神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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気が付けば、もう10月になってるんですよね…。

一年って本当にあっという間……。






第18話 決着

 いきなり乱入してきた無人機に対して、複数人での連携で挑む事になった私達。

 

私と一夏と鈴にセシリア、そして…まさかの千冬さんの参入によって戦局は一気にこちら側に傾いた。

 

機動力に優れた私が陽動を行い相手の隙を作り、その間に近接戦に優れた鈴と一夏が斬り込む。

後方ではセシリアが私の渡した対艦ライフルで援護射撃。

一番の熟練者でもある千冬さんは下手に行動を制限しないで自由に遊撃をしてもらう。

 

まさか、即席で組んだこのチームがここまで上手く機能するとは想像にもしていなかった。

 

既に4砲中の2砲を破壊され、総合的な攻撃力はかなり低下した筈。

このまま押し切れれば申し分無い。

今の流れだけは絶対に手放すわけにはいかない!

 

ギギギ……と動く無人機だが、さっきの千冬さんの背中の一撃でブースターをやられたのか、動きに精彩さが無くなっていた。

 

「皆、戦況はこちらに向きつつあるが、最後まで決して油断するな。余裕と油断は全くの別物だと思え」

 

念の為に言った一言に全員が頷く。

千冬さんに関しては心配してなかったけど、他の皆はなんか油断して手痛い目に遭いそうな気がするんだよなぁ~…。

原作を知っているが故の先入観ってやつなのかもしれない。

 

無人機は残ったビーム砲を私に向けている。

どうやら、あいつなりにいつの間にか指揮官役になっている私を最優先目標に設定したようだ。

たしかにそれは賢明な判断だ。

どれだけ強大な部隊でも、頭が潰されれば一気に弱体化する。

士気は下がるし、何をすればいいか分からなくなった部隊員は場で混乱する。

最悪の場合は内部分裂で自滅……なんてオチも考えられる。

だけどね……

 

「そう簡単に、私の首が取れると思われては困る」

 

こっちに向いたビーム砲の射線を変えるために、私はジグザグに動きながら接近、そこからマシンガンの連射をぶちかましてやった。

 

ダメージは殆ど無いに等しいが、それでも相手の動きの阻害ぐらいは出来る。

攻撃の際はずっとマシンガンのトリガーは引きっぱなしになっているから、弾薬は湯水のように消費するけどね。

 

結果として、ビーム砲の射線は誰もいない真上に行った。

既に発射態勢にあったみたいで、ビームは彼方の方へと無駄撃ちさせられた。

当然、そんな大きな隙を見逃す私達じゃない。

 

「よぉ~し……今なら!!」

 

一夏の気合と共に、彼女が手に持っている雪片の刀身が開いて、そこから一刃の光の刃が出現した。

 

「あれが……」

 

零落白夜の代わりに搭載されたって言うレーザーブレードか。

見た目的には零落白夜と遜色無いように思えるけど……。

 

「「いっくわよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」

 

ふ…二人揃っての『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』!?

凄い迫力だけど、、一夏はいつの間に習得したの!?

 

凄まじいスピードで迫る二人に気が付いたのか、すぐさま無人機は体の向きを変える。

だが、その先には我らが誇るスナイパーの銃口が待っていた。

 

「よくぞこちらを向いてくれましたわ…!」

 

その刹那、再び対艦ライフルから炸裂徹甲弾が発射。

鈴の脇の下と一夏の股の間を潜り抜け、音速の壁を越えて直進。

その一撃は無人機の腰に命中し、大きく炸裂。

その威力で無人機の上半身と下半身は永遠の別れを告げる事になった。

 

壊れた部分から多くのコードを初めとした機械部品が飛び出したり露出したりしたが、そんな事を気にしている余裕は無い。

 

「狙うは!!」

「一点のみ!!」

 

一気に懐へと飛び込んだ二人は、その刃を無人機の肩関節へと突き刺した!

 

「「これでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」

 

一夏と鈴の全力の一撃は、見事に無人機の腕を両肩から切断する事に成功。

これで奴に攻撃力は無い!

 

「佳織!!」

「了解!!」

 

千冬さんの声と同時に私も接近する。

私は咄嗟にマシンガンからバズーカへと武器を持ちかえた。

 

「フフフ……ダメ押しの一撃……ですわ!!」

 

優雅な笑みと共に、またまたセシリアの対艦ライフルが火を噴いた。

その弾丸が向かう先は……

 

「ほぅ…」

 

なんと、奴さんのど真ん中…つまりは胸部だった。

 

「一夏!」

「うん!」

 

弾丸が炸裂する前に二人は速やかに離脱。

その直後に大きな爆発音と共に無人機の胸部が爆裂した。

 

「この一撃で!!」

 

落下速度と両手持ちから放たれた千冬さんの真っ向唐竹割りが無人機を真ん中から両断した!

