美波の奇妙なアイドル生活 作:ろーるしゃっは
奇妙なおっさんと喋るヒヨコ、そして手負いの女子中学生。
この意味不明なパーティメンバーで命がけの戦いを辛くも切り抜けた橙髪の少女は眠りから目覚めた翌日、ふとあることに思い至った。
(……そういえば、志希は今頃どうしてるかな?)
起き抜けに連絡を入れたラウンズのグループライン。ここに美波と文香は入ってきたが、既読は二人のままで止まっている。つまりリアルタイムだと志希とは音信不通状態なのだ。
直で電話するか、ああでもアメリカとは時差もあるしやめとこうかな、と思ったがそれでも何となしに気になって、枕元のスマホに手を伸ばす。そのままタップして彼女にコール。ケー番は既に登録済みだ。しかし。
『……おかけになった電話番号は、現在電波の届かないところにあるか、もしくは──』
若きスタンド使いの耳に届けられたのは、耳をくすぐるネコっぽい彼女の声ではなく、無情な機械音の定型文。
一分ばかりそんなメッセージが流れたかと思えば、それきりプツ、と電話は切れた。
(アメリカに行ってるのに、電波が不通?)
彼女が向かったアリゾナ砂漠の財団整備地区は、確かSPW財団の偉いさんや開発技術者が同行しているのではなかったか。自前の人工衛星と通信網を持っているかの有名な財団が居るところで、音信不通?何かトラブルにでも遭ったのか、それか何時もの失踪癖か?
(もしかして、山火事とかハリケーンに巻き込まれたとか?)
念のため何か米国に関する情報はないかと思い、BSに合わせてテレビを付ける。……も、FOXもCNNも中間選挙の話ばかりで直ぐ消した。放送しないなら天災の線は薄い。
(……何も無い筈、だよね?)
いやいや、あるわけ無い。第一何かあれば、346の事務所から自分達にも連絡が来るだろう。でも、自分に起きた事を考えれば、
(同じ赤石を持っている志希だって、もしかして……)
一瞬穏やかでないことを考えた飛鳥。だが、此処で幾ら悩んでもどうにもならない事も理解している。仕方なく「ごめん、また明日掛け直すね。空いてたら折り返しくれると嬉しい」と留守電を残すだけに留めた。
掛け布団を握りしめて、彼女は一人悶々とする。漠然と感じる、直感に似た嫌な予感。これがどうか杞憂となってくれ、と気付けば心中密かに、遠き砂漠の地へと祈りを捧げていたのだった。
☆
厨二病JC改め新米スタンド使いが、とあるギフテッドに国際電話をかける数日前のこと。
都内某所に於いて「MENSA」なる会員制クラブの集いがひっそりと、しかし豪奢に催されていた。ちなみにクラブといっても飲み屋ではない。
では何の集まりか。入会要件に「IQ140オーバー」という条件の設定された、まあ要するに高知能者の集いのようなものである。またその性質上、会員資格を持つものが限られる選ばれしサロンでもある。……が、天才の生まれは当然場所や国なぞ選ばない。よって勿論日本にも支部が存在するのだが。
さてさてその「メンサ日本支部」、今日は都内某高級シティホテルにて定期会合の真っ最中であった。そして───
(……これは……シャネルのエゴプラ?う〜ん、ココでこれ付けてる人といえば……)
会場入りするなり鼻を一度スン、と小さく鳴らす。それだけで数十人の参加者全員のニオイ(香水)を思い出して歩いているのは、弱冠十代にして日本史上最年少でメンサに加入した経歴を持つ稀代の麒麟児、一ノ瀬志希。
立食パーティー形式になっている今日の会合、白磁の高価そうなプレートにキッシュやらフルーツタルトやらローストターキーやらを適当に乗っけた彼女は、勝手知ったるとばかりあちこちうろうろし始める。どうやら、ニオイをもとに知己を探しているようだったが……
「……あ、やっぱりいたいた♪」
程なく、ある人物が目にとまった。
そこに居たのは参加者の中でも一際背が高く、外国人と並んでも何ら引けを取らない頑健な体躯の日本人男性。錚々たる顔ぶれとシャンパン片手に流暢な英語で語らい、またアカデミックの世界においては海洋学の権威として名を馳せるその男、名を────
「空条博士ぇ!お久しぶりでーす♪」
