ゾロさん、あなたを愛してます!!   作:ぞろおし

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今回は三人称視点を含みます。
どうぞ


人殺し

 

薄く明るくなって来た空の下、目的地に向かって走る。

最悪な事態を阻止するには簡単です、クラハドール、否、キャプテン・クロを殺して海賊に晒せば良い。

 

少なくとも勢いは削がれるだろう。

……たぶん。

 

走っているとようやく屋敷に到着したのだ。

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

一方その頃、南の海岸ではナミとゾロが話していた。

 

「ねぇゾロ」

「なんだ?」

「あんたとアリスってどういう関係なの?」

「は?」

「アリスがあんたに好意を寄せてるのは見てわかるけど、理由っていうか、きっかけって何なの?」

「…………知らん」

「は?」

 

ゾロは初めて出会った状況を大まかに説明する。

 

「……やっぱり、あの子ぶっ飛んでるわね」

 

呆れたように頭を抱えるナミ。

初対面で一目惚れして押し倒したのか。

恋する乙女とは強い生き物である。

 

「にしても出身が北の海ね、どうやって来たのかしらね」

「さぁ?」

 

三人で話している時も自分については夢と能力以外特に何も語っていたなかった。

 

「一度元の仕事が何やってんのか聞いたんだけどよ」

 

 

『ゾ、ゾロさんが私に興味も持ってくれるとは!?これは結婚まで秒読みってことでよろしいですよね?そういうことですよね!!』

『違ぇよ!なんでそうなる!!』

『……そうですか、残念です。でも興味を持ってくれたことは事実ですよね!これは事実ですよね!?』

『……あぁ、もうそれでいい』

『ふんふん、そうですか!そうですか!それでは私の前の職業はっ!』

『…………』

『秘密ですっ!(ウインク)』

『…………(ガシ)』

『痛い、痛いですわ、ゾロさん。無言でアイアンクローしないでくださいな。いえ、やはりゾロさんから与えられたものはこの不肖アリス全て喜んで受け取り……あら、放すのですか?』

『……で何やってたんだ?』

『ですから秘密ですよ!女は秘密を着飾って美しくなるのですよ!!あぁそんな呆れた顔でため息つかないでくれますか?いえ呆れた表情も素敵です!!!』

 

とこんな感じではぐらかされたのである。

半分くらい本気で言ってそうではあるが。

 

 

「結局何もわからなかったのね」

「おう」

 

そうこう話していると、バンと音とともに遠くの空に赤い花が咲いた。

 

「反対側の海岸に来たのね!行くわよゾロ!」

 

 

島を守る戦いの幕が上がる。

 

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

「《トランポリン》」

 

目の前にトランポリンを出し、踏みつけて全力で跳ぶ。

塀を軽々と飛び越えて庭に着地する。

着地した目の前にはクラハドール、キャプテン・クロがいました。

 

「あら、探そうと思っていたのにあっさり見つかりましたね」

「……お前は昨日の海賊の」

「ええ、アリスと申します。あなたを殺す女の名前です」

「へぇ、ちょうど良い。時間を守れないクズどもにイライラしてたんだ。お前で憂さ晴らしさせてもらう」

「昨日とはだいぶ印象が変わりますね」

「あんな小娘に仕える必要があったからな」

「はっ!小悪党です、ねっ《ナイフ》」

 

虚空からナイフが生まれ、クロめがけて飛び出す。

 

「能力者かっ!」

 

手につけた五本の刀でクロは弾き、姿勢を低くしてこちらに駆け出す。

 

「《壁》《銃》」

 

遮るようにして壁をだして、迂回してからであろうクロに向けて照準を合わせようとするが、奴は現れない。

どういうことですかね?能力者ですか?いえ、それでしたら何らかの情報が賞金首だったということであるはず。

警戒をしていると

 

「ふん、便利な能力だな」

 

っ後ろ?!

