神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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きゅ…急に寒くなった…。

鍋が恋しくなりました…。

因みに私は水炊き派。





第25話 試射

 金銀コンビが転校してきて早数日。

今日は土曜日。

 

土曜も授業はあるにはあるんだけど、午前だけで、午後からは完全に自由時間になっている。

だからだろうか、私達が今いる第3アリーナには結構な数の人がひしめき合っている。

アリーナの数や訓練機の数は基本的に限られているから、チャンスがある時に訓練をこなそうと試みる生徒が数多い。

因みに、箒もそんな生徒達の一人。

 

今日はいつものメンバーに加え、シャルロットが加わっている。

けど、鈴だけがクラスの用事で少し遅れてる。

 

今回の訓練は、この間、私のリヴァイヴⅡに加わった新たな武装の試射だ。

ISを展開している私の隣には自分の専用機を纏ったシャルロットが待機している。

 

「それが君の専用機か?」

「そうだよ。『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』。佳織のラファールの前身となった機体だね」

「ほぅ……」

 

所々にカスタマイズを施された形跡はあるけど、基本的な形状は変化していない。

まさに、ラファールの正当な進化って感じ。

 

しかし……見事なまでにオレンジですなぁ~。

知ってはいたけど、こうして改めて見ると、あれを思い出すと言うか……

 

「あ~…失礼な事を聞くかもしれないが、もしやシャルロットは二重人格だったりしないか?」

「僕が?なんで?」

「いや……なんとなくな。違うならばいい。変な事を聞いて済まなかった」

「ん~?」

 

思わず聞いちゃったよ…。

もしかしたら、彼女の中に『シャルル』って言う男の人格がいたり~…なんて想像しちゃったけど、流石に考えすぎか。

 

「ところで、新しい武器の具合はどう?」

「そうだな……」

 

自分の手にあるハンドビームガンを見てみる。

 

「手にしっくりきていて握り心地も悪くない。なにより重量が軽い為、取り回しがしやすそうだ」

「それは威力よりも連射性と精密性を重視しているからね」

 

質より量って事か。

 

「それじゃあ、試しに撃ってみてくれる?あそこに丁度、的があるから」

「了解した」

 

現在、訓練している皆に少しだけどいてくれるようにお願いして、私は真ん中に立った。

眼前にはカラフルに彩られた的が浮いている。

 

「では…いくぞ!」

 

一気に上昇して、視界にターゲットを映す。

そして、ロックオンの後に即座にトリガー!

 

「はっ!」

 

黄色く細いビームが発射され、真ん中に命中。

それを見届ける事無く次のターゲットを見る。

 

「ふっ!」

 

息を吐くようにしながらもう一発。

 

「そして!」

 

振り返りながら最後のターゲットも撃つ!

 

「……こんなものか」

 

使い勝手は上々……ってか?

 

ハンドビームガンの試射を終えた私は、皆の元に戻った。

 

「どうだった?」

「いい感じだ。これならば、牽制や弾幕を張るのに向いている。マシンガンと併用すれば、使い勝手も増すだろう」

「そう言って貰えてよかったよ」

 

やっぱ、片手で使えるっていいよね。

攻撃力もマシンガンよりは上みたいだし。

 

「ねぇ……さっきの見た?」

「うん……見た」

「全部真ん中に命中してたよね…」

「しかも、動きながらだよ?マジで凄すぎ…」

 

なんか離れた場所でひそひそと話してますぞ。

ひそひそ話は女子高生の特権とは言え、あまりいい気分はしないな。

 

「次はビームバズーカをお願い出来るかな?」

「分かった」

 

ハンドビームガンを収納し、ビームバズーカを取り出す。

これは結構な大きさで、片手で持つには少し重い。

両手で保持するのがベストだろう。

 

「ず…随分とでかいな…」

「大きい事はいいことだ!って、誰かも言ってたよ」

「誰ですの……それ……」

 

こら一夏。女の子がそんな事を言っちゃいけません。

 

さて…と。体全体で支えるように持って、銃口をターゲットに向けて…と。

 

「では……発射する!」

 

トリガーを引いた途端、大きなビームの閃光が発射され、ターゲットを丸ごと飲み込んでいった。

その衝撃で、少しだけ後ろに下がってしまった。

 

「うわぁ~…データでは知ってたけど、こうして実際に見ると凄い迫力だな~…」

「ふむ……」

 