そう、我らが空条承太郎その人。軽快な調子で志希に話しかけられた側の承太郎、いきなり飛んできた日本語に反応すると、声の主を認めるなり「おお」という顔をして適当に周囲との会話を切り上げ、彼女の方へ身体を向けた。
「……本当に久しぶりだな。誰かと思えば一ノ瀬博士とは」
あまり感情を表に出さないので少々分かりづらいのだが、一瞬面食らった顔をした彼。どうもここ数ヶ月の間会合の類にご無沙汰していた天才の帰還を、割と好意的に受け止めているようだった。
「いえいえ〜♪それより、いつも美波ちゃんにはお世話になってます!最初に知った時はびっくりでしたよ〜?まさか博士の娘さんだなんて」
「まあ、外見は母親似であるからして無理もないさ。……ただ、あれは私の娘にしては少し行儀が良すぎてね。逮捕歴が無いのは結構なことだが」
「まったまた〜!」
冗談お上手、と思いつつも彼女、お得意の並列高速思考で思索に耽る事も忘れない。
(……プロフェッサー空条、ご存知著名な学者先生。そしてその子女の美波ちゃん、人当たりの良い優等生。
まあ娘も娘で、怒らせるとヤバそうな類の人である。本気になればスチールを素手で引きちぎれるだろう彼女の父親だ。エビデンスに基づかない推察など、鬼才・一ノ瀬志希の尤も唾棄する考えであるが、実物を見て語らって、ナニカを嗅ぎ取ってしまえばそうも言えなくなってくる。
(……それにあたしの勘でしかないけど、仗助も恐らく「同類」、だよね……)
恐ろしい程に正確な直感は、ここまで殆ど全てを当てていた。ただ幸か不幸か一点だけ外している。
彼女は知らない。目の前の人物が今言っていた「逮捕歴」とは冗談でも何でもなく、彼が実は高校時代、所謂札付きの「不良」として名を馳せていたことを。
(女生徒をセクハラしてた)教師にヤキを入れて学校から叩き出し、(廃棄食材をコッソリ使ってた)不味い飯を出す飲食店では金を払わずちゃぶ台返し、あげく(珍走団や半グレから)売られた喧嘩を毎日のように買っては返り討ちにし病院にブチ込んでいた、などという事実を。
「しかし────まさか貴女がアイドルになるとは、私も予想が出来なかった」
思考しつつも飛んできた彼の至極当然な感想に対し。照れ隠しなのか嬉しいのか、言われた側はてへへ、といった顔をして返す。
「いんや〜、てっきり例のクセが出ちゃってねん、てところです」
癖。それ即ち気分屋のこと。偏見だがまあ天才タイプに割と多い癖だろう。例えば765プロの某金髪の子とかもこの癖持ってたり。尤も向こうは既に押しも押されぬトップアイドルだが。
「成る程。興味が湧いたと?」
「いえーす!しかも今ならジョースケもついてくる!」
「おいおい、お得なオマケか?
「それはナーイショです♪……あ、それと博士、この前発表された公開査読論文拝読したんですけど、あたしアレ読んでて思ったのが…………」
そして何事か言い募る志希に、承太郎の目の色が変わる。
「……ほう、これはまた
畑は違うが高度な話に花が咲く。双方ともに才溢れるが、かたや興味が無い分野は二秒で忘れる気まぐれおしゃべりティーンエイジャー、かたや日頃は口数少ない伊達男。
お互いの性格を鑑みれば場合によっては交差すらしそうにない二人だが、彼と彼女の間 にあるのは、まごうことなきリスペクト。年齢や性別の枠を超え、一人の研究者として双方を認めているからこそ、こういった会話が成り立つわけである。
個人的心情からみても、承太郎からすれば彼女は若手トップクラスの知能を有する化学会期待の俊英にして娘の友人であり、志希からみれば彼は友達の親御さん且つ実力ある先達。ついでにPの親類。
やはりお得意の並列思考で以って専門用語だらけの難解極まりないトークを繰り広げながら、うら若き少女は思う。
(……こーして話してみると、やっぱり親娘なんだねぇ。ここぞってとこで意思の強さを感じる喋り方とか。まー最初美波ちゃんから聞いた時はびっくりしたけど)
奇しくも346プロの人間で、現在最も多くジョースターの一族を知るアイドル。それが今の、一ノ瀬志希という少女の一面でもあった。
さて話は弾んではいたのだが、承太郎が今回のメインスピーチの番が回ってきたため、其処で一旦会話は切り上げ。
壇上へ向かう逆三角形の鍛え抜かれた男の背を追いながら、体幹が一切ブレない歩き方が美波ちゃんに似てるな、とかどうでもいい事を思ったり。