気がついたら背後にクロが現れて私に向けて刀が振るわれる。すんでのところでその刀を避けるが、掠めたようで服が僅かに裂ける。

ゴロゴロと地面を転がり距離を取る。

危ないですわね。

にしても今どうやって後ろに現れたのでしょうか。

 

「よく避けたな」

「どうやって移動を?能力者ですかね」

「違うさ、これは抜き足。無音の移動術だ。こんな風にな」

 

そう言うと眼前から音も無く消えて私の横に現れる。

 

「《盾》っ!」

 

素早くだした盾を構えてるとガキンと金属同士が当たる音が聞こえて体が横に飛ぶ。今度はちゃんと受け身をとり、すぐに立ち上がる。

危険です、というか相性が悪いですね。

私の能力はこういった純粋に強い相手には弱いんですよ。力が強かったり、速かったりする相手は通用しづらいのだ。

 

「速いですね、厄介な」

「お前ら能力者のような人間も今まで俺は殺してきた。こうやってなっ」

 

そういってまたクロが消える。

あぁ、もうまた消えた。

ゾロさんかルフィさんにこの役目をお願いすればよかったです。

このまま押し切られる前に何か対策を取らねば。

 

防ぎきれずに腕が切り裂かれる。

とりあえず機動力を奪わなくては。

 

「《手錠》《ロープ》《ワイヤー》《アイアンメイデン》《檻》《牢獄》《籠》《壁》《鎖》《鉄球》」

 

虚空に拘束するための道具を次々と生み出すが、どれも避けられているようで全て空を切っている。

これだけ出しても捕捉しきれないとは本当にデタラメに速いですね。

っ!危ない!

体を逸らして頭を狙った刀をギリギリで避ける、ハラハラと私の金髪が舞う。

これだけ出しても避けつつこちらを狙えるとは。

なら

 

「巨大な《檻》」

「?!」

 

屋敷を囲うようにして巨大な檻を出して下ろす。

振動で僅かに体の体勢が崩される。

 

「ふふ、とりあえずここから脱出不可能ですね」

「貴様!」

 

おお振りに繰り出された刀を今度は避ける。

出どころがはっきりしてれば避けることなど容易なのです。

続いて

 

「《地雷》」

 

ずらりと地雷が床に並べられる。地雷といっても威力はだいぶ低めだし地面に埋まってもいないのだ。

これはクロの動きを制限するためのものである。

ふふ、ようやく足が止まりましたね。

 

「さぁ、蜂の巣になりなさい。《機関銃》」

 

眼前に出た機関銃が回転し始めて銃口が火を吹く。

クロが回避行動をとるがそれを追いかけるように銃座を動かす。

弾丸と地雷が衝突して連鎖的に爆発する。

柔らかな雰囲気な庭が跡形もなく吹き飛んでいき、原型が消えていく。

 

「クソが、デタラメしやがる!」

 

うわ、まだ生きているのですか、頑丈ですね!。

爆煙を武器で切り裂きながらクロが吠える。

瞬間また姿が消えるが、煙のおかげでクロの移動が目に見える。

 

「《ハンマー》っえい!」

 

刀を避けてカウンターでクロの土手っ腹にハンマーをぶち当てる。

ゴフッと空気が胸から出しながらクロが地面へと倒れこむ。

私のか弱い力とはいえ、高速で向かってきた相手に綺麗に入ったのだ、それなりのダメージだろう。

 

ぐらつきながらもクロは立ち上がり私から距離を取る。

ふう、これでようやく優位に立てましたかね。

 

 

「クラハドール!!!」

 

えっ!どうしてカヤさんがここに?!

いえ、愚問ですね、ここは彼女の屋敷。彼女がいるのも当然ですか。

 

「メリーから全部聞いたわ」

「………ほう、あの男まだ息があったのですか」

「っ!!」

 

カヤさんがその言葉にショックを受けた表情をする。

 

「カヤさん、逃げてください!ウソップさんが海岸にいます!」

 

私の言葉にハッとしたような顔をして駆け出す。

檻を消して逃げ道をつくる。

牽制するように機関銃でクロとカヤさんの間に打ち出す。

さて、カヤさんを守りつつ逃げなくては。

 

「お、お嬢様、お逃げください!」

 

そういって血だらけになった執事が屋敷から出てくる。

大人しく屋敷に引きこもっていればいいものを!!

チッと舌打ちしたクロは執事に向けて刀を向ける。

その執事とクロの間に割り込むと私の体を凶刃が深く引き裂いた。

 

 

 

 

 

……ああ全く他人のために体をはるとは私もバカですね。

体から温かいものが流れるの感じながら意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 




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