オーバーロード ~経済戦争ルート~   作:日ノ川

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王国内でのセバスの話
既に本来のルートから外れた行動を取ることになります


第2話 執事の決断

「畏まりました。アインズ様には心よりお待ち申し上げておりますと伝えて下さい」

 <伝言(メッセージ)>を切ったセバスの胸に宿ったのは不安だった。

 

 ナーベラルより入った緊急の<伝言(メッセージ)>。

 近日中に主が王都に来るという知らせだ。

 命じられた王都内の調査は出来うる限り細かく報告している。

 情報の精査が一人では困難だからという理由で、真偽の不明な街の噂程度のことまで記載してナザリックに送っている。

 だが、一つだけ記載していない情報がある。

 

(いや、あの程度のことはわざわざアインズ様にお伝えするまでもない。そう判断した、したが──)

 ソリュシャンは早急に知らせるべきだと告げていた。

 それを止めたのはセバス自身だ。

 

(アインズ様たちは馬車でこちらに向かうと仰られた。その間にツアレを安全な場所に連れていくべきか。しかし主がもしツアレのことを知っていてこちらに来るつもりならば、アインズ様が到着する前に逃がしたと思われるやもしれません。であるなら)

 思考を高速で回転させながら歩いていたセバスは拠点としている館の前に到着した。

 

 いけない。

 

 表情を引き締め、扉を開く。

 

「おかえりなさい。せばすさま」

 いくらかまともに会話ができるようになったツアレがいつものように出迎える。

 

「ええ。ただいまツアレ。仕事の方は問題ありませんか?」

 いつもと同じことを聞く。

 

 彼女はコクリと頷くと小さな声で、

「だいじょうぶ、です」

 と告げた。

 

 いくらかマシになったとはいえやはりまだ言葉はたどたどしく、外にも出たがらない。

 これで外に出して一人で生きていけと言っても無理に決まっている。

 

 しかし時間はない。

 いや、内心では既に決めていた。それ以外方法がないと。

 

 ソリュシャンに会いに行くと告げ、ツアレには食事の用意をしておくように伝えて遠ざける。

 ソリュシャンの部屋をノックし、セバスは返事を待たずに扉を開き中に入る。

 部屋の中ではソリュシャンは頭を下げて待っていた。

 今日はツアレが一緒ではないと気づいていたのだろう。

 

「お帰りなさいませ。セバス様」

 

「ただいま戻りました」

 いつもならばここでソリュシャンの方からツアレの処遇について聞いてくるのだが、今日はこちらから伝えなくてはならないことがある。

 

「緊急の報告があります」

 ソリュシャンの表情が変わる。いつもであればツアレのことでセバスに対し不満を露わにしているが、一瞬で表情が引き締まり、ナザリック地下大墳墓の戦闘メイドとしての顔つきになる。

 

「アインズ様が近日中にも王都にお越しになります。ナーベラルも共に冒険者漆黒としてのご来訪ですので、出迎えの際はそのようにとのことです」

 ナザリックの絶対的支配者アインズ・ウール・ゴウンとしてではなく、この世界における主のもう一つの顔である冒険者モモンとして出迎えろという命だ。

 ソリュシャンの表情が目に見えて明るくなる。

 瞳は色の無い濁ったいつものものだが、唇が抑えきれず持ち上がりかけている。

 

「畏まりました。アダマンタイト級冒険者、漆黒の英雄モモン様と美姫ナーベとして出迎えるということですね」

 

「ええ。そしてもう一つ、こちらにはエ・ランテルより馬車で向かっているそうで到着までは今暫く掛かります。それまでの間私たちには調査を中断し、人間とは関わらずに静かに生活せよとのことです」

 

「では、歓迎の用意はどういたしますか? このような場所にアインズ様をお迎えするわけには。せめて調度品と簡素でも玉座だけは用意しなければなりません。ナザリックより送っていただけるのでしょうか?」

 ソリュシャンの言にも一理ある。

 冒険者チーム漆黒として出迎えるといってもそれは入り口での話。この館内に入った後は話が別だ。

 

