神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
気持ちが落ちがちになりますが、なんとか頑張っていきましょう。
「なんで……なんでこんな事に……」
「何が?」
お昼休み。
私達は屋上にいた。
爽やかな青空が広がっていて、絶好の日向ぼっこ日和と言える。
しかも、運のいいことに、今日に限っては他の生徒が人っ子一人いない。
で、私の隣で何故か落ち込んでいる箒。
屋上に設置してある丸テーブルに揃って座っている私達だが、他にはセシリアに鈴、一夏と本音ちゃん、そしてシャルロットがいる。
何故こうなったのか。
それを話すには、午前の授業が終わる時に遡る。
午前の授業が終了し、全ての道具やISを片付けていると、徐に箒が話しかけてきた。
なんでも、今日は久し振りに弁当を作ったのだが、少し作りすぎた為、私に食べてほしいとのことだった。
私としては断る理由も無いし、快くOKを出したのだが、その時にセシリアと鈴と一夏と本音ちゃんがやって来て、私が行くなら自分達も一緒に食べる!と言い出したのだ。
で、それなら折角だし、少しでも仲良くなるためにシャルロットも誘ったのだ。
本当はラウラも誘いたかったけど、彼女はいつの間にか姿を消していた。
「アタシ達を出し抜こうだなんて…」
「10年早いですわよ」
「ホント、油断も隙も無いね」
「しののん~。ちょっと詰めが甘かったね~」
「うぅ……」
何の事かは知らないけど、皆から一斉攻撃を受けてるな。
「な…なんか、凄く場違いな気が……」
「少ししたらすぐに慣れるよ」
「そうなの?」
「多分」
「多分なんだ…」
少なくとも、同じ転校生である鈴はすぐに馴染んだ。
彼女の性格もあるだろうけど。
「と…取り敢えず、早く食べようよ。時間も限られてる事だし」
「そう……だな」
よし、なんとか食事の空気に持ち込んだぞ。
箒の手元には包みにくるまれた弁当箱と思わしき箱がある。
他にも、セシリアの所にはバスケットが、鈴もタッパーを持ってきている。
一夏も手元には弁当箱を持参している。
因みに、本音ちゃんは購買部で菓子パンを購入して、シャルロットも同じで、私は手ぶら。
本当は私は箒が用意してくれてるっぽいから、敢えて手ぶら。
そうそう、一応言っておくけど、私も料理ぐらいは出来るからね。
流石に一夏レベルとはいかないけど、一般的な家庭料理ぐらいならある程度はマスターしてる。
なんせ、小学生の頃からお母さんに徹底的に教え込まれたから。
なんでも、『女なら、料理ぐらい出来なきゃダメ』らしい。
どうしてか聞いたけど、なんでか教えてくれなかった。
過去に何かあったんだろうか?
「はい、佳織」
「おぉ~」
鈴が私に渡してくれたタッパーに入っていたのは、彼女の十八番とも言うべき料理の酢豚だった。
嘗て鈴が日本に住んでいた時、彼女の実家は中華料理店を営んでいた。
その流れかは知らないが、鈴は昔から料理が上手い。
レパートリーは豊富だが、やっぱり中華料理が一番得意みたい。
「今朝、久し振りに作ってみたの。食べてくれるでしょ?」
「勿論!」
鈴の酢豚って本当に美味しいから、私好きなんだよな~♡
「しまった……!」
「早い者勝ちよ…!」
なんか言ってるけど、今は酢豚を食べましょう。
「んじゃ、いただきます」
一口パクリ。
「ん~!美味し~♡」
あぁ~!猛烈に白米が恋しい~!
「つーか、普通に前よりも上手になってる気がする」
「そりゃそうよ。別に向こうでISの訓練ばかりをしていたわけじゃないもの」
「そりゃそっか」
ISの訓練と並行して、料理の特訓もしてたのか~。
やっぱ、鈴は隠れた努力家だな~。
私も見習わないと。
「あ…あの…佳織さん?実は私も作って来たのですが……」
「え?」
セ…セシリアも?
でも、彼女の料理は……
思わず一夏の方を振り向く。
すると……
(コクン)
無言で頷いてくれた。
あんまりこういう事は言いたくないが、セシリアの料理のセンスは壊滅的と言っても過言じゃない。
前に一度、セシリアの作ってくれた料理を試食した事があるけど、あの時はマジで死にかけた。
一夏が傍にいなければ、本気でもう一度の死を迎えるところだった。
それ以来セシリアも反省したようで、極力キッチンに立たせないようにしていたけど、流石に不憫に感じてしまって、一夏の監修の元でセシリアの料理の特訓を密かに行った。
その結果はまだ知らされてないけど。
今日、それが分かるのか…?
