インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】 作:金宮 来人
あまり書くこともないので早速どうぞ。
では、授業開始です。
俺は校舎のいたるところに術式を書き込んで歩くことにした。
「さて、書いておくのはここが最後だな。」
通路以外にも外に続いている一階の教室などにも術式を書いていく。
円の中に六角形、さらに中にアラビア文字とルーン文字の両方を書いて、最終的に真ん中に梵字を書くことで俺のオリジナル術式は完成する。オリジナルなのでかなり無駄があるが、これを研究して改良するのは時間がないので難しいな。
術式を書いた最後の仕上げにサークルメンバーと巡ヶ丘組、リセと青襲の血を一滴ずつもらい、それを認証の術式に登録した。
「ねえ、いっくん?その血を使ったのは何かの実験?」
「一応こっちは血を提供したんだから、聞かせてくれるよね?織斑君?」
「ちょっと待ってろ・これが終わればすぐに答えてやる。」
丈槍とトーコが聞いてくるのだが、俺は作業中なのでとりあえずは【待て】をしておく。
最終的に機能してない携帯端末の内部基盤を抜いて、術式を組み込んだ錬金術の基盤を作り、それに全員の血を組み込んだ術式データをインストールしていた。機械の性能じゃなくて術者の能力で動くものなので気が散ると面倒なのだ。
そして、それが終わったからこそ説明をするために顔を上げた。
「・・【待て】をされている犬か?貴様らは・・。」
椅子の上で足を組んで座っている二人がこっちをじっと見ていた。
「終わった!?じゃあ、いっくん!」
「今さっきのことを教えてくれるかい!?」
「「「「「はぁ・・・。」」」」」
大体のメンバーはため息をついた。中には静かに何をしたのか気になっている奴もいるようだが・・。
「これは校内・・むしろこちらの棟内に侵入者があった時の警報装置だ。各所に術式が施されていて、それに登録していない人物が通るとこの端末に連絡が来る。あらかじめどこに仕掛けたかは登録して作ったので、生存者だろうが感染者だろうが、このメンバー以外が通ると警報が俺に来て即座に迎撃態勢をとれるわけだ。それと・・」
俺はお守り袋のようなものをいくつか用意していたのを全員に渡す。
「それは俺が持っている端末から、全員に緊急事態を教える際の子機だ。俺が一人で対応できない時や、相手がバラバラに動いているとき、校内に多数の感染者が入ってきたときなどは、この子機の術式から警報が鳴るようになっている。その場合各自で安全な所へ避難するか、どうしても非難ができないなどの緊急事態の場合はその中にある紙を破れ。強制的に俺のもとにジャンプができる。ただし、その術式を使った場合はある程度の記憶・・いわゆる思い出だが・・それを焼却してエネルギーへと変えるので、多少のリスクがある。」
「記憶の焼却って・・、それは思い出を忘れるってことですか?」
美紀が聞いてくる。まぁ、そういう風に慎重になってくれた方が楽だ。勝手に楽観視して破られても面倒なのでな。
「そうだ。別の言い方にするなら『思い出』というデータを『脳』という記録メモリー媒体から抜き出して、データを変換してエネルギーとして、術式の起動するエネルギーに完全に使用することを端的に【記憶の焼却】という形にしている。普通ならできないが、それは錬金術の基本であり、または科学と合わせる応用でもある。人体という科学的には奇跡の結晶とも言える物を使用することで莫大なエネルギーを使えるのだ。・・おそらくは使用したとしても軽い日常の一部くらいだろうがな。・・例えばそれを消したいと願いながら使えばその記憶を使って術式を発動することは可能だ。昔のドジを忘れたいと思いながら紙を破れば術式によってその記憶は焼却される。記憶の焼却とは完全燃焼させることだから、もう思い出すこともできないがな。そういう記憶を燃やすようにしたらいいだろうが・・大変な状況ではそう記憶を選ぶこともできんだろうな。・・故に使うやつは覚悟して使うようにな。」
全員がお守り袋を見つめていた。