(にしても………………)
登壇し、持ち前の落ち着いた低い声で朗々と語り出す承太郎。誇示せずとも滲み出る覇気と知性は、
(──────親娘、か)
寂しげな色が、淡く青い眼に一瞬浮かんで消えた。
☆
数日後。
「うーん、まだ眠いにゃあ…………」
寝ぼけ眼を擦りながら危なっかしい足取りで空港の要人ルートを歩く少女、一ノ瀬志希。コンパクトなデザインのトランクをカラカラ引きずりながら、あっちへふらふらこっちへふらふら。今にもどこかへぶつかりそうである。
現在時刻は朝の八時。経緯を説明したら仗助が空港まで送って行ってくれた(優しい)ので脚の疲れは無いものの、昨日の夜ラウンズのグループ通話でつい話し込んでしまったので眠いこと眠いこと。
すっぴんに寝癖髪で会うのはなんとなく恥ずかしかったので気合いで起きて朝シャンとメイクは済ましてきたが、車の中でやはり彼に寝不足を見抜かれて心配された。
長電話で眠いにゃあと白状したら半ば呆れられつつも「水で五分の一に希釈して飲んどけ」という注釈付きでエナジードリンクなるものをくれたので、あとでありがたく頼ろうかと考えてる最中である。……でも薄めて飲めって、原液だとそんなアレなんだろうか。
閑話休題。
さて「指定した旅客機に乗ってください」と貰った案内には記されていた。エスコートをつけてくれるらしかったが気忙しいので固辞したはいいんだけど。
もしかして。
「……コレに、乗るの……?」
空港のVIPルームから要人ルートを通るよう案内され、通っていった視界の先にあったのは。
小振りながらも素人目でも高性能そうなエンジンを四機搭載した、機体側面に、「SPW foundation private jet」と記された真新しい飛行機だった。
☆
雲間の上を、悠々と機体が飛んでいく。雲海が望めるとかそんなチャチな次元じゃあ断じてない絶景を、猫っ毛の少女は一人じっくりと眺めていた。
(さすがに自家用ジェットとは想像してなかったにゃあ)
いきなりの貴賓待遇に驚きながらも雲の上の人となった志希だが、勿論この厚遇にはわけがある。
かつて彼女が巻き込まれたかのハイジャック事件。それ自体は結果的に、SPW財団と切っても切れない関係にあるジョースターの血族の手により無事解決された。
しかし。だからといって顧客、即ち志希を危険に晒した事実は消えるものではないし、最上のホスピタリティ提供を掲げるSPW社員らはこの一件を非常に不名誉なことと捉えた。
よって今後財団は要人輸送の際はなるべく民間機を使わず、逐一財団所有の飛行機を使うという判断を下している。その結果がこれ。ファーストクラスどころではない、お詫びも兼ねた大歓待である。
さて、ウェルカムドリンクのノンアルカクテルから始まったそんなおもてなしの数々は多種多様。
機内wi-fiは当然のこと、一人一つ分用意された四〇型の薄型テレビにタブレット端末、ノイズキャンセリングヘッドホン。映画も音楽も勿論見放題。
内装に関して言えば牛革を丁寧に張り込んだリクライニング付のキャビンとお洒落な間接照明、選べる枕とブランケットに飽き足らず、なんとユニットバス付きのシャワールームまで完備していた。ちなみに頼めばマッサージと靴磨き、クリーニングもしてくれるらしい。
加えて機内食はイタリアンのリストランテに匹敵するフルコース。トニオ・トラサルディー監修とリストに記されたレシピの数々は、
最早大統領専用機もかくやというほどの至れりつくせりである。ついでとばかり、エコノミーなら20人は収まるところに2人しか入っていない余裕のつくりの機内を改めて見直す。
サイドレストと通路を挟んだ隣の席の外国人は、チョココロネを三つ連ねたみたいな奇妙な前髪をしていたが、しかし不思議とそれが似合っていた。ただ問題は格好だ。
如何にも高価そうな白いスーツと、恐らくはワニ皮の白革靴に派手な黒シャツ。耳と胸元にはゴールドのピアスとネックレス、腕から覗いてるのはロレックスだろうか。
加えてやたらに体格が良いし、何か「スゴみ」みたいなものまで感じる。要するに、控え目にみても。
(……ギャングの親玉?それかマフィア?)
