緋月昇は記録者である   作:Feldelt

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熱で1日遅れです。でもギリギリ21日!


旧42話 贖いと償いと

12月初旬。

緋月昇はようやく退院したのであった。

 

「寒っ...え、もうこんな時期なの...?」

 

6,7週間も外に出ていなかったらそうもなろうか...さて芽吹達にどう謝ったものか。

こういう時、何をするべきか...正直さっぱりわからない。だから俺は思いついた事をなんの前触れもなくやることにした。

 

数分後、大赦の迎えの車が来た。

 

「緋月君、退院おめでとうございます。」

「春信さん...来てくれたんですね、ありがとうございます。それで退院ついでにちょっとやりたいことがありまして。」

「ほほう...」

 

 

───────

 

 

「というわけで鰹を買ってきました。」

「待って昇君、いきなりどういうこと?」

「捌いてたたきにして余った部分はだしを取ります。で、味噌と煮干しを合わせて味噌煮干しラーメンを作ります。」

「ラーメン...!」

「てなワケで霊札で刺身包丁を作っていざ、調理開始というわけだ。」

 

春信さんに言ったちょっとやりたいこと。それは少し旬を過ぎてるが冷凍保存されている鰹を丸々一匹買ってきてたたきを作り、本来処分される部分でスープを取りラーメンを作る...流石に麺は市販の塩焼きそば用の麺を使うけど...

 

「そして並列して野菜炒めを作るのだが...誰か玉ねぎの皮剥いてくれねぇか?」

「だったら、私がやります、緋月先輩。」

「んじゃ、頼んだ。」

 

さて、あとはキャベツとピーマンと人参と...それに塩焼きそば用の味付け粉末をかけて炒めて...

 

「こいつをラーメンに少し盛って...」

 

などといろいろやっていき、最終的に弥勒、芽吹、雀、亜耶用の鰹のたたきとしずくと俺用のラーメンが出来たのであった。

 

「残り28人分は作れないなぁ...」

「中々酷なことをするわね...でもどうしていきなり鰹一匹丸々調理なんてし始めるのよ。」

「んー、快気祝い?」

「...それは私達がやるべきことじゃない...」

「冗談だよ。どの面下げて行けばいいかわかんなかったから胃袋掴みに来ただけさ...それより。芽吹、俺がぶっ倒れてた頃何があった?」

 

残りに28人をなだめてた芽吹に聞きたかったことを聞く。俺の本題はここからだ。

 

「何...って言われてもいろいろあり過ぎてどこから話したものか...というか私に聞くよりあの神官に聞いた方が早いわよ。」

「...それもそうか。」

 

芽吹からかいつまんで聞いた方が精神的には楽なのだけど、と思っていてもやはりそう思い通りに事は運ばない。

 

「...でも。貴方の転属は決まってるわ。」

「へ?」

 

頓狂な声が漏れる。

 

「でも詳しい事は神官に聞きなさい。私が知ってるのはそこまでよ。じゃ、いただきます。」

「...!これですわ!これこそ高知の鰹!」

「ラーメン...!いただきます...!」

「どうせだったらみかんも欲しかったよー。でも美味しそう!いただきます。」

「野菜炒めもありますよ。私が作ったわけではないですけれど...私もいただきます、緋月先輩。」

「...おう。...麺が伸びる前にまずラーメン食べてからだな、仕事の話は...」

 

 

───────

 

 

食後、片付けを終えた俺は神官から転属先を言い渡された。転属先は、讃州中学勇者部。

 

「...また、バーテックスが来ると。あいつらが戦うということですか。」

「その兆候はあります。貴方もそれは経験しているはずです。」

 

...やはり、奴らの再生はまだ続くのか...

 

「...わかりました。転属、受領しました。」

 

じゃあとっとと荷物まとめて...あ、夏凜に連絡入れないとな...確か勇者部の連絡フォルダ...あった、勇者部4()()の連絡先。あぁでも...

 

「サプライズにした方がいいか。」

 

そう思った俺はすたこらさっさと荷物をまとめ、再びの引越し準備を始めたのだった。

 

 

 




次回、第43話「勇者部よ、私は帰ってきた。」

感想、評価等、お待ちしてます。
あ、次回から勇者の章編です。

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