神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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な…なんか、いつの間にかお気に入り登録数が1000を超えてたんですけど…。

最初見た時、ガチで二度見しました…。






第20話 私の父は『白い狼』

 6月初頭の日曜日。

私こと仲森佳織は久し振りに一日限定で実家へと帰省していた。

 

ウチは簡単に言えば、中流家庭だ。

極端な金持ちではないし、かと言って貧乏でもない。

至って普通な一般家庭……のつもりだ。

 

そう言えば、私の家族についてまだ話して無かったっけ。

 

家族構成は父と母と私の三人。

前にも言ったかもしれないが、私は一人っ子なのだ。

だからだろうか、一夏と千冬さん、箒と束さんと言った姉妹を見ていると、時々羨ましくなる。

 

父の名前は『仲森信(しん)』

これを聞いたある特定の人種(ガンダムマニア)は、この作品の展開からして、種運命の不遇主人公が父親か!?なんて思ったかもしれない。

でも残念でした~!私のお父さんはイケメンと言うよりは、お髭が素敵なナイスガイなんで~す!

なんでも、父さんは婿養子らしく、結婚してから名字が変わったんだとか。

前の名字は確か、松永だった筈。

あれ?松永…?

なんだろう…どこかで聞き覚えがあるような気が……。

そんな父さんは今、どこかの学校で教師のような事をしているらしい。

らしいと言うのは、私も詳しい事は知らないから。

親子とは言え、深く追求するのはよくないって思うから。

 

母の名は『仲森ゆかり』

私と同じ茶髪がよく似合う女性で、かなりの若作り。

ぶっちゃけ、母さんと一緒に街とかを歩いていると、よく姉妹に間違われる。

絶対に私の茶髪ってこの人譲りだ。

昔は弓道をしていたらしく、今でも時々弓道教室に通っている。

アバウトなようでしっかりもしていて、私とはとても気が合う人だ。

 

そんな私たち家族が住んでいる家は、織斑家から家を二軒離れた場所に位置している。

大きさは……そこそこかな?

新築だから、結構綺麗ではあるけど。

因みに、今日は一夏も途中まで一緒だった。

なんでも、彼女も久し振りに家に帰って、暫く放置しておいた家の掃除とかをしてしまいたいらしい。

生真面目と言うか、なんて言うか…。

 

そんな懐かしの家の前に立つと、不思議な懐かしさがある。

まだIS学園に入って数か月しか経過していないのにね。

 

さて、それじゃあ入りますか!

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「ただいま~!」

 

久し振りとは言え、いや、久し振りだからこそ挨拶は忘れずに。

 

「ん?」

 

ふと足元を見ると、玄関には見慣れない靴があった。

父さんの靴と見比べても凄く大きい。

 

「誰だろう?」

 

お客さんかな?

 

「あ!佳織~!おかえり~」

「ただいま、お母さん」

 

いつものような笑顔で出迎えてくれたお母さん。

変に気を使わないでくれて嬉しい。

 

「佳織がIS学園に入ってから一か月以上経つって言うのに、思ったよりも懐かしく感じないもんね」

「そう?私は懐かしさを感じたけど」

「それはきっと、アンタが帰って来たからよ。私達はずっとこの家にいるんですもの」

「そう言うもんかな?」

 

個人の感性はそれぞれだしね。

 

「ところで、お客さん?」

「ええ。お父さんの昔の知り合いなんだって」

「へぇ~…」

 

お父さんの昔馴染み…か。

どんな人だろう?興味あるな…。

 

「取り敢えず部屋に荷物置いて来たら?」

「うん。そうする」

 

母さんに言われて、私は自分の部屋に荷物を置いて、ついでに着替えてくることにした。

今はまだ制服だしね。

私の部屋はとても綺麗で、いつもお母さんが掃除してくれているのがよく分かった。

後で『ありがとう』って言おう。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 私服に着替えてからリビングに行くと、そこではお父さんがソファーに座って対面越しに誰かと楽しそうに話していた。

 

「がっはっはっ!そんな事もあったな!」

「はい。懐かしいものです」

 

あのお父さんが楽しそうに話している…。

って、あの姿はどこかで見た事があるような気が……。

 

「おお!佳織か!おかえり!」

「う…うん。ただいま、お父さん」

 

今日は妙にテンションが高いな…。

 

「んん!?この子は…」

「私の娘の佳織です」

「そうかそうか!大きくなったなぁ~…」

 

そう言ってこっちを向いたお客さん。

そ…その顔は……まさか……!

