神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
なんじゃこりゃ。
自己紹介タイムが終了し、そのままの流れで一時間目のIS基礎理論の授業があった。
このIS学園は通常の学校とは違い、入学式の日から授業が始まる。
まぁ、ISなんて代物を扱うんだ。
これぐらいは当然かもしれない。
で、今は丁度休み時間。
他のクラスメイトはもう仲のいいグループを形成していて、私は完全に出遅れた。
別に気にはしないけどな。
因みに授業の方はなんとかなった。
と言うのも、私がIS学園を受験することが決まった次の日に、いきなり匿名で私宛にISに関する参考書の類が送られてきたのだ。
普通ならば訝しむところだろうが、犯人については心当たりがあるため、そこまで動揺はしなかった。
やっぱり、事前に予習をしておくのは大事だな。
前世では全くもってそんな事をしてこなかったから、何回も痛い目を見たし。
もう二度と追試を受けるような真似はしたくない。
そんな感じで、少なくとも勉強に関しては問題は無い。
後は人間関係だけか。
こればっかりは一足飛びにどうこう出来るものじゃないしな。
まずは以前からの知り合いである一夏や箒を主軸に、ゆっくりと花を愛でるようにしながら交友関係を広げていけばいいだろう。
「ねぇ、佳織」
おっと、そんな事を考えていたら、早速お隣さんの一夏さんが話しかけてきましたよ?
「さっきの授業……分かった?」
「一応。そっちは?」
「私もなんとか…。後でちゃんと復習をしておかないと」
原作とは違い、私の知っているこの『一夏ちゃん』はとても勤勉で努力家だ。
少なくとも、あの口だけの鈍感男とは雲泥の差がある。色んな意味で。
「よかったらさ、放課後にでも一緒に勉強しない?」
「別にいいよ。私もやっておきたかったし」
持つべきものは幼馴染ですなぁ~。
別にボッチを否定はしないけど、孤独に勝てる奴はそういない。
少なくとも、私は無理。
「ちょっといいか?」
「「ん?」」
私が幼馴染の素晴らしさに改めて感動していると、そこにもう一人の幼馴染がやって来た。
実に6年振りの再会となる幼馴染、『篠ノ之箒』である。
年月を経ても、勝気な印象は変わらない。
「その……佳織、一夏。屋上まで行かないか?」
「今から?」
「ダメか?」
「そんな事は無いけど……」
今から屋上なんかに行って、次の授業に間に合うか?
全速力で走ればなんとかなるかもしれないが、廊下を走ったら確実に怒られるだろうし……。
「屋上まで行ったら確実に次の授業に遅れるよ?廊下じゃ駄目なの?」
「廊下……か。まぁ…別に構わないが……」
「なら、廊下に行こうよ」
よく言った一夏!
私じゃ下手に何か言えばどうなるか分からないからな。
コミュスキルがある人間はこんな時に頼りになる。
そんな訳で、三人揃って廊下に行くことに。
廊下もまた生徒でごった返していた。
初日と言う事もあってか。全員が浮かれているというか、浮き足立っているような印象を受ける。
「ひ…久し振りだな。二人とも」
「そうだね。確か6年振りぐらいになるのかな?」
「もうあれから6年か……」
時間が過ぎるのはあっという間。
これは何時になっても変わらない。
「そう言えば箒」
「な…なんだ?佳織」
「剣道の全国大会で優勝したんだってね。おめでとう」
「な…なんでそんな事を知ってるんだ?」
「新聞で読んだ」
「私は佳織に教えて貰って知ったよ」
「なんで新聞なんか読むんだ!?」
「「いや、普通に読むでしょ」」
そんなに顔を赤くして怒ることも無いでしょうに。
高校生は新聞を読んじゃいけないってか?
今のご時世、私達学生も政治に関心を持ってなくちゃダメなんだぞ?
選挙権を持つ歳になるのなんて、本当にあっという間なんだから。
「何をそんなにムキになってるの?」
「私はムキになんて……」
「あっ…そっか~」
「な…なんだ一夏……」
「佳織に再会出来た事が嬉しいんでしょ~?」
「な…ななな……!」
おいおい一夏さんや。
久し振りに会った幼馴染をからかうのはよくないぞ。
箒だってさっき以上に顔を真っ赤にしてるし。
「大丈夫か?」
「も…問題無い!」
「そ…そうか」
怒られた。
「ねぇ……箒」
「なんだ…」
おや?なにやら一夏が箒に近づいて話している。
私の位置からはよく聞こえない。
「あの時の気持ちは……まだ変わってないの?」
「……!?」
「やっぱりそうか……。時が過ぎても、佳織の事を好きなのは変わらない…か」
「わ…私は……」
つーか、さっきから箒の顔が真っ赤のままなんですけど。
マジで気分でも悪いんじゃ?
