神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
さぁて、どうなるどうなる?
「うぅ~ん…?」
早朝。
なにやら奇妙な違和感を感じながら、私はそっと目を開けた。
「ん……?」
なんか重い?
何かが体に乗っかかっているようだ。
その証拠に、私の体の上にある掛布団が少し膨らんでいる。
しかも、胸の辺りに変な感触もあるし。
「一体何なの…さ!」
勢いよく布団を取ると、そこにあったのは……
「すぴ~…かおりん~…」
「本音ちゃん!?」
私の上に乗って熟睡している本音ちゃんでした。
っていうか、いつ抜け出して私のベットに忍び込んだの!?
「ちょ……胸胸!」
現在、本音ちゃんの顔は私の胸に収まるように埋没していて、その両手はしっかりと私の両胸に触れている。
つーか、何気に揉もうとしないで!
「本音ちゃん!いい加減に起きて!」
「えへへ~♡かおりんのおっぱい……ふにふに~…♡」
「寝言で感想を言うな!」
なんとか態勢を整えてから、体を揺さぶりまくった。
それを10分ぐらい続けて、ようやく起きてくれた。
「あれ~…?なんで私ってばかおりんのベットにいるの~?」
「寝相だったの!?」
いやいや…これまでそんな事は無かったよね!?
どうして今になって、そんな寝相の悪さが露呈するのさ!?
「と…とにかく!今は早く準備をするよ!急いで!」
「は~…いふぁ~…」
最後まで言えてないし!
その後、なんとか食堂に到着して朝食を食べたが、急いでいた為どんな味だったか全く思い出せなかった。
……今度、超強力な目覚ましでも買ってこようかな…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
なんとかして遅刻の回避に成功した私達は、教室についてから即座に席に着き、いつものように皆が私の席の周りに集まる。
「なんだか今日は慌ただしかったな。一体どうした?」
「本音ちゃんが寝坊しかけたんだよ……」
「にゃはは~……ゴメンね~かおりん~」
「そう思うのなら、せめてすぐに起きてほしい…」
「あはは……」
苦笑いをしても誤魔化されないからね。
「佳織も大変だね……」
「本音さん。淑女たるもの、一人で起きれなければいけませんわ」
「私は別に淑女じゃないんだけど~…」
多分、セシリアの中じゃ女性は皆、淑女なんじゃないかな?
「あ、仲森さん。おはよ~」
「うん、おはよう」
他のクラスメイトからも挨拶をされる。
あの試合以降、私に話しかけてくれる子が一気に増えた。
私がクラス代表になったと言う事も大きいのだろうが、それ以上に試合のインパクトが大きかったんだろう。
実に不本意ではあるけれど……。
「そうそう。仲森さんはもう転校生の話って聞いた?」
「「「「転校生?」」」」
こんな時期に?…って、あれ?
この時期の転校生って……何かが引っかかるような……。
「なんでも、隣の二組に中国からの代表候補生の子が転入してくるんだって」
「「中国……」」
私と一夏の言葉が重なる。
その瞬間、私の頭に稲妻が走った!
「あっ!」
「ど…どうしたんだ?いきなり」
「い…いいや?なんでもないよ…」
やっば~!今完全に思い出したよ~!
この時期って言えば、『あの子』がやって来る時期じゃん!
いや、この場合は『戻ってくる』の方が正しいのかな?
「代表候補生……」
あ、セシリアがなんか反応してますよ。
「もしや、この私の存在に危機感を覚えたが故の転入かしら?」
ま~たこの子は…。
「セシリア。慢心はダメだって。織斑先生もよく言ってるでしょ?」
「そ…そうでしたわね……。失言でしたわ」
反省の意思があるならよし。
「まぁ、別にこのクラスに転入してくるわけじゃないんだ。そこまで気にする程の事でもないだろう」
「箒の言う通りだね。でも、一体どんな子なんだろう?」
「一夏は気になるのか?」
「うん。だって、隣のクラスってことは、今度あるクラス対抗戦で佳織と戦うって事でしょ?」
「そうだったな…。そんなイベントが控えているんだったな」
多分、一夏も転入生の正体を知ったら驚くだろうなぁ~。
「ならば!クラス対抗戦に備えて、今日からはより実践的な訓練をしましょう!私とならば必ずや佳織さんの成長に尽力出来ますわ!なんせ、私は専用機持ちですから!」
「む~……私も一応、専用機を持ってるんですけど~…」
「そうかもしれませんが、実力はいざ知らず、知識や技術の方はまだまだ勉強する事が多いのでしょう?でしたら、貴女はご自分の事に集中して、佳織さんの事は私の任せてはいかがですの?」
「なんですって~…!」
あぁ~あぁ~!
