────2020年5月4日
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……時間です。これより当部隊は本作戦任務遂行を開始します。
尚、本作戦の目的は「対象の護衛及び対象を狙う組織集団に対する牽制」です。よって本作戦において如何なる場合であろうとも必要以上の殺傷は許可できない、総員の日頃の訓練の成果とその奮戦に期待する…………以上です。
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横須賀鎮守府軍港第3埠頭、先程まで乗艦していた輸送艦である大隅にてまほと別れた零は言われた通り埠頭にて迎えの係員の到着を待っていた。
「とは言え……遅いな。何かあったのか?」
がしばらく待てども今後の行動を教えてくれる迎えの係員が現れない事に零は少々の不安を感じるが「そんな事もあるか」と思い直し暇つぶしにその先に見える第1・第2埠頭に停泊する第五戦闘護衛部隊と同様にイージス艦や大型正規空母を含む第一機動部隊所属の第一戦闘護衛部隊の他に航空戦艦に改装された伊勢や日向、軽空母の瑞鳳、駆逐艦の神風・松風を眺める。
「結局伊勢と日向の航空戦艦改装計画は大鳳や雲龍型建造の為に白紙にしたはずだが今になって航空戦艦化しているとは…………
わざわざ正史の伊勢・日向とは違い扶桑・山城と共に主砲を一基ずつ減らす代わりに41cm砲に換装できるようにして第2次大戦中には不足していた砲火力・装甲・速力を強化したというのに、そこで敢えて装甲と砲火力を削って中途半端な航空戦力を付け足すのは正直悪手でしかない。ただでさえ日本初の超大型装甲空母である大鳳とその廉価版の装甲空母雲龍型の建造・配備で一杯一杯であるところに改造資材や搭載機に搭乗員・整備士を割くのは究極の無駄、浪漫でしかなかったのである。
「沖田零さんですね?」
大戦中の苦労と苦悩、金もなければ資源もないが海洋国家なのに大陸への戦力提供や派兵もあって海軍ばかりになけなしの金と資源を注ぎ込むにいかなかった過去となんでそんなところに資源を注ぎ込んだんだ?と疑念を感じずにはいられない現在の伊勢と日向を複雑な感情を胸に眺めているといつの間にか零の下へ1人の女性がやって来ていた。
「ええ、自分がそうです」
「ではこちらへ、目的地まで案内します」
零と似た黒のスーツ姿の女性は零を埠頭から離れさせようと行く先に手を向ける。その手の先、倉庫街の方へと先導しようと歩き出した彼女に続こうと零もまた歩き出したその時、埠頭の付け根に当たる場所にはごく最近見た事のある深緑色の制服に身を包んだ茶髪1人の女性が立っていた。
「そこまでです、
「…………」
「……来訪直後の
深緑色の制服すなわち陸軍の軍服を着た女性はスーツの女性に向けてそう警告を発する。そしてその警告の内容から察するに一触即発の雰囲気と途轍もなく嫌な予感を感じ取った零は
「…………いいでしょう、今回は我々に落ち度があります。ですがお忘れなく、我々は日本という国家の味方であり国民の敵ではありませんが軍部の味方でもない事を」
「…………肝に命じておきます」
そして火花の散らし合いを続ける事数分……いや、実際の時間にしては十数秒にも満たない短時間ではあったがその張り詰めた緊張感の所為か実際の時間の数倍の長さを体感させられる事となったが結局は
「…………とりあえず間に合って良かったです。改めて確認しますが貴方が沖田零さんですね?」
しかしだからと言ってその場に突っ立ったままでいる訳にもいかない為軍服の女性は零に一応の確認を取る。つい先程、相手は違えど全く同じやり取りを行ったばかりで若干のデジャブを感じつつも役所勤めとは
「では行きましょう、また余計な邪魔が入ると厄介なので。車も用意してあります」
「ですが今のやり取りは」