「ど…どうぞ」
そう言って、静かにバスケットを開けるセシリア。
中には、サンドイッチが綺麗に並べられている。
「これ……試食はした?」
「はい!それはもう!」
「そう…なんだ」
なら大丈夫……かな?
「い…いただきます」
少しトラウマがあるけど、セシリアの好意を無駄には出来ないし、ここは勇気を振り絞っていきましょう!
「あむ…」
…………んん?これは……
「………美味しい?」
なんて言うか……普通に食べれる。
少なくとも、不快感は全く無い。
「よ…よかったですわ…!」
「へぇ~。やるじゃない」
鈴が感心した様子で笑う。
この子も間近で嘗てのセシリアの料理の破壊力を見た人間の一人だからね。
「本当に……本当に苦労したよ…。多分、受験の時以上に頑張ったかも…」
「そこまで言うか」
受験以上に困難な料理教室って……。
「それじゃ、次は私かな?」
お、遂に本命ですか。
一夏の料理はマジでプロ級だから楽しみなんだよね~♡
「はい、これ」
「おぉ~!」
一夏がテーブルに置いた弁当箱を開くと、そこには色鮮やかな料理の数々が。
どれもこれも実に美味しそう。
「くっ…!やっぱり、料理じゃ一夏には敵わないか……」
「凄いですわ……」
料理漫画的に言えば、弁当箱が輝いてる感じ?
こう『ピカー!』って。
あ、別にピカチュウの鳴き声じゃないからね。
「ほら、箒も早く出しなよ」
「し…しかし……」
「出さないと、昼休みが終わっちゃうよ?」
「分かっている!え…えぇ~い!」
なんでそんなに気合を入れるの?
最後に出した箒の弁当箱が開かれた。
そこにも、一夏の料理に勝るとも劣らない料理の数々が並んでいる。
「う…嘘…!箒もこのレベルなの…!?」
「まさか……このような……!」
うん、なんかさっきからずっと、鈴とセシリアが食戟のソーマに登場するモブキャラみたいな顔になってる。
この状態で美味しい料理を食べたら、裸になっちゃうんじゃ?
「それじゃあ、まずは箒のお弁当の唐揚げから頂こうかな?」
「い…いきなりか?」
「うん」
どうして動揺するの?
んじゃ、パクリとな。
「お?」
これはこれは……。
「美味しいね!でも、随分と凝ってるような気がする。これは……」
「生姜と醤油におろしニンニク。それからコショウを予め混ぜてあるんだ。隠し味は大根おろしだな」
「へぇ~。隠し味まであるなんて、なんか凄いね!」
「そ…そうか?」
「私が教えたんだけどね~」
「それを言うな!」
あ、一夏直伝なんだ。
それでも美味しい事には違いないけど。
「へぇ~…日本料理って凄いんだな~」
「あれ?アンタも料理が得意なの?」
「得意って言うか…趣味かな?この機会に料理部とかに入って日本料理を勉強したいなって思ってるんだ」
なんと、シャルロットは日本文化に興味があるお人だったか。
日本人としては実に嬉しい事だ。
「そう言えば、シャルロットの部屋割りってどうなってるの?」
「私は同じ時期に転校してきたボーデヴィッヒさんと同じ部屋になるみたい。今の時期に改めて部屋割りを決めるのは大変みたいだから」
「当然でしょうね」
原作では、この部屋割りで山田先生が本当に苦労してたっぽいし。
少しは負担を軽減できたのだろうか?
「皆すごいね~」
「そう言う本音はどうなのよ?料理出来るの?」
「出来ると思う~?」
「その発言だけで分かった」
そう、本音ちゃんは料理関係はからっきしなのだ。
本人曰く、『私は食べる専門だから』らしい。
実際、私が作った料理の試食をよくしてるし。
「佳織はどうなの?料理の方は」
「私は人並みかな?流石に一夏とかには敵わないよ」
「佳織も十分に凄いと思うけど?」
「そう?」
鍛えられてるとはいえ、この領域にはまだまだ及ばない。
もっと精進しなくては!
「つーか、さっきら佳織しか食べてないじゃない。私達も食べましょうよ」
「それもそうか」
ようやく気が付いたか。
早く食べないと、午後の授業に遅刻してしまう。
なんて言っていたが、結局はワイワイしながらの昼食になった。
主に、転校してきたシャルロットに対する質問が多かったけど。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
放課後。
私は約束通りにシャルロットと一緒に格納庫に行くことに。
その際、私の整備を担当してくれている本音ちゃんと、なんでかセシリアも同席する事に。
セシリアの参加はシャルロット言い出した事なんだけど。
「本当にいいんですの?私も一緒に来て」
「大丈夫だよ。と言うか、一緒に来てもらった方がいいと思う」
「???」
一体何が格納庫で待っているんだ?
