」」
私達って、そんなにも粗暴なイメージなの…?
そんな事を話しながらも、ちゃっかりと着替えは済ませている私達だったりする。
「さて、もうそろそろトーナメント表が発表されるんじゃない?」
「当日に発表って言うのも、なんだかサプライズ感があっていいよね」
「その代わりと言ってはなんですけど、トーナメント表を製作した先生方には激しく同情しますわ」
「そうだな……」
本当なら、これまで通りに専用の機械でトーナメント表を作る予定だったらしいけど、なんでかそれが突然の故障。
仕方なく、先生達や一部の生徒の手によってトーナメント表が一から造られて、結果としてギリギリのタイミングでの発表になってしまったわけだ。
早く故障の原因が判明する事を祈ろう。
「お?出るみたいだぞ」
箒の言葉に皆が会話を止めて、モニターに注目する。
「どれどれ~?って……」
「あら……」
「ほぇ~…」
「にゃんと」
モニターには一年の部のAブロックの一日目のトーナメント表が表示された。
そこには一夏や箒、セシリアの名前は無い代わりに……
(やっぱり……これだけは変えられないのか……)
私とシャルロット、ラウラと鈴の名前が表示されていた。
一年生の部 Aブロック第1試合
仲森佳織&シャルロット・デュノアVSラウラ・ボーデヴィッヒ&凰鈴音
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「まさか、こんな形でお前との試合が実現するとはな」
「皮肉……と言うのかな、これは」
「かもしれんな」
思った以上にラウラは落ち着いている。
原作での『一夏殺るオーラ』は全くない。
それとは逆に鈴は……
「見せてあげるわよ……貧乳の意地ってやつをね!!」
「なんで彼女はあんなにも殺気立ってるの?」
めっちゃ殺る気デス……。
一体、この短期間の間に何があったの?
「……鈴は一体どうしてしまったんだ?」
「聞かないでくれ……」
「は?」
「頼むから…聞かないでくれ……後生だから…」
「あ…あぁ……」
あのラウラがここまで落ち込むなんて……非常に気になるが、今は目の前の試合に集中しよう。
【これより、一年生の部のAブロック、第1試合を開始します。選手は所定の位置まで移動してください】
お、遂にか。
私達は会話を止めて、それぞれに移動した。
私達4人は勿論、会場全体が急に静まり返る。
私はハンドガンを握りしめ、シャルロットはアサルトライフルを構える。
ラウラはいつでもレールガンを撃てるように腰を低くし、鈴は双天牙月を両手で持つ。
【それでは……試合開始!!】
試合が始まると同時に、私は手に持ったハンドガンを収納し、対艦ライフルを構えた。
それを合図にするかのように、シャルロットが一気に前に出る。
だが、こう簡単には行かせないと言わんばかりに、鈴がシャルロットの進路を妨害してくる。
「残念。ここは通行止めよ」
「そんなのは最初っから分かってるさ」
「なんですって?」
「試合前に佳織が言ってたよ。『どちらかが前に出ようとすれば、ほぼ間違いなく鈴が迫ってくる筈だ』って」
「流石は佳織……!いくら前の試合でこっちの武装を完全に把握してるからって、そっから私の行動予測までするなんて!」
つーわけで、私の作戦通りに綺麗に1体1が2つ出来上がり~。
後は確固撃破すればオールオッケー。
私は私でスコープを覗きながら狙いを定めて……
「……!」
撃つべし!!
対艦ライフルの銃身から、大きめの弾丸が高速で発射される。
ラウラのリボルバーカノンに勝るとも劣らないスピードで飛んでいくが……
「ふん!」
それは、彼女が翳した手によって空中停止した。
「ほぅ……」
ラウラが翳した手を中心に、何か不思議な力場が形成されている。
あれが試合直前にシャルロットが言っていた『
正式名称『慣性停止結界』か。
「まさか、こんな分かりやすい攻撃で私に一撃を与えられると思ったんではあるまいな?」
「まさか」
こうなる事は想定済みですよ。
だからこそ、こっちだって『ソレ』を撃ったんだし。
「だが……
「何?」
「
「どういう意味だ?」
「私が撃ったのは
「はっ!?」
次の瞬間、空中で止まった状態だった弾丸が弾子を撒き散らして炸裂した。
「ぐあぁぁぁぁっ!?」
当然、至近距離にいたラウラに弾子は殺到し、命中する。
AICを発動中だったラウラに防御する術は無く、直撃を受ける事に。
「くっ……!まさか、こんな形で先制攻撃を受けるとは……!」
「
「なんだって?」
「こっちがあのように弾丸を撃てば、お前が必ずAICを使うと
「信じていた……だと?私を?」
あ…あれ?肩を震わせて……怒らせちゃった?
「ククク……ははははははははは!!!!まさか、対戦相手にそんな事を言われるとはな!予想もしなかったぞ!」
わ…笑った?
何かおかしなことを言ったかな?