これは、さっきのハンドビームガンとは完全に真逆に位置している武器だな。

 

「典型的な『量より質』な武装だな。威力は非常に高いが、発射までのラグが大きい上に、両手で保持しなくてはいけないから、万が一回避されて接近でもされたら終わりだ。少なくとも、1体1の戦いで使うような代物じゃない。最低でも前衛で相手を引きつける役がいて初めて効果を発揮するだろう」

 

な~んて偉そうに言ってるけど、これって完全にゲーム知識ですから。

オタクってこんな時に限って無駄に博識だったりするんです。

 

「そこまで的確に……。ありがとう!とっても参考になるよ!」

 

うぅ……笑顔が眩しいデス…。

私みたいに『転生』なんてズルをしている人間には眩しすぎる光だ。

 

「お次はビット兵器の『ファンネル』をいってみようか」

「あぁ」

 

とうとうコレの出番か…!

上手く扱えるかどうか、すっごく心配…。

 

そんな私の不安を感じ取ったのか、セシリアから声が届いた。

 

「大丈夫ですわ!先程の私の言葉を信じてください!」

 

ついさっき、私はセシリアからビット兵器を扱う際のコツを聞いた。

なんでも、ビットは操縦者の脳波を感知して稼働するようで、本人のイメージが大事になってくるらしい。

そこら辺はガンダム世界のビット兵器と大差ないんだな…。

ただ、サイコミュがあるかどうかの違いになるのか。

 

「イメージ……か」

 

オタクにとって妄想……じゃなくて、イメージは日常茶飯事の事と言っても過言じゃない。

毎回毎日、色んな妄想を脳内で形にしている。

 

「ふぅ~……」

 

息を吐き、目を閉じて、精神を集中させる。

 

(イメージ…イメージ……ビットが飛んで行って的を撃つ……)

 

初めてヤクト・ドーガに乗ってファンネルを使用したクェスもこんな気持ちだったのかな?

よし……やるぞ!

 

カッ!と目を思いっきり見開いて、的を見る。

そして、ファンネルに『命令』する!

 

「いけ!ファンネル!!」

 

シールドに装着されたファンネルポッドから三基のファンネルが飛び出して、それぞれに的に向かって行く。

ファンネルの小さな銃口から一筋のビームが放たれて、三つの的をそれぞれに撃ち抜いた。

 

「やった……のか……」

「凄いですわ!最初にしてこれだけ動かせるなんて!」

 

セシリアが自分の事のように喜んでくれた。

そこまで言われると……なんか照れるね。

 

「ビットの挙動も問題無し…と」

 

シャルロットはシャルロットで、なにやらレポートのようなものを端末に打ち込んでいる。

会社に所属するのも代表候補生と同じぐらいに大変みたい。

暇があれば労ってあげるのもいいかも。

 

「しかし……少し頭が痛むな…」

「大丈夫?佳織」

「ほんの少しだけだ。そこまで深刻に考えなくてもいいだろう」

 

偏頭痛みたいなもんだし。

 

「先程も言った通り、ビットは脳波で動かす兵器。故に、慣れないうちは頭が痛くなるのは仕方が無い事です。私もブルー・ティアーズに乗って、初めてビットを使った時は頭痛に悩まされましたから」

 

私だけじゃないのか。

 

「こればかりは慣れるしかありませんわね。何回も使っていってビットの操作に慣れていけば、自然と頭も痛くなくなると思います」

「それを聞いて安心した」

 

これからはビットの訓練もこなさなくちゃいけないってことね。

こりゃ大変だ。

 

「では、ビットに関してはこれからもセシリアにコーチして貰おうか」

「わ…私が!?」

「IS学園広しと言えども、生徒の中で最もビットの扱いに慣れているのはセシリアしかいない。これは君にしか頼めない事だ」

「佳織さん……♡」

 

ちょ……ええ?なんで目がキラキラしてるんですか?

 

「お任せください!必ずや佳織さんのご期待に応えてみせますわ!!」

「よろしく頼む」

「はい!!」

 

なんちゅー力強い返事……。

心なしか、鼻息も荒くない?

