ゾロさん、あなたを愛してます!! 作:ぞろおし
旅行先から無事帰りました。
長らくお待たせいたしました。
どうぞ
「本当についたな、島に」
そういってルフィさんが感動したように言う
「何言ってんのよ、地図通り船を動かしただけじゃない」
呆れたようにナミさんはいいますが、実際ルフィさんの感動に共感してる私がいます。
なにせ、二人とも元々迷子だったらしいですから。
まぁ、そんなことよりゾロさんを起こしましょう。
「ゾロさんゾロさん、島に着きましたよ。起きてください」
ゾロさんどれだけ寝てるんでしょうか、一日の大半が船の上とはいえほとんどを寝て過ごしているのではないでしょうか?
声をかける程度では起きないので、肩をさする。
……服の上からでも分かるほどしっかりした筋肉ですね。
無言で肩をさすり続ける。
ふむふむ前運んだ時も思いましたが、中々鍛えている男らしい体つきですね。
「……何やってんだお前」
「ッ!!……………起こそうとしていただけですよ」
ゾロさんは訝しげにこちらを一瞥した後、船から降りて行きました。
あぁ、もう少し寝てても構いませんのに。
くわぁと大きく欠伸をしながら久方ぶりの地面を踏みしめるゾロさん。
かっこいいです。
ナミさんとともに船を海岸に固定したのち船から降りる。
ふう、久々の地面ですね、足場が揺れないというのはやはりいいものですね。
「とりあえず、ここら辺の海図とできれば大きな船を入手しましょう」
「そうですね、小舟ですと不安ですし」
「アリス、船って出せねぇのか?」
「出せるには出せるんですが、辞書登録してるのは事情があって出せないので……」
「ふーん」
「なぁ、さっきから気になっていたんだが、あいつらなんだ?」
ゾロさんは、海岸の先にある崖を指差し、こちらを覗き見している連中がいることを指摘する。
すると、崖の上にいる人たちは、悲鳴を上げながら逃げていった。
子供の声でしたね。
あら、よく見ると一人残ってますね。
鼻がやたら長いのですが、果たして鼻長族なんていましたかね?
疑問に思いつつみんなで眺めていると彼は
「俺はこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ!!!人々は俺を称え我が船長、キャプテン・ウソップと呼ぶ!!」
とまぁ、こんな感じで長鼻の青年、ウソップさんはこうして私たちを追い返そうと見え透いた嘘をつき始めました。
ナミさんには見破られルフィさんには大爆笑されています。
ゾロさんは呆れた様で興味なさげです。
そんな冷静なところも素敵ですよ、ゾロさん!!
どうやら彼は私たちをバギーの一味と勘違いした様子だったので、その誤解を解くと一気に安心した様子で態度を改めました。
……これで私たちが本当にバギーの一味だったらどうするんですかね?
あっさりと信用したウソップさんの様子に少し不安になりましたが、拗れると面倒なので何も言わないでおきました。
* * * * *
ウソップさんの案内で島のメシ屋にいくことになり、そこで今までの冒険の話などをしたりして、のほほんと過ごす。
代わりにウソップはこの島の状況や船ついて教えてくれた。
何でも持ち主は病弱なお嬢さんが船を持っているそうなんだが、病弱らしいのでここで船を手に入れるのは少し厳しそうですね。
私がそう言うとルフィさんが同意しました。
なんというか前々から思っていたのですがルフィさんの決断力はすごいですよね。全く迷いがないです。
「おお、もう時間だ。んじゃ、俺は行くところがあるからな。それじゃあな!」
そう言ってウソップさんは去って行きました。
「なかなか、元気のある方でしたね」
「そうだな、あれはあいつ気に入ったぞ」
ルフィさんに好かれるとは可哀想に……。
彼も麦わらの一味に入るのだろうか。いまいち記憶が曖昧ですから、はっきりとはおぼえていないのですよ。
そのまま4人で歓談してると
「ウソップ海賊団参上!!!」
ウソップさんと入れ違いになるようにして、三人の子供が現れました。
おもちゃの剣を片手に掲げて微笑ましいですね。ルフィさんも幼少期から海賊になりたいと仰っていたらしいのでこんな感じだったのですかね。
入ってきた子供たちはそれぞれ怯えたような表情を見せつつこちらを伺ってきます。
「なに、あれ……」
「さー、なんだろうな……」
ナミさんとルフィさんが疑問に思いながら彼らのほうを見る。
彼らは私たちを一瞥したあと、三人で小声で話始めました。
「?……!!、キャプテンがいないぞ?!」
「まさか、やらちゃったのか?!」
あぁ、この子達はおそらく崖の上にいた子ですか、キャプテンというのはウソップさんのことですね。
バギー一味と勘違いしたままでしょうから、救出しに来たのですか。
勇敢というか無謀というか。
「はー、美味かったな、肉!!!」
そういってルフィさんが食後の飲み物をゴクリと飲み、机に置く。
何を勘違いしたのかわかりませんが、なぜか子供たちは肉というのをウソップさんの肉と勘違いし慌てています。
可愛いですね、純粋無垢で。
「お前らのキャプテンならさっきな……」
ゾロさんがニヤついた表情で子供たちに語りかけました。
そんな表情もなさるのですね!ニヒルなゾロさんもかっこいいです!大好きです!!あぁ知らない表情を見るというのは心が弾みますね!!!