 

「お…お父さん……この人は……」

「ん?もしかして、覚えないのか?」

「はい?」

 

覚えて……はい~?

こんなに体が大きくて、顎の辺りに傷跡がある人なんて、そうそう忘れないと思うけど……。

 

「この方はお父さんが昔大変お世話になった人で、『ドズル・ザビ』中将だ」

「『元・中将』だ。俺はもうお前と同じ退役軍人だぞ?」

「そうでしたな。どうも昔の癖が抜けなくて…」

「ははは!なぁ~に、気にするな!俺もよくある!」

 

ド……ド……ド……ドズル・ザビですとぉ~!?

ドズルって、あのザビ家のドズルさん!?

ギレン・ザビの弟のドズルさん!?

マジで!?なんでそんな人がここに!?

って言うか、この世界に実在してたんかい!?

なんでやねん!!!

 

しかも、なんかさっき気になる単語が飛び出たような……。

 

「た…退役軍人って……?」

「おや?もしや信。娘さんには何も言ってないのか?」

「そう言えば言ってませんでしたな。別に隠すような事でもないので、聞いてくれれば遠慮無く話したんだが……」

 

なんで聞こうとしなかったんだよ!昔の私!!

 

「父さんは昔軍人をしていてな。この人はその時の上官だったんだ」

 

ドズル・ザビが上官で、軍人で……父さんの旧姓は松永……。

 

松永信→マツナガ・シン→シン・マツナガ

 

シン・マツナガ!?

あの『白狼』の異名で知られたジオンのエースパイロットの!?

 

「軍を辞めた私は、その時の伝手で今は士官学校の教官をしているんだ」

「因みに俺が校長だ!」

 

士官学校の教官……。

確かに『学校』ではあるな……。

そこの教官ならば半分教師みたいなもん……か?

私は詳しくないからよくは知らんけど。

 

つーか、私のお父さんって滅茶苦茶有名で凄い人じゃん…。

なんで今まで分からなかったんだよ…!

馬鹿か私は!?

 

「しかし、本当に覚えていないのか?」

「何を?」

「ドズル中将……じゃなくて、ドズルさんはお前が幼い頃に何回か会っているんだぞ」

「えぇっ!?」

 

ヤバい……全っ然記憶にない……。

 

「その頃の写真がどこかにあった筈だ。どこだったかな?」

「これかしら?」

 

ニコニコ顔で母さんがリビングに入ってきた。

その手には本のような物が握られている。

 

「それって……」

「昔のアルバムか。懐かしいな」

 

テーブルにアルバムを置いて、中を開く。

そこには沢山の写真が貼り付けられていた。

 

「ほら、これだ」

「え?」

 

お父さんが指差した場所には、幼い私が見知らぬ女の子と一緒にドズルさんの肩の上に乗っている写真があった。

 

「覚えていないのも無理はない。あの頃はまだ2~3歳ぐらいだったしな」

 

そんな昔の事だったのか…。

 

「あの……この女の子は…」

「この子は俺の娘のミネバだ。丁度、今年でお嬢ちゃんと同い年になるか」

「ミネバ……」

 

ミネバって…あのミネバだよな?

劇中でのドズル・ザビの忘れ形見で、ユニコーンではバナージとリア充してた子。

 

「佳織とミネバちゃんは、幼馴染になるのかしら?」

「そうかもしれんな!」

 

一夏……箒……鈴……。

私達の知らない所で、いつの間にか幼馴染が増えてたみたいです…。

しかも、私的にはミネバこそが正真正銘のファースト幼馴染じゃんか!

ついさっきまで顔はおろか、存在すら知らなかったのに!

なんか、めっちゃ申し訳ないんですけど!

 

「いつか機会があったら、こっちに連れてこよう。あいつもきっと喜ぶに違いない!」

 

私としても、一度ちゃんと会って話をした方がいいとは思うけど、、会ったら会ったで罪悪感で胃がどうにかなりそう…。

 

「そうだ!お嬢ちゃんの噂は聞いてるぞ!」

「噂?」

 

この流れは……まさか……

 

「IS学園の『赤い彗星』。IS業界や軍関係者の中では相当な有名人になってるぞ」

「そ…そうですか……」

 

またこのネタかよ!!

