神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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頭にふと思い浮かんだアイデアを気分転換に形にしてみました。

先の事は本当に分かりません。







オープニング ~最初から予想外~

 IS学園にある1年1組の教室。

その一番前の教壇の目の前と言う、ある意味では最強の特等席とも言える場所に『私』は座っていた。

目の前には緑の髪で眼鏡を掛けた副担任『山田真耶』先生が皆に自己紹介を促している。

 

って、いきなりこんなスタートじゃ何の事だか分からないよな。

取り敢えず、自己紹介からしましょうか。

え?誰にだって?そりゃ決まってるでしょ。

これを見ているアンタにだよ。

 

私の名前は『仲森佳織』。性別は一応『女』

どこにでも……は、いないか。

私は二次創作物で言うところの所謂『転生者』って奴だ。

普通に歩道を歩いていたら、いきなり車が突っ込んできてドカーン。

ハイ死亡…ってな感じだった。当時の記憶はもう曖昧になってるけど。

 

あ、こんな風に話してるけど、実は元『男』だったりする。

さっき『一応』ってつけたのはこの為。

もう面影とか残ってないけどね。

完全に死に設定だな…こりゃ。

 

で、死んだ筈の私が会ったのは、神を自称する謎の男だった。

そいつはいきなり、『こっちの不手際でお前を死なせてしまった。それは済まない。その詫びとして、お前を転生させる。って言うか、転生しろ』と言ってきた。

こんな場合って普通は転生特典とかがあると思うだろ?

ところがどっこい。

私は有無を言わさず、いきなりのボッシュート。

こっちの意思とか完全無視よ。

落ちる瞬間に密かに『俺好みの美少女になって、最高の百合ハーレムを築いてくれよ。転生者君』って聞こえた。

これを聞いた途端、なんとなくだけど、転生後の展開が予想出来た。

こいつの意思によって俺は女にされるんだと。

だけど、こっちにはこっちの意思がある。

お前の好き勝手にさせてたまるか!

そう意気込んでいたんだけど……

 

いざ転生した世界は『インフィニット・ストラトス』の世界だった。

通称『IS』。

知ってる人は知っている、知らない人は覚えてね。

 

簡単に言ってしまえば、女性にしか動かせないパワードスーツと鈍感難聴系主人公が出てくる学園系のラノベだ。

 

私はそれなりに原作を知っているから、どんな風に行動すれば大丈夫か分かっているつもりだった。

だが、その考えは脆くも崩れ去ることになった。

 

別に女にされたことに関してはどうこう言うつもりはない。

変態じみた発言かもしれないが、前々から女性としての人生に興味があった。

だから、これは問題ないのだ。

私をTSさせる時に、どうやら神はこっちの精神にも介入してきたようで、気がついた時には無意識の内に女口調にさせられていて、一人称も『私』に変えられた。

女の体にはまだ抵抗感があるが、うじうじ言っても仕方が無いので、少しでも早く慣れるように今でも頑張っている。

 

……ここまではいいのだ、ここまでは。

問題は、この作品に登場する原作キャラたちだ。

 

簡単に言ってしまえば、ここは私が知っている『IS』の世界じゃなかった。

神によって都合よく改変された世界だった。

 

だって……この作品の大前提が無くなってるから。

それは、今私の隣の席に座っている女子を見ればよく分かる。

 

「ん?どうしたの?佳織」

 

私が見ると、向こうもこっちを見返してきた。

黒いセミロングの少女……彼女こそが、本来であればこの世界の中心人物とも言うべき原作主人公『織斑一夏』だ。

そう……あろうことか、本来なら男である筈の一夏が女になっているのだ!

しかもこれ、別に人体実験でこうなったとかじゃない。

最初からこうなのだ。

はい?なんで知っているのかだって?

そりゃ奥さん、だって私……この子の幼馴染ですから。

 

原作キャラと可能な限り関わり合いになりたくないと思った矢先、実はご近所さんでしたと言うオチ。

しかも、幼稚園、小学校、中学校と同じ所に行った。

勿論、その全てにおいて同じクラスだった。

これ絶対に神が仕組んだでしょ…。

 

一夏と知り合っているなら、当然のように彼女の幼馴染とも知り合っている。

 

窓際の一番前の席に座っている黒髪ポニーテールの少女『篠ノ之箒』

原作のメインヒロインである。

本来ならば一夏に惚れてここにいるのだが、一夏が女である時点でフラグの建ちようがない。

だから、この二人は普通の親友同士だ。

 

一夏が女になったせいか、原作前に起こる筈だったイベントがことごとく変わっている。

その一例を紹介しよう。

 

 

小学2年の時の箒のいじめ→そんなもの…最初から無かったよ。その後、普通に転校はしたけど。

 

小学5年の時に転校してきたヒロインの一人『凰鈴音』に行われたイジメ→それもありませんでした。

 

一夏の誘拐事件→そもそもモンドグロッソを見に行ってない。

 

鈴の告白→何故か私に言ってきた。マジで意味不明。

 

因みに、白騎士事件はちゃんと起こっている。

これだけは原作と同じだった。

世界的な大事件が起きて安心する自分に、心の底から辟易したのをよく覚えている。

 

こうして言っていくと、もう原型も無いな。

私の持っている原作知識は完全に役に立たないと考えるべきだろう。

 

そうそう、念の為に私の容姿も教えておこうか。

ちゃんと言わないと想像しにくいだろうし。

 

首元まで伸びた茶髪(天然)をうなじで結んでいる。

顔は……比較的整っている方だと思う。

自画自賛はしない。

 

「はぁ……」

 