「後ほど詳しく説明します。今は先に目的地に向かうのが一番ですね……」
そして歩き始めて数歩、零の目の前を歩いていた彼女は振り返る。
「そういえば自己紹介がまだでしたね、日本陸軍第11師団第11戦車大隊所属の西住みほ陸軍少尉です」
…………零は思わぬところで効果を発揮する己の運に頭を抱えたくなった。
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日本横須賀海軍鎮守府を軍が用意したらしい黒い乗用車(運転手付き)に乗った零とみほは今、深海棲艦による首都爆撃により破壊されたが先日ようやく全線復旧が終わったばかりで現在は軍に接収されて時折軍用車が通る東京首都高湾岸線上を走行していた。
「なるほど……なかなか面倒な事になっているようで」
「そうですね……確かに面倒な事にはなっています。かく言う私も来訪者事案に関わったのは今回が初めてなのでよく分かっているとは言い難いですが」
そしてその車内では先程あった軍と公安の睨み合いについて現在の日本の状況と来訪者について各機関で決められた協定のようなものについての軽い説明が行われていた。
「あれは……空母?」
そんな中、横浜ベイブリッジを渡り東京湾の出入り口に近い位置にある大黒パーキングエリアを通過した零らを乗せた乗用車は東京湾を横断するように渡された大型橋『東京湾アクアライン』が一望できる地点に到達する。そこでふと、零が車外の風景を目に写した先にあったのはアクアブリッジの浮島側の橋台付近に擱座し打ち捨てられた1隻の空母であった。
「『愚者の空母』ですね。6年前の『大海戦』の時に壊滅的打撃を受けた米第7艦隊で大破自走不能に陥った残存艦艇を偶々最寄りかつ唯一艦隊の体を保ちつつ撤退していた日本海軍の第一機動部隊により日米環太平洋安全保障条約に基づいて曳航、その中でも横須賀米軍基地に停泊させられ入渠直前だった『CVN-75』ニミッツ級8番艦 オーバー・ザ・レインボーが一部の過激派在日米軍兵と在日外国人によるテロ組織により強奪されたが機関始動直後に深海棲艦の爆撃隊による空爆が集中、回避運動中に操艦を誤り東京湾アクアラインに艦首から激突座礁した『アクアライン事件』の結果と成れの果てです」
橋台で右舷抉り乗り上げ左舷に大きく傾斜した黒焦げに割れた
「だが何故空母を奪えたんだ?それに相手は原子力空母、いくら海軍軍人が反乱に加わっていたのだとしても停止した原子炉がすぐに操作出来るとは思えないが」
「………横須賀米軍基地の上層部の一部が
「…………」
上がグルなら下の一派もまたやり易かっただろう、偽命令・情報操作・日本政府や軍だけでなく本国の政府や軍に対する偽装工作も将官レベルの内通者がいれば格段にやり易くなる。なんせ佐官以下と比べて将官は権限の規模と信用が違う、それも国外派遣軍の将官ともなれば本国で皮椅子に座って書類にサインしているだけの将官と比べて更に高度な権限を有しておりいくら予防措置があろうとも物理的に本国からの監視の目も届きにくい。特にこのような非常事態の時は特にそうである。
因みに何故そこまで原子力空母の入渠が遅延したのかと言うと先の本土爆撃の際に大型入渠ドックを灰にされた米軍との艦体修理と原子炉からの燃料撤去の協議で米軍が日本側の主導で行われる事に渋った事で実施が遅れた為らしい。
「で、過激派はどうなったんですか?日本が鎮圧を?」
「いえ、ケジメとして在日米軍穏健派が指揮下にあった海兵隊を送り込み一掃……殲滅しました」
「殲滅⁈」
「はい……まだ米兵単体での蜂起ならばまだ日本や在日米軍上層部もここまで強硬策は取らなかったでしょう。しかしそれに関わった勢力に他国の外国人テロ組織がいた事が大きな問題になりました」
「……米軍とテロ集団との関連を否定する為か」