あ、でもまだ保健委員とか決めてないっけ。
「別に他の事で負けるのは構わないけど……これだけはいくら箒でも譲れないから」
「い…一夏?」
「私……負けないからね」
う~ん……本当に聞こえない。
もしかして、私って今ボッチですか?そうですか。
私だけがのけものですか。
いいも~んだ。私にはスマホゲームのユーザー達やネットでの友達も沢山いるもんね~(泣)
私が一人で寂しさを味わっていると、急に皆が教室に入りだした。
これは……
「二人とも、もうすぐ授業が始まる」
「な…なに?」
「やばい…!私達も早く教室に入ろう!」
幸いな事に、私達がいたのは教室のすぐそばにある廊下だったため、遅刻だけはせずに済んだ。
席に着いた直後に千冬さんが来た時は本気で焦ったけど。
・・・・・
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・・・
・・
・
二時間目の授業も何も問題無く進んだ。
隣の一夏を少しだけ見てみると、凄く真面目に授業を受けていた。
確か、原作ではここで『全部分かりません!』って問題発言をぶちかまして、教室中をフリーズさせたんだよな。
そんでもって、参考書を電話帳と間違えて捨ててから千冬さんのありがた~い出席簿の餌食になっていた。
だが、ここではそんな事は無い。
原作とは違い、私の知っている一夏は自らの意思でここへの入学を望んだ。
故に参考書を間違って捨てるなどと言う愚行をしていないし、予習もばっちりやっている。
だから、授業についていけないと言う事は決して無い。
え?私はどうなのかだって?
私も大丈夫だよ~。
さっきも言ったでしょ?予習はちゃんとしてきたって。
流石に代表候補生のようとはいかないけれど、授業にちゃんとついていけるレベルには達していると自負している。
勿論、参考書も読破済み。
どんなもんだい!
にしても……
「~であるからして、ISの基本的な運用に関しては現時点では国家の認証が必須であり、もしも枠内を逸脱したIS運用を行った場合には刑法によって厳しく罰せられ…」
教壇の上で教科書をスラスラと呼んでいく山田先生には違和感しか感じません。
ぶっちゃけ、私達と一緒に制服を着て席に座っていてもなんらおかしくない容姿だろう。胸以外は。
なんだありゃ。一体何を食べて、どんな生活をすれば、あんな超ド級のバストになるんだ?
……こんな事を考え始める辺り、もう本格的に思考が女子寄りになって来てる…。
昔の男気に溢れた『俺』はいずこに……。
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二時間目も無事に終了し、またまた休み時間。
今度は一夏と箒と一緒に談笑をしていた。
話し慣れている人物との会話程、気楽なものは無い。
だが、ここである人物がやって来る。
「少しよろしくて?」
来たか……。
日本人ばかりがいるこの一組において、珍しく金色の髪を靡かせている白人の少女。
そう、原作ヒロインの一人でありイギリスの代表候補生でもある『セシリア・オルコット』である。
「……なんだ?」
おおい!箒~!?
最初っから喧嘩腰ってどうよ!?
「貴女には用事はありませんわ。私が話しているのは貴女です、織斑一夏」
「私……?」
「えぇ。貴女、織斑先生と同じファミリーネームですけど、もしかしてあの人の血縁者ですの?」
「織斑先生は私の姉さんだけど?それがどうしたの?」
一夏もそう睨むなって~!
どうして二人とも、そんなに怖いんだよ~!?
(佳織との話を邪魔して……!)
(何様のつもりだ……!)
けど、そんな二人に怯まないこの子もこの子だよな……。
もしかしたら、私の知っている原作ヒロインはここには存在しないのかもしれない……。
「姉……ですの……」
なんか一夏の事をジロジロと見てるけど、なんなんだ?