(アインズ様を出迎えるには確かにここは不向き。せめて応接室だけでも何とかしなくては)

 とは言え既に外に出て人間たちと接触することは禁止されている。やはり定時連絡の際にエントマに伝え、ナザリックより調度品を運んでもらえるように話すべきか。

 

「そうですね。その件に関しては後ほど私からエントマに連絡を入れましょう」

 

「畏まりました。それで──あれはどうなさいますか?」

 深々とお辞儀をしながらソリュシャンが言う。あれが何を指すのかは言うまでもない、ツアレだ。

 セバスは唇を閉じ、一度目を伏せてから改めて口を開いた。

 考えは既に決まっていた。

 

「今夜、ツアレが寝静まった後……処理します」

 いつも通りの口調で言ったつもりであったがその声に不必要な力が籠もっているのが自分でも分かった。

 ソリュシャンの瞳が驚いたように一瞬開き、その後すっと細まる。

 

「よろしいのですか?」

 心配しているのではなく、確認しているのだ。

 ツアレを殺せるのかと問われている。

 

 もちろん本来であればそんなことはしたくない。それは己の創造主から受け継いだセバスの正義に反している。

 しかしそれでも、セバスはナザリックの執事。それ以外の何者でもない。

 本来ならばもっと早く外に出すべきだった。

 

 ある程度の金を渡し、この国の外に逃がす。そうすれば生きていける可能性もあった。

 だがもう遅い。

 

 今から外に連れ出すのは無理だ。それは主人が到着するまで大人しく生活せよという命令に反している。

 かといってこのまま主が到着するまで一緒に過ごすわけにもいかない。

 それでは主を迎えるにあたっての準備が疎かになる。執事として不完全な状態で主を出迎えることはできない。

 

 だから今夜、せめて痛みを与えずに眠ったまま静かに命を絶つ。

 

 それがセバスにできる唯一の慈悲だ。

 当然ソリュシャンも賛成するだろうと思われたが、どうも様子がおかしい。

 ソリュシャンはピンと背筋を伸ばすと真っ直ぐにセバスを見つめた。

 

「セバス様。その判断は早計かと」

 

「何故です? ツアレをここに置いておけないと言っていたのは貴女でしょう? ツアレは未だ外の世界で生活などできません。なんとしてもここに戻ろうとするでしょう。それで騒ぎを起こしてはアインズ様の命に背くことになります。ですから今夜のうちに処理をし初めからいなかったことにするのが望ましいと言っているのです」

 口にするだけで己の正義が動揺している。

 二度も同じことを説明させるソリュシャンを知らずのうちに恨みがましく見てしまうが、彼女は表情を変えない。

 

「アインズ様は既にご存じの可能性があります」

 

「まさか」

 何を言われたのか瞬時に判断が付かなかった。

 

 ツアレのことは報告していない。

 報告するでもないと判断した。

 だからこのことを主も含めナザリックの誰もが知るはずがない。

 

 可能性があるとすれば。

 

 ソリュシャンに視線を向けたセバスに彼女はゆっくりと頭を振る。

 

「私は何も告げていません。ですが我らの主、至高の御方であるアインズ・ウール・ゴウン様が私たちの隠し事に気づかないとは思えません。それに私はアインズ様が冒険者モモン様としていらっしゃるというのが気になります。確かあれは違法な娼館で働かされていたのですよね?」

 セバスが黙って頷いたのを確認後、ソリュシャンは続ける。

 

「であるならば、モモン様として何らかの依頼を受け、そのために前もって王都内を調べていた可能性があります。あるいはその娼館自体を何とかするような依頼を受けたという可能性も。でしたらあれを始末するのは得策ではありません」

 

「ではどうするべきだと? アインズ様がいらっしゃるまでただ待つと?」

 

「いえ。セバス様今こそ、今こそあれのことをアインズ様にご報告なさるべきだと思います。報告しどのように対処するのが良いかアインズ様に判断していただくのが最良かと。仮にアインズ様があれのことを知らなかったにしても、話を通しておければ利用する価値があるやもしれません。セバス様も以前に仰っていたように殺してしまった後では利用できませんから」