「赤い彗星……噂通り、いや…噂以上だ!どうやら、お前レベルの戦士になれば、AICなど玩具に等しいようだな!」
なんか戦士認定されたんですけど…。
「いいだろう!もう小細工は無しだ!ここからは真っ向勝負だ!!」
笑いながらラウラは両手甲部からプラズマ手刀を出現させる。
「ふっ……面白い!」
ならばこっちはWビーム・トマホークで勝負だ!
「「いくぞ!!」」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「あっちはあっちで盛り上がってるみたいじゃない…!」
「そうみたいだね…!」
衝撃砲とアサルトライフルの撃ち合いをし続ける鈴とシャルロット。
一進一退の攻防に、二人は苦笑いをしていた。
「くっ……なんで龍砲が直撃しないのよ!アンタは初見の筈でしょ!」
「これも佳織から事前に教えられてたんだよ!一緒に作戦を練っている時に、佳織の方から自分の持っている情報を開示してくれたんだ!」
「ホント……抜かりなさ過ぎて逆に驚くわ…!」
いついかなる時も万全を尽くす。
それが佳織流の戦いだった。
「射撃戦で不利なら……」
衝撃砲を停止させて、一気に突貫する鈴。
「
「だろうね!」
だが、シャルロットがそう簡単に相手の得意な距離での戦いを許すわけがない。
一瞬で両手に握っていたアサルトライフルがショットガンに変わる。
「なっ!?」
散弾を発射するショットガンは、距離が近づけば近づくほど威力が増す。
迂闊に接近すればいい的だった。
「そこっ!」
「きゃぁぁぁっ!?」
予想外の反撃に防御が疎かになってしまい、結果として鈴はショットガンの直撃を受ける事に。
「く……こんな事で!!」
咄嗟に態勢を整えて衝撃砲で弾幕を張りながら後退。
「まさか、シャルロットが『ソレ』の使い手だったなんてね!」
「『
距離が離れたと同時に、再びアサルトライフルに持ち替えて距離を保つ。
「しつこい!」
「逃がさないよ!」
下手に接近すれば近接ブレードや近接用の射撃武器に瞬時に変更され迎撃、かと言って間合いを取れば遠距離用の銃に変わり弾幕を張られる。
どのような状況でも常に一定の距離と攻撃のリズムを保ち続け、攻撃と防御の両方で非常に安定した鉄壁の陣。
「『
「時間稼ぎ、消耗戦、陽動、使い勝手は抜群だからね!」
二人の戦いは加速する。
だが、鈴の不利は否めない。
ここが彼女にとっての正念場であった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
アリーナにある管制室。
そこでは千冬と真耶が試合の様子をモニターで見ていた。
「見事ですねぇ~…。まさか、あんな形で戦力の分担を図るなんて」
「あれは仲森の作戦勝ちだな。凰の性格をよく理解し分析した結果だろう」
「仲森さんって心理戦も得意なんですね」
「単純に古い仲だからだろう」
幼馴染故に分かる事もある。
身内を大事に思う佳織は、その傾向が特に顕著だった。
「しかも、ボーデヴィッヒさんのAICを逆手に取った攻撃でファーストアタックをするなんて。私には思いつきませんよ」
「発想の転換だな。AIC発動中は対象も動けないが、アイツ自身も動けない。それを利用したんだろう」
「簡単に言いますけど、普通はその発想に至りませんよ…」
やはり、どこかで佳織と千冬は似た者同士なのかもしれない。
「即席のタッグによる連携は、却って互いの動きを制限する可能性もある。それを考慮して試合開始直後にああいった行動に出たんだろうな」
「でも、それって…よっぽど自分に自信が無いと出来ませんよね?」
「それと、相手に対する信頼もな」
「デュノアさんが転校してきたのって、ついこの間ですよね。なのに、もうそんなにも信頼してるなんて…」
「デュノアが仲森に新武装を持って来たのが大きいんじゃないか?あれで仲森の中でデュノアに対する信頼度が上がったのかもしれん」
淡々と語る千冬だったが、その心の中では……
(おのれ~…!佳織を物で釣るなど!だが、そう簡単に佳織が堕とせれば、私がとっくに実行している!甘い…甘いぞデュノア!!)
嫉妬と安心が混ぜこぜになっていた。
顔では無表情を装いつつも、こんな事を考えられるのは、ブリュンヒルデの成せる技か。
「今のところ、仲森さんとデュノアさんのコンビが優勢みたいですね」
「やはり、近~中距離戦に特化した凰のISでは、汎用性に優れているラファールの相手は厳しいだろう。それは以前の仲森との戦いでも証明されている」
「あの時も仲森さんが凰さんを圧倒してましたよね」
「あぁ。それに加え、デュノアが持っているスキルが大きな武器になっている」
「『高速切替』と『砂漠の呼び水』。今の世代にアレを同時にこなせる子がいたんですね~…」
「そうだな。一昔前でも使い手は希少だった。だからこそ強力だとも言える」
実力だけならば互角に等しい鈴とシャルロットだが、いかんせん機体の相性が悪かった。
これが二人の勝敗を分けていた。
「さて、ここからどう転がるかな…」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「はぁっ!」
「このっ!」
プラズマ手刀とWビーム・トマホークがぶつかり合い、火花が飛び散る。
単純なパワーは向こうの方が上だけど、出力ならこっちも負けてない!