 

「ビットか……こればっかりは私達じゃどうしようもないね…」

「くっ……!まさか、こんな事になろうとは……!」

 

なんか端の方で箒と一夏が話してるけど、ここからじゃよく聞こえない。

 

さて、ビットを戻してから、最後のヤツをしますか。

 

ビットに戻るように命令すると、三基のビットは真っ直ぐにポッドの中に戻っていった。

 

「よし。最後は……」

 

腰についているWビーム・トマホークに手を伸ばそうとすると、急にアリーナ内が騒がしくなった。

 

「なんだ?」

 

皆の視線が一点に集中する。

そこにいたのは……

 

「ラウラ?」

 

一組に来たもう一人の転校生。

ドイツからやってきた銀髪の美少女、ラウラ・ボーデヴィッヒその人だった。

ただ、今回の彼女はいつもとは違う。

何故なら……

 

「あれって……」

「うん。ドイツ製の第3世代型のISだ…」

「まだトライアルの段階だって聞いてたけど、もう実戦配備されてたんだ…」

 

大きな銃身(あれがきっと例のレールガンだろう)を携えた、漆黒のISを身に纏っているからだ。

え~っと……確か名前は~……シュ…シュ……シュヴァなんとかレーゲンだったっけ?

名前が長すぎてよく覚えてないよぉ~!

 

「仲森佳織、少しいいだろうか?」

「どうした?」

「折り入って、お前に頼みがある」

「なんだ?」

「私と模擬戦をしてほしい」

 

…………にゃんですと?

 

「スカウト云々の前に、まずは噂に名高い『赤い彗星』の実力を肌で感じておきたいんだ。駄目だろうか?」

 

超がつく程の馬鹿真面目さんだ……この子。

急に可愛く見えてきたぞ。

 

周りを見てみると、ラウラのいきなりの登場に戸惑っているようだ。

一夏と箒とセシリアは警戒していて、シャルロットもいつでも出られるように構えている。

 

「別に模擬戦自体は一向に構わない」

「それじゃあ「だが」……ん?」

「私は今、新しい武装の試運転をしていてな。少しばかり忙しい。それに……」

 

私はラウラに示すように周りを見渡す。

 

「この状態ではお互いにやりにくいだろう?また日を改めてくれると助かる」

「それもそうだな…」

 

おおっ!?なんか聞き分けがいい!?

 

「邪魔をしたようで悪かった。では、また日を改めるとしよう。失礼する」

 

大人しく帰っていった……。

なんだろう……虎とかライオンみたいな猛獣が急に懐いてくれたような感動が……。

 

「い…意外と言う事を聞いてくれますのね……」

「てっきり、問答無用で撃ってくるとか思ってた……」

「話せば分かる奴なのかもしれんな……」

 

私の中でもラウラの対する評価が上方修正されたよ。

今度からはもっと色々と誘ってみようか?

 

「あれで彼女は結構素直でいい子だよ?」

「そう言えば同室だったな」

「うん。部屋では思ったよりも話す事が多いよ」

 

なんか……想像以上にラウラが社交的になってる件。

これはとてもいいことなんだろうけど……これからどうなるの?

 

「ごめ~ん!おまたせ~!……って、あれ?皆どうしたのよ?」

 

遅れてやって来たISを纏った鈴が、場に流れる何とも言えない空気を感じて目が点になっていた。

 

「え?え?マジで一体何があったの?」

「まぁ……色々とな」

「色々?」

 

一言じゃ難しいかもな~。

 

「……彼女の事は後で考えるとして、今は最後の武器を試すとしよう」

「そ…そうだね」

「ならば、折角来たんだ。鈴、このWビーム・トマホークの試運転に付き合ってくれ」

「別にいいわよ。って、随分とデカい得物ね……」

 

折りたたんであるWビーム・トマホークを展開する。

 

適当に空いている場所に並んで、両手で構える。

 

「では、始めるぞ」

「いつでもいいわよ!」

 

高速で飛び出して、私の持つビームの刃と鈴の持つ鋼鉄の刃がぶつかり合い、火花を散らした。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「……と言う事があってさ~」

「へぇ~、ラウラウって素直でいい子なんだね~」

 

夕方。

私は自室でベットに寝っころがりながら、本音ちゃんと話していた。

疲れたんだから、これぐらいはいいよね?

 

「みたいだね。ラウラの事を見ていると、近所の小学生を彷彿とさせたよ…。少なくとも、私にはあんな純粋無垢な目はもう出来ない…」

「かおりんって妙な所で大人だよね~」

「それって老けてるって事?」

 

私って、そんなにも言動が老けてるのかな~?