 

「終わりだ」

 

最後に私が大きく口を開いた胸部に向かってバズーカを撃ち込む!

 

吸い込まれるように弾頭は命中し、そして爆発。

いかに装甲が厚くても、内部に直接打ち込めば一溜りもないだろう。

 

「や…やった…の……?」

「そう……みたい……」

 

文字通り、完膚なきまでに叩きのめした無人機は完全に沈黙。

所々から火花を散らして、見事なスクラップと化していた。

 

「「やったぁっ!!」」

 

嬉しそうに一夏と鈴がハイタッチ。

その後ろではセシリアも安心したように地面に座り込んだ。

 

「よ…よかったですわ……」

 

その顔には幾つもの汗が滲んでいる。

冷静そうにしていても、その心の中は相当なプレッシャーがあったに違いない。

そう言えば、狙撃手には冷静な判断力と緻密な計算力が要求されるってどこかで聞いたな。

何処だったっけ?

 

「佳織」

「先生……?」

 

で、千冬さんが一緒に戦ってくれたお蔭で士気も向上した。

本当にもう……マジで頭が上がりません。

 

「見事な指揮だった。やはり、お前にクラス代表を任せて正解だったな」

「偶然ですよ。私のした事などたかが知れています。今回の勝利は、チームの連携とこれ程のメンバーが揃った幸運。それから……」

 

ピットの方を見る。

そこには、もう扉が開くようになったのか、箒と本音ちゃんがこっちに向かって手を振っていた。

 

「待っていてくれる者達がいたからです」

 

護るべき存在がいるから人は強くなれる。

こんな歯の浮くようなセリフを言うつもりはないけど、なんとなく気持ちは分かったような気がした。

 

誰かが待っていてくれるって思うだけで、不思議と勇気が沸いてきたし。

じゃなきゃ、私のようなヘタレが頑張れるはずないもん。

 

「そうかもしれん。だが、お前には確かな才能がある。お前にしかない才能が…な」

「そうでしょうか…」

「私が言うんだ。間違いないさ」

「成る程。一理ある」

 

世界最強……ですもんね。

昔から、人を見る目はあったし。

 

「にしても、本当に無人機だったのね……」

「だね…。完全に集中していたから、途中で機械的な部品が見えても気にも留めなかった…」

「ですが、なんだか不気味ですわね…」

 

一夏とセシリアと鈴がやって来て、破壊された無人機の残骸を覗きこんでいる。

 

「人の形をしているのに人じゃない。なんとなく、あの子の気持ちが分かりますわ…」

 

ん?あの子とな?

 

「それってどういう意味よ?」

「あ……実は、私の幼い頃の友達の一人に、『お人形が怖い』と言っていた女の子がいるんですの」

「ふぅ~ん……珍しいね。お人形が怖いだなんて」

「当時の私も同じ事を思いましたわ。幼い頃の女の子は誰もが一度はお人形で遊んだ経験があると思いますけど、その子に限っては一度も遊んだ事がありませんでした。それどころか、お人形に近づこうとすらしなかった」

 

珍しくシリアスな顔になっているセシリアの話に、全員が聞き入っていた。

 

「それで、私はある時、その子に聞いてみたんですの。『お人形の一体何が怖いんですの?』って」

「その子は何と答えたんだ?」

 

一度だけ唾を飲んでから、セシリアは口を開いた。

 

「『人間じゃないのに人間の顔を持って人間の形をしているなんて、気味が悪くて仕方が無いわ』……彼女はそう言いました」

 

人間じゃないのに人間のような顔や形……か。

確かにそうかもしれない。

 

「今なら彼女が言っていた事の意味が分かりますわ」

「だね…。今まさに私達は『人間じゃないのに人間の形をした物』と戦っていたわけだし…」

「うん……」

 

場の空気が急に重くなった…。

 

「そろそろ撤収するぞ。この残骸は後で回収させる。勿論、今回の事は誰にも言うなよ。学園内にもすぐに箝口令が敷かれる筈だ」

「「「「分かりました」」」」

 

こんな事件……世間に知らせるわけにはいかないもんね。

もしもバレたりしたら、大変な事になってしまうよ。

 

「では、解散!」

 

千冬さんの一言で皆はISを解除する。

 

「ふぅ………あれ?」

 

私も皆と同じようにISを解除したけど、急に頭がフラッとなって地面にちゃんと降り立てずに座り込んでしまった。

 

「か…佳織!?」

「大丈夫ですか!?」

「う…うん……」

 

な…なに…?急に眩暈が…?

