神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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原作第一巻の佳境に突入です。

先の事を少なからず知っている佳織は、果たしてどうするのでしょうか?






第15話 龍VS彗星

 やってきました、クラス対抗戦当日。

私こと仲森佳織は現在、IS学園第二アリーナのピットにて待機をしています。

周りにはいつものように、一夏と箒とセシリアと本音ちゃん、そして、担任として来たのか、千冬さんと山田先生も一緒だ。

 

「さて、準備はいいか?」

「はい。問題ありません」

 

ISスーツを着て、臨戦態勢はばっちりです。

 

「凰は強敵かもしれんが、お前なら必ず勝てる。頑張れよ」

「はい!」

 

担任にそう言われちゃ、頑張らないわけにはいかないよねぇ~。

 

皆から少し離れてISを展開。

毎度のように私の意識がクリアになり、シャア様モードに変身。

そのままカタパルトに向かって歩いて行き、脚部を固定。

 

「では、行ってくる」

「気を付けてね!」

「かおりん、ガンバ!」

「佳織なら大丈夫だ!気楽にな!」

「いつもと同じようにやればいいだけですわ!平常心をお忘れなく!」

 

皆からそれぞれに激励の言葉を貰った。

お蔭で増々やる気に火がついちゃったよ。

 

私は無言で頷いた。

 

「発進タイミングは仲森さんに譲渡します!いつでもどうぞ!」

「了解した」

 

腰を低くして、頭の中でカタパルトデッキからモビルスーツが発進する様子をイメージする。

 

「仲森佳織!ラファール・リヴァイヴⅡ!出るぞ!!」

 

私はいざ、幼馴染が待っている戦場へと飛び立った。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 ステージに出ると、そこには既に鈴がISを纏って待機していた。

機体のモニターに相手のISの情報が表示される。

 

(近・中距離両用型の第三世代型IS『甲龍(シェンロン)』…か。やっぱり、独特のネーミングセンスだよなぁ~…)

 

見た目もそうだが、名前からインパクト重視にしているのか?

でも、これって初見で正確に読める人…いないでしょ。

 

「待ってたわよ、佳織」

「それは済まない事をした」

「……成る程ね。実際に見るまでは信じられなかったけど、確かに別人みたいだわ…」

「何がかね?」

「アンタの全てよ」

 

多分、学園中に流れている噂を聞いたんだろうな…。

どんな内容か気になるけど。

 

「ISに乗ると、まるで別の人間になったかのような口調と実力を発揮するって。セシリアにもそんな感じで勝ったのかしら?」

「さぁな?」

 

うわぁ~…すっげー挑発してるし~。

 

「本当に佳織?マジで疑うレベルで変化してるんだけど…」

「口調がどうあれ、私が仲森佳織であると言う事実に変わりは無いよ」

「……それもそうね。変な事を言って悪かったわね」

「気にしてないさ」

 

鈴のサッパリとした性格は、こんな時には本当に助かる。

変に追及されたら、こっちが困るからね。

 

「にしても……」

「どうした?」

 

急にこっちの事をジロジロと見だして。

 

「私の『甲龍』の『紅』とは全く違う、綺麗なまでの『赤』…。ISスーツまで真っ赤だなんて、それが佳織が『赤い彗星』って呼ばれている所以かしら?」

「恐らくな。私自身は何とも思っていないのだが」

「それが普通よ」

 

鈴と試合前の会話をしながら、ふと観客席に目線を映すと、アリーナの全ての席が生徒を初めとした観客で埋め尽くされていた。

多分、転入したての中国の代表候補生である鈴の実力を見ようと思っているのと同時に、私の噂を聞きつけてやって来た連中も多分に含まれているんだろう。

なんつーか、嫌になるね。

 

『それでは両選手、既定の位置まで移動をしてください』

 

アナウンスに従って、私達二人はゆっくりと近づいて向かい合う。

まだ、私達の手には何も装備されていない。

 

「一応、本国からも佳織の実力を測って来いって言われてるんだけど、それとは関係無しに佳織との戦いが楽しみな自分がいるわ」

「仮にも代表候補生がそんな事を言っていいのか?」

「いいのよ。私って無駄に偉そうにふんぞり返っている大人が大嫌いだから」

「……変わらないな、お前は」

「アンタの方はビックリする位に変わったけどね。少し見ないうちにカッコよくなり過ぎよ」

 

こんな風に話しているが、互いに緊張は隠しきれない。

私達の空気に当てられたのか、いつの間にかアリーナ全体も静かになっていた。

 

『それでは…………試合開始!!!』

 

ブザーと同時に、鈴はその両手に大きい青龍刀(名前は【双天牙月】と言うみたい】)を二本展開、装備して突っ込んできた!