「はい、事件発生直後日本政府は在日米軍司令部に対し今回の件を起こしたテロ集団との関わりを否定しその潔白を示す条件として現有戦力のみでの完全な問題解決を望んだからです」
近年在日米軍だけではなく世界各国に散った派遣駐屯米軍の信頼信用は現地派遣兵と現地民間で起こるトラブルの多発から下落の一途を辿っており米国政府・軍上層部は常に頭を痛めていた。だがそんな最中に発生したのが深海棲艦の出現であり、これにより海洋は一時的に封鎖状態に陥り、それを聞いた少なくない米兵達が本国に帰れないかもしれないと考えた結果、非行に走り犯罪に手を染めるなど規律が崩壊しかけ焦っていたところに今回の事件が勃発した事で事実上の規律の完全崩壊を目の当たりにした事で米軍上層部は強硬的な
「基地内部の一派はともかく空母の方はあの様でしたので陸と空から強襲し投降者を除く全てを射殺しました。監視目的で同行した陸軍士官曰くその攻勢は恐ろしく苛烈であり、後日米軍側から提出された報告書からは『これではまるで虐殺か粛清だ』とまで言われた程です」
「……やりかねないな、米軍いやアメリカなら。他人の事は言えないがあの国は面子と国益を重視し過ぎるきらいがある…………
みほの解説に零の脳裏に浮かんだのは
「しかしまだ過激派残党は残っています。在日米陸海空軍の中に、そしてこの国に」
確かに先の件の中で多くの過激派が射殺ないし投獄・本国へと更迭された、だがどうしても上手く地下に潜った奴ややり過ごした奴はいる。そしてそんな奴らは今、残党として何らかの起死回生の策を練り講じようとしていると思われていた。
「………ん?」
「……なんだ?囲まれた?」
車内が沈黙に包まれる中、先程窓から差し込んでいた春の陽射しがナニカに遮られ陰となる。それに気が付いた零が再び車外を見たのは車の前後及び右側には大型トラックが走行しており徐々にその車間が狭まっていく様子であり、ふと見た運転席のガラスが完全に内側を見えなくする黒磨りガラスである事に昔何処かの映画で観た様なシチュエーションに嫌な予感を覚えさせられる。
「っ!伏せろ!運転手もだ!」
「きゃっ⁈」
「うぉっ⁈」
そしてその予感は的中した。囲んだ大型トラックの荷台に開いた隙間より見えた黒光りするモノ、銃口が現れた事に気付いた零は射線から逃れる為に隣に座ってるみほの頭を抱え込んで扉の陰となる足元の隙間に隠れるとともに乗用車を運転している運転手にも隠れるよう指示を出す。それと同時にフロントガラスには巨大な亀裂の華が咲いた。
「っ白昼堂々こんな人口が多い場所で直接仕掛けて来るなんてっ⁉︎いったい何処の組織ですか!」
「怒るのも結構ですが死にたくなければ伏せていて下さい……一応防弾ガラスだったのか」
ビシッ、バシッ、と更に普通自動車のフロントガラスとサイドガラスにヒビが入るが特殊加工の施された防弾ガラスと防弾シートが貼られたガラスは破れることなく車外からの異物の侵入を防いでいる。が、しかしそれもいつまで持つか分からない。一応豊和 M1500の7.62mmだけでなく74式対物狙撃銃やバレットM82等の12.7×99mm弾の遠距離狙撃数発にも耐え得るだけの防弾性はあるものの至近距離から拳銃や小銃の掃射を受ければ貫通されない保証は無い、まあ使われないとは思うが爆弾や携行砲なんて使われれば言わずもがなである。
「とにかく逃げて下さい!
「しかしっ囲まれてますっ!無理にこじ開けたら大事故に」
「くっ、これが戦車だったまだどうとでもなったのに……」
現在進行形でガラスにヒビが増えていっている事もありいつ何時破られても致命傷を受けないよう扉の陰に隠れて弾を避けてはいるが運転手の兵士も隣に座るみほもまた手持ちにある武器は護身用の9mm拳銃がそれぞれ1丁ずつ、弾数は
「ですがどうします⁈軍用無線で救援と通報を流していますがこのままでは」
「それはそうですが……」