と言うか、本音ちゃんもラウラに負けないぐらいに純粋な目をしてるよね。

 

因みに、本音ちゃんは午後はずっと生徒会室にいたみたい。

もしかして、意外と書記としての仕事を頑張ってる?

 

「流れで模擬戦をする約束をしちゃったけど、大丈夫かな?」

「かおりんなら大丈夫だよ~」

「ははは……気楽に言ってくれちゃって」

 

でも、こんな風に言われると、本当になんとかなるって思うから、不思議なんだよな~。

これが言霊の力ってヤツ?

 

コンコン

 

「おや?」

 

誰が来たのかな?

 

『佳織さん?いらっしゃいますか?ご夕食をまだ取られていないのでしたら、ご一緒にいかがですか?』

 

お客さんはセシリアみたいだ。

 

「はいは~い。少し待っててくれると佳織ちゃんはとってもハッピ~」

 

ガチャリとな。

 

「あ……佳織さん」

「夕食でしょ?丁度、お腹も空いてきたし、行こうか?」

「えぇ!」

「本音ちゃん、夕ご飯に行くよ~」

「は~い」

「はっ!?」

 

え?なんでそこで戦慄するの?

 

(そうだった……!佳織さんは本音さんと同室でしたわ…!浮かれていて完全に失念していました……!)

 

まるで、テストでケアレスミスをした時みたいな顔をしてる。

なにかミスでもしたの?

 

「どうしたの?」

「な…なんでもありませんわ!おほほほほ……」

「??」

 

乾いた笑いが却って怪しいぞ?

 

「早く行こ~?」

「そうだね」

 

部屋の電気を消して廊下に出ると、途端に本音ちゃんが腕に抱き着いてきた。

 

「どうしたの?」

「なんとなく~♡」

「そう」

 

別に重く感じないから、歩くのに支障は無いけど。

 

「な…ななななな……!」

「なに~?」

 

あ…あれ?なんか本音ちゃんの目が据わっているような気が…。

 

(本音さんがこれ程までに積極的だなんて……!)

(これだけは負けないよ~?)

 

……多分、気にしたら負けだな。

 

食堂に向かう為に階段を下りると、そこである人物に遭遇した。

 

「お…お前達!?」

「箒」

 

廊下の向こうから早歩きでこっちに来る。

その手には棒状の何かが握られていた。

 

「しののん~、やっほ~」

「ほ…本音!?なんで佳織の腕に抱き着いている!?」

「なんとなく~」

 

ぶれないな~…。

 

「これから夕食なんだ。箒は?」

「私は実家からコレが送られてきたから、受け取りに行っていた」

 

その手に持っている物を私に見せる。

 

「そ…それって……日本刀?」

「名は緋宵。かの名匠・明動陽晩年の作だ。…と言っても分からないか?」

「「「ははは……」」」

 

さっぱり分からにゃい…。

 

けど、日本刀なんて帯刀して大丈夫なの?って、このIS学園は法律上も国際上も『どこでもない土地』なんでした。

ここでは今までの常識は通用しないんだよね。

確か、セシリアも自室に何丁か銃を置いているらしいし。

 

「さて、では行くとするか」

 

って、しれっと箒も空いている腕に抱き着いてきたんですけど!?

 

「ほ…箒さん!?貴女まで!?」

「なんとなくだ」

「ぐうぅぅぅ~……」

 

ま~た火花が散ってるよ…。

 

(ぐずぐずしていたお前が悪い!)

(これから佳織さんと一緒にビットの練習を通じて、あ~んな事やこ~んな事をするつもりでしたのに……!)

(そうは問屋が卸さないよ~?)

 

く…空気が重い……。

 

ほら、廊下を歩いている皆も変な目で見てるじゃんか。

 

「ゆ…百合だわ…!百合の花が咲いているわ!」

「IS学園では割と頻繁にあるって聞いたけど、こうして実際に目で見ると……」

「しかも、中心にいるのは赤い彗星の仲森さん!これはまたいいネタが手に入ったかも……ぐへへ~…」

 

おいこらそこの女子共!お願いですから私をネタにするのだけはやめてください!

 

その後、食堂でも何故か注目の的になっていて、実に気まずい食事となった。

 

私が一体何をした…?

 

 

 

 

 

 




ラウラが普通にいい子に……。

いや、世間知らずなだけであって、本当は純粋でいい子なんですよ?

ただ、原作の初登場シーンがインパクトがありすぎて、印象が悪く映るだけで…。

私も嫌いじゃないですし。

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