 

「甘い!」

 

まずはヒート・ホークを右手に展開し、それで鈴の一撃を防ぐ。

だが、私のヒート・ホークはひとつだけ。もう片方の攻撃には対処できない。

 

「左側ががら空きよ!」

「だろうな」

 

そんな事は想定済みだ。

左手にはIS用マシンガンを展開。

 

「しまっ…!」

「この距離ならば外すまい!」

 

迷わずトリガーを引く。

鈴は咄嗟に離脱するが、完全回避は出来なかったようで、何発かは食らっていた。

 

「や…やるじゃない…!まさか、こっちの初手が読まれていたなんて…」

「戦いとは常に二手、三手先を読んで行うものだ。様々な状況を想定してイメージトレーニングをしてきたからな。この程度は造作も無い」

「成る程ね…!」

 

早くも汗を掻きながら、鈴は二本の双天牙月を連結させた。

 

「合体しただと?」

「これは元々こういう武器なのよ。それじゃあ……」

 

頭上で勢いよく回し、遠心力を付加して威力を上げようとしてるのか?

 

「こっちも様子見は終わろうかしらね!!」

 

連結した双天牙月を振り回しながら、再び突貫してきた!

 

「二度も同じ手が通用するとは思わんことだ!」

「分かってるわよ!」

 

ヒート・ホークを収納し、マシンガンを両手で保持する。

 

鈴の斬撃を紙一重で回避するが、耳元でブォン!って音が聞こえた。

下手なジェットコースターよりもずっと怖ぇ~!!

 

回避と同時に鈴に向かって反撃。

 

「甘いわよ!」

「ちぃ!」

 

だが、鈴はまるでバトンのように眼前に振り回して、こっちの銃撃を全て弾いた。

 

「それだけじゃないわよ!」

「来るか!」

 

向こうの肩アーマーがスライドし、中にある球体が光る。

間違いない……『アレ』が放たれる!!

 

「やらせるか!!」

 

完全にズルだけど、原作知識から『アレ』の発射タイミングは予め分かっている。

だから、後はタイミングよく体を捻れば……!

 

「う…嘘でしょ!?なんで!?」

 

回避に成功した私の後ろの地面が大きく爆発し、まるで何かに当たったかのような小さなクレーターが出来上がっていた。

 

「情報収集は大事だからな。そして!」

「やば…!」

 

瞬時にマシンガンを収納し、バズーカを取り出す。

そして、すぐにロックオン。

 

「くらえ!!」

 

だが、鈴も黙って棒立ちはしない。

攻撃直後の硬直が僅かにあるとはいえ、決して動けないわけじゃない。

鈴は咄嗟に手に持った双天牙月を盾代わりにしてガード。

だが、バズーカの威力に踏ん張りきれなかったのか、そのまま吹っ飛んだ。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

こ…これってダメージ入ったのかな…?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「な…何が起こったの…?」

 

ピット内で試合の光景をモニターで見ていた私達は、驚くを隠せなかった。

だって、いきなり佳織の背後にある地面が吹き飛んだんだよ!?

 

「あれが噂に聞く『衝撃砲』ですわね…」

「「「衝撃砲?」」」

 

セシリアが答えてくれたけど、聞いた事ない武器だ。

 

「ええ。あれは空間自体に圧力をかけ砲身を生成し、その余剰で生じる衝撃そのものを砲弾にして撃ち出す、謂わば『見えない弾丸』ですわ」

「み…見えないだと!?」

「で…でも、かおりんは回避したよね…?」

「それが一番の驚きですわ…。あれは砲身も砲弾も完全な不可視。しかも、斜角に制限が無いに等しく、その気になれば360度の全てに攻撃が可能な代物。それを初見で回避して見せるなんて……」

 

見えない攻撃を初めて見て回避って……凄すぎるよ…佳織……。

 

「抜け目のないアイツの事だ。予め情報収集をしていたんだろうさ」

「姉さ…織斑先生……」

 

危な~!思わず姉さんって言いそうになっちゃった。

でも、気付かれてなかったみたい。

だって姉さんの顔、すっごくニヤけてるもん。

 

「攻撃の瞬間さえ分かっていれば、いかに初見と言えども回避は可能だ。…相当にタイミングはシビアだがな」

 

姉さんがここまで言う事を、ああもあっさりこなしちゃうなんて…。

やっぱり佳織って凄い!