ジャパニーズヤクザって感じではない。でも確実にカタギじゃない。
ブルスケッタをアテに貴腐ワインの赤をグラスで優雅に飲んでいる彼に対し、まああんまりジロジロ見るのも失礼かな、と彼女は今日明日と予定しているテキサスの現地調査に関する資料の読み込みに戻る。無論全部英語だが全く苦にしない。何故って天才だし。
パラ読みしただけでタブレットにインストールされた50ページ近くの資料全てを完全暗記したギフテッドは、そこでふと眠気がぶり返したらしく、アメニティの毛布を広げてそそくさと睡眠の準備に入った。
飛行機に乗ってると、ハイジャックを受けたあの時のこともつい思い出してしまう。しかし今回の空の旅は過分にして、かようなアクシデントもなく平常に進んでいったのだった。
☆
それから約2時間ののち。SPW財団テキサス本部前にて。
「Thank you so much〜♪」
「It's my pleasure」
紫紺の髪を靡かせる少女は、ご機嫌といった様子でここまで運んで来てくれたバスの運転手に礼を述べつつ下車。
ブロロロ、とゲストを送り届けて用を成したとばかり、遠ざかるエンジン音が耳朶を打つ。
空港から遠路はるばる向かってきた、久しぶりのSPW財団テキサス本部。その入り口に一ノ瀬志希は立っていた……のだけど。
「なーんか、えらく静かだね……」
去年一度招聘されて訪れた時は、遠くからでも喧騒が分かる程賑わっていたのに。今日の財団本部は、あの時の喧騒が嘘の様に静まり返っていた。
「悪魔の手のひら」なるものに関して、貴女の知見を借りたいの。
かつての恩師でもある教授に頼まれたから、遠路はるばる日本から来たのだけど。
(電話、出てくんないにゃあ……)
迎えに行くわよ、と昨日彼女は言った。
その彼女に先程からコールしてるけど一向に出ない。仕方なく「着いたんですけど、今どこにいますか〜?」とだけ留守電に残してまた後で掛け直すことにした。
不自然なのはそれだけじゃない。彼女以外の、例えば清掃員とか配達業者の人達までまとめて姿が見えない。
なんなのもう、と思いつつ痺れを切らし、試しに門扉を押してみると。
「……あれ、開いてる」
……普段は厳重に閉まってる筈なのに、何故か今日に限って開いていた。
不審には思ったものの、入り口横の警護室までいけば誰かいるのでは、と思考を変換。そっと歩みを進めて声を掛ける。
「守衛さーん!いますかー?」
しかし、やはり返事は梨の礫。英語でも話しかけたが、一々これでは埒が開かない。
私物のiPadに昨日送られてきた、広い館内の見取り図を見ながら。
「……とりあえず、入ってみよっかな?」
頼まれごとを終わらせないことには気持ち悪いし、大事な時期だからなるはやで日本に帰ってレッスンの続きだって受けたい。付け加えれば、今日は久方ぶりに会う恩師に近況報告だってしたい。
勿論不審感も警戒心もあったが、逸る気持ちがそれを上回ってしまった。結局、エントランスの閑散とした有様を訝しがりながらも、彼女は財団本部内へ脚を進めることにした。
……屋外から死角になる本部入り口警護室に設置された、テーブルの真下。
そこに苦悶の表情を浮かべた守衛の死体が横たわっていることに、終ぞ気付かぬまま。
☆
カツン、カツン。ローヒールを履いた志希は、リノリウムの床の上を一人歩む。同時に抱くのは強烈な違和感。原因は。
「ここまで、誰もいない、って……」
前回来た時に案内された場所は全て覚えている。よって苦もなく目的地の1F受付ロビーまで歩みを進めたが、しかしコンシェルジュには誰もおらず。据え置きの呼び鈴を押しても一人も来なかった。
痺れを切らしてスタッフオンリーの控え室に赴くも、何とそこももぬけの殻。すわ夜逃げでもしたのかと勘繰ったが、日本にある某総研すら上回る規模の大財閥の本部研究所がそんなことするわけがない。
ならば別の階に、とばかりエスカレーター、およびエレベーターフロアに行くも。
「……送電、止まってるし」
エレベーターはボタンを押しても無反応。エスカレーターは停止中どころかシャッターが下りている。ついでに冷暖房も効いてない。
……でも、通路のところどころにある、採光のための最低限の照明は付いている。ということは。
(恐らくは、内部の非常用電源に切り替わってる……)
落雷でブレーカーが落ちたとか、変電所で事故があったとかそんなところだろうか。しかし、それでは電気は兎も角、この伽藍堂の説明がつかない。
(まさかあたし、日付間違えた?)
急いで現地時刻の訪問日を再度確認。……合っている。今日この時間で間違いない。加えてここの財団の休館日はクリスマスとイースターしかないから、平日やってないなんて本来有り得ない。
もし大規模な電気工事や社員のストライキの最中なら、ゲストの志希にも連絡が行くだろう。ここに来て、志希の警戒感は右肩上がりだった。この状況、間違いなく普通じゃあない。
(一応、州警察とそれから……ジョースケにも連絡しとこう)
思うなり、スマホでまず911をタップ……しようとして。
「……嘘、圏外……!?」
何故?電波塔は行く道中で見かけた。外では通じた。ならば通信トラブル?このタイミングで?