家でくらい『赤い彗星』の事は忘れさせてくれませんかねぇ!?

 

「これで佳織の将来は安泰ね」

「うむ。卒業後は各企業や各国からスカウトされるかもな」

「今から将来が楽しみだな!」

 

スカウト……か。

もしそうなれば、少しは親孝行出来るかな…。

 

~♪

 

「おや?」

 

私の携帯に着信が来た。誰からだろう?

そう思って画面を見てみると……

 

「一夏だ」

 

どうしたのかしらん?

 

携帯を持って廊下に出て、そこで通話に出た。

 

「もしもし?」

『あ、佳織?今大丈夫?』

「うん。問題無いよ」

『よかった~。ついさっき家の掃除が終わって、お腹が空いちゃったから、昼食ついでに弾の家に行こうと思ってさ、一緒に行かない?』

「弾の家か…」

 

原作同様に食堂を営んでいるんだよね。

あそこの御飯って美味しいんだよな~♡

 

『あ……でも、折角の家族団欒を邪魔しちゃ悪いかな?』

「大丈夫だよ。今、こっちはお父さんのお客さんが来てるから」

 

想像以上に超大物だけど。

 

「それに、今日は泊まっていって、明日の早朝に学園には戻るつもりだから」

『そうなんだ。じゃあ、家の前で待ってるから』

「分かった。すぐ行くね」

 

はい、ポチッとな。

 

んじゃ、早速両親に許可を取りますかね。

まずはリビングに戻ってっと。

 

「さっき一夏から電話があって、今から弾の家に行かないかって誘われた」

「行くの?」

「そのつもり」

「じゃあ、ご飯は向こうで食べてくる?」

「うん」

「分かったわ。気を付けていってらっしゃい」

「いってきます」

 

さて…と、部屋に戻って軽く準備をして…

 

「待ちなさい、佳織」

「お父さん?」

 

いきなりどうした?

 

「別に遊びに行くのは構わない。だがな……」

 

な…なんだ……この迫力は……

 

「男女交際は私の目が黒いうちは絶対に認めんからな!!」

「いきなり何を言ってるんですかね!この人は!!」

 

あの弾と男女交際?

いやいやいや……絶対に有り得ないから!

 

「確かに彼は誠実でいい少年だ。だが…」

 

あ、これは話が長くなるフラグだ。

 

「はっはっはっ!あの『白狼』も、娘の事となると形無しだな!」

 

完全に他人事だ…。

 

「しかし!同じ娘を持つ身として気持ちは分かる!」

 

分かるんかい。

 

「やはり、ミネバに相応しいのは今時のチャラチャラしたような奴じゃなくて、もっとこう…しっかりと将来のビジョンを見据えた…」

 

この人も同じ穴のムジナでした。

 

「この二人の事は放っておいて、さっさと行った方がいいわよ」

「だね……」

 

ここで足止めを食らうのは御免だ。

 

てなわけで、とっとと部屋に戻って準備をして、れっつらご~!

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「てな事があってさ~…」

「あはは……災難だったね」

「全くだよ…」

 

道中、一夏に愚痴を零しながら歩いていた。

 

「でも、そう言って貰える相手がいるだけいいと思うよ?」

「一夏……」

 

……軽率だった。

一夏と千冬さんには……

 

「ゴメン……」

「あ!別に責めてるわけじゃないよ!ただ、普通にそう思っただけだから」

「うん…」

 

はぁ~…どうして私って奴は…。

 

少しだけ場の空気が重くなったところで、今回の目的地である『五反田食堂』に到着。

 

「ここに来るのも久し振りだね」

「全寮制である以上、頻繁には来れないから」

 

その通り。

生徒の安全を第一に考えているIS学園は、外出の際にもちゃんと『外出届』を寮長に提出しなくてはいけない規則になっている。

私達の場合は千冬さんだね。

 

「じゃ、入りますか」

 

一夏がいつものように食堂の扉を開ける。

 

「お邪魔しま~す」

「らっしゃ~せ~…って!?」

 

店内は実にシックな感じで、今時では珍しい。

けど、この感じが逆に私は好きだ。

 

