神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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前回は本当にすいませんでした!
今回の反省を生かし、これからもっと精進できるように邁進していきたい所存です。
これからも、私のようなゴミクソ蛆虫作者の作品をほんの僅かでも読んでくださると、非常に嬉しいです。
今一度言います。
本当に申し訳ございませんでした!!!!!


第26話 噂と約束

 月曜日の朝。

教室に入った私と本音ちゃんとシャルロットが最初に聞いたのは、鈴とセシリアの大きな声だった。

 

「そ…それは本当に本当に本当ですのね!?」

「もしも嘘だったら針一億本飲ませるわよ!」

「い…一億!?」

 

朝っぱらから何を話しているのやら。

 

「元気だねぇ~」

「同感」

「IS学園っていつもこんな感じなの?」

「血気盛んな十代だからね。少しの事でも盛り上がれるんでしょ」

「……佳織って大人だよね…」

「君までそれを言うの?」

 

これからは少し自重した方がいいのかな…。

 

「本当だって!この噂はね、もう学園中で持ち切りなの!今度ある学年別トーナメントでもしも優勝したら、あの仲森さんと付き合……」

 

…………なんか断片的に聞こえたような気がしたけど、ここは聞かなかったことにした方がいいかもしれない…。

 

「本音ちゃんは、あそこで皆が話している事について何か知ってる?」

「ううん。変な噂が学園中で蔓延してるのは知ってるけど、詳しい内容は知らないな~」

「そっか……」

 

非常~に嫌な予感しかしないけど、下手に顔を突っ込めば、それはそれで私が痛い目に遭いそうで怖いんだよね…。

 

「……よし!ここは流れに任せよう!」

「いいの?」

「どうせ私が聞いたって教えてくれなさそうだし、だったらせめて、例の学年別トーナメントが終わるまでは大人しくしてるよ」

 

つーわけで、今私が言うべき言葉は一つ。

 

「そこの皆、もうそろそろ朝のSHRが始まる時間だよ。特に隣のクラスの鈴は早く戻った方がいいんじゃない?」

「か…佳織っ!?」

「い…いつの間に!?」

「さっきからいたよ…」

 

気が付かなかったのかよ…。

 

「ほらほら!解散解散!」

 

千冬さんのように手をパンパン!と叩いて、皆を促す。

 

「最近、佳織が少しだけ千冬さんに似てきた気がするわ……」

 

鈴、ちゃんと聞こえてるからね。

 

「クラス代表も大変なんだね…」

 

会社所属や代表候補生程じゃないと思うけどね。

 

さて、私も自分の席に着きますか。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「はぁ……」

 

やっぱり、私の危惧していた通りだったか……。

 

(どこのどいつかは知らないが、間違いなく私の独り言を聞いた人物が面白半分で学園中に広めたに違いない…)

 

どうしてこうなってしまった……。

私は単純に、もしも優勝したら佳織に告白しようと思っただけであって、そこから先の事なんてまだ全然考えていないんだぞ!

そ…そりゃ……私としても、行けるところまで行ければ最高だとは思うがな…。

 

(それにしても…優勝……か)

 

正直言って、専用機を持っていない私が学年別トーナメントで優勝するのは難しいだろう。

 

セシリアに鈴に一夏。

そして、最強の相手が想い人である佳織だと言うのが皮肉としか言いようがない。

 

(幾らなんでも、前途多難すぎるだろ……)

 

いや……待てよ?確か、教室に来る前に見た掲示板にこんな事が書いてあったような気が……。

 

【今月開催される学年別トーナメントは、より実践的な戦闘を想定するために、ツーマンセルでの参加を必須とする。猶、開催までにペアが決定しなかった生徒については、抽選によって選ばれた生徒同士でコンビを組むことにする。締め切りは……】

 

ツーマンセル……つまりはコンビで戦うと言う事だな。

ならば、私が佳織とコンビを組めば非常に高い確率で優勝出来るのではないか!?

だが、その場合はどうなるんだ…?

いや、私には関係ない!

噂の有無に関係無く、最初から優勝したら告白するつもりなのだからな!

 

大会に優勝し、夕日が眩しい屋上で私が佳織に告白……。

 

(フフフ……♡最高のシチュエーションではないか!)

 

よし!これならいける!!

このトーナメントで一発逆転ホームランだ!!