それから、俺と青襲は独自の見解を言い合い、最終的な予想を立てることにした。
「つまりは、ウィルスか細菌かはわからないが、コレに書いてある『Ω型』だろうということだということには同意見だな?」
「そうだな。しかし、感染の拡大経路、期間、規模を考えるとやはり空気感染であることがわかるだろう?つまりはかなりの確率で細菌ということになるだろう。」
「俺も同じ意見だ。ぶっちゃけ細菌兵器に流用できないかの研究をしていたんじゃないかと思われる。ランダルコーポレーションというのが何を求めていたのかは知らないが、驚異的な薬を作ろうとしたのか、はたまたバイオテロ兵器を作ろうとしたのか・・。」
「それについては知りたくもないな。しかし、ここまでの世界規模で広がったんだ。」
日付と感染開始からどれくらいで連絡が途絶えたかが書いてあるノートを見せられる。
「ここに書いてある通りに、世界規模にしても感染速度が速すぎることから、もしかすると誰かがワザと感染をさせた可能性も出てくる。主要都市に始まり、広がっている。つまりは人口が多い都市を狙った可能性があるんだ。」
「・・ランダルの中にテロメンバーでもいたということか?または頭のおかしな宗教団体メンバーとか。」
「さすがにここら一体の巨大企業だ。そのような人物はさすがに重要なところに入れないだろう。」
「ふむ・・それもそうか。一定以上の信用に足る人物でなければこのような機密事項に関連できるはずもない・・か。」
「そういうことだ。つまりは、私から言うと・・」
青襲はそう言いながら一旦ノートを閉じてポケットから煙草を取り出して吹かす。
「おそらくは人為的要因がからんでいるが、事故であった可能性が高いだろうな。」
「・・冷静に推理するとそうなるか・・。こんなもの(緊急マニュアル)を用意しているくらいだからかなりの危険意識があったはずだよな。・・ランダルに行った際にそれもわかるかもしれんな。」
「それは同意だ。」
お互いに最終的な予想に落ち着いてひと段落した。
「しかし、私とここまで話し合うような人物がいるとはな・・。正直、私は頭がおかしいと言われていたのだがな。」
「俺だってある意味ではだれもが知る知識の外、いわゆる『既知外〈キチガイ〉』と言える存在だが?」
「くく・・それもそうだな。」
「おかしい同士でそれなりに世界でも救おうじゃないか。まぁ、すでに世界の方がおかしいのだがな。」
「はは・・それは違いない。」
お互いに苦笑いをしながら最終的な話し合いの結果をまとめて記録していく。
それを書いて残しておくのは、後からの観察や気が付いたことなどを踏まえて合っているかの考察をしていく基礎にしていくからだ。
ランダルコーポレーションへ行っても施設が破損していたりしたらどうするか。
そこも考えなくてはならない。先の話から、もしかすると何らかの理由から事故が起こり、それが原因で通称【Ω】が世界中にまかれたか・・・。
しかし、それが原因としては世界中の主要都市に広がるのがとてつもなく速かった。
やはりテロの可能性が高いのか?
・・どちらにしろとてつもない規模の災害なのはわかった。
俺たちの手に負えない規模ということもな・・。
まったく面倒なことをしてくれるものだ・・。
「一度、今後のことも踏まえて全員で詳しく話し合うべきかな?」
特に、学校内にいる武闘派の対応もな。
・・どうやら何か気にして探っているようだ。
校内のこっち側までは来ていないが、遠くから監視したりいろいろと辺りを嗅ぎまわっているようだ。
面倒なことにならなきゃいいんだがな。・・本当に、こっちから始末しに出た方がいいのかもしれない。
俺はそう思いながら、ある意味での錬金術の禁忌【死の灯『エヴィヒ・カイト』】をいつ、使うことになるかとその手を見ていた。
正直、風邪がきついですね・・。
のどが痛くて飲み込むのもつらい・・。
自分が感染者になったことが夢に出てきました。
『しんどいなぁ』と思いながら寝ていたら、すごく息苦しくなって、『これはやばいかなっ』と思って目を覚ましたら飼い猫『オス・6キロ越え』が胸の上に寝てました。
さすがに重いわ!!
では、また次回。