高速で接近と離脱を繰り返しながら鍔ぜり合う。
離れた瞬間にはハンドビームガンで牽制する。
当然、向こうも大口径リボルバーカノンで攻撃してこようとするけど、その発射までにはコンマ数秒のタイムラグがある。
だから、その気になれば発射を阻止する事が出来る。
(この試合の短い間で、こっちの武装のウィークポイントを的確に把握された?私の遠距離攻撃が殆ど封殺されている!これが赤い彗星の実力か!)
ラウラのリボルバーカノンを防げるのは大きい。
あの攻撃力はこっちとしても看過できないからね。
一回でも直撃を受ければ、不利は免れない。
だからこそ、攻撃の一つ一つを慎重にしなくちゃ!
「リバルバーカノンが撃てないのならば……これだ!」
成る程……リボルバーカノンが発射不可能ならワイヤーブレードってか!
けどね、それを予想してなかったって思うのかい?
「ならば……ファンネル!!」
そっちが有線式のオールレンジ攻撃なら、こっちは無線式のオールレンジ攻撃で!
「ビット兵器か!」
「それだけではない!」
「なんだと!?」
ファンネルを動かしながらのハンドビームガンで攻撃!
これなら手数の上でこっちが上になる!
「並列思考!?」
え?なにそれ?
私は無我夢中でやってるだけだよ!?
「そこ!」
「しまった!」
驚きで操作が疎かになったのか、ワイヤーブレードの動きが鈍った瞬間を狙ってファンネルで迎撃!
4基あるワイヤーブレードのうちの3基の撃破に成功した!
「そして!」
残った最後の一基もハンドビームガンで撃つ!
「これすらも…!」
「今だ!!」
呆けている場合じゃないですぜ!
私はラウラが怯んだ一瞬の隙を狙って
「はぁぁぁっ!!」
「がはっ!?」
派手にぶっ飛ぶラウラに追撃のファンネル!
「このままでは……はっ!?」
「この一撃で……戦いは終わる」
そして、おまけのビームバズーカ!
以前、私はこのビームバズーカは威力と引き換えに隙が大きいと言ったが、それはファンネルと併用すれば改善できるんじゃないかって思った。
まぁ、実際に出来るかどうかは微妙だったんだけど。
こうしてやってみると、意外とイケるっポイ?
「照準が定まらんか……だが!」
その威力の余波だけでも充分な筈!
つーわけで、遠慮なく発射!!
勿論、撃つと同時にファンネルは退避させるけどね。
「これが……赤い彗星の力か……」
よし!完全な直撃とはいかなかったけど、命中はした!
でも、ビームが当たる直前にラウラの表情が穏やかだったような気が……。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
なんという力か……。
この私がまるで手も足も出ないではないか…。
本来ならば悔しがるところだろうが、不思議と穏やかな気分になっている。
ここまで見事に敗北すれば、逆に清々しさすらも感じてしまう。
あの教官が認めるのも納得だ。
確かに赤い彗星……いや、仲森佳織は強い。
もしかしたら、並の代表候補生程度ならば相手にすらならないのではないか?
そう思わせるほどの実力を見せつけられた気がする。
だが、本国になんて説明しようか…。
いや、それはその時になってから考えるか。
『願うか……?』
は?いきなりなんだ?
『汝、自らの変革を望むか?』
何を言っている?
意味が分からんぞ。
『より強い力を欲するか?』
何が言いたいかは知らんが、そんなものは不要だ。
確かに強くなりたいと言う願望はあるが、それは誰かに与えられるものじゃない。
自らの努力と研鑽によって得る物だろう。
よって、私の返答はNOの一択だ。
『………………』
今度は急に黙ったな。
本当になんなんだ?
『ならば、汝はより良い『体』を求めるか?』
か…体?何のことを言っている?
『あ~…もう!つまりは、スタイルが良くなりたいかって聞いてんの!分かる!?』
突然口調が変わりすぎだ!
と言うか、別になりたいとは思わん!
私は私の体形の事を不満に思った事なんぞ一度も無い!
『なら、スタイルのいい女の子に嫉妬とかもしないわけだ』
当たり前だ。何を今更……。
『なら、貴女には貧乳女子の代弁者になって貰おうか』
一体何を言って……
『これよりVTシステムの書き換えを開始します…………………………………………完了』
は?
『BSシステム……発動します』
ビ…BSシステム?
衛星放送の事か?
って、なんだ!?体が……ISが!?
やめろ……やめろ……!
やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!
『さぁ、今こそ目覚めよ……ボインスレイヤーよ』
次回、色んな意味でぶっ飛びます。
どんな意味かは読んでもらえば分かると思います。
では、次回までサヨナラー!