食堂では弾が形だけの接客(お客さんが殆どいないから)をしていて、厨房では弾の祖父にして五反田家の対象とも言うべき存在である『五反田厳』さんが調理をしている。

 

「か…佳織に一夏!?」

「「やっほ~」」

 

あ、ハモった。

 

「厳さんも、お久し振りです」

「おう!二人とも久し振りだな!」

 

う~ん…相変わらずワイルドな人だ。

これで既に80を超えているんだから凄い。

迫力だけなら、私のお父さんやドズルさんにも負けてない。

 

「と…取り敢えず二人とも入れ!」

「「分かった」」

 

またハモった。

何気に息ピッタリだな、私達。

 

「適当に座れよ。席なら空いてるから」

「「は~い」」

 

これで三度目だ。

流石に凄い。

 

「こっちに来るなら来るって言えよな」

「あはは……てっきり一夏から連絡が行ってると思って」

「ビックリさせようと思って」

 

サプライズだったのか。

 

「「「んん?」」」

 

なんか二階からドタドタと聞こえてきたような……。

 

「この声って、もしかして佳織さん!?」

 

叫びながら降りてきたのは、弾の妹である蘭ちゃん。

今時風のチャラい弾とは違って、実に元気な女の子だ。

けど、今の恰好は……

 

「ひ…久し振り~」

「ど…どうも……あっ!?」

 

自分の恰好に気が付いたか。

家だからラフな格好でいたい気持ちは分かるけど、タンクトップにショートパンツはやりすぎじゃ?

 

「ちょ…ちょっと待っててください!!」

 

またドタドタと二階に戻っていった。

 

「あの子も変わらないね~」

「お前もな…」

「え?」

 

そりゃ、そう簡単には変わらないでしょ。

 

「はぁ~……」

 

ありゃりゃ。実に盛大な溜息だこと。

 

(ホント、こっちの気持ちなんて全然気が付いてないんだろうな…。今の状態じゃ、仮に佳織に告白しても、絶対に意味は伝わらないな…)

 

何か悩み事かな?

彼もお年頃だしね~。

 

(プププ……弾、哀れな奴…♡実にワロス)

 

で、一夏は一夏で邪悪な笑みをしてるし。

二人はマジでどうした?

 

「お待たせしました!!」

 

あら、降りてきた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

真っ白な半袖のワンピースにフリルのついた黒いニーソを履いている。

さっきとは完全に真逆だ。

 

(負けませんからね……一夏さん!!)

(それはこっちのセリフだよ!!)

 

え?え?なんで二人は見つめ合ってるの?

火花が散ってるの?

 

「「フフフフフ……」」

「……なんなの?」

「さぁな……」

 

で、弾君は弾君で呆れた目でこっちを見てるし。

 

「弾。仕事はもういいから、嬢ちゃん達を二階に連れていけ」

「いいのか?」

「馬鹿野郎。折角遊びに来てくれた美少女二人を放置する気か?」

「爺ちゃんの口から美少女って言葉が出て来た…」

 

驚くところってそこ?

 

「昼頃になったらまた降りて来い。飯を用意しておいてやる」

「「は~い」」

 

意気揚々と来たのはいいけど、まだお昼には早いからね。

 

「じゃ、取り敢えず俺の部屋に行くか」

 

これもいつもの事だね。

 

「な…何言ってんのよ!お兄!女の子を二人も部屋に連れ込むなんて!」

「人聞きの悪い事を言うな!!何もする気ね~よ!!」

「って言うか、もししたら私がぶっ飛ばす」

 

一夏の目……本気だ…!

ゴゴゴ…って効果音も見えるし…。

 

「一夏さん。男は狼なんですよ。だから、私も一緒に行きます」

「いや来るなよ。唯でさえ狭い部屋がもっと狭くなっちまうだろうが」

「お兄に拒否権はありません」

「なんでだよ!?」

「「弾……」」

 

相変わらず、五反田家でのヒエラルキーが一番下なんだね~。

 

弾の立ち位置を哀れに感じながら、私達は二階に上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんと、まだまだ五反田家での話は終わりません。

次回に続きます。

今回出て来たドズルは、ある意味フラグです。

彼が登場したと言う事は、他の一年戦争で活躍したジオン軍のエースパイロットも……?

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