「だからって反撃に出ようものなら蜂の巣でしょうしね。……あ、前のトラックの後ろのハッチが開いた……後ろからあそこに押し込む気だな。アレ」
「それもそうなんですが……」
まさに八方塞がり、このまま黙って奴さんのやりたい放題をさせていたら車ごと何処かに誘拐されそうなのでみほも片手に9mm拳銃を抜いてはいるもののどうしようもなく零も奥の手を使う他ないかとも思うが残念ながら相手は銃口以外を全く見せてくれない為にどうしようもない。
────が、救いの女神とやらはいたようである。
『どうやらお痛が過ぎるようで……教育せねばならないようですね』
辛うじてヒビ割れの隙間から見えたのは3機のヘリとその側面外壁に塗装された中心に置かれたモップにそれに重なるよう置かれたホワイトブリムの意匠、その周りを囲うよう交差するのは手折った枝に咲く一輪に6枚の花弁を持つ桜あしらった
「あのエンブレムは
「メ……女中特殊部隊?」
見た事もなければ聞いた事もない、しかも部隊名的に絶対に軍所属の部隊ではない部隊の筈だが何故かヘリの開閉口より見える
『こちらチームD、首都高湾岸線の該当区間一時封鎖に成功しました』
『チームE、対向及び後続車両の退避完了しました』
『こちら「
『チームC、了解』
『チームβ、了解』
『チームα、了解。
『『『Yes,my Lord!』』』
『セイバー』を名乗る女性の号令と共に両サイドから構えられていたライフルが一斉に火を噴いた、まず上空を飛行するヘリの内の右側の一機の三丁はそれぞれ運転席の天板と防弾仕様であろうタイヤを無視して乗用車の右を走る車両のホイールを留めるナット部分をその奥にある動力を伝達する車軸ごと速射で蜂の巣にして粉砕し横転させ、それと同時に左側の機の三丁は弾倉丸ごと撃ち切る勢いで後方を遮っていた車両の動力伝導部である後輪車軸を速射粉砕し脱落させる。そして最後の1機である隊長機は驚く事に両サイドからロープを垂らして隊員が降下、しかも左右対称に振り子の様な振りを付けつつ構えた銃を車窓に向け掃射しながら左右から挟撃し膝で車窓を粉砕かつ中にいる人員をその勢いで強襲制圧するという最早正気の沙汰の外としか言いようのない一歩間違えれば即死である神業を披露して襲撃車両全てを片付けた辺り昔と違って部隊名は変わったようだが未だ零の記憶にある通りその衣装と人外っぷりは共に健在なようだった。
「にしても、うわぁ……折角直したみたいなのにまた直す所増えたな」
「え……今気にするところはそこなんですか?」
「当たり前でしょう?弾痕もですけど横転させられたり後輪をぶっ壊されたりしたトラックの所為で路面はかなり抉れてますしその上漏れた油に引火して現在進行形で損傷を受けてるんですよ?それにあれだけ
「まあそれも気にはなりますけど今はあの突入方法の事とか服装の事とか無事だった事の方が気になりませんか?」
「まあ……慣れてますんで」
「慣れってなんですか⁈いえそもそもなんで慣れてるんですか⁈」
襲撃車両が目前で停車した事や窓ガラスが亀裂で真っ白に染まって全く外が見えなかった為に停車した車外へと出た零とみほの2人は車両の残骸と敵兵だけが転がる正に死屍累々な事後現場とその上空から反撃に対して眼を光らせるヘリ、そしてそこから次々に降下してくる余りにも戦場には適さぬ姿───黒のロングスカートのワンピースにそれを彩る首元の
「沖田零様、西住みほ様、ご無事でなによりです」
そしてそんな風景を眺めていると2人の目の前に1人のメイドが現れる。首元のブローチが付いたリボンが1人だけ紺色ではなく紅色なところを見ると恐らく彼女が先程『セイバー』と呼称されていた女性でありこの部隊の隊長なのだろう、そんな彼女は零らの前に来ると血と硝煙香る戦場には似つかわしくない優雅かつ美しい一礼をした。
「何故私達の名前を貴女達が?」
「
「そんな………」
「それよりも早く此処を離れた方が良いのでは?