電話は通じない。指定された場所は人っ子一人いない。しかもこのテキサス本部は、セキュリティを考慮し半径10km全土が財団の私有地である。周りには民家も会社もない。あるのは財団所有の駐車場や道路くらい。
陸の孤島と化した館内で、彼女は奇しくも八方塞がりになってしまった。
何時もならばここで足を引き返して、外から連絡を入れただろう。しかし彼女が、恩師との急な連絡途絶が、この若きギフテッドを引き留める。
(……こうなったら、指定されたB3F実験棟まで直接行こうかな……)
そこは教授が書類ついでに「あるものを見せたい」とメールで言っていた場所。確かあそこは外付けの非常階段をつたって行けた筈。
決めたら兎に角、一直線に場所を目指すことにした。何処と無く淀んだような、何か物騒なニオイを嗅ぎ取った気がして、このままじっとしていると気が滅入ってしまいそうだったから。
……悪い選択肢ばかり二度も選んでしまったことを、やはり気がつかぬままに。
☆
ここも、やっぱり非常電源だけ、か。
やはり外付けの非常扉を抜けて降りた、その先。SPW財団テキサス本部、研究棟地下3階。
以前来た時は煌々としたLEDライトの照明が眩しいくらいだったそこも、今は頼りない非常口と消火器の灯りくらいしか、通路を照らすものがない。
(……う〜ん、この階の突き当たりまで調べて、それで誰もいなかったらもう帰ろう。最悪歩いて隣町まで行こう)
退却の目安を設定しながらも、非常に薄暗い道中をスマホの懐中電灯機能でなんとか照らしながら進む。目標は第一実験室だ。
辺りを見渡しつつ、思案しながら歩いていると。コツン、と。何やら妖しげな瓶が、丁度足元にぶつかった。思わず手に取り拾ってみる。
(ん〜と……『Cell of the "CARS"』……?なんだろ、コレ……?)
それはやけに煤けた、軽く半世紀くらいは前の物とも見える空のガラス瓶。中身は入っていなかったが、貼り付けられた色褪せ気味のラベルにはそう記されていた。
右上に添えるように赤文字で「TOP SECRET」とも判が押されていたので、社外秘の薬品サンプルでも入れてたのか。尤もそんな大事なビンが転がってるのもよく分からないが。
さて、そうこうしてるうちに。
(……あった!第一実験室)
辿り着いてすぐ様ガチャリ。一目散にドアノブを捻ってから目に入った、内部は。
(…………何、この状況……)
───内部は、まるで局地的な竜巻にでも巻き込まれたみたいに酷く荒れていた。
床に散乱した書類。何かを探し求めたかのように滅茶滅茶に荒らされた薬品棚。ひしゃげたパイプ椅子に割れたディスプレイとモニター、引き千切られたケーブルに焦げたコンセント。叩き割られて四散した無数のビーカーやアンプル、フラスコ。
どう繕っても、整然とは程遠い光景が其処にあった。
おかしい。夜逃げなんてレベルじゃあない、こんな、まるで何者かの
彼女の警戒心はココに来て一気に高まる。即座に民間警備会社や警察やらを呼ぶべきだ。……いや、スマホは圏外だったか。
(そうだッ、非常用内線電話……!)
これなら、電源は生きてる。
飛びつくように入り口脇に備え付けられた受話器を拾って、エマージェンシーボタンを押す。程なく館内の備え付け電話全てにコールが掛かりはじめ、各階、各部屋からジリリ、ジリリとサイレンにも似た音が木霊し始める。
流石に気付くはずだ。誰か、いたら出てくれと。……しかし、待てど暮らせど一向に、誰も出ない。
(……やむを得ない、か)
仕方なく研究室を出て次の部屋へ行くことを選択。兎にも角にも、恩師たる教授の安否が気掛かりだったのだ。
この地下三階の部屋は四つ。トイレが一つと多目的に使える実験室が二つ、そして劇物の保管室が一つ。残る三つの部屋を順繰りに回り、そして最後に最終目標である廊下の突き当たり、保管室にまで赴く。
そこにある、「危険物保管庫」と銘打たれたドアをゆっくりと押してみた。
(!開いてる……!)
やはり、おかしい。
通常、劇物を大量に保管するエリアでは人の有無に関わらず、厳重な電子ロックだけでなく、物理ロックも掛かってて当たり前。早い話が南京錠やらディンプルキーの類が、ここにはないのだ。
自分の記憶では、財団もこれに虹彩認証やら指紋認証やら組み合わせた多重ロックを掛けていた。そしてこのテの倉庫の原則は、開けたら出る時、
つまり、保管庫の解錠がされっぱなし、ということは。
(施錠する余裕がなくなるような緊急事態が、起こったってこと……!?)
そして。高まった警戒心を最大限とする要素が、隙間から少女の鼻腔に到来した。
(これ、……血の匂い……!?)
