IS 彼の日記帳   作:カーテンコール

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 4月○日 晴れてるけど曇り その4

 

 

 普通逆だと思う訳よ。

 何がってそれ、こう言うのって女性のシャワー中に男が遭遇するもんじゃないのか、と。

 現に後日織斑から、部屋に入ったらルームメイトがシャワー中だったと聞いたし。

 ともかく男の半裸など誰得だって話だ。少なくとも俺は得しない。

 

 そして、気まずい。

 ルームメイトの少女は俺と目を合わせようともしなかった。

 しかしだ、いくら鍵を掛けていなかったとは言えノックもせずに入ってきたのだから、基本彼女が悪い筈だ。

 それに見られたのは俺だし、故に謝罪されるべきは俺だ。

 ……などと騒げるほど自分本位に生まれていれば、どれだけ楽だったことか。

 女尊男卑だのの風潮に関係なく、こう言うのは全部男が悪いのである。

 だから謝っておいた。形だけだけど。

 

 ルームメイトの女子の名は、更識簪と言った。

 ともあれ、女性と同室など面倒の塊なのである。

 幸い彼女は部屋を空けていることが多いらしく、下手すれば消灯の少し前まで戻ってこないことも間々あるとのこと。

 シャワーなんかの時間の取り決めをぱぱっと決め、夕食を摂って今日はさっさと寝ることにした。

 

 

 

 

 

 4月△日 もう気分的に曇り

 

 

 昨夜は散々だった。

 同室の更識が夜遅くまでカタカタカタカタキーボード叩いてるもんだから、全然眠れなかった。

 俺、ただでさえ寝付き悪いのに。

 

 目の下に隈を作って食堂に行ったら、織斑と会った。

 ついでに、昨日奴を連行して行ったサムライガールも。

 どうもこいつ等幼馴染だったらしい。6年ぶりの再会なんだと。

 しかしアレだ、このサムライガールどう見ても織斑に惚れているね。

 態度があからさま過ぎる。これで隠しているつもりなら、この世に隠し事って概念はなくなるぐらいに。

 だが、なにゆえ織斑は気付かないのだろう。

 鈍感にも程がある。

 

 授業の前に、織斑先生が織斑に専用機が用意されるとの旨を伝えていた。

 専用機。主に国家代表や代表候補生、後は企業の専属パイロットなんかに用意される専用のIS。

 この世にISは467機しか無いので、必然的に専用機持ちとはエリート中のエリートに限られる。

 やったな織斑、これで君もエリートの仲間入りだ。

 ま、男性操縦者のデータ取りってのが主な目的だろうけど。

 ちなみに俺にはそんな話しありません。ISを2機も素人に回してられないのだ。

 奴さんと違って、俺には心強い後ろ盾も無いことだし。

 

 なんか織斑が決闘に備え特訓すると聞いたが、俺はパス。

 だって道場で竹刀振り回してたし。IS関係ねー。

 効率悪いのは嫌いなので、大人しく山田先生に放課後訓練機で練習見て貰った。

 打鉄よりもラファールの方が乗り易いかな? 反応もそこそこ早いし。

 

 更識とは距離感を掴みかねている。

 それと、今日もカタカタされた。

 

 

 

 

 

 4月☆日 文句なしに曇り

 

 

 今日はPICや量子化等について詳しく習った。

 3日目で多少慣れてきたのか、授業中に頭痛が起きることは無くなった。

 

 昼飯食っていたら、見知らぬ先輩がISについて教えてあげようかと聞いてきた。

 よくよく見ればこの人、昨日あたり織斑に同じこと言っていた人だ。

 さては断られたな。あるいはあの幼馴染にブロックされたか。

 しかし、俺は既に山田先生にその辺りお願いしているので、如何に上級生でも必要ない。

 先輩より教師に聞いた方がいいに決まっている。

 なので丁重にお断りした。

 

 今日は更識と3回会話した。

 お願いだからカタカタ止めて欲しい。

 

 

 

 

 

 4月×日 雨降ってるけど曇りってことで

 

 

 山田先生にISの操縦練習見て貰ってる合間に、織斑は何してるのかと思い剣道場に行ってみた。

 鬼のような顔したサムライガールに滅多打ちされてた。

 何故あんなことをしているのだろうか。彼はMだったのだろうか。

 ともかく、ISの技量は知らんが根性はつくことだろう。

 彼の命運を祈る。

 

 今日は飛べるようになった。

 姿勢制御や方向転換、急加速急停止なんかは筋がいいと褒められた。

 でもライフル出すのに4秒かかる。仕舞うのは6秒かかった。

 どうも武器の展開、収納が極端に苦手っぽい。イメージ力の問題らしいけど。

 イマイチ分からん。

 

 更識は相変わらず人に懐かない小動物のようである。

 なんかそろそろカタカタに慣れてきた。

 

 

 

 

 

 4月◎日 誰がなんと言おうと曇り

 

 

 明日はいよいよオルコットと織斑、そして何故か、何故か、何故か俺の決闘日である。

 大事なことだから3回言った。

 しかし、織斑の専用機とやらは何時になったら届くのだろう。

 どんなのか俺も見てみたかったんだが。

 

 どうしても武装の展開にかかる時間が削れません。

 俺の適性がCってことを差し引いても、やはり武装の展開に向いていないらしい。

 代わりにそこそこ自在に飛べるようになった。最初のフラフラ感が消えたし。

 特にこう、クイックターン的なものが上手くなった。カーブやターンが直角で曲がれる。

 そして武器の扱いだが、あの優しい山田先生がフォローのしようも無いくらい酷い。

 銃? 命中率3割前後だけど何か。

 剣? や、俺ずぶの素人よ素人。

 こうなったら当日、体当たりでもしてやろうかと思う。

 

 更識って何時寝てるのだろうか。

 カタカタの巻き添え食ってるだけの俺でさえ寝不足なのに、この1週間こんな調子でも普通に元気だ。

 あと、この1週間での1番の成果。

 カタカタ音がしても普通に眠れるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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