 このような些事でアインズ様の手を煩わせるわけにはいかない。

 そう言って報告を拒んできたのは他ならぬセバス自身だ。

 

 しかし状況は変わった。仮にソリュシャンの言うことが正解であったならツアレの存在は些事ではない。

 依頼に関係するかもしれない。

 娼館内部を知る情報源になるかもしれない。

 たとえ僅かな可能性でもある以上は捨ておけない。何故すぐに報告しなかったと叱責され、その咎を命で償うことになったとしても。

 己はナザリックのためにこそ行動するべきだ。

 そうしなくてはならない。

 

「わかりました。私から報告します。ソリュシャンは念のためツアレの動向を見ていて下さい。場合によっては即座に処理する可能性もあります」

 

「では一旦眠らせておきましょうか」

 

「何かに使用する可能性もありますので、傷など残らないよう静かに、できれば痛みもなくお願いします」

 魔法の使えないソリュシャンでは眠らせるのは巻物(スクロール)を使うか、物理的に気絶させるしかない。

 判断が降りていない以上、これ以上巻物(スクロール)をナザリック外の者に使用するべきではないのは確かだ。

 

「承知いたしました。ではアインズ様によろしくお伝え下さい」

 頭を下げソリュシャンが部屋を後にする。

 残されたセバスは深呼吸を繰り返した後、一つの魔法を発動させた。

 

「<伝言(メッセージ)>」

 僅かな間をおいて、相手が応答する。

 

『セバス。何かあったか?』

 

「はっ、アインズ様。王都にお越し下さる前に一つご報告しなくてはならないことがあります」

 背中に冷たい汗が流れる。

 恐ろしい。

 

(告げることが恐ろしい、いや。アインズ様に失望されるのが、恐ろしい)

 覚悟を決めてもなお、その恐怖だけは拭えない。

 しかし黙っているわけにはいかない。

 セバスは意を決し、ツアレについての報告を口にした。

 

 

 ・

 

 

「なるほど……事情は理解した。一つ聞こう。セバス、その娘を助けたのは何故だ」

 全ての話を聞き終えた後、アインズは緊張で声を震わせる執事に問いかける。

 

『私の愚かな判断でございます。お許し下さい!』

 

「そういうことを聞いているのではない。理由だ、お前が何故助けようと思ったのか、それを聞いている」

 再度問うと短い沈黙の後、言葉が返ってきた。

 

『助けてほしいと、言われたからです』

 

「それだけか?」

 

『困っている方に手を差し伸べるのは当然のことだと、思ったからです』

 これまでの緊張した声ではなく、きっぱりとセバスが告げる。

 その言葉にアインズは思わず浮かび上がる歓喜の感情を抑えきれなかった。

 かつて自分を助けてくれた純白の騎士の姿が思い浮かび空虚な胸に灯がともった気がした。

 

「そうか──分かった。私はその娘のことなどどうでも良いが、お前が助けたいと願うのであればそれを叶えよう」

 

『し、しかし。アインズ様に余計な手間をおかけするわけには』

 

「セバス。お前が困っているのならば、私が助けるのは当然のことだ。その娘は私がそちらに着くまで眠らせておけ、詳しい話は着いた後だ」

 

『ははっ! 畏まりました。アインズ様……ありがとうございます』

 

「うむ。何か問題が発生した際は、その都度私に<伝言(メッセージ)>を送り判断を仰げ。今回お前が反省すべきは、助けたことではなくそれを私に告げなかったことだ」

 創造主であるたっち・みーの影響を色濃く受けたセバスが、人助けをするのはある意味当たり前だ。

 それがナザリックに不利益を及ぼさないのであれば、アインズとしては特別止めるつもりはなかった。

 

 しかしそれも程度による。

 

 町中で荷物をもってやる程度ならば構わないが、そのまま面倒を見るようなことであれば上司であるアインズに連絡するべきだ。

 コキュートスの件でそのことを痛感し、あの場にいた守護者には全員伝えたが、離れていたセバス達には未だ伝えていなかった。

 それはアインズ自身のミスとも言えた。

 

『申し訳ございません。この償いは』

 