それも、かなり濃い。赤血球を構成するヘモグロビンが含有する、錆びた鉄のような匂い。それが部屋の中から、彼女の元まで漏れてきていた。しかも。よく見れば血痕は床から、正確には先程志希が入った第一実験室から、一本線のように跡となって続いていた。
殺人、テロ、或いは銃撃?銃社会の只中にいるのだから、どれがあったっておかしくない。
若しくは怪我人がいるかも知れない。この調子ではもしかしたら一刻を争う事態かも。
ええいままよ、とばかり嫌な匂いの立ち込めるドアを、静かに開けると。
ジリジリと尚も非常ベルの音が鳴る、部屋付の内線電話。
そしてその人は、薄暗い背後からでも分かるくらいの赤い髪色と、血に混じって微かにわかる、志希にとって非常に懐かしい匂いを持っていた。間違いない。蹲ってはいるけれど、一年ぶりくらいに会う恩師だ。
「
予期せぬ久しぶりの対面に、志希の声は気色ばむ。
でも。普段なら気付けた筈だ。明らかに不審な状況下、普通なら妙齢の女性がこんな場所に長居はしないのに。
ずっと感じていた不安と心細さに、この時ばかりは再会の喜びが勝ってしまったから気付けなかった。
「あの、こんなとこで何して……」
しかし彼女は。……いや、既に
かつての愛弟子の「声」ではなく、物体の位置を特定できるくらいの「物音」に振り向いた。
「……るん、です、か…………!!?」
恩師の顔を久方ぶりに見た志希は、そのあまりの変貌に息を呑んだ。記憶の中の、美しかった彼女の顔は。
…………焼けて爛れたように、半ばから溶けていた。
全身は青紫色に変色し、桃色の歯茎は醜く露出し。高い理知を湛えていた筈の眼は白眼を向き、その焦点すら合っていない。
才色兼備と謳われた美人教授の面影は、最早何処にも残っておらず。しかし首元のペンダントは、彼女がいつも掛けていた物で。
デコルテが覗く本来なら艶めかしいはずの首筋には、噛まれたような痛々しい二つの穴が存在していた。
「……先生……?」
誰何にソレは、その生き物は呻き声をあげながら近づいてくるだけだった。
着込んでいる白衣は血塗れ。極め付けは、彼女の周りに放射線状に広がる大量の血。張り付くように乾いたそれは、流れてからの時間の経過を裏付ける。
もし彼女一人のそれならば、既に人間の致死量を超えている。ア、アと呻きながら、涎を垂らして近寄ってくる姿は、まるで。
(……ゾン、ビ……!?)
それは、果たして恐怖からか戸惑いからか、現実からの逃避か。
「ちょっ……」
彼女に向けて伸ばした左手を、思わず志希は小さく
余りといえば余りに俊敏な動きを、ソレは示した。
「…………!」
声の出処へ口腔を開け迫って来たかと思うと、尤も手近なところにあった、志希の薬指と小指を。
☆
「嫌ぁァァッ!!」
突き刺すようなソプラノの悲鳴。出どころは自分の喉から。押し寄せてくるのは筆舌に尽くしがたい激痛。
万力がごとく強引に引き裂かれた、二本の指。本来あるはずのモノが、そこに無い。
生まれたての子鹿みたいに震えながら、欠損した左手を抱え込むように右手で支える。
断面からはねじ切られた表皮とピンクの筋繊維がマーブル柄のように覗き、無理矢理切断された指の骨が変形してはみ出ていた。傷口全体から間欠泉のように血液が吹き出し、溢れたそれは瞬く間に床を真紅に染めていく。
何で、どうして、貴女が。混乱と苦痛とが目の前のソレから何とか逃げなければ、という思考、更に足の動きすら鈍らせる。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚。凄惨な拷問に匹敵する唐突で、理不尽な暴力が齎す余りの激痛は、冷や汗と嗚咽すらも齎した。
「……痛ッ…………あッ、う…………!」
立てない。出てくるのは苦悶だけ。みっともなく床に這い蹲り、地べたに顔を擦り付けて只々呻く。涙が二筋、頬を伝う。
そもそも指は通う神経が多く、爪を剥がされただけでもかなりの痛みを伴う。古くからスパイの尋問でも爪剥ぎは用いられたくらいだ。
それが、爪どころか指ごと持っていかれた。転げ回って失禁していないだけマシだろう。普通なら失神してもおかしくはない。
焼け火鉢を押し付けられたみたいな熱さを持つ左手は、もう正常には機能しないことが瞭然だった。
「ゔぇ……ぇッ……ゲホッ、ゲホッ……」
嗚咽が気管に入ったのか、降って湧いたように吐き気まで込み上げる。咄嗟に無事な方の右手で口を押さえて、喉元まで来かかってる胃酸を何とか堪える。
その間もボタボタと、尚も患部から血液の滴る音が絶え間なく耳に入る。さながらソレは、絶命までのカウントダウン。
怯えながらも必死で視界を上げると、ぐちゃグチャと。まるでチューインガムでも噛むかのように、狂気そのものの外見をした屍人は、舐るように引きちぎった人の指を咀嚼していた。
(齧ってる?……いいや違う、指を、
人肉食。近親相姦と並び人の侵してはならぬ禁忌を、目の前で見せ付けられるおぞましさ。
待て、と。そこで更に恐怖がこみ上げる。人を喰べる生き物が目の前に居る。なら、アレを食べ終わったら、続きは。
(……逃げなきゃッ!)