「食っちまった」
そう言ったゾロさんのユーモア溢れる冗談を間に受けた子供たちは絶叫してナミさんと私を見て「鬼ババァ〜〜!!?」と叫んで泡吹いて倒れてしまいました。
「失礼ですね、鬼ババァは私では無くナミさんだけですよ」
「アリス、ちょっと話し合いする必要があるわね」
しまった口が滑りました。
* * * * *
その後お説教を受けてると、子供たちが目を覚まして事情を説明することとなりました。
うう、口は災いのもとといいますが本当ですね、やはりドSな鬼畜です、ナミさんは。
時間だ、とウソップさんは口にして出て行きましたが、その事情を聞くとどうやら件のお嬢様は精神的にも弱っているようなので励ますためにウソをつきに行っているらしいですね。
嘘とはいえ、人を元気にする物語を紡ぐことができるとはもう少し彼と話をしてみたいですね。
私の体験した冒険記以外のオリジナル作品の執筆の参考になるかもしれません。
かれこれ一年前からウソをつきに行っているようなのでお嬢様は大分元気になっているらしいです。
それを聞いてルフィさんは
「よし、じゃあやっぱり、屋敷に船を貰いにいこう!!!」
とさっきとは意見を一転。
思い切りもいいですよね、ルフィさん。
ナミさんはやめようと声をかけますが、聞く耳を持たずお嬢様、カヤさんというらしいですね、のもとへ行くことになりました。
「それでは、ゾロさん」
「?なんだ急に手を出して」
「手を繋ぎましょう!!」
「………………」
「あぁ、無視して先に行かないでくださいよ!」
ナミさんのため息聞きつつカヤさんのお屋敷へと向かう。
* * * * *
子供たちに案内されつつカヤさんの屋敷に着きました。
かなり広いですね、掃除が大変そうです。
お金持ちなので使用人がいるからとのこと、流石セレブは違いますね。
かなり高い塀で囲まれており排他的に見えますが、中にはしっかりとした木々や色とりどりの鮮やかな花が咲いており温かい雰囲気である。
カヤさんのために庭師が丁寧に仕事をしてるのでしょう。
大切にされてるのですね、子供たちの話からも人柄の良さそうなお嬢さんらしいですし。
「こんにちはーーっ、船くださーーい」
そう挨拶するとルフィさんは門を乗り越えてお屋敷へ入って行きました。
「止めても無駄なのね」
「ムダだな。つきあうしかねェだろ」
「あいさつした意味あんのか……」
口々に感想を述べながらついて行きます。
子供たちよ、ルフィさんの行動に意味を求めても無意味ですよ。
私は関わり始めてそう長くはないですが、学びました。
悲しいかな、人間というのは慣れてしまう生き物なのです。
庭をうろつくと談笑してるウソップさんと、おそらく彼女がそうなのでしょう、ベットから上半身を起こしているカヤさんを見つけました。
カヤさんはウソップさんが話すたびに楽しそうに声を上げて笑っています。
微笑ましいですね、私もゾロさんといつかあんな風に談笑できるようになりたいものです。
カヤさんは一見元気そうに見えます。ウソップさんのおかげですかね。
「君たちそこで何をやっている!!!」
急に怒号が聞こえてそちらを見ると、メガネをかけた執事がやって来ました。
「困るね、勝手に屋敷に入っては!」
「クラハドール……」
なるほど、クラハドールさんというのですね。
ウソップさんは彼の登場に露骨に嫌そうな顔をしています。
仲が悪そうですしね、クラハドールさんも頑固そうですもの。
「俺たち船が欲しいんだけど」
「ダメだ」
ルフィさんの空気を読まない一言も一蹴、この人強いですね。いえ、当たり前ですが。
ウソップさんを見つけてこちらも露骨に嫌そうな顔したクラハドールさんはウソップさんと口論を始めました。
ウス汚い海賊の息子がお嬢様に近づくんじゃないと罵るクラハドールさん。
ウソップさんは海賊の息子なんですか。初耳です。いや出会って間もないのですから、当たり前なんですが。
ウソップさんはクラハドールさんの挑発を買い、クラハドールさんに掴みかかり、思い切り顔を殴った。
彼にとって、海賊である父は誇りなのでしょう。
尊敬する父を貶されて、ウソップさんは怒りを抑える事ができず、更に殴りかかろうとしたウソップさんでしたが、カヤさんの静止により踏みとどまる。
そして、売り言葉に買い言葉でもう2度と来ないと言って出て行ってしまった。
その様子を見て子供たちが怒り、そして何故かルフィさんも怒り始めました。
単純ですね、ルフィさん。
良い状況とは言えません、一度屋敷から出ますか。
そんな子供4人を(数え間違いではないです)連れて私たちは屋敷を後にしました。
「船は無理そうですね」
「よくよく考えたらお金もないもの」
「流石に見ず知らずの他人に船をポイと渡す人もいないでしょうし」
「そんなアホではなかっだろうしな、あのお嬢様も」
そんな会話をしつつ首根っこ掴みながら引きずり歩きました。
どうでもいいですが、なんで私がルフィさん担当なんですかね、ゾロさん!代わりましょう!
いえ、やはり2人でルフィさんを持ちましょう、共同作業です。えへへへ……。
あぁ、無視しないでください!
お二人とも待ってください、ちょっとルフィさんいい加減力弱めてくださりません!?
評価感想お待ちしてます。
頂くとやる気が湧きます