「それも私が着いてからだ。がとりあえずこれ以上問題が起こらなければ許そう。では、私の到着まで大人しく待て」

 アインズの言葉を受けたセバスが力強い返答をした後、<伝言(メッセージ)>を切る。

 隣に座っていたナーベラルがチラチラとこちらを窺っていた。

 どこか緊張しているようだ。

 

(何をそんなに。ああ、そうか。自分がセバスに<伝言(メッセージ)>を送った後、セバスが俺のところに直接<伝言(メッセージ)>を送ったせいか)

 自分が何か伝え忘れていたのか、何か不手際を犯してしまったのかと心配なのだろう。

 

 ナザリック内で着ているメイド服ではなく、冒険者ナーベの格好をしている彼女は人間全てを下等生物と見なし、当然のように冷淡で見下した態度を取っている。

 その格好のままこんなにも恐縮されると、なんだか微笑ましくすら思えてくる。

 

「心配するな。大したことではない。セバスが現在抱えているちょっとした案件に関する報告だ」

 

「なるほど。了解いたしました」

 ここで話を終わらせても、ナーベラルは特に気にしないだろう。

 

(いや、いかんいかん。報連相が大切だと言った俺自身が手本を示さなくてどうする! それに人間嫌いのナーベラルがどう反応するか気になるしな)

 ナザリックにおいて人間は総じて下らない存在というのが一般認識だ。

 しかし、ナザリックにはセバスを始めとしてカルマ値が善性に傾いている者たちも存在する。

 そうした者たちが肩身の狭い思いをするのはアインズとしては避けたいところだ。

 

「いやお前も知っておくべきだろう。ナーベ、お前の意見を聞かせてほしい」

 そんな言葉を皮切りにセバスから受けた報告をそのまま伝える。

 

 初めはアインズの言葉を聞き逃すまいと食いつかんばかりに話を聞いていたナーベラルだったが女を助け治療し匿っている。というところまで話が進んだときには、形の良い眉を寄せ明らかに不満げな顔をしていた。

 

「以上だ。どう思う?」

 

「即刻始末すべきです。その後死体をナザリックのために有効活用すべきかと」

 

(そう言うと思ったよ)

 

「そうではない。助けるのは既に私が決定を下したことだ。ではその決定に従い、その娘をどのように使えばナザリックの役に立つかを考えろということだ」

 これはナーベラル自身にアインズにただ従うだけではなく、自分で考える力を付けさせるためのものだったが、同時にアインズが考えなくてはならない問題でもあった。

 

(ただ助けると言っても守護者のみんなが納得しないよなぁ)

 他ならぬアインズの決定なのだから従いはするだろう。ただしセバスに対して遺恨が残る。

 できれば皆が納得する理由が欲しい。

 

下等生物(ダンゴムシ)風情が何をどうしようとナザリックの役に立つことなど不可能かと思いますが、あえて言うのならば」

 

「おっ、なんだ。言ってみろ」

 

「はい。その娘は違法娼館で働いていたのですよね?」

 

「う、うむ。そうらしいな」

 情報を正確に伝達するためとはいえ、違法娼館で働いていたなどと女性に言うべきではなかったと思うが既に後の祭りだ。

 

「体も治ったのでしたら、再びそこに入れて金を稼がせればよいのでは? 稼ぎなど微々たるものでしょうが、この世界の金を稼ぐにはこの世界の者を使うのが手っとり早いかと思います」

 

「それはセバスが納得しないだろう。そうしたところで働かされているのを不憫に思って助けたのだから」

 凄まじいことを考えるな。と考えつつも、なるほどと思える部分もあった。

 

 この世界の金を稼ぐには、この世界の人間を使うのが手っとり早いという部分だ。

 

 ナーベラルには最初冒険者として登録した日にこの世界の金が無いという話はしていたが、その後は特に何も言わなかったし、買い物などでは金に糸目をつけず資金はいくらでもあるなんて態度を見せていたから、気づいていないだろうと思っていたが。

 

 考えてみれば報酬を受け取る際にはナーベラルも常に一緒にいるのだからどれほど金を受けとっているか分かっていたはずだ。

 彼女も彼女なりに金欠について考えていたということか。

 