一夏が女である以上、彼女が嫌悪感を感じる理由にはならない筈だし……。
「あの『世界最強』の妹ともなれば、さぞかしお強いのでしょうね?」
「……!」
あ…言ってしまった。一夏に対する禁句を。
こいつは昔から千冬さんを通して見られるのを最も嫌う。
だからと言って、千冬さんの事を嫌いって訳じゃないみたいだけど。
「私は私だよ。そんな決めつけは好きじゃない」
「あら、ごめんあそばせ」
絶対に謝罪の気持ちなんてないな。
だって、顔が笑ってるもん。
「ですが、こうして一緒の学園にいる以上は、いずれ試合をする日もあるでしょうし、その時にでも貴女の実力を確かめさせてもらいますわ」
言う事だけ言ってから、セシリアは自分の席に戻っていった。
「なんだ……あいつは……」
「さぁね。ほっとけばいいよ」
一夏、激おこぷんぷん丸。
あんな事を言われたら仕方ないけど。
「確か、あの女……イギリスの代表候補生だと自己紹介の時に言っていたな」
「そんなの関係ないよ。代表候補生だろうがなんだろうが、私はあんな風にお高くとまった奴は個人的に嫌い」
「私もあまり好きにはなれんな。あいつは完全に他の生徒を見下している」
「大方、自分はエリートだって思ってるんじゃないの?」
「かもしれんな」
どうやら、二人のセシリアに対する第一印象は最悪のようだ。
私から見ても、お世辞にも友達になりたいとは思えない性格だけど。
「あんな奴よりも、佳織の方がずっと凄いよ」
「なんでそこで私を引き合いに出す?」
「だって実際に凄いじゃん!すっごい頭いいし、なんでも知ってるし!」
「頭がいいように見えるのは、ちゃんと勉強してるから。あと、私は何でもは知らない。自分が知っている事しか知らない」
厳密には、前世から得た知識が大半を占めてるけどな。
じゃなきゃ、ここまで有利に人生を歩めるか。
二度目の人生ともあれば、それなりに注意深くもなる。
「相変わらず、佳織は自己評価が低いんだな」
「事実だもん」
「なんか…勿体ないよ…」
そんな事を言われてもな。
こんなズルをしてるオカマ野郎が俺Tueeeeeeeeeee!しても気持ち悪いだろ。
私は今までもこれからも、お前達に埋もれるモブキャラで充分なんだよ。
キーンコーンカーンコーン
「チャイム鳴った」
チャイムが鳴ってから、クラスの中や外にいた生徒はすぐに自分の席に着いた。
私と一夏もそれに合わせて、次の授業で使う教科書などを取り出した。
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・・・・
・・・
・・
・
三時間目。
今回教壇に立ったのは千冬さんだった。
「三時間目は実戦で使用する各種武装の特性などについての説明をしようと思う」
さて、また気合を入れて頑張りますか。
……あれ、何か忘れているような気が……。
「おっと、忘れるところだった」
何を?
「まだ再来週に行われる予定のクラス対抗戦に出る『クラス代表』を決定していなかったな」
そうだった……!
本来ならこれで一夏が推薦されて、それにセシリアがブチ切れて、そこから口論に発展して、最終的には決闘騒ぎになるんだよな…。
でも、今回はどうなるんだ?
全く先が予想出来ない。
「先生。クラス代表ってなんですか~?」
「他の学校で言うところの学級委員だ。先程言ったクラス対抗戦の他に、生徒会が定期的に開く会議や委員会への出席などが主な仕事だ」
うん、まんまですね。
「最初に言ったクラス対抗戦とは、簡単に言ってしまえば、入学時点での各クラスの実力の推移を計るものだ。現時点ではどこのクラスも五十歩百歩だが、こうした競争心は同時に向上心も生む。一度決定したら、少なくとも一年間は変更はしないつもりだから、そのつもりでいるように」
案の定、クラス中が騒ぎ出す。
まぁ、私は別にどうでもいいけど。
だって、私のような凡人が推薦される事なんて皆無に等しい事だから。
「じゃあ……はい!」
「織斑か。どうした?」
「私は佳織を……仲森さんを推薦します!!」
ほら、早速呼ばれてますよ~、仲森さ~ん。
「ならば私も!佳織を推薦します!」
「篠ノ之もか……」
おや、二票になってしまったね~。
何も言わなくていいのかな~……って……
「私ぃっ!?」
ヤバイ……少しだけ現実逃避してた…。
「少し静かにしろ、仲森」
「すいません……」
でも、いきなり大声を出した私は悪くないと思う。
だって、いきなり自分の名前が出るなんて、誰が予想する!?
「なんで私を推薦したのさ!?」
「だって……佳織なら適任だって思ったんだもん」
「だもんって……」
どこをどうしてそう思った?
「中学の時も佳織ってクラス委員をしてたし、二年の後半からは生徒会の副会長もやっていたじゃん」
「それは……」
あれは、私が家の用事で休んでいた時にいつの間にかクラス委員を決める話し合いで候補に挙がっていて、私の意思とは無関係に決定してしまったから、仕方なくやっただけだ。
副会長の件だって似たようなもの。
当時の会長さんと個人的に親しくて、土下座までしてきて『生徒会に入って私をサポートして!!』って言ってきたから、渋々生徒会に入っただけだ。
あの状況で『いいえ』と答える勇気は私に無かった。
「結構実績あるんだ……。じゃあ、私も仲森さんがいいと思います!」
「じゃあ私も!」
あぁ~!他の連中も二人に便乗して私を推薦し始めたよ~!