なんか朝から火花が散ってるし~!
「二人は仲良しさんだね~」
「「仲良くなんて無い(ですわ)!」」
「息ピッタリだな」
箒にツッコまれたよ。
こりゃまた珍しい。
「喧嘩するほど仲がいい…ってやつ?」
「佳織さんまで~…」
セシリアが泣きそうになりながらこっちを向く。
こんな風な会話が一番楽しい。
なんつーか…青春してる~!って気になるから。
「取り敢えずは、やれるだけやってみるよ。昨日、皆の前で宣言もしちゃったし」
図らずも…だけど。
「なに、佳織なら大丈夫さ」
「そうそう!きっと勝てるよ!」
「かおりんが勝つと、皆がハピハピだよ~♡」
本音ちゃん……そのセリフって、どこぞの背の高いアイドルさんを真似てない?
「そう言えば、対抗戦の優勝賞品ってなんだっけ?」
「確か、学食デザートの半年間のフリーパス券じゃなかったか?」
「デザートかぁ~…」
「あれ?仲森さんってデザート嫌い?」
「そうじゃないんだけど……甘すぎるのはちょっと苦手かな~」
別に食べれないわけじゃないけど、少し気分が悪くなる。
個人的に好きなのは、モンブランとかビターチョコとかの甘さ控えめのデザート類だ。
「でも、皆が欲しいって思うのなら、頑張って優勝を目指してみるよ」
「その意気だよ!現在のところ、専用機を所持しているのは一組と四組だけだから、優勝する確率は結構高いって思うよ」
四組…ね。
いずれは『あの子』とも接触するんだろうか…。
でも、その場合ってどうなるんだ?
白式の詳しい開発経緯を知らないから、何とも言えないな~。
「その情報……少し古いよ」
「「「「え?」」」」
いきなり、教室の入り口付近から声がした。
あ~…この声は……。
「つい最近だけど、二組も専用機持ちがクラス代表に就任したの。簡単に優勝が出来ると思ったら大間違いよ」
いかにも『かっこつけてます』って感じのポーズで立っていたのは、原作ヒロインの一人にして、私にとってはもう一人の幼馴染とも言うべき少女『凰鈴音』だった。
(ふふふ…。再会早々に私の成長をアピール大作戦は成功のようね。佳織も驚いたようにこっちを見てるし)
……なんか、こっちを見ながらニヤニヤしてるんですけど、あの子。
「もしかして……鈴なの?」
「そうよ一夏。改めて自己紹介をしてあげる」
そう言うと、腕を組んでいきなりの仁王立ち。
「私は凰鈴音。今度二組に編入した中国の代表候補生…そして、二組のクラス代表でもあるわ。(決まった!これで佳織もアタシにメロメロね!)」
なんで『勝者の笑み』を浮かべてるの?
「そして……」
ん?鈴が教室に入ってきて、こっちに来たんですけど?
「佳織の事を世界で一番愛している者よ」
え……えぇ~!?
って言うか、しれっと私の首に腕を回して抱き着かないでくれますか!?
「「「「「えぇ~!?」」」」」
ほらぁ~!案の定、教室が騒がしくなった~!
「か…佳織がががががががががが」
ほ…箒が壊れたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
「おのれ~…!佳織さんは誰にも渡しませんわ~…!」
で、セシリアはメラメラと炎を燃やしてるし。
「あわわわわ~…かおりんが…かおりんが~…」
本音ちゃんは派手に震えてる。
そう言えば一夏は?
「ふふふ……」
何故にそこで笑う?
「私の佳織に対する思いは、そんな言葉には負けない!」
「へぇ~…言うじゃない。流石は昔からのライバルね」
今度は一夏と鈴の間で火花が~!?
「「「あ」」」
瞬間、私達は冷静になった。
何故かって?そりゃ……
「おい、貴様等」
「「え?」」
二人の後ろに千冬さんが来たからに決まってるじゃん。
勿論、睨みあっていた二人の頭には。伝家の宝刀である出席簿アタックが炸裂。
見事なたんこぶを作り上げて、そこからギャグ漫画のような湯気が出ていた。
「もうSHRの時間だ。早く自分のクラスに戻れ」
「わ…分かりました……」
顔を青くしながら鈴は教室から出ようとする。
昔からあの子って千冬さんの事が苦手みたいだしね。
「また後で来るから!愛してるわ!佳織!」
去り際の一言が余計だよ!
「早く行け」
「は…はい!」
今度こそ完全に行ったようだ。
下手に教室に入らなければ、痛い目を見ずに済んだのに…。
「全く……佳織を世界で一番愛しているのは、この私だ」
この人、最初から全部聞いてたな!?