 

「今まで蓄積してきた疲れが、戦闘が終わって気が抜けたせいで一気にキたんだろう。この中で佳織だけが唯一、連戦したんだ。無理も無い」

 

あぁ……そっか。

そう言えば、私ってば全く休憩してなかったや…。

ははは……道理で体がだるく感じる筈だよ…。

 

「仕方があるまい」

 

はい?ち…千冬さん?

 

「うわぁっ!?」

 

い…いきなり千冬さんにお姫様抱っこされた!?

 

「佳織は私が保健室まで連れて行く。お前達は先に戻れ」

「えぇ~…」

「なんだ、その顔は」

「姉さん……送り狼にならないでよ?」

「保証は出来んな」

「「「「出来ないの!?」」」」

 

私は一体どうなっちゃうの!?

大人の階段を爆走しちゃうの!?

 

「ほれ、さっさと行け!」

 

誤魔化すように言ってから、千冬さんは私を抱えてピットに向かった。

 

(これ……戻ってからも色々と言われそうな予感がする……)

 

一難去ってまた一難……か。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 仄暗い室内。

モニターの明かりだけが部屋を照らす中、一人の女性が机に突っ伏していた。

その傍には銀髪の少女が一人、困惑していた。

 

「あ…あの…束様?どうしました?」

「か……か……」

「か?」

「私の大好きなかおりんがカッコよくて強すぎて生きてるのが辛い」

「えぇ~!?」

 

ゆっくりと起き上がると、彼女……篠ノ之束は鼻血を垂れ流していた。

 

「色々と様子を見て、かおりんの強さを直に感じたいな~って思って『アレ』を向かわせたけど、まさかチームで撃破するなんて思わなかったよ~」

「ですね。しかし……」

「うん。悔しいけど、見事なまでの連携だった。ちーちゃんも参戦するのは完全に予想外だったけど」

「あの人がいた時点で負けフラグは立ってましたよね…」

 

銀髪少女が言った途端、束の頭に青い筋が出てズ~ンとなった。

 

「だよね~……でも」

 

ムクッと起き上がってモニターを見る。

 

「かおりんの凄さはよく分かったよ」

 

その目はとてもワクワクしていて、まるで新しい玩具を見つけた子供のようだった。

 

「かおりんには間違いなく才能がある。ISの……戦闘の才能が」

「戦闘の才能……ですか?」

「うん。だって、即席のチームをあそこまで見事に指揮出来るなんて、常人には凄く難しいよ?」

「そうですが……」

「そして、あのとんでもなくピーキーな機体を、まるで手足のように扱う技量。冷静沈着な心に観察眼。更には異常ともいえる勘の良さ。まるで、どこぞの異能生存体のように…才能の全てが戦闘に特化している(・・・・・・・・・・・・・・・)

「……………」

 

沈黙が場を支配する。

 

「私が知っているかおりんは、勘が鋭い事を除けば至って普通の女の子だった。とても優しくて、包容力があって…」

 

真剣に話しているように見えるが、束の顔は完全に緩みきっていた。

 

「今なら分かるよ。かおりんの持つ天才的な才能は、日常生活はおろか、表側では決して発揮されない物ばかり。道理で私にも分からない筈だよ」

「束様……」

「多分、ちーちゃんも今回の事で理解したんじゃないかな?」

「あの方も鋭いですから」

「だね……って!あ~!?」

 

ふと見たモニターでは、千冬が佳織を横抱きにして運んでいた。

 

「いいないいな~!私もかおりんをお姫様抱っこしたい~!いや、私の方がしてもらった方がいいかな…?」

「変な事で真剣になりますね」

「そりゃ真剣にもなるよ!クーちゃんもかおりんに会えば分かるって!あの子は底なしに優しい……どんな人間にも絶対に手を差し伸べる子だって」

「どんな人間にも……ですか…」

 

束の言葉を聞いて、少しだけ考える『クーちゃん』。

 

「大丈夫。きっとクーちゃんの事も受け入れてくれるよ。私みたいに捻くれている人間の手も取ってくれたんだし」

「そう…ですね。束様がそう仰るのでしたら、私も信じてみます」

「うんうん!」

「仲森佳織様…ですか。私も会える日を楽しみにしております」

 

そう呟いた彼女の目は、好奇心に満ちていた。

そして、束は……

 

「ゴーレム程度じゃかおりんの相手としては少々力不足だったかな…。やっぱり、かおりんの秘めている才能を最大限に発揮させるには、それ相応の相手を用意しないと……」

 

様々な感情を綯い交ぜにしながらブツブツと呟いていた。

その目は怪しく光り、これからの波乱を予感させるようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まさかの束とクロエの初登場。

何気に変なフラグが幾つか立ってましたけど…。

まぁ、気にせずに行きましょ~。

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