どうするんだよ~!もう~!!
「ふむ……今のところの候補者は仲森か。他にはいないか?別に自薦でも他薦でも構わんぞ」
本来ならここで抗議すべきなんだろうが、そうしたらきっと『拒否権は無い』って言われてしまうのがオチだ。
ならば、ここは他の二次小説で見た方法で行かせてもらう!
「わ…私は織むr「お待ちください!納得いきませんわ!!」…さんが~……」
そうだった~!
余りの出来事に、こいつの存在をすっかり忘れてた~!
怒髪天を衝くと言わんばかりにセシリアがいきなり立ち上がった。
「なんで代表候補生である私ではなくて、そんな人を推薦するのですか!?」
いきなりの問題発言乙。
「この私を差し置いて、彼女のような人物がクラスの代表だなんて……このセシリア・オルコットに一年もの長きに渡って恥辱を味わえと!?冗談じゃありませんわ!!」
まだ言いますか。
その辺にしておいた方がいいんじゃないかな~?
因みに、私は別に怒ってなんかいません。
だって、心は立派な大人ですから。
今の私を怒らせたら、大したもんですよ。
「実力、実績共に優れているこの私がクラス代表に選ばれるのは最早必然!!それを、ただ過去に同じような経験があるからと言う理由だけで素人の少女を選ぶなんて、そんなのは唯の恥さらしですわ!!」
言うねぇ~。
でも、私の沸点まではまだまだ遠いかな?
「いいですこと!?クラス代表とは即ちクラスの顔!それはクラスで最も実力のある人物……即ち私こそが最も相応しいのです!!」
御高説、ありがとうございました~。
でも、その発言でクラスの殆どを敵に回したね~。
ほら、お前さんの事を凄い目で睨み付けてるぞ~。
「アンタ……いい加減にしなよ」
「なっ…!?」
あ……一番プッツンしてた一夏が立ち上がった。
余計な事を言わなければいいけど……。
「佳織のことを何も知らないくせに、偉そうな事を言うな!!」
「なんですって!?」
「お前みたいな奴なんかより、佳織の方が100倍強いんだから!!」
何を言い出すか~!お前は~!!
そんな訳ないだろ~が!!
少し考えれば分かる事だろうがよ!!
「その通りだ!!」
ほ…箒まで!?
「佳織は貴様のような女には…絶対に負けん!!」
言わないでぇ~!!
混乱と羞恥心とでどうにかなっちまうよ~!!
っていうか、そこの教師陣は少しは止めようとしろよ!!
「け…け…け…」
こ…この流れは…まさか……
「決闘ですわ!!」
ですよね~!
言うと思いました~!
「仲森佳織!!」
「は…はい!?」
指差さないで~!
皆もこっち見ないでぇ~!
「この私とクラス代表の座を賭けて勝負なさい!!」
「わ…私はしt「「望むところだ!!」」…言わせてよ…」
私の意見を言わせてもらえない…。
完全完璧な素人である私が代表候補生に勝てるわけねーじゃん!!
試合をする前から負けフラグが乱立してるよ!!
「佳織の真の実力を見せてあげるんだから!!」
「覚悟するがいい!!」
「それはこっちのセリフですわ!!」
当事者を無視して話を進めるなぁ~!!!
って言いたいけど、言えない私って本当にヘタレ……。
「話は纏まったな」
「へ?」
ま…纏まった?
「それでは、勝負は今から一週間後の月曜日の放課後。場所は第3アリーナで行うものとする。仲森とオルコットはそれぞれに準備をしておくように」
「いや……私はですね…?」
「もう決定事項だ。潔く諦めろ」
そんなご無体な……。
私が何をしたっていうんだ…?
「大丈夫!一週間もあれば十分だよ!」
お前と一緒にするな~!!
私は一夏のような主人公体質の人間じゃないんだよ~!
一週間でどうにかなるなら、誰も苦労せんわ~!
「織斑、篠ノ之、オルコット、そろそろ座れ」
「「「あ…はい」」」
流石に千冬さんには逆らえないのか、三人は大人しく座った。
「では、今から授業を始める」
はぁ~……これも神が与えた試練なんだろうか…。
今から緊張で胃が痛いよ…。
これから本当にどうしよう……。
思うがままに指を動かしていたら、いつの間にかセシリアが原作以上に嫌な奴に…。
でも、チョロインだから動かしやすいんですよね。
佳織の機体の方は既に私の中で決定してます。
仕事中にピン!とアイデアが思い浮かんで、機体とかに関するタグを急遽消しました。