 

その後も、モニターの向こう側では佳織と鈴が互角に等しい試合を展開している。

 

「鈴も凄いな……」

「悔しいですけど、鈴さんの実力も相当ですわね。あの佳織さんの攻撃を何回も防いでいる……」

「だが、決して互角ではないな」

「「「え?」」」

 

モニターを見ながら姉さんが呟いた。

 

「よく見てみろ。佳織の方はまだ表情に余裕が見えるが、凰の方は……」

「あ……」

 

佳織以上に汗を掻いて、心なしか疲れているようにも見える。

 

「アイツの切り札とも言うべき衝撃砲が回避された以上、凰に残された手段は近接戦のみ。だが、それが完全に分かりきっている佳織が、そう簡単に懐に潜り込ませると思うか?」

「確かに……」

 

さっきから佳織はマシンガンを使って牽制をしながら、隙を見て着実にバズーカでダメージを与えている。

鈴は佳織の弾幕に押されて、思うように動けないでいるようだ。

 

「同じように試合をしていても、近接戦と射撃戦とでは明らかに体力の消費量は異なる。なんせ、射撃を撃っている方は銃の反動などを押え狙いを定める事に集中し、いざという時に備えていつでも回避出来るようにしておけばいい。だが、近接戦ともなればそうはいかなくなる」

「そっか……。相手の懐に飛び込むって事は、それだけ多く動かなければいけない。それに、近づくと言う事は同時に相手からの反撃も考えないといけなくなる」

「そのプレッシャーがより多くの体力を消耗させるのか…」

 

だから、佳織よりも鈴の方が疲労が蓄積しているように見えるのか…。

 

「衝撃砲の威力が最大限に発揮されるのは、初見の相手に対する奇襲だ。多少、攻撃力は低いが、それでも何も知らない相手からすれば、見えない攻撃をいきなり喰らうのは驚きしかない。物理的ダメージと精神的動揺を誘発できる見事な武装ではあるが、あれは同時に諸刃の剣でもある」

「と言うと…?」

「今の佳織やオルコットのように、相手に情報が知られてしまえば攻略が想像以上に容易になってしまうと言う点だ」

「攻略…?」

「そうだ。恐らく佳織の奴も、衝撃砲の最大にして唯一の弱点に気が付いている筈だ」

「弱点って……」

 

そんなのあるの?

 

「いつもならば自分達で考えろと言うところだが、今日は特別にヒントをくれてやろう」

「なんですの?そのヒントとは……」

「衝撃砲攻略のキーワードは…『色』だ」

「「「色?」」」

 

もう、完全に織斑先生のIS講座になってる気がする…。

 

「ああ。見えないのであれば、見えるようにすればいい…と言う事さ」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「あ…当たらない…!」

 

さっきから、ほんの僅かな隙を狙って衝撃砲【龍砲】を放っているが、一向に命中する気配が無い。

最初の一撃は何とか回避って感じだったのに、二発目からはひらひらと回避するようになった。

まるで、こっちの動きを先読みしてるように感じる。

 

かといって、下手に双天牙月で斬りかかれば、速攻でマシンガンの餌食になるし…。

 

もう~!幾らなんでも隙無さすぎ!!

ある意味、龍砲以上に死角が無いじゃない!!

 

私だって、伊達に代表候補生をやってるわけじゃない。

だから、ある程度戦えば相手の技量ぐらいは把握できる。

 

佳織は強い。多分、今まで私が戦ってきたどんな相手よりも。

 

少なくとも、同じ中国の代表候補生達にこれ程の実力者は一人もいない。

 

その場その場に応じた適切な判断と武器選択。

そして、それを十全に使いこなす優れた技量。

成る程、この子が『赤い彗星』なんて呼ばれるのも頷けるわ。

だって、今目の前で佳織は赤い軌跡を描きながら飛びまわっているのだから。

一つ一つの行動が全て計算されているかのような動きに、観客は魅了されている。

 

「どうした?動きが鈍くなっているぞ」

「な…なんでもないわよ!」

 

悔しいけど、かなり疲れてるのよね…。

ぶっちゃけ、喉カラカラよ。

 

「では、そろそろ自慢の衝撃砲を封印してしまうか」

「なんですって!?」

 

ま…まさか、佳織は衝撃砲の弱点を知って……?

