ゾロさん、あなたを愛してます!! 作:ぞろおし
どうぞ
さて、一通りお互いについて喋っていましたが海図はないままですし、漂流してる状態は変わっていません。
どうしますかね?このままどこかに辿り着くのを待つしかもはやできませんが
ボケーっと諦めたように三人で空を眺めていると大きな鳥が飛んでいました。
「美味そうだな、あの鳥」
「デケェなわりと」
「何鳥でしょうかね?」
「俺捕まえてくる!」
「?どうやって」
「お待ちください、ルフィさん鶏肉が欲しいなら」
「ゴムゴムのロケット!!!」
私が出しますので、と言い切る前にルフィさんは船を飛び出してしまいました。
「なるほどな……」
「……どうやって戻ってくるつもりなんですかね、いえ、やはりどうでもいいです。……やっと二人っきりですね、これからの海賊生活を続けていくと二人っきりの時間はなくなりそうですしね。」
「おい、何するつもりだ」
「近寄るだけですよ、そう逃げないでください」
「信用できるか!」
「……私を嫁にするともれなく国が一個に手に入りますよ」
「嘘つけェ!!というかいるかァんなもん!!」
ジリジリと寄るも同じ距離だけゾロさんが離れていってしまう。
一進一退の攻防を繰り広げていくと上空でルフィさんが鳥に頭を咥えられ、どこかへと連れ去られて行きました。
「は⁈」
「……こんなこと起こりうるのですね。『人生は小説より奇なり』とはよくいったものですね」
「ぎゃーー助けてーーーっ!!」
「あほーーーーっ!」
みるみる遠ざかっていくルフィさん目掛けてゾロさんが船を漕ぎ始める。
「ショートカット《双眼鏡》。……どこいくつもりなんですかね、あの鳥」
「一体何やってんだ、あのアホはァ!!!」
「あら、ゾロさん。前方に障害物ですよ」
「アァ?ん?!遭難者か、こんな時だってのに!!おいテメェら船は止めねぇ、勝手に乗り込め!」
「な!!なにぃっ⁈」
まぁワイルドですね、カッコいいですが。
引きそうな勢いで船を動かしましたが、ギリギリで三人が乗り込む。
「殺す気か⁈」
「こちらにも事情がありますので」
「お、なかなかの上玉じゃねえか、胸はちっと寂しいが」
ほう、こいつら言ってはいけないことを言いましたね。
━━殺す。
* * * * *
「あっはっはっはっー、いやまさか貴方方が海賊狩りのゾロさんとその奥さまとはつゆ知らず、申し上げありませんでした。」
「こいつは恋人でもなんでもねぇ、にしたってテメェらのお陰で仲間を見失っちまった、とにかくあいつのことだ陸でも見えりゃ自力で降りるだろ」
「照れなくてもいいんですよゾロさん」
「誰が照れるか!」
その後彼らをボコボコにして説明を求めると、自分たちが道化のバギーの一味で、海上目掛けで女に騙されてしまい、難破したそうです。
……沈んだままでよかったのに。
三人に漕がせていると港が見えてきました。
なんでもバギー一味がこの港町を占拠しているらしく、町には人気がありませんでした。
三人と別れルフィさんを探すことにしましたが、効率のため残念なことにゾロさんと手分けをして探すことにしました。
* * * * *
しばらく町を探し回っていると、小さな白い犬と会いました。
首輪を見るとシュシュと書いてあります。
「シュシュさん、麦わら帽子を被った青年を見ませんでした?」
そう話し掛けますがワンと答えるだけで特に何も分からなかった。
まぁそりゃそうですが、どうしたものですかね。
しばらく犬と戯れて待っていますと
「あらゾロさん!と……ルフィさんどうしたんですかその檻」
なぜかルフィさんは鉄の檻の中に入ってました。
「ちょっと捕まっちまった」
あははとルフィさんは笑っていますが、そもそも鉄製の檻の中でよく笑えますね
「はぁはぁ、もうダメだ血が足りん」
そう言ってゾロさんが倒れこみました。
よく見ると脇腹に深い刺し傷がゾロさんにありました。
