ゾロさん、あなたを愛してます!!   作:ぞろおし

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ちょっと展開早くしすぎたかもしれません。

どうぞ


夢の中

 

ああこれは遠い昔の話かもしくは夢なのだろう。

 

 

夥しいまでの本の囲まれた子供が手に取った本に目を通している。

 

「またこんなとこにいたんですか?」

 

がたりと部屋のドアを開けて1人の子供が入り込んでくる。

怒った剣幕で本を取り上げて怒鳴りつける。

 

「引きこもっていないで出てきてください。私が怒られますから」

「うるさい、今いいとこなんだから邪魔すんな!」

「またそんな言葉遣いして、怒られますよ」

 

座っていた椅子から無理やり立ち上がられせて、部屋の外へ連れ出す。

 

「おい、放せよ!やだ、行きたくない」

「駄目ですよ、お勤めです」

 

広い廊下に2人の声が響く。

ジタバタと暴れる小さな子供をもう1人が抑え込みながら、連行していく。

 

「知ってるんだぞ、お前がこっそり本を読んでんの!!」

「な、何を言って?」

「こそこそ書庫に入って行くのを見たんだよ」

「なぜそれを!?というかかなり遅い時間だったと思うんですが?」

「ふんっ!」

「あぁ、ちょっと待ってください」

 

腕から手を振りほどき走り出した。

逃げられた!と子供の表情がショックを受けたようなものに変わる。

タタタタと子供の足音が廊下に響いていった。

 

 

 

 

__これは昔の私と彼の物語

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

パチリと目を開けると綺麗な高い天井が目に入った。

……一体ここは何処でしょうか?

あたりを見渡すとふかふかのベットと高そうな家具に上品な壁紙。

……私なんでこんなところにいるのでしょうか。

確か私はクロと戦っていて、途中で執事をかばって……!?

 

「そうでした!ゾロさんたちは無事ですか!?」

「あんたねぇ、開口一番がゾロのことって……。いえ、アリスらしいけど」

 

ベットの脇には怪我のため包帯を手に巻いたナミさんが座っていた。

 

「海賊との対決はどうなったのですか?」

「あぁ、それはね……」

 

ルフィさんとウソップさんがいる方の海岸に海賊が現れたらしく、ナミさんと愛しのゾロさんが急行し、戦闘になったようです。そこそこの強敵や催眠術に困惑しつつ、なんとかたおしたようです。カヤさんが到着した頃にはほぼ片付いており、現れたクロも手負いだったので苦戦しつつも辛勝したそうです。

 

「よかったですね、ウソップさん、村も救えましたし」

「そうね、私たち以外の怪我人もいなかったからね」

「ゾロさんたちはどこへ行ったのですか?」

「町の飯屋で食事中よ」

 

なるほど、本当に平和が訪れたのですね。

私たちの頑張りも無駄にならずよかったですよ。

 

「それにしてもアリス」

「はい?」

「なんで一人でクロと戦ったの?」

「…………」

「私たち仲間でしょ、もう少し頼りなさいよ」

 

そう言って苦笑するナミさん。

そう、ですよね。私今一人じゃないんですよね。

 

「わかりました。ナミさん。なんというか、ナミさんからそんなこと言われるとは思ってませんでした。今度からナミさんにももっと頼らせていただきますね。……ところでナミさんここは?」

 

このフカフカのベットに、高級感漂う雰囲気。ここはおそらく………

 

「アリスさん、目を覚ましたのですね」

「カヤさん!」

「あら、もう動いて大丈夫なの?」

「はい、精神的なものが大きかったようですし、ウソップさんにも励まされたので。それよりみなさん、船が必要なんですよね?」

 

そういって照れたように微笑むカヤさん。

やはりここはカヤさんのお屋敷でしたか。

それにしても良い表情ですね。

むむ、これはウソップさんに惚れているのですかね?

顔が物語っています。恋する乙女は可愛らしいですね!

