ゾロさん、あなたを愛してます!! 作:ぞろおし
アリス「ゾロさん好きです」
ガンさん「お熱いね〜」
ゾロ「こいつ何者?」
* * *
思っていたより多くの方に読んでいただき驚いている作者です。
感想をいただき執筆速度が上がりました。
どうぞ
手料理
あれからゾロさんはずっと眠ったままであり、ダメ元で話しかけても応じてくれなかったのでキッチンを借りて料理することにしました。(ちなみガンさんがお昼ご飯を作ってくれました、おいしかったです)
料理は出来上がったんですが、さすがにいきなりゾロさんに食べてもらうのは勇気がいるのでガンさんに食べてもらいましょう。
そう思い甲板に出で操舵しているガンさんに料理を提供しようとすると
「いや〜さっきご飯食べたばっかりで満腹なんだよね。ごめんね、アリスちゃん」
そう言って断られてしまいました。残念ですね。
ガンさん丸っとした愛らしい体型をしており、普段の酒場での様子からまだ食べられると思ったんですが満腹ならしょうがないです。
……はてさて、一体どうしましょうか?
ふむ、と思案しているとそういえば私、ゾロさん、ガンさん以外にもこの船に乗っている方々がいるじゃないですか!
そう思い出し、私はこの船に乗ってから一度しか訪れていない大部屋、捕らえた海賊たちの部屋へと料理を片手に歩き出しました。
* * * * *
料理を海賊に振る舞うと悲鳴をあげながら倒れてしまいました。なぜか料理がパワーアップしてしまいました、悪い方向に。
ゾロさんに振舞おうと作ったため、難しそうな料理をやめスープを作り、古今東西ありとあらゆる滋養強壮に良いもの混ぜたので元気になると思ったんですが。
ガンさんがもうすぐ着くというので甲板に出たとところゾロさんがようやく起きていました。
ゾロさんを見る度に胸がときめくという感情を身をもって知る。
小説ではなんて陳腐な表現でしょうと思っていましたが体感すると素晴らしいものですね。
……そういえばゾロさんに少し疑問に思っていることがあるんですよ。
「ゾロさん、質問がありまして」
「なんだ電波女」
「いやですね、ゾロさん。電波女なんて遠回しにお呼びくださらなくても、アリスと呼び捨てにしてくださって結構ですよ。ええ、是非ともそうお呼びください」
愛称というのにも憧れますがまずは素直に名前を呼んで欲しいですね。
いえ、二人っきりの時は愛称がいいですかね。なにがいいでしょうか
「『あーちゃん』、『あーりん』、はたまた『ハニー』……パッと思いつくのはこれくらいしかないですね。ゾロさんはどの愛称がお好みですか?」
「おい、会話をしろ。質問ってなんだ?」
「え、あ、はい。……あの私たちって以前どこかでお会いしたことありますか?」
すごく胡乱げな視線を送られました。
いえ、別に口説くアプローチを変えたというわけではなくててですね。
最初にお会いした時は恋に落ちた衝撃できづかなかったのですが、どうも既視感があるのですよね。
どれだけ記憶を遡って見ても思い出せませんし、そもそも、もしも以前にお会いしたことがあるならその時に恋に落ちていたと思いますし。
私の勘違いですかね。
それにしても
「そんなに見つめないでください。て、照れてしまいます」
「見つめてねぇよ、呆れてんだよ」
「二人とももう着くよ〜。準備しな〜」
「はい、わかりました」
「はぁ……」
* * * * *
「それじゃアリスちゃん、元気でね」
「はい、ガンさんありがとうございました。島のみなさんにもよろしくお願いします。」
ガンさんが乗った船が遠くに行くのを見送る。
さて、それでは
「賞金首の明け渡しに行きますか」
「なんでお前までついて来ようとするんだ」
「未来の夫の仕事について行こうとしてるだけですよ」
「…………」
会話をしても無駄かと思ったのかゾロさんは無言で歩き出してしまいました。
まぁどちらにせよついて行くだけですし構いません。
ちなみに私は今海賊の方々を拘束した縄を持っていますので、なんというかはたから見たら奴隷商人のような出で立ちになっています。
そんな状況とゾロさんの強面が合間って道ゆく人々は視線を逸らし、避けて行きます。
……まぁ歩きやすいのでいいですけどね。
「ゾロさん、出身はどちらで?」
「…………」
「好きな食べ物は?」
「…………」
「誕生日はいつですか?」
「…………」
「血液型は?」
「…………」
「ズバリ、私のことどう思いますか?」
「…………」
ムムム……。徹底的な無視ですか。どうすべきですかね。
よくよく考えてみたら私全くゾロさんのことをしらないんですよね、愛する人だとういうのに。
知っていることは賞金稼ぎで『海賊狩り』という二つ名があり三本の刀を使う剣士であるということ。
あと身長は178センチ(目測)、大食いかつ酒好き(お昼の食事の様子)、意外と子供等に優しい?(島での様子を聞きました)、鍛錬をよくしている(私が料理をするためキッチンに行ってる間していたのをこっそり見ました)ということぐらいですかね。
ふむ、もっと知りたいですね、好きな人のことですし。
さて、どう話しかけてみたらいいものですか?