「っ……お言葉に甘えさせて頂きます」
「何故ここに?」というみほの疑念に「知ってましたので」とメイドは特に表情を変える事もなくあっけからんに答える。その上言外に「お前の役目と目的も知っているぞ」と
「あと、沖田様。御党首様より伝言をお預かりしております。『娘が世話になった』との事です」
「そ、そうですか……ではこちらからも『こちらこそお世話になりました』と伝えて下さい」
「承りました……と、そろそろご出発すべき時間です。まもなく軍と警察もここに集まって来ると思われますので」
そして零はメイドより受け取った伝言から護衛を依頼したのは七海ではなくその父親の方だと理解し、それに応じた返答を伝言に頼むが同時にどれだけ妹やその子孫達が自分が基礎を作った企業体を戦後より大きく巨大な組織に育て上げたのか、その片鱗を目の当たりにし「ちょっとやり過ぎじゃないか……?」と思わず頭を抱える事となる。
「では御二方、道中御気を付けて。次回の
が、それでも色々と悩まされる事は多々あったものの零達はメイド集団に見送られ十数分後、今度こそは無事に目的地へと到着する事となった。
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……数時間後、東京都郊外某所
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そこにはとある国の軍や諜報機関が偽名を使い設立した
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そもそも在日米軍過激派は元々の母体となった一派は深海棲艦出現前から存在しており今この場にいるような兵士達は出現後にそんな一派の誘導や囁きにまんまと乗せられた使い捨ての人材であり、本来ならばあのアクアライン事件の際にあらかた消耗される予定だった人間である。それが皮肉にも使い捨てられる予定だったヒラの彼らの多くは討伐隊の目から逃げ切り優秀だった使い捨てる側の幹部が軒並み基地と空母で射殺されたのだから笑うに笑えない、故に今回の作戦はとある者達の協力と助言を得て彼らが考えたものだが精神的に追い詰められた者ばかりの寄せ集めの烏合の集であるこの男達に団結力などほぼ皆無、そしてそんな者達の集うこの部屋の空気が一層悪くなったその時、その中の1人の男がある事に気付いた。
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しかし時既に遅し、部屋の空気が一層悪くなった原因であるダクトより吹き込まれた睡眠ガスは恐怖と極度の緊張による不眠症気味だった男達の意識を瞬く間に刈り取り昏倒させていく。即効性を重視した為にマスクなしでは多少人体に悪影響を与え下手すれば死、良くても後遺症が残るような劇物に近いガスを使ったのは許して欲しい。運が良ければ快眠だけですむ筈だし出来れば犠牲は無しにしたかったのもあるがそれ以上に、
「言ったでしょう?教育せねば……と」
暗闇から現れたのは数時間前、首都高湾岸線にて起こった
「こちら
そしてあらかた拘束のし終えた彼女達の中で指揮を取っていた『セイバー』は撤収準備に入る部下はそのままに無線で連絡を取っていた。
『こちら
「基地内で素知らぬ顔をして椅子に座っている黒幕のみですね?
『はい、既に証拠諸共
「顧客と依頼が増えるのは良い事です、ではさて拘束した捕虜は通報を受けてその内来る日本陸軍に任せて我々は
『ですがあの陸軍少尉に護衛対象を任せて良かったので?裏で居るのはおそらく………』
「『
『はっ、既に
彼女以外の隊員が全てヘリに乗った事を確認した彼女はその報告に満足気にヘリに乗り込みヘリの操縦手に対し次なる行き先、『横須賀米軍基地』への発進を命じた。
「了解、では此方は今から
「了解、発進します」
女中特殊部隊、それは世界最強のメイド集団である。掃除・洗濯,家事・家計等のメイドとしての基本的な事はともかく外交・戦闘・要人護衛に暗殺、そして諜報までもをこなす彼女達に眼をつけられれば表裏共に世界で生きていく事は事実上不可能である事を、彼女達を侮る者・知らぬ者達は名の知れた高級軍人が厳重に警備された基地内から突然失踪しいつのまにか本国でひっそりと人知れず高等軍法会議の後に軍人用の共同墓地の一角の住人となった事でその身に思い知る事となる。
メイド服のデザインは私の趣味です(唐突)……別に誰か絵にしてくれても良いのよ?ついでに絵が上手い人が女中特殊部隊のエンブレムも書いて頂ければもっと嬉しいです。ハイ。
補足メモ
▪︎4式自動狙撃銃(SR-1A3/Raven)