「お前達も、早く席に着け」
「「「「は…はい」」」」
皆、何かを言いたげな顔をしていたけど、千冬さんの迫力には勝てなかったようで、大人しく席に着いた。
また、一段と騒がしくなりそうだぁ~…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
(一体、今朝のあの女は何者なんだ…!?私の佳織にべたべたと抱き着きおって!)
くそっ…!あの一件の事が頭から離れない…!
これでは授業に集中できんではないか!
しかし…あのツインテール女が抱き着いた時、佳織は全く抵抗する様子を見せなかった。
と言う事は、少なからず佳織の方も、あの女に対しての感情があると言う事か!?
だとしたら、これは由々しき事態だ!
(佳織……)
少し佳織の方を見てみると、真面目に授業を聞きながらノートを取っていた。
(本当に真面目だな……佳織は。どんな時も誠実さを失わない。そんなお前だから私は……)
そうだ、ここで諦めてどうする!
一夏も言っていたではないか!
あんな言葉程度で佳織への想いは揺らがないと!
私だって、佳織に対する気持ちは誰にも負けていない!
よし!早速、今日の放課後から頑張らねば!
「篠ノ之。ここの答えは何だ?言ってみろ」
「え……?」
こ…答え?
「二度も同じ事を言わせるなよ」
そ…そうだった…!今は織斑先生の授業だった…!
私としたことが、なんと言う事を…!
「き…聞いてませんでした…」
教室に強烈な打撃音が響き渡った。
後で『分かりませんでした』と言えば、少しは威力を軽減して貰えたかも…と思ったが、完全に後の祭りだった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
あぁ~…もう!一体彼女はなんなんですの!?
佳織さんに馴れ馴れしく抱き着いた揚句、愛してるだなんて!
私だってまだ言った事が無いと言うのに!
唯でさえ、現状では幼馴染である一夏さんや箒さん、ルームメイトの本音さんと言う強力なライバルがいると言うのに、そこから更に謎の転校生が来て、それが佳織さんと仲がいいだなんて!
こっちは幼馴染でもなければ同室でも無い。
私の今のアドバンテージと言えば……
(同じ専用機持ちであり、佳織さんと剣を交えた事がある…と言う事ぐらい…)
これでは手札としては余りにも微妙ですわ!
なんとかして、逆転の一手を打たなくては…!
相手は私と同じ代表候補生と言う属性を持ち、しかも佳織さんとは旧知の仲。
(……完全にズルですわね)
相手の手札は非常に強力だ。
今までのようにISの訓練や模擬戦だけでは、今いち決定打に欠ける。
ならばどうするか?
いざとなったら、最後の手段に打って出るしかないのかもしれない。
「既成事実さえ作ってしまえば……ふふふ……」
「オルコット」
「佳織さんのあの柔らかな肌を……」
「…………」
いきなり強烈な衝撃が私の頭を走りました。
うぅ~…痛いですわ…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
(かおりん……)
かおりんのあんな顔、私は初めて見たかもしれない…。
なんだか安心したような、そんな顔。
とても自然な笑顔だった。
きっと、あの子はかおりんにとって家族同然の存在だったんだろう。
「はぁ……」
私も…いつか、かおりんにあんな顔をして貰えるような存在になれるのかな…?
ううん……なりたいな…。
かおりんの事も考えると、いつも胸が苦しくなる。
息も途切れ途切れになって、顔も熱くなって…。
「あ……」
そっか……これが『好き』って気持ちなんだ…。
自分でも不思議だけど、なんとなく分かった…。
しののんやおりむーは、いつもこんな気持ちなんだ…。
そして、さっきの子も……。
私は……かおりんが好きなんだ……。
「~~~…!」
うぅ~!自覚しちゃうと、急に恥ずかしくなっちゃうよぉ~!
「はぁ……」
ふえ?溜息?
ふと上を向くと、織斑先生が私に向かってポン…と非常に軽く出席簿で叩いた。
(全然痛くない…?)
どうして?二人には凄い威力だったのに…。
「ちゃんと授業に集中しろ。布仏」
「す…すいませんでした…」
それだけを言うと、先生は手に持った教科書に目線を落とした。
「…………精々頑張れよ、小娘」
「え?」
織斑先生…?
なんか去り際に何か言ったような気が……。
それからは、なんとか授業に集中することが出来た。
不思議と気分は晴れ晴れとしていたけど、なんでだろう…?
まずはここまで。
次から鈴が本格的に絡んでくる?
そして、何故か本音が可愛い事に…。