あーでもない、こーでもないと考えていると気づいたら海軍基地についていました。
……正直、私海軍に対して余りいい感情を抱いていなんですよね。
まぁお金は大事ですし、愛する人の仕事ですし、私情は抜きにしなくては。
さて、換金しますか。
* * * * *
基地に入り換金所の窓口へと歩く。
「私、賞金稼ぎの妻でして、賞金首の取引に来ました。」
ぐっとロープを引っ張り海賊たちを引き寄せる。
驚いた様子の兵士さんに視線で早く引き換えを、と促す。
「は、はい、照会させていただきますので、少々お待ちください」
バタバタと慌てた様子で数人の海軍兵が現れて海賊を連行していきました。
妻というのはすこし誇張した表現ですが時間の問題ですしね。
しばらく待っていますと最初に相手してもらった海軍兵がトランクケースを持って来ました。
「照会が完了しました。500万ベリーの賞金首 "青槍”のナーバンですね。こちら現金500万ベリーです。」
「はい、ありがとうございます。………はい、確かに確認しました。」
「それにしてもお強い旦那さんですね」
「はい、自慢の夫です」
「今日も稼ぎにどこかに行ってるんですか?」
「はい?旦那はこちらに……あら?」
近くにいるのに何を言っているのかしらと思い、あたりを見回すとゾロさんの影はどこにも見当たりませんでした。
ふむ、逃げられたんですかね?
ひとまず
「急用を思い出しました。失礼します」
パッとトランクケースを奪うように取り海軍基地をでる。
私からそう簡単に逃げられませんよ、ゾロさん!!!
* * * * *
海軍基地を出てすぐに懐から一枚の紙を出す。
ケータイもGPSもない不便な環境ですが、この紙はそれらよりも人探しという点では便利ですねよね。
私が取り出したのはビブルカード。この世界に存在する便利な紙で知人から譲っていただいたものです。
ビブルカード、別名「命の紙」。爪の持ち主の生命力を啓示する特殊な紙。一部を破りとって床などに置くと、カードの親紙の方に向かってジワジワと動いて行く紙で濡らしても燃やしても問題ありません。
初めてお会いし、押し倒した際(今思い出すと大胆でしたね、恥ずかしいです)、こっそり爪の切れ端をいただき混ぜて作りました。それを隠密にゾロさんに忍ばせてました。
カードが動く方向に進んで行くと町の一角にゾロさんをようやく見つけました。
相変わらずの凶相のせいか避けられていますね。
ふむ、なんて声を掛けましょうか、と迷っていると特徴的な髪型をした男性とリードも繋いでいない大型犬、いえ、あれは狼ですかね、まぁどちらにせよ放し飼いをするには些か獰猛そうな動物が現れました。
町の皆さんはそそくさと足早に避けていきます。
はて、注意しないんですかね?と傍観していると狼が近くを通りかかった女の子に襲いかかろうとしました。
「ひっ……!」
女の子は恐怖で腰を抜かしてしまったようで動けないようです。
危険ですね、ひとまず退治してから飼い主に注意しなくては。
私が口を開く前に、ゾロさんが走り狼を切りつけます。
狼から血が飛び、後ろへと下り怯えたように走り去っていきました。
さ、流石ゾロさんです、私の目に狂いはなかったですね!かっこいいです!!
キン、と涼やかな音が鳴り鞘に刀が納められる。
見た目は狂暴な様子ですが心はやはり優しい方ですね。やはり子供もお好きなのですかね、子育てもしっかりとしてくれるかもしれません。家は一軒家で海岸近くがいいですね、できれば沈む夕日が綺麗なところで。子供は2人ですかね男の子と女の子が1人ずつ欲しいです、いえもちろんゾロさんがもっと子供を望むのではあれば、やぶさかではありませんが。仕事から帰って来てゾロさんと私とゾロさんの愛の結晶である子供たちと幸せに暮らすのです。そのうち娘が結婚相手を連れて来たなら「お前に娘はやらん」とかゾロさんは言うんですかね。
えへへへ、と私が
お読みいだだきありがとうございました。
ちなみにゾロは逃げたのではなく迷子で、アリスがどこかに行ったものだと思っています。
次回はルフィを出したいです。