大戦中に開発配備された1式自動小銃の機構や思想を流用・参考にプレスの多用による部品数の削減や強度信頼性の向上が図られており3式との互換性を有したセミナオートマチック式狙撃銃として1944年に日本軍で制式採用された自動狙撃銃であり、現在もなお陸軍や女中特殊部隊では運用されている。またその基本構造は1式とほぼ変わらない事や高速連射・長射程を実現した狙撃銃である為その手本となった1式自動小銃の有効射程の短さを補う為に制式採用されてすぐに1式自動小銃のラインを流用した大量生産が行われ大陸・南方各前線に配備、多くの戦果を挙げる事となった。
また開発コードは『
※和製ドラグノフ狙撃銃
▪︎
1945年に日本軍にて制式採用された日本軍初の対戦車戦専用の大型狙撃銃。元々は夏海が個人の趣味と実益を兼ねて側だけ似せた対人ライフルで再現しようと思った物であるが、丸投げされた当時現場に対戦車狙撃銃の開発要請が下っていた事もありその内容が混合し謎の化学反応を起こした結果ガチの対戦車狙撃銃を開発し始め1945年に完成したオーパーツ。開発主任が7日7晩考え抜いた末に実現された夏海本人がどうしてこうなったと唖然とした代物。光学標準器を装備し出来る限りストックを木製でなくプラスチック製に置き換えた事で軽量化が図られている。
尚開発コードは『
配備され始めたのは大戦末期からであるがそれでも数々の戦場にて恐ろしいまでの猛威を奮い確認されただけで100以上の戦車がこれにより破壊されている。
※出典:PGM へカートⅡ
▪︎89式小銃(AR-3A7/Braiter)
大戦中に開発配備された1式自動小銃の強化発展版として1989年に日本軍で制式採用された自動小銃であり、御国重工製である為に当然の如く女中特殊部隊もまた標準装備として運用している。またその基本構造は3式とほぼ変わらず主な変更点は使用弾薬の変更点に伴う口径変更や高い制動性と良好な集弾性能を実現させる消炎制退器の大型化、更に新たに作成された89式銃剣だけでなく以前の形式の銃剣の着脱も可能となっている。
開発コードは『
▪︎
1974年に日本軍にて制式採用されたかつての対戦車狙撃銃に相当する大型の狙撃銃、通称
それ故に開発コードはその元となった銃の開発コードを受け継いだ『
※出典:PGM へカートⅡ
▪︎
4式自動狙撃銃、5式対戦車狙撃銃、74式対物狙撃銃に続いて4丁目に御国重工銃器開発部門狙撃銃開発部署が開発したセミオートマチック式の狙撃銃でありこの『SR-4A2/Ptarmigan』は女中特殊部隊向けに2度のカスタム及び改修を受けた特別仕様である。
これは仮想敵国であるソビエト連邦や同盟国であるアメリカ、欧州にて狙撃専用のセミオートマチック式の狙撃銃が多数開発されている事を受けて日本軍の要請の下で冨和・三蔆・御国が開発した狙撃銃の一丁。またその開発コードは『
が、しかし残念ながらその殺傷能力の高さや製造コストの高さから日本軍での制式採用は見送られたが代わりに同じ御国グループ内にある民間軍事警備会社であるオーダー・フェアリィ・カンパニーでは所属する各部隊の狙撃手に対し配備されている。
※出典:地球防衛軍5
▪︎UH-60Mi ゴーストホーク
女中特殊部隊がとある作戦に参加した際に色々あって
主なカスタム内容としてはローターとブレードに特殊な加工を施し飛行時の静音性が高められている点と特殊な塗料や外装版配置によりステルス性が高められている点であり、女中特殊部隊の神出鬼没さをより高める一因ともなっている。
▪︎
民間軍事警備会社 オーダー・フェアリィ・カンパニーが有する名を読んで字の如く女性かつ全員がメイドのみにより構成されているという世界的にも珍しい以上に世界で唯一の特殊部隊である。
また構成員全てが女性である事やその入隊条件は極秘であり全ては現地派遣の直接スカウトオンリーであるという謎の実態をしており、それ以上に特に注目を集めているのがその隊員全員が防刃防弾装備の下にメイド服を着用している事である。が彼女達がメイド服を着ているのは伊達ではなくその構成員全員が英国王室の雇用している侍従隊にも引けを取らない一級品の実力を保持しており、「メイド・オブ・オール・ワーク」の名の通り掃除、洗濯、家事、家計等のメイドとしての基本的な事はともかく外交、戦闘、要人護衛に暗殺、そして諜報までもをこなししかも任務達成率8割超えを叩き出してくる最強の万能メイド集団である………そして何故か全員の顔面偏差値はかなり高い。
もともとの女中特殊部隊の原型となったのは御国家に仕えていた女中集団の内で護身術等の護衛に特化した技術を持つ戦闘女中隊であり、これを過去に起きた伊藤博文暗殺や五一五暗殺テロ未遂・二二六軍事クーデター未遂等の大事に対する要人警護対策として御国夏海が裏から政府に働きかけ警察内部に創設された特殊警察警護隊とは別口で防備を固める為に規模拡張・資金投資を行い精鋭化し部隊を編成、各政界の重鎮に貸し出した精鋭戦闘女中隊とその発想から日本初の民間軍事警備会社「オーダー・フェアリィ・カンパニー」と現在の「メイド・オブ・オール・ワークス・タクティカル・フォース」が誕生した。
初代隊長は十六夜 咲夜、副隊長は篠崎 咲世子、メイド筆頭が菫野 紗夜