 

「そこ!」

「ちっ!」

 

少し斜め上にいる佳織が、こっちに向かってマシンガンを撃つ。

必死に動いて何とか回避するけど、それが不味かった。

 

外れたマシンガンの弾は地面を抉り、そのまま土煙を生み出した。

 

「しまった!!」

 

私の周囲が完全に土煙で覆われてしまった。

これじゃあ、迂闊に衝撃砲が使えない!

 

衝撃砲は空間を圧縮して撃つ武装。

故に透明なんだけど、地球上で使用する以上は圧縮される空間には必ず空気が含まれる。

空気はその気になれば幾らでも色を付ける事が可能。

だから、煙幕弾などを使って何らかの煙を発生させてしまえば、本来は無色透明である衝撃砲に『色』を付けられる。

こうなってしまったら、もう衝撃砲は単なる威力の高い空気砲と大差なくなる。

回避は今まで以上に容易になってしまう。

 

「ここまでやるなんて……。別に見縊っていたわけじゃないけど、完全に予想外だったわ……」

 

心のどこかで、私は昔の佳織のイメージを払拭出来ていなかったんだろう。

けど、こうしてISを纏って試合に出ているって事は、佳織もそれ相応の実力と自信を身に付けて来たって事なのよね。

 

(私の中にある昔の佳織のイメージは完全に忘れるべきね…)

 

この一年で私も佳織も色んな意味で成長した。

たった一年と言ってしまえばそれまでだけど、私にとってのこの一年は凄く長く感じた。

だからこそ、私は……。

 

「ふぅ~……」

 

神経を研ぎ済ませ……精神を集中させろ……。

 

甲龍の残りSEは僅か84。

あと2~3回ぐらい直撃を受ければ終わりだ。

次の一撃だけは何としても防ぐか避けるかしないと…!

 

「………………」

 

どこ…?どこから来るの……?

 

ハイパーセンサーをフルに使って、全ての方位を警戒する。

すると、視界の端に何か光るものが見えた。

 

「そこだぁぁぁぁぁ!!!」

 

迷う事無く、その光った方向に向かって双天牙月を振るう!

すると、確実に何かを斬ったような手応えがあった。

 

「これは……!」

 

私が斬ったのは、かなり大きな弾丸だった。

けど、これはバズーカの弾じゃない。

 

「なんだと!?」

 

刃を振った勢いで煙が晴れて私の視界に映ったのは、かなり大きなスナイパーライフルのような銃を構えた佳織だった。

さっきの弾丸はあれから発射されたのね…。

 

「よもや、あの視界の中で対艦ライフルの弾を切り裂くとは…。やるな!鈴!」

「当然じゃない!代表候補生は伊達じゃないのよ!」

「ふふ……それでこそ私の幼馴染だ!!」

 

驚いた顔から一変、嬉しそうな笑顔に変わった佳織。

あぁ~…これは間違いなく『戦士』の顔だわ。

 

「この流れに乗って逆転してあげるんだから!行くわよ佳織!!」

「いいだろう……来い!!」

 

私達が再び激突しようとした……その時だった。

 

「「!?」」

 

突如として、アリーナ全体に大きな衝撃が走った。

思わず私も佳織も動きを止めてしまった。

 

「これは……」

「なんなの……?」

 

よく見ると、ステージの中央付近から煙が上がっている。

その上を見てみると、いつもならアリーナ全体を覆い尽くしている筈の遮断シールドに大きな穴が開いている。

 

「どうやら、さっきの衝撃はあそこからやって来たもののようだな…」

「そうみたいね…」

 

私だって代表候補生として訓練はしてきたから、それなりに事態の対処は出来るけど……

 

「全く状況が読めないわ……」

 

一体全体何がどうなってるのよ…?

 

私が密かに困惑していると、煙の中で何かが赤黒いものが光った気がした。

 

次の瞬間、私の目の前に真っ赤なビームが迫ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんとかVS鈴は一話に収める事が出来ました。

次は例の無人機戦です。

ここからが本番ですね。

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