 

「な…なんか篠ノ之さんが怪しく笑ってる……」

「何を考えてるんだろ……」

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 廊下の端。

普段はあまり人通りが少ない場所に、千冬とラウラが向き合っていた。

 

「それで?用とは何だ?私も暇ではないのだが?」

「実は、教k…織斑先生に聞きたいことがあるのです」

「なんだ?授業で分からない事でもあったのか?」

 

冗談交じりに言う千冬とは違い、ラウラはどこまでも真剣だった。

 

「仲森佳織とはどんな人物なのですか?」

「何?」

 

佳織の名前が出た途端に、千冬の眉間に皺が寄った。

 

「そう言えばお前……転校初日から仲森に言い寄っていたな。もしや、『上』からの命令か?」

「……………」

「言えないのか?」

「いえ……貴女にならば」

 

少しだけ迷ったが、嘗て教官として指導してくれた千冬ならば大丈夫だと判断し、口を開く。

 

「上層部から命令を受けました。『赤い彗星をスカウトし、ドイツに連れて帰れ』…と。無論、無理矢理ではありません。極力、本人の意思を尊重しろと言われました」

「あの堅物共にしては随分と寛容な判断だな」

「彼女が貴女や篠ノ之束とも関係が深い事を知って、逆鱗に触れる事を恐れたのでしょう」

「ふん…。普段は傍若無人を絵に描いたような連中なのに、変な所で臆病な奴等だ」

 

以前ドイツににいた事のある千冬は、あまりドイツ軍の上層部に対してあまり良い印象を持っていないようだ。

 

「ですが、今は私個人的としても彼女に興味があります」

「ほぅ?」

 

まさか……とは思ったが、まだ好意を抱くまでには至ってない事を、ラウラの表情を見て一瞬で悟った。

伊達に長い間、佳織の事を想っていないのだ。

 

「そうだな……アイツは……」

 

窓から見える空を見上げながら、そっと話し出した。

 

「簡単に言えば、底なしのお人好し…だな」

「お人好し…ですか?」

「そうだ。目の前で誰かが困っていたら、迷わず手を伸ばす。例えそれがどんな人物であってもだ」

 

佳織の優しさは、見ようによっては諸刃の刃と言える。

だが、その優しさに救われた人間が多いのも、また事実だった。

千冬や束も例外ではない。

だからこそ、彼女達は佳織の事をどこまでも好いているのだ。

 

「それでいて、一度ISに乗れば、まるで人が変わったかのように冷静になり、凄まじい戦闘力を発揮する」

「それは噂で聞いています。これまでに代表候補生と幾度か戦闘し、いずれも圧倒したと」

「しかも、あいつには不思議なカリスマがある。私があいつをクラス代表として認めているのも、それが最大の理由だ」

 

仮に転生特典などが無くても、佳織のカリスマ性は決して薄れはしないだろう。

彼女のリーダーシップは、本人が元々から持っていた物だから。

 

「少なくとも、佳織自身は何と言われようとドイツに行くとは言わないだろう」

「どうしてですか?」

「さっきも言っただろう。アイツは身内を放置はしないと。そんな奴が一人で外国に行くと思うか?」

「それは……」

「佳織を説得したければ、ドイツ側も相当に譲歩しなければいけないだろう」

 

それ以前に、束がそんな事を聞かされて黙っているとは思わないがな……と密かに思った千冬だった。

 

「話は終わりか?」

「あ……はい」

「ならば、早く教室に行け。今ならば少しぐらいは廊下を走っても黙認してやる」

「りょ…了解です」

 

去っていくラウラの背中を見ながら、千冬は静かに呟いた。

 

「ドイツが動き始めたか…。これから他の国も『赤い彗星』を獲得しようと躍起になるかもしれんな」

 

図らずも騒動の中心となりつつある佳織を想い、心配を隠せない千冬であった。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「「あ?」」

 

放課後の第3アリーナ。

偶然にも鉢合せをしてしまったセシリアと鈴は揃って間抜けな声を出す。

 

「もしかして、アンタも学年別トーナメントの訓練?」

「そう言う貴女も?」

「勿論じゃない。優勝は私が頂くから」

「それはこちらのセリフですわ」

 

ニヤリと笑う二人。

その間には確かに火花が散っていた。

 