 

「え?うん、私たちこれからの航海のためにも大きな船が欲しいの」

「それでしたら……」

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

ルフィさん、ゾロさんと合流して、カヤさんと執事さん、メリーさんというのですね、に連れられて海岸へ行くと

 

「うおーーーっ」

「へぇ……」

「キャラベル!」

「大きいですね!」

 

目の前には羊の頭を模した船首の大きな船があった。

 

「名前はゴーイングメリー号。少々古い型ですが、これは私がデザインした船でして、ガーウェル造り………」

 

メリーさんが説明をルフィさんにしてくれますが、彼は理解できませんよ。

ナミさんが代わりに船の説明を聞き、動索の方法を教わる。

その間に私たちは船の中を探索する。

台所に大砲、それと念願の屋根付きの部屋。

こんなに良いものを譲っていただけるとは、感謝感激です。

 

「航海に要りそうなものは全部積んでおきましたから」

「ありがとう!踏んだり蹴ったりだな!!」

「至れり尽くせりだ、アホ」

 

そんなコントを繰り広げつつ空を見上げる。

綺麗ですね、なんて思うとは、感傷的になっていますね私。

昔の夢を見たからですかね。

ノスタルジーに浸っていると、坂の上からゴロゴロと何かが悲鳴をあげながら転がってきます。

 

「ぎゃああああ、止めてくれーーー!!!」

「……ウソップさん!」

「何やってんだアイツ」

「とりあえず止めるか、このコースは船に直撃だ」

 

ルフィさんたちはそういうと足を上げて転がってきたウソップさんを足の裏で受け止める。

ドスゥンと結構鈍い音したんですが、大丈夫ですかね

 

「わ、わりぃな」

「「おう」」

 

 

 

 

「……やっぱり海へ出るんですね、ウソップさん……」

「ああ、決心が揺れないうちにとっとと出て行くことにする。止めるなよ」

「止めません……そんな気がしてましたから」

「なんかそれもさみしいな」

 

2人のリア充感溢れる会話を耳に入る。

あーうらやましい。

いつか私もゾロさんと……。

船の近くで2人は別れの挨拶を交わして小舟に乗ろうとする。

 

「なにやってんだよ、ウソップ」

「あ?なにって船に乗ろうと……」

「何言ってんだよ、お前が乗るのはこっちだろ」

 

そう言ってゾロさんがゴーイングメリー号を指差す。あーーーかっこいい、尊い。

 

「俺たちもう仲間だろ」

 

そういってルフィさんはにししと笑う。

やはりルフィさんは強いですね。

 

 

 

 

ゴーイングメリー号は新たに加わったウソップさんと私たちを乗せて海岸を離れて行く。

 

「なぁ、アリス宴にしよう。肉出してくれ、肉!」

「あと酒もな」

「仕方ないですね」

 

にしてもゾロさんが私に頼むとはよっぽどお酒が好きなのでしょう。

お酒と肉を大量に出すと喜んで準備を始めるウソップさんとルフィさん。

 

ああ、賑やかですね。とても楽しいです。

さて、それでは本題に移りましょう。

 

「ゾロさんゾロさん!!」

「うお!」

 

ぐいっと近づき額どうしがくっつきそうなほど顔を近づける。

あぁ凛々しい顔がお酒のせいか少し上気してますね。可愛いです。

 

「ぜひ膝枕を!」

「は?!」

「約束しましたでしょう、戦う前に!!」

「?……あれか!」

 

思い出したようですね。証人もいるのです。

 

「ナミさん」

「ええ、そういえばそんな話もあったわね」

 

とニヤニヤしたナミさんと対照的に苦虫を嚙みつぶしたような顔のゾロさん。

くッ嫌がりますか、なら

 

「《金縛り》」

 

私がそういうとゾロさんの体がビシリと固まる。

ふふふ、相手と接触していればこうして動けなくできるのですよ。

多少の頭痛を我慢しつつ、ゾロさんの足を動かし、寝転がり頭を乗せる。

 

ああ、幸せです。

 

「あんたそれでいいの?」

 

苦笑いしたナミさんの声が聞こえますがこの幸福感の前では気になりません。

お酒で上気したゾロさんの顔を下から眺めながら言葉にできない感情に浸っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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