「ど、どうしたんですか?ゾロさん、何があったんですか!」
「バギーにやられたのよ」
そう言われ、声が出た方向を振り向くとオレンジの髪をしたスタイルの良い女性が現れました。
「おう、航海士」
「よぉ航海士」
「誰がよ!!」
どうやら新たにルフィさんが勧誘した航海士だそうです。
ですが……
「私は認めません!!!」
「アリス?」
だって……
「だって、こんなスタイルが良くて性格の悪そうな女、ゾロさんに色目使うに決まってます!!!」
「誰が使うか!!!」
ぐぬぬぬ、歯噛みしてるとぽいと鍵を投げられました。
「はぁ、一応助けてもらったからね。お礼だけはしとくわ」
「……事情は分かりませんがありがとうございます」
鍵を受け取り、ルフィさんを檻から出す
解放されたルフィさんは諸手を上げて喜びをあらわした。
「出れたーーーーー!」
その後ルフィさんが女性、ナミさんというらしいです、に勧誘を仕掛けてます。
なんというか既視感ですね、ゾロさんのときを少し思い出しました。
……でも確か女性は2人仲間にいて1人は奇抜な色をしていましたのでおそらくこの方も仲間に入るのでしょう。
「なぁ、俺の仲間になれよ」
「いやよ、海賊の仲間なんて。そこの彼女も拒否してたじゃない」
「……いえ、別にいいですよ?ゾロさんに色目使わなければ」
「だから使わないわよ、それに何よ、その温かい目は?」
「いえ、別になんでもないですよ、ショートカット《消毒液》、《包帯》っと」
いえ、いずれ仲間になるのに抵抗しても結局ルフィさんの勧誘に負けると知っていますので……
ルフィさんの勧誘攻撃とナミさんのお断りの言葉を背にゾロさんの応急手当をしてました。
* * * * *
しばらくお店の前で喋っていると鎧を着て即席の槍を用意したおじさんがたっていた。
なんでもこの占拠された町の町長だそうで、シュシュさんにご飯をあげに来たようです。
町長さんにシュシュさんがなぜここにいるかについての説明を聞く。
なんでもこのお店は亡くなった飼い主さんの形見だそうで、シュシュさんにとっての宝物だそうで。
同じように宝物_麦わら帽子を持っているルフィさんは共感してるようです。
そうやって談笑していると、
ドゴォオオオンと家をなぎ倒し、砲弾が店を襲った。
「っ《壁》!!」
「きゃあああああ」
「うおっ!!」
私はとっさにゾロさんと町長さんをひき壁をだす。
すると街の拡声器から男の声が聞こえてきた。
『お〜い、麦わら〜〜〜出てこい!!』
なるほどこれは挑発ですかね。
後ろの町長さんがむくりと立ち上がった。
「無事か、皆?」
そういって町長さんは私たちを見渡し、無事を確認すると憤りをあらわにした。
「胸をえぐられる様な思いじゃ……。町を潰され! 住民を傷付けられる!!!わしの許しなくこの町で勝手な真似はもうさせん!」
まっておれ道化のバギー、みたいな事を叫びながら、穴の開いた壁から外に飛び出て駆けて行きました。
「熱い御仁ですね」
「そうだろ。おれ、あのじいさん好きだ」
「なら止めなさいよ! なんで行かせてるのよ!」
激怒するナミさん。ですが、
「無駄だな、あのおっさん死んでも抵抗するつもりだったぞ」
「ええ、言っても聞き入れてくれる様子ではなかったですね」
「大丈夫。じいさんは絶対死なせない」
麦わら帽子を手に取り、遠い目をして見つめながら言うルフィさん。
「バギーは、俺が倒す」
「……なんでそんなあっさり言えるのよ。相手は海賊よ?」
「俺達も海賊だ」
自身に満ちた表情でルフィさんがそう言った。
「それに俺達が目指すのは
「……私は海賊にはならないわ」
そういいつつ、ナミさんはもう決心しているように見えました。
「手を組むって言ってくれる?お互いの目的のために!」
「ああ。行こうか!!」
全員で拳を突き合わせ、歩き始める。
目指すはバギー一味へと。
読んでくださりありがとうございます。
ようやく一巻が終わりました。