ゾロさん、あなたを愛してます!!   作:ぞろおし

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初めまして、梅木空です

ノリと勢いで書いてます、見切り発車です

どうぞ


プロローグ
一目惚れ


 

 

短く刈った緑色の頭髪

 

左耳に輝く金色ピアス

 

筋肉質な体つき

 

意思の強そうな三白眼

 

彼が振るう三本の剣により舞い散る血しぶきの中、私、フローレス・アリスは名も知らぬ彼(ロロノア・ゾロ)に恋に落ちた

 

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

目をさますとそこは見知らぬ天井でした。

ゆったりと体を起こすとどうやらここは誰かの家らしく、少し開いた窓から暖かな日差しと柔らかな風が吹いていた。

いい天気ですね、と目を細めベッドから起き上がり、外に目を向ける。

微睡んでいるとドアがゆっくりと開き小さな女の子が部屋に入ってきた。

 

「あ〜、お、おとぉーさん、お姉ちゃんが目を覚ましたよ!」

 

と元気に叫んでバタバタと走りさっていった。

さて、一体ここはどこなんですかね……

 

 

 

 

 

 

 

「お、ようやく目を覚ましたか、嬢ちゃん」

 

そういって大柄な男性が部屋に入ってきた。どうやら先ほどの女の子の父親でこの家の家主らしい。

 

「はい。事情はわかりませんが、こんな見ず知らずの小娘を泊めていただき感謝いたします」

 

「いや、朝漁に出ようとしたら壊れた小舟に金髪のべっぴんさんが眠っててな。あんときゃびっくりしたわ。」

 

「ふむ、どうやら遭難したみたいですね。あなたのような親切な人に助けていただいて、幸運でした。」

 

ぺこりと頭をさげる。

まぁそもそも小舟で航海術もあまり学んでない女の一人旅なんて危険づくしでしたしね。本当に親切な人たちでよかったです。

もしも海賊などに見つかっていたならロクな目にあってなかったと思いますしね。

 

「なんだい嬢ちゃん、1人で旅してんのか?度胸あんなぁ」

「いえ、もともとは仕事仲間と一緒だったんですけど、仲違いしてしまいまして、会社も辞めてしまったんです」

「そこで一人旅してて遭難しちまったのか、災難だったな」

 

あはは、苦笑しながら身の上を話す。本当に困りましたね。この島にたどり着けたのは不幸中の幸いでしたが、船も壊れてしまいましたし、路銀もどこかに流されてしまいしたし。いえ船はもう一度()()()()()んですけれど、今出せそうな船は使うとなると一人じゃ無理ですし。

ふむ、どうしたものですかね、八方塞がりです。

 

「んで、嬢ちゃん、これからどうすんだい?故郷にでも戻るのか?」

「あ、いえ、私の故郷は少し遠いところにありまして自力で帰るのは困難なんです。これからについては……正直あまり目処が立っていません」

 

本当にどうしますかね。職なし船なし一文なしのないないづくしですし、頼るようなツテなんてどこにもないですし。

 

「そうなのか……。よし、嬢ちゃん、あんたが良いならなんだが」

「?はい」

「いくあてもないなら、しばらくうちに住まないか?」

「え……?いえ……いいんですか?」

「おう、いま俺とこいつの2人で暮らしててな、部屋も余ってるし、こいつも綺麗な姉ちゃんが一緒に住んでくれるなら嬉しいと思うしな。なぁルカ?」

「うん、お姉ちゃんさえ良ければルカたちのお家に泊まって欲しいな」

 

な、なんと親切な方達でしょう。今まで私が接してきた汚い大人や頭のぶっ飛んだ人間どもとは天と地の差です。

 

「ではすみません、しばらく住まわせてもらいます。本当にありがとうございます」

 

ぺこりと深々と頭をさげる。

 

「これからよろしくな、えーっと……」

「あ、すみませんまだ名乗っていませんでしたね。私、フローレス・アリスと申します」

 

 

 

* * * * * 

 

 

 

 

突然ですが私には前世の記憶というものがあります。

 

といってもそう幸せなものじゃなかったですけどね。両親は育児放棄一歩手前でしたし、家庭もそこまで裕福じゃなかったですから。

友達もそんなに多いわけでもなく、いえ、見栄を張りましたね。いませんでしたので私の友達は《本》だけでした。

毎日毎日図書館へ足を運びミステリー・サスペンス・冒険・アクション・青春・恋愛小説時代・歴史・ホラー・幻想・経済・軍記・エッセイ・詩歌ノンフィクション・科学・テクノロジー・コンピュータ・IT・歴史・地理・児童文学・絵本etc……ひたすら唯一の趣味である読書に邁進し、没頭しました。

ちなみに漫画も興味があったんですけどお金も友達もなかったのでほとんど読んだことはなかったです。

 

そんな程度しか記憶にない薄っぺらな人生でした。死因も覚えてないですし。

 

そして気がついたら第二の人生を歩んでいました。

 

髪も目も黒だったというのに、気がついたら髪は金髪、目は碧眼と変わり、体も小さくなっていました。最初は戸惑いましたが前世とは違い裕福な家庭で、礼儀作法が厳しいこと以外は概ね不平はありませんでした。