逃走ルートを仮定する。しかし薄暗く、負傷しているため走るのは不可能。それどころかつまづく可能性だってある。
ならば動きを止める?対抗手段が皆無だ。殺す?どうやったら死ぬんだ、コイツは?そもそも、まず手傷を負わせる武器がない……!
しかも。目を凝らしてよく見れば、血が滲んだ患部から紫色のシミのようなものが、腕全体を侵食するように徐々に広がってきていた。ドドメ色の生理的不快感を催すソレは、嫌な予感ばかりを増大させていく。
ゾンビ映画のお約束に倣うなら、この染みが回りきった時、じきに自分も
(…………嫌……嫌!!)
動かなければ死ぬ?分かってる。そのままじゃ殺される?分かってる。でも、逃げてもいずれ生きた屍になるのなら。
もう、どうしようもないじゃあないか。
頼れる
自殺さえ選択肢に入るような状況下、思わず目を瞑った時。
パン、と。乾いた銃声が一発、血生臭い中に木霊した。
「……だ、誰…………?」
蹲ったまま、音源である背後を振り返る。彼女の後方から突如として放たれた銀の弾丸。弾道の痕跡を追うと、それは動く屍体の眉間を綺麗に突き抜けていた。
「僕かい?SPW財団に今日、呼ばれた筈の者なんだけど……」
片手に持ったライト付きスタンバトンでこっちを照らすその男。
二、三度瞬きをしてもう一度よく見た自分の背後、約二〇メートルくらい後方に居たのは。
「非常内線の発信元を見に来たら、この部屋から悲鳴が聞こえたんでね。悪いけど勝手に邪魔させて貰ったよ。……それはそうと、日本語の抑揚これで合ってるかい?」
「貴方、は……!」
先程空港のタラップで別れた、不思議な前髪をした金髪の男性だった。
☆
「んじゃーあ、『噛まれた』ってので間違いないんだね?」
先程火を吹いたばかりのイタリア製傑作火砲、ベレッタM92Fに次弾を装填した男は、優しく彼女へそう問いかける。
沈黙したゾンビを放置して、最寄りの医務室に担ぎ込まれた後、部屋に残っていた麻酔と抗生物質の注射を受けた志希。現在は手早く患部に包帯を巻かれ、左手を包帯で吊った上で座らされていた。
現金なもので、理性ある人間の目と行動は不思議と彼女を落ち着かせた。しかも、彼からはどこか安心する懐かしさをも覚える。この感覚は。
(……ジョースケと、似てる?)
……いや、違う。どうみても別人だ。けど。
(この素早い適切な対処に、落ち着きよう……)
相当、荒事に手馴れてる。現に今も締め切った部屋の扉に銃を向けたまま喋ってるし、警戒を怠ってない。
「スパイ特定のための裏を取れたのが、『ロマノフの網』と同じくつい先程でね。でも……」
……一足、遅かったか……!
拳を握って歯噛みする男。一方の志希はというと。
(……スパイ特定?ロマノフの網?)
日本語なのに訳が分からない。辛うじて分かるのは、何かとんでもないことに巻き込まれつつあるということだけ。何より。
「アレは、何なんですか……?」
「……
来たぞ。連中だ。そんな彼の不吉なセリフの直後。まるで終末を告げる鐘の音が如く。ゴオン、と遮蔽された扉を叩く音がした。
……来たのだ、奴らが。会話の物音に反応して、外から。
「も、もう来た、の……?」
「どうやら、
「集まっ、て……!?」
「ああ。地下二階の会議室に集中してたよ。恐らく、殺された後
男が言うには、客を招いたのに誰もいないのを不審がって内部に侵入したら多量の死体を発見。物言わぬそれらを調べていた最中、いきなり彼らが
思わず
「アレが、あと何人も……!?」
「ざっと地下一階に二〇、二階に四〇。そして此処に一人。最深部の四階は分からないけど、もしかしたら」
「そんな……!」
しかしその後の彼の「ただ、
藁にもすがる思いで、この危機的状況からの脱出口を探していたからだ。何でもいい、何でもいいから。必死に目線を動かすと程なくそれは、
(……かなり古びてる、けど……)
恐らくは換気口、だろうか。高さはおよそ二メートル上、自分は自力だと無理だが手伝ってもらえれば入れる。間違いなく出口はあるから上手くすれば逃げられるだろう。しかし。
(待って。……この怪我で?)