「そうだ。いい加減にアンタと決着つけたいと思ってたのよね。この機会にどう?」

「あら、それはいいですわね。私も丁度同じ事を考えていましたわ」

 

二人が完全に臨戦態勢に入った……その時だった。

 

「ん?そんな所で二人揃って何をしてるんだ?」

「「え?」」

 

やって来たのは、ISを纏ったラウラだった。

 

「貴女も訓練に来たんですの?」

「そんなところだ。で、お前達は……」

 

ラウラが次の言葉を言おうとすると、ふと鈴の目線がある一点に集中しているのを感じた。

 

「な…なんだ?」

「……………………」

 

以前は授業の時だった為、よくラウラの事をよく見ていなかったが、鈴は今初めてラウラの体形をよく観察した。

 

「…………」

 

自分の体(正確には自分の胸)を見る。

 

「…………」

 

次にラウラの体(当然胸)を見る。

 

「…………」

 

最後にセシリアの体(と書いて胸と呼ぶ)を見る。

 

「あぁ……そっか……」

 

何かを納得したのか、鈴は静かに歩きだし、ラウラの隣に移動した。

 

「な…なんだ?」

 

ツインテールを振り回しながら前を向く。

その目はかなり鋭くなっていた。

 

「とっととかかってこいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

「「え~~~~~~!?」」

 

いきなりの状況にセシリアもラウラも揃って目が点に利ながら驚く。

 

「ど…どういうつもりですの!?」

「どういうつもり…?決まってるじゃない。今回はこのラウラと組むことにしたのよ」

「「はぁ~~~!?」」 

 

鈴の発言にまたまた驚く二人。

その顔は、まるでワンピースのギャグシーンで目玉が飛び出したような顔になっていた。

 

「今回のトーナメントがタッグマッチになったのは知ってるわよね?」

「え…えぇ…」

「最初は誰と組むか考えてたけど、この子を見た途端にピン!と来たのよ」

「な…何を言ってるんだ…?」

「神は言っている……この子と組むべきだと…」

「貴女本当に大丈夫ですの!?」

 

完全におかしくなった鈴を本気で心配し始めるセシリア。

それ程までに彼女の発言はぶっ飛んでいた。

 

「因みに、もうチーム名は決まってるから」

「な…なんだ?」

「その名も『ボインスレイヤー』よ!」

「頼むからそれだけはやめてくれ!!」

 

泣きながら懇願するラウラ。

世間知らずの彼女でも、それがどれだけ恥ずかしい名前なのは一瞬で分かった。

 

「それ以外には『ボインキラー』か『ボインブレイカー』しか……」

「ボインは外さないのか!?」

 

完全にツッコみ役になりつつあるラウラだった。

 

「兎に角、もうこれは決定事項だから」

「拒否権は無しか!?」

「何か文句でもあるの?」

 

その時の鈴からはラウラすらも完全に委縮する程のプレッシャーが放たれていた。

 

「い…いや……」

「だったら返事!!」

「イ…イエスマム!!」

「ちゃんと『サー』を付けなさい!!」

「サ…サー!イエスマム!!」

「なんなんですの……一体……」

 

もう呆れるしかないセシリアだった。

 

「こうなったらもう、トーナメントで雌雄を決するしかないようですわね…」

「雌雄を決する?何を言ってるのかしら?アンタとは生まれた瞬間から既に敵同士よ」

「……もう何も言いませんわ……」

 

ジト目で鈴を見るセシリアにはもう、呆れしかなかった。

 

「なんだか興が削がれましたわ……。後はお二人でごゆっくり」

「ちょっ……セシリア・オルコット!?私を一人にしないでくれ!!」

「ほら!早く訓練を開始するわよ!!」

 

ラウラの訴えは空しくアリーナに響いた。

 

もしかしたら、今回の最大の被害者はラウラかもしれない。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 今日の訓練をする為に第3アリーナに向かう私と箒と一夏とシャルロット。

すると、アリーナ側からセシリアがやって来た。

その顔はとても疲れ果てている。

 

「ど…どうしたの?セシリア」

「なにやら、凄く疲労しているよう見えるが…」

「何かあったの?」

 

私達が尋ねると、セシリアは盛大な溜息をついた。

 

「はぁ~……なんでもありませんわ」

「そ…そう?」

「あぁ……それと、今は第3アリーナにはいかない方がいいですわよ」

「な…なんで?」

「見れば分かる……と言いたいですが、今は見ない方がいいかも……」

「どっちだよ」

 

普段は歩き方すらも優雅なセシリアがここまで疲れているなんて……マジで何があった?