しかし、前世からの悪癖といいますか、唯一やっていた趣味であったせいか、私は文字が読めるようになると本を読むことに夢中になりました。

それも最早趣味と言えず常軌を逸して病的なまでに本を読みました。

そんな私を両親は奇妙なモノを見るような目で見つめていました。

 

私がようやく自分がどんな目で周りから見られているかも気づいた時には手遅れで、私とは違い、いたって普通であった双子の妹に愛を注ぎ、私は家から追い出されました。

 

それから懸命に一人で生き抜きました。

 

 

 

 

* * * * * 

 

 

二週間後

 

 

ふわぁ〜と大きく伸びをしてあくびをする。そうして布団から出て金髪を左右に三つ編みに結い、メガネをかける。

あ、メガネはちなみに度なしです。

前世でかけていた習慣でかけているだけなので視力自体は良いです。三つ編みも習慣なんですけどね。

 

 

 

「アリスお姉ちゃん、もうお昼だよ、お昼ご飯だよ〜」

「はい、今行きますね」

 

すっかりこの島での生活に慣れて、優しい親子とゆったりした生活を送っています。

あれからルカさんとタケオさん━━ルカさんのお父さんのご厚意に甘えてしばらく住まわせていただき、しかも知り合いの酒場で働かせてもらっています。

島のみなさんは皆親切で新参者にも優しく気軽に、アリスちゃんと話しかけてくれます。

今日からしばらく遠くまで漁にタケオさんが出るそうなので2、3日ほどはルカさんと2人きりの生活です。

 

「そういえば、ルカさん。今回みたいに遠出の漁でタケオさんが不在のときは今までどうしてたんですか?」

「近所のおばさんの家に泊めてもらってたの。でも今はお姉ちゃんと一緒にいられてうれしいよ」

 

そういってルカさんが微笑む。

何でしょうこの天使、可愛すぎませんか?

悶えてると私の様子に首を少し傾げながらルカさんが料理をもってきてくれました。

 

「今日はボンゴレビアンコだよ」

「美味しそうですね〜」

 

ルカさんのお母さんは三年前に病気で亡くなってしまったらしく、それ以来こうしてルカさんがご飯を作っているらしいです。

ちなみに私は今までろくに料理ということをしたことが無かったので、試しにルカさんたちにご披露してみたところ、心優しき親子が無言で固まりそっと吐いてしまったので、それ以来台所に入ることはやんわりと拒否されてます。

 

「いただきまーす」

「いただきます」

「美味しいね、お父さんのお友達がこのアサリくれたんだよ」

「へぇーそうなんですか、今日も美味しいですよ、ルカさん」

 

2人で和やかにご飯を食べていると、にわかに外が騒がしくなっていた。

一体どうしたんでしょうか?席を立ち、窓の外を見ようとすると勢いよく玄関のドアが開かれました。

 

「ルカちゃん、アリスちゃん?!タケオさんいるか?!」

 

そういって入ってきたのは酒場でもよく見る近所のおじさんでした。

 

「タケオさんは今日から遠くへ漁にいってますよ」

「そ、そうか。まいったな」

「どうしたの、おじちゃん」

 

ルカさんが少し怯えた様子で尋ねると、どうやら今海賊船がこの島に近づいているらしく、一応海軍にも連絡したがすぐに来れるような艦が今無いらしい。

間に合わない可能性が高いので、島の男たちを集めて抵抗を試みようとしていると聞きました。

 

 

ふむ、仕方ありませんね。

 

「私も海賊退治に参加します」

「おい、アリスちゃん?!何いってんだ?!危険だぞ」

「そうだよ、お姉ちゃん!いっしょに逃げようよ」

「いえ、こう見えて荒事には慣れておりまして。私がいれば百人力ですよ」

 

不安そうな顔をふたりの方を向いて

 

「それに今までナイショにしてましたが、私《魔法》が使えるんです」

 

そう言ってにっこり微笑み、静止の声を後にして海岸へと走った。

 

 

 

* * * * * 

 

 

 

海岸へと向かう途中出会った人たちに話を聞くと、どうやらもう島に海賊は着いているらしい。

が、たまたま島にいた一人の賞金稼ぎが20人ほどの海賊と戦っているようだが、島民は相手の船長が賞金首ということもあり加勢に行くかどうか悩んでいたので先回りすることにした。

 

 

 

海岸に近づくにつれて金属同士がぶつかるような戦闘音と怒鳴り声が聞こえてくる。

 

「クソッ!!俺は500万の懸賞金 "青槍”のナーバンだぞ!!」

「知るか、雑魚の名前に興味はねぇよ」

 

どうやら戦闘も終盤ですね、私が来る必要なかったかもしれません。そう思いながら走り、海岸が全体を見通せる開けた場所に着いた。

 

 

 

私がそこで見たのは━━━━私の<運命>だった。

 

 

 

光る三本の刀

 

 

短く刈った緑色の髪

 

 

左耳に輝く金色ピアス

 

 

男らしい筋肉質な体

 

 

意思の強そうな三白眼

 

 

 

銀色の風により舞い散る血しぶきの中、私、フローレス・アリスは名も知らぬ彼に生まれて初めて恋に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





読んでいただきありがとうございます

主人公はスレンダーな美人で原作知識はほとんどないです。

作品のタイトルは某映画からとりました、といっても作者はその映画タイトルしか知らないんですが笑

作者はテキトーに書きたいシーンのプロットだけ練って若干満足してしまったので次回の更新は何か反響があればします。


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