一夏に付き添うような形でIS学園に入ったけど、これも絶対に神の策略だよなぁ…。

いや、もしかしたら束さん辺りの仕業も考えられる。

 

箒と一緒にいた関係で、あの人とも知り合っている。

なんでか一目で気に入られて、いつの間にか『かおりん』って呼ばれている。

あの篠ノ之束が私を気にいる理由が分からない。

絶対に神のせいだ。

 

「……おり」

 

筆記はそれなりに頑張った方だとは思うけど、実技はダメダメだった。

っていうか、今までISに関わってこなかったんだから、上手くいくわけ無いじゃん。

これが物語ならばご都合主義があるんだろうけど、今の私にとってはこれが現実。

現実にはご都合主義なんて存在しない。

あっという間にKOでした。

こんな結果なのに、どうして合格出来たのか…。

確実に誰かの意思が介入してるだろ。

 

「佳織!!」

「えっ!?」

 

な…なんだ!?

 

「なにボーッとしてるの?佳織の番だよ」

「番……?」

 

一夏に言われて一瞬だけ呆けてしまったが、目の前で泣きそうになっている山田先生を見て状況が分かった。

 

「あの~…今は『な行』まで来てて、仲森さんの番なんだよね?自己紹介してくれないかな?ダメかな?」

「あ…すいません」

 

もう私の番か…。

少しボーっとしすぎた。

 

慌てて席を立って自己紹介をしようと思ったが、さっきまで別の事を考えていたせいで頭の中が真っ白になってしまった。

 

「え~っと……」

 

まずは名前か…?

 

「な…仲森佳織…と言います。趣味は読書と音楽鑑賞です」

 

嘘は言ってない。

主に読むのは漫画とラノベで、聴くのはアニソンやボーカロイドだけど。

これも立派な読書と音楽鑑賞だよな?

 

「よ…よろしくお願いします」

 

居た堪れなくなって、急いで座った。

自己紹介なんて、こんなもんでいいよな?

 

私の番が終わり、また自己紹介が再開しようとすると、急に教室の扉が開かれた。

 

「自己紹介はもう終わったか?」

「あ…織斑先生」

 

一夏の実の姉にしてIS学園の教師。

そして、モンドグロッソ2連覇を達成した世界的有名人。

さっきも言ったが、一夏の誘拐事件が発生していないため、この人はちゃんと大会に優勝している。

けど、何故か原作と同様にドイツに行って、しかも引退している。

何が理由なんだろうか?

少なくとも、原作と同じ理由ではないだろう。

 

「悪かったな。色々と押し付けて」

「気にしないでください。これも副担任の役目ですから」

 

立派な心掛けだ。

 

山田先生がどいて、教壇に千冬さんが立った。

 

「私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。今日からお前達新人をたった一年で使い物になる立派な操縦者にすることが私の仕事だ。これから私の言うことをよく聞いて、よく理解しろ。分からない者には分かるまで、出来ない者には出来るまで指導してやる。15から16歳の間に十分に鍛えぬいてやる。別に逆らってもいいが、私の言う事には基本的にはYESで答えろ。いいな?」

 

……こうして生で聞くと、かなりの問題発言だよな…。

でも、下手に何か言えば被害をこうむるのはこっちなので、敢えて何も言わない。

 

千冬さんが発言した直後、教室は急に騒がしくなった。

キャーキャーうるさいな…。

耳がキンキンする…。

 

「相変わらず、お姉ちゃんは人気高いね」

「もう見飽きた光景だよな」

 

ここまで同性にモテる奴も珍しい。

絶対に学生時代は女子生徒からラブレターとか貰っていたに違いない。

 

「……毎年毎年、よくもまぁこれだけ馬鹿な連中を集めたもんだ。呆れを通り越して感心すらする。まさか、私のクラスにだけ集中させているんじゃないだろうな?」

 

そうかもね。

 

千冬さんの言葉は効果は無く、逆に彼女達の興奮が増す結果になった。

このままいけば声で窓ガラスが割れそうだ。

 

「静かに!!」

 

お、鶴の一声。

一気に静かになった。

 

「大丈夫か?」

「あ…はい」

 

何故に私にだけ?

隣には貴女の妹さんがいますよ~。

 

「元気があるのは若者の特権だが、何事にも限度があることを理解しろ。さもなくば、私が強制的に黙らせる」

 

出席簿を持って軽く素振りをする千冬さん。

あれが原作にもあった例の出席簿か。

あれってどんな材質で出来てるんだ?

相当に頑丈そうだけど。

 

「分かったら、自己紹介を続けろ」

 

千冬さんの言葉に従って、自己紹介が再開された。

その途中、ヒロインの一人である『セシリア・オルコット』も自己紹介をした。

高飛車な態度がムカつくから、ここでは敢えて描写しないけど。

 

(確かに綺麗ではあるけど、今はそれだけだな)

 

原作では一夏との試合を通じて惚れて、女尊男卑の考えを改めるようになった筈。

けど、ここでの一夏は女。

一体どうなることやら。

 

全員の自己紹介が終わり、また千冬さんの話が始まる。

 

「これでSHRを終了する。お前達にはこれからISに関する基礎知識を半月で覚えてもらう。その後に実習があるが、基本動作も知識と同様に半月で習得しろ。分かったならば返事をしろ。返事!!」

「「「「「はい!!」」」」」

 

立派なお返事。

これが返事だけでない事を祈ろう。

 

分かってはいても、初日からこうだと後が思いやられる。

これが当たり前の事だと分かっていても、不安は拭えない。

 

せめて、最初のイベントぐらいは穏便に終わりたい…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




完全な行き当たりばったり。

本気でどうなるか未定。

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