頭の上に疑問符を浮かべながら、私達は格納庫の扉を開く。
シャルロットを先頭に格納庫内を歩いて行くと、とあるハンガーに色んな装備群が置いてあった。
「あ、あったあった」
これが今回、私を連れてきた目的?
「でゅのっち。これは~?」
『でゅのっち』って……。
本音ちゃんの考える渾名って独特だよな~。
ここだけは束さんにも負けてないかも。
「これは、佳織の専用機である『ラファール・リヴァイヴⅡ』専用に製作された追加兵装だよ」
「追加兵装……」
つまり、これがデュノア社から出向してきた理由?
「説明する前に、まずはこれを見て」
シャルロットが私に武器の一覧が表示された端末を渡してきた。
そこには、色々な武器の名前や姿が映っていた。
「ハンドビームガンにビームバズーカ……それに、Wビームトマホーク…そして……」
「ビ…ビット兵器!?フランスはもうここまで来たんですの!?」
「慌てないで。それも今から説明するよ」
急に息が荒くなったセシリアだったけど、シャルロットに宥められて落ち着いたみたい。
「ここにある武器は全て、欧州連合の統合防衛計画である『イグニッション・プラン』で造られたんだ」
「確か、一時期フランスはイグニッション・プランから外されそうになったと聞きましたけど……」
「まぁね。でも、ラファール・リヴァイヴⅡの開発に成功した事で、なんとか除名を免れたんだ」
イグニッション・プランについてはセシリアからも聞いたけど、結構ギリギリだったのね…。
「で、その最初の一歩として、まずはフランスとイギリスで合同の新型武器開発計画が持ち上がったんだ。それで造られたのが…」
「ここにある武器類…なんだね」
「その通り。ここにあるのは後に量産が確定しているリヴァイヴⅡの専用武器なんだ」
「イギリスとの合同…。だから、ビーム兵器やビット兵器があるんですのね…」
詳しい事はよく分からないけど、色々と大変なんだぁ~。
「私が連れてこられた理由がようやく分かりましたわ。これが理由ですのね?」
「うん。こっちも、一度IS学園にいるイギリスの代表候補生と顔を合わせておけって言われてたから」
代表候補生も苦労が多いんだな。
私は絶対になりたくない。
特に興味も無いしね。
「それじゃあ、ISを出してくれないかな?装着してみて、不具合が無いか確かめないといけないから」
「了解」
私はいつものようにリヴァイヴⅡをハンガーに展開。
「うわぁ~…。こうして近くで見ると、本当に綺麗な赤なんだね…。佳織が『赤い彗星』って呼ばれる理由も分かる気がするよ」
「そう?」
私なんて所詮はパチもんですぜ?
本当の赤い彗星は私なんて目じゃないぐらいにチートだから。
「じゃ、早速装着して見ようか」
「私も手伝う~」
「ほんと?じゃあお願いしようかな?」
本音ちゃんが手伝うなら早いだろう。
思った通り、作業自体はあっという間に終わった。
ハンドビームガンとビームバズーカは拡張領域に入れて、Wビームトマホークは折りたたんだ状態で腰の辺りにある装甲に装着。
そして、ビット兵器である『ファンネルポッド』は右肩にあるシールドに装着された。
ってか、ファンネルって…あのファンネル?
形状自体はサザビーのファンネルと似てるけど…。
「あ」
装着する前は成形色である灰色だったのに、装着された途端にファンネルが機体と同じ赤色に変わった。
「実際にはそこまで劇的に変わった訳じゃ無いのに、不思議と変わった印象を受けますわね」
「だね~。なんか力強く感じるね~」
ホント、二人が言うように変な存在感がある。
「あれ?」
端末に表示されている機体の名前が変わった?
「ねぇ、シャルロット」
「どうしたの?」
「これ……機体の名前が…」
「名前?」
取り敢えずはシャルロットに見せてみる。
「これは……」
機体の名称が『ラファール・リヴァイヴⅡ』から『ラファール・リヴァイヴ・バリスティック』に変わっている。
随分と長くなってしまった…。
「多分、この武器類の名前が『バリスティック・ウェポン』って言うからだと思う」
「成る程……なのか?」
それだけで名前が変わるものなのか?