「申し訳ございません。愚かなこの身では他に考えなど……」

 

「いや良い。むしろいい案だ。そのまま使うことはできんがよく考えた。ナーベ、そうして自分で考え、提案することが重要なのだとよく覚えておけ」

 コキュートス同様、ナーベラルも自分で考えることができている。これは成長と言っていい。

 未だ<兎の耳(ラビッツ・イヤー)>を解除していないために頭上に生えている耳がピクピクと感情を抑え切れぬように動く。

 

「はいっ! 今後もアインズ様のお役に立てるよう努めさせていただきます!」

 

「ナーベ。モモンだ」

 

「も、申し訳、ございません」

 褒めた途端にこれだ。

 

 しかし、これはナーベラルに限らずナザリックの者に大体当てはまる。

 

 アインズに対する忠誠心の高さ故か、少し怒っただけで絶望するほどのショックを受け、逆に褒めると天にも昇るような幸福感を得るらしく、その前後で言動がおかしくなるのは何度となく見ている。

(主にアルベドだが。む、ナーベラルが落ち込んでしまったか。こうなると本当に無意識なのだろうな。しかしこのままというわけにもいかないか。うーむ、どうしたものか)

 気にするなと言っても恐らく無駄だろう。

 となると。

 

 シュンとヘタレてしまったウサギ耳を眺めながら、アインズは無言でその頭の上に自分の手を置いた。

 何が起こるか分からないため一応魔力で作り上げた鎧は解かずガントレットのまま。

 その状態で撫でると髪を巻き込んでしまうかもしれないので、ポンポンと頭を軽く優しく叩く。

 

「アイ……んん! モモン、さん」

 弾かれたように体をビクつかせるナーベラルが再度アインズと呼びかけて、慌てたように咳払いし名前を言い直す。

 

「うむ。それで良いナーベよ。反省することは大事だが、引きずり過ぎるのも良くはない」

 

「は、はい」

 消え入りそうな声で返事をしナーベラルは顔を下に向ける。

 

 ナーベラルは髪をポニーテールに纏めているため横から見ると形の良い耳がはっきり見える。

 その耳が見る間に赤みを増し、やがてこれ以上ないほど紅に染まった。

 元々肌が色白の分余計にそれが目立って見える。

 

「す、スマンな。つい」

 アウラやマーレにするような態度を取ってしまった、あの姉弟とは異なりナーベラルは二十前後の外見であり、精神年齢もそれぐらいの設定のはずだ。

 

 子供扱いされて恥ずかしがっているのだろう。

 けれど絶対的支配者であるアインズにやめてほしいとも言えずに黙って耐えていたに違いない。

 

「い、いえ。身に余る光栄です」

 明らかに無理しているのが見え見えだ。

 

 こちらを見もせずに更に顔を下に向けてしまったナーベラルに改めて謝ろうかとも思ったがこの様子では何度謝っても同じだろう。

 話題を変えるべくアインズは咳払いをする。わざとらしいが仕方がない。

 

「では私はこれよりお前の出した案を活かすために具体的な方法を考えるとしよう。ナーベよ、お前は少し休んでおくが良い」

 

「しかし」

 ナーベラルにもリング・オブ・サステナンスを与えているため、睡眠は不要である。

 そう言いたいのだろうが、アインズはそれを遮る。

 

「命令だ」

 

「……畏まりました」

 納得はしていないようだったが、それきりナーベラルは黙り込み、頭を下げて目を伏せた。

 眠っているようにも見えるが、結局その後朝まで起き続けてたらしく、アンデッドの特性である<闇視(ダークヴィジョン)>によって昼間と変わらないアインズの目には、ナーベラルの耳がずっと赤いままなのが見て取れた。




しかしオーバーロードは好きなキャラが多いのでなるべく色々なキャラを出そうとすると話の進みが遅くなりますね
じっくり書きたくもあり、話を進めたくもあり、まあ暫くは思いつくまま書いていきます
今回の話も本当は1話に纏めるはずだったのですが長くなったので半分に分けました
続きは近いうちに投稿します

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