□月凹日 曇りだYO-!
利き腕がアレなので、日記をつけ辛くてしょうがない。
それならいっそ今日は休むべきだと思うのだが、俺の日記スピリッツがそいつを許してくれなかった。
今日は待ちに待ったクラス対抗戦。出るのは織斑だけど。
とにもかくにも、どうせだから楽しく見物しようと観客席でポップコーン食いながら試合を見物と洒落込む。
ちなみに更識も誘ったんだが、ISの件が忙しいからと断られた。
なのでちょこっとだけ寂しかったりする。考えてみたら俺、更識以外に気軽に誘える友達居なかった。
その更識さえ、実のところ友達と言えるか微妙だし。
あれ……俺の友達、少な過ぎ?
少しだけ、泣きたくなった。
そして試合。
織斑の最初の相手はなんといきなりミニ子で、こりゃご愁傷様と思ったりした。
何せ相手は代表候補生。その強さは半端じゃない。
あいつが以前お蝶婦人と最低限試合に見える形で戦えたのも、偏に機体性能と向こうの油断からだったし。
しかし今回、相手は怒ってる。徹底的にぶちのめすつもりでいる。
だが蓋を開けてみれば、奴さん何とか踏ん張ってた。
ミニ子の使うIS――例によって名前忘れた――が使う『見えない砲撃』に苦しませられつつ、致命傷は紙一重で避けていた。
更にそれだけでなく、一瞬の隙を突いて
……正直加速が甘かったけど。『入り』と『抜き』で少しふらついていたし。俺は機動制御に関しては、今や学年1うるさいのだ。
織斑が、ミニ子に一撃入れようとした。
だがそんな超オイシイ所で、突然の邪魔が入る。
よく分からない、異形の黒いIS。
そいつが何をしてどうなったのか、詳しいことを俺は知らない。
奴が侵入した際に崩れた、天井の一部。
その瓦礫が観客席に落ちてきて、俺に向かって降って来た。
そして気付けば医務室に。
幸い怪我はさほど重くなく、精々利き腕にひびが入ったぐらいだった。
見舞いに織斑達と、少し時間をずらして更識が来てくれたのは少し嬉しかった。
やっぱり俺、友達少ない。
□月凸日 清々しき曇り
引越しである。
や、ようやく書類が纏まったらしく、寮の部屋換えなのだ。
……織斑のとこのルームメイトだけね。
何やらまたも転校生が来るとかのことで、その関係か俺の方はもうしばらく見送りらしい。
更識もいつまでも男と同室じゃあ落ち着けないだろうに、どうにかしてくれ。
彼女かなり神経質なんだぞ。冗談も選ばないといけないぐらいに。
と、散々文句を言いたかったが、言っても仕方ないので諦める。
決して寮長が織斑先生だからではない。ああ決して。
拗ねて廊下を歩いていたら、サムライガールが織斑へと凛々しく宣言していた。
「今度の学年別トーナメントで、私が優勝したら……付き合って貰う!」とのこと。
盗み聞きでなかったら、その潔さにきっと拍手とかしてた。
そしてその後半部分を数人の女生徒が聞いてたみたいだけど、俺は気にしない。
どうして更識の60センチ以内に近寄れないか考えてみた。
考えたら何故か寒気がしたので、思考を停止した。