 

「とにかく、今日はもう疲れましたから、これで失礼致しますわ…」

「あ……」

 

背中を丸めながら去っていってしまった…。

 

「……どうする?」

「今日は……やめとこうか?」

「それがいいかもしれんな…」

「少し見てみたくはあるけどね」

 

そんな訳で、今日の訓練は中止にすることに。

 

後に、第3アリーナで銀髪の少女がツインテールの少女にしごかれていたと言ううわさを聞いた。

それって……いや、何も言うまい。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 アリーナから引き返していると、なんだか道が振動しているように感じた。

 

「……ねぇ……一夏……」

「何も言わないで……佳織」

 

いつでも逃げだせるように構えていると、廊下の向こう側から生徒の集団が押し寄せてきた。

 

「「き…来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

「な…なんだ!?」

「こ…これって!?」

 

生徒達の目は凄い事になっている。

簡単に言えば、目が血走ってる。

 

「「「「「仲森さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」」」」」

「「「「織斑さん!!!」」」」

 

彼女達の目的はなんとなく想定できる。

だから、下手に逃げようとしても逆効果だと判断した。

 

「「「「「「私と組んでください!!!」」」」」」

「「組む?」」

 

生徒達が一斉にこっちに向かって手を伸ばす。

その手の一つに一枚の紙が握られていた。

 

「これは?」

 

あ、一夏が取った。

 

「なになに?……これって、学年別トーナメントの……」

「なんて書いてあるの?」

「今度のトーナメントはタッグになるんだって」

 

あ~…あれか。

そういや、まだ誰と組むか考えてなかった。

 

「私と組んでください!仲森さん!」

「いやいや!是非とも私と!」

 

私を狙う目的は明白だな。

でも、そこに一夏もくるなんて。

今の一夏は女の子なのに…。

 

「あの……佳織はともかく、なんで私?」

「だって!織斑さんって何気に実力者だし!」

 

それと、千冬さんの妹って言うネームバリューにも引かれたんだろうな。

魂胆が見え見えだっつーの。

 

「ふぅ……一夏」

「うん」

 

この場を一番穏便に乗り切る方法……それは。

 

「ごめんね!私はもうシャルロットと組んでるから!」

「因みに私は箒と組んでる」

 

この二人を巻き込むことだ!!

 

「えっ!?か…佳織!?」

「おい!一夏!?」

 

本当に悪いとは思うけど、今回だけは勘弁してほしい。

 

「そっか~……それじゃあ仕方ないね~…」

「他に誰か実力者っていたっけ?」

「探せばきっと見つかるよ!」

 

お、意外とすんなりと去ってくれたぞ。

 

「「危機一髪…」」

 

さて、次の問題は……

 

「えと……僕でいいの?」

「うん。私達ってお互いにラファールを使ってるじゃない?相性はいいと思うんだけど」

「そう言えばそうだね。それじゃあ、組もうか?」

「タッグ結成だね」

 

ま、仮に彼女達が来なくてもタッグパートナーはシャルロットにするつもりだったけど。

理由はさっきと同じ。

同系統の機体なら、連携もしやすいだろうし。

 

「一夏~…」

「本当にゴメンって~!隣にいたからつい…」

「全くお前って奴は…」

 

なんて言いつつも、しっかりとやるのが箒なんだよね。

私は知ってるよ。

 

「言っておくが、私と組んだからにはビシバシ行くからな!」

「は~い」

 

ははは……早速イニシアチブを握られてるし。

 

(予定は大幅に狂ったが、仕方あるまい…。こうなったら、どんな結果になろうとも私が勇気を振り絞るほかあるまい!)

 

お?なんか決意に満ちた目をしてますなぁ~?

これはトーナメントが楽しみだ。

 

 

 

 

 

 




実は今回の原作2巻に該当する部分、相当にぶっ飛んだ内容になる予定です。

色々とプロットを練っていたら、アホ丸出しに内容になったので。

ちゃんとシャルロットのフラグ…立てられるかなぁ~…?

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