正直、換気口を這いずっての移動など今の状態では無理だ。当然ながらダクトは狭い。人一人通れるくらいの隙間しかないから、彼に頼んで背負って運んでもらうなんてのも不可能。
…………あーあ。……しょうがない、かな。気付かぬうちに育っていた諦観の境地が、じわりと心にしみて行く。
「……装弾数って、後何発ですか……?」
「ン、全部であと三発だ」
牽制に何発か使っちゃってね。軽く述べられた言葉が、やけに心に突き刺さった。敵は合算して軽く六〇人以上いる。仮に彼がワンショット・ワンキルを達成してくれたとしても、明らかに足りない。
なら、足手まといでしかない自分は。
俯いて、一度唇を噛みしめる。発した声が震えてるのが、自分でもよく分かった。
「…………あたしは、置いてってください。ここに」
少女の形質は、かつてテロリストに殴られても自らの信念を貫いたあの時と何も変わっていない。
今は人間二人。脚だって多分この人の方が速い。自分は移動も覚束ない。
ならばせめて、彼一人は確実に助かるかもしれないパターンを実行すべき。それが現状一番良い選択肢で、且つ合理的な判断。
一息入れて落ち着いてしまえば、彼女の頭脳はいつもの通り明晰で、故に一瞬でここまで残酷な計算が出来てしまう。
しかし。思い詰めた彼女の眼前に居た男は、悲壮感などまるでなく。それどころかおもむろに立ち上がったかと思うと、優しく少女の肩を叩いた。
「一ノ瀬志希君、と言ったね」
そう。彼女の計算は、男が
「君は少し下がっているんだ。私も
扉から遠のくように志希に指示しながらも、迷わず前へと「一歩」を踏み出した男の行動が、イマイチ理解出来なかった。さながらこれから死地に赴く、果てなき無謀だろうにと。
……しかし、一人ならば既に
「『生きたい』という自分の心は、決して捻じ曲げてはいけないものだ。ましてや、キミみたいな若いうちから」
諭すように志希へと語る。土壇場でも慌てぬ年長者の余裕を見せつけたいのか、それとも生きることを放棄した達観か?……いや、違う。この男はどちらでもない。
彼女がかけられた言葉を考えあぐねる間、彼は何やら何処かへ電話をかけていた。イタリア語だったが難なく聞き取れる。こんな時でも変わらず機能する頭でヒアリングしたフレーズを、和訳すれば。
『ミスタか?……ああ、僕だ。大至急羽田行きの便の手配を頼む。急患だ。それと……ついに始めたみたいだぞ、連中。テキサスは既に壊滅状態だ、ネアポリスも気を付けろ。……間違いない。次の狙いは日本かイタリアだ』
手短に、それだけで会話は終わったようだった。しかし。
「……そんなこと、言われたって…………もう無理です、あたし…………」
こんなの、どんな医療を用いたって治りっこない。その前に、どうやってここから逃げるんだ。
銃を持った手練れがいると言えど、残りの弾は三発だけ。間違いなく限界はあるだろう。
しかし。スマートフォンをポイ、と放り投げた男は言う。確かに、それを治せる
ほら、やっぱりそうでしょ。だから貴方だけでもここから。口にしようとした時。
「……でも、東方仗助なら話は別だ。何、移動の目処は今つけたから心配しなくていい。てことでさっさと向かおうか、
澄んだ青い眼は何より雄弁に語っていた。希望を持て、夢を持て、と。さすれば人は何者にもなれるのだ、と。
手首の関節を景気付けにバキ、と鳴らした男は、彼女に背を向け敵へと向き直り。
「……そうそう、それからもう一つ」
自分の背中越しに再び言葉を投げた彼は、文字通り背中で少女に語る。
「君の持つその『優しさ』は、確かに例えようなく素晴らしい。しかし時として僕らには、『覚悟』に裏打ちされた『強さ』が必要な時もある。そして……」
言葉のギアを、一段高いところへ上げて。
「『覚悟』とは、心を殺して自己犠牲を肯定することじゃあない……」
白い革靴が地を踏む音が、フローリングの床に反響するに留まらず。イタリア製高級スーツの上着を邪魔だとばかり傍に脱ぎ捨てた男は、待ち受ける障害なぞ御構い無しに前へと進む。
艶やかな金髪を美しくたなびかせた彼は、一際激しく鋭く吠えた。
「『覚悟』とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開く事だッ!!」
叫んだ瞬間、吐き切った息を吸い込み前蹴り一発。安全のため遮蔽したばかりのドアを躊躇いなく蹴り飛ばす。
覚悟。それは天に召されし
そしてそれはメッセージ。才能溢れる若き芽へと向けた手向けでもある。
(若人の船頭役、今日だけ買って出ようじゃあないか)
瞬く間に入り口へ殺到してくる屍共なぞなんのその。この男の見据えるは、既にその三手四手先である。
(なあ、そうだろ?)
矢に射抜かれて極点に至った金色の幽波紋、名を。
「───ゴールド・
光り輝く、「黄金の風」。
・志希の恩師
次回で詳しく。
・ミスタ
仕事多くて大忙し。
・ブチャラティ
お元気で。
・トリッシュ
ヒロイン。
・ジョルノ
やっぱり多忙。
・《ゴールド・E・レクイエム》
「終わり」のないのが「終わり」。