なんかこれって、スパロボの機体換装に似てる気がする。
「気にする程じゃないと思うよ。別に支障があるわけじゃないんだし」
「それもそうだね」
私が気にしなければ済む話か。
じゃあ、これからは『バリスティック・リヴァイヴ』と省略するとしよう。
「これで、佳織のリヴァイヴはかなり万能な機体になったね」
「遠距離に中距離に近距離にと、全ての武器がバランスよく並んでいて、しかもビーム、実弾と使い分けも出来る。これで佳織さんの強さに更に磨きがかかりますわね。私としては嬉しいような悲しいような、微妙な気持ちですけど」
ライバルが強くなって喜ぶのは、典型的な戦闘狂か、爽やかイケメンなラノベ主人公だけじゃなかろうか?
「シャルロットの仕事はこれでおしまい?」
「まさか。僕の仕事は寧ろこれからだよ」
「と言うと?」
「僕のもう一つの仕事は、佳織のリヴァイヴⅡから得られた戦闘データを本社に送る事だから」
「あぁ~…」
そういや、私の戦闘から得たデータが、これからのリヴァイヴⅡの量産に使われるんだっけ?
最近忙しかったから、すっかり忘却してたや。
「父さんも『赤い彗星』の戦闘データをこれからの開発に役立てられるって、凄く喜んでたよ」
「父さん?」
「うん。僕の父さんはデュノア社の社長なんだ」
「おぉ~!でゅのっちは社長令嬢なんだ~!」
「一応…ね」
ま、知ってたけどね。
「あれ?そうなると、佳織さんもデュノア社所属になるんですの?」
「希望ではそうだけど、そこは本人の意思を優先するって言ってたよ」
……本当に、ここのデュノア社は普通にいい会社になってるな…。
「あの…さ。シャルロットってご両親と仲はいい?」
「そうだね。仲は良い方だと思うよ。仕事柄、お互いに話す機会は少ないけど、休みの日とかはよく一緒に食事に行ったりするし」
「それは……お母さんとも?」
「うん。今のお母さんは再婚した継母なんだけど、僕の事は実の娘のように可愛がってくれてるよ」
やっぱりか……原作とは真逆になってる。
驚くレベルで家族の仲がいい方に変わってる。
「なんだか複雑な事情があるみたいですけど、家族仲が良好なのはいい事ですわ」
家の事情が複雑なのは君も同じだしね。
「さて、出来ればこれから試運転をしたいけど……」
「それはちょっと難しいかも。さっき聞いたけど、今日はどこのアリーナも既に予約で埋まってるって山田先生が言ってたし」
だから、今日の放課後は一夏達は部活に顔を出したりしてるみたい。
空いた時間は有効活用しないとね。
「そっか~。じゃあ、次の機会でいいかな?別に焦る必要はないし」
「そうした方がいいね」
場が完全に終わりの空気になりかけた時、セシリアがふと声を上げた。
「あら?そう言えば……佳織さんのビット適正は大丈夫なんですの?」
「それに関しては問題無いよ。父さんに聞いたんだけど、入学時にIS適性とは別にビット適正も調べてるんだって。それによると、佳織のビット適正はSらしいよ」
「え…S!?イギリスでもSなんて一人も……」
「最近になって判明した事だからね。無理も無いよ」
あの……私の事は放置ですか?
つーか、ビット適正がSって……これも転生特典か?
シャア様を模しているから、ビット兵器の扱いもそれに準じてるってか?
確かに、あの人はサザビーに搭乗した時にはファンネルをまるで手足のように扱っていたけど。
「だから、ビットの扱いに関しては問題無いよ」
「後は私の練習次第?」
「そうなるね」
ビットの練習か~。
何をしていいか、全く分からん。
「……ねぇ、セシリア」
「なんですの?」
「今度の訓練の時にさ、私にビットの扱い方を教えてくれないかな?」
「わ…私がですの?」
「というか、セシリアじゃないとダメだと思う」
「私じゃないとダメ……」
ど…どうした?急に静かになって…。
「分かりましたわ!このセシリア・オルコットにお任せくださいまし!!」
「う…うん。お願いね…」
急に大声を出すからびっくりした…。
「ビット兵器の整備ってどうすればいいのかな~?」
「それなら、ちゃんとマニュアルがあるから、それを見ればいいよ。本音が佳織のISを整備しているの?」
「そうだよ~」
「それじゃあ、後で整備マニュアルを渡しておくよ」
「ありがと~」
本音ちゃんなら、きっとすぐに整備の仕方を覚えるだろう。
じゃあ、私の方も新しい武器を使いこなせるように頑張らないとね!
そんな訳で、リヴァイヴⅡがパワーアップするの巻。
これはリヴァイヴⅡをザクⅡを模した機体にすると決めた時から考えてました。
っていうか、寧ろこの為にザクⅡにしたようなものでして…。
ビルドファイターズ バトルローグでのバリスティック・ザクの活躍が余りにもカッコよくって、思いっきり衝動に駆られました。