インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】 作:金宮 来人
特に言う事もないので、授業開始です。どうぞ。
ガソリンスタンドを後にした俺達は服を多く売っている店が立ち並ぶ店の通りに来た。
街のめぼしい商店が書いてある地図などでも此処にはファッションの一番集まる地域と書いてあった。
故に此処で服を集める。種類も好みもより取り見取りだ。俺は錬金術の付いているため汚れないコートが有るし、そもそもギアを纏うとコートなどの衣類は一度異空間に収められて、展開を解除すると戻って来る。その際に衣類以外の不純物は全て落とされる。故に洗わなくても血は落とせれるのだ。だから俺はこの世界で自分の衣類を洗濯した事はない。
風呂は入っているぞ?不潔なのは菌類を増やす原因になるからな。不衛生なのだけは避けているし、そもそも風呂などに入らないと落ち着いて寝れない・・まぁ、あまり寝る必要はないのだがな。
とりあえず、俺はギアを解除して代わりにスペルキャスターのナックルを展開して、そのままファウストローブを纏う。
「・・近距離も遠距離でビーム発射も可能なこの姿なら何かあればすぐに対応できる。」
少しきらきらするのが気にはなるが、それはまぁ、この際気にしないようにしよう。
俺は近くの店にバラけて入る前に全店を見回る。活動している感染者がいたら即座に殲滅して一か所に集めて置いた。後でまとめて吹き飛ばす為だ。
それからあたりの店内に他の動く存在が無い事を確認して全員がそれぞれの思う店に入った。俺はその間に近くに有ったウィンタースポーツショップに入る。
こういう店は冬以外の時期には登山道具などを売っているので、ソレから必要になりそうな少し厚めの上着を選んで確保しておく。趣味で選ばせるとこう言うのは派手になってしまいがちなので地味な物を選ぶ事にする。
後は雪山などに登る時用の商品が端に置いてあるのでその中から、『アイゼン』と『ピック』を持っておく。後は雪上歩行用の【カンジキ】とかストックも持っておくか。
それから折り畳み式のテントに小型コンロのセットやランタン型ライト、消耗品類を持っておく。こういう消耗品が殆ど減っていないのは、生存者がいないのかそう言う方面に考える余裕が無いのか・・。
とりあえずの必要な物は集めたのでソレを車に積んでおく。
すると、丈槍と胡桃が帰って来る。
「あれ?いっくん、何か買ってきたの?」
「何も言って無かったのに必要そうなもんが有ったのか?」
二人が袋の中を覗き込む。
「あぁ、そこに登山グッズを売っている店があってな。便利な物が多いので色々と集めた。」
そう言っているうちに丈槍はランタンを出していたりして色々と物色していた。
「あまり構うな。・・それよりも、お前等は必要な服は見つかったか?」
そう言うと二人はそこそこの大きさの袋を抱えて見せてきた。
「ふふーん!いっくんが可愛いって言っちゃいそうな服をたくさん選んだんだよ?」
「こっちも良い服が多くてな。動きやすそうな奴をメインでいろんな分を選んできた。一応だが秋物や冬用も端に有ったからそっちも持ってきた。」
「あぁ、そこら辺言い忘れていたな。偉いぞ二人とも。」
そう言って頭をポムポムと叩いておく。
「うん、くるみちゃんがこう言うのを持っておいた方が良いって教えてくれたんだ。」
「あぁ、俺も上着はあったから持ってきておいたが普通の分はああいう店にはないからな。そこら辺はお前等が持ってきたのは正解だ。」
そう言っていると佐倉先生と若狭、狗三が帰ってきた。
「あぁ、先に帰って来てたのね。一夏さん終わりました。良いのありましたよ。」
「こちらもちょうどいい服が有りました。教職に就いてからこういう買い物はあまりしてなかったので、久々に楽しめました。」
「私はあまり服にこだわらないから、とりあえず着やすそうなのメインになったけど。」
そう言って三人も袋を見せる。コレまた結構の大きさだ。
そして、狗三がにやりと笑って、
「あと下着系も探してきたんだけど、悠里ちゃんとかセンセーとかおっきいからサイズ探して困ってたんだよ?私は普通だからすぐ良いのあったけど。」
「「ちょっと!?狗三さん!?」」
おそらく狗三は俺をからかおうとしているんだろうが・・、
「今更女性の下着で慌てるような感性はしてないぞ?遠の昔に思春期は過ぎている。」
ニヤついている狗三に「ふん。」っと鼻で笑ってやった。
「あらら・・かれちゃってるねぇ。若くして・・大丈夫?」
「そもそも、俺は若くない。体は若いが精神から言えばお前らなど孫やひ孫みたいなもんだ。そんなもんにどうこうする様な状態じゃない。」
そう言って顔を赤くしている二人に向き直り、
「まぁ、女性がそう言うのを気にするのは分かりますがね・・掃除洗濯などをしていた俺から言えば今更な話です。結婚して無くてもその女性の下着などを干したり洗濯ものを取り込んだり、それぞれの着替えに仕分けて畳んだりとしてきた俺からしたらそんなもんです。下着ぐらいであわてる年じゃないので気にしないでください。若狭もな。」
そう言って俺はまだ帰って来てない美紀と圭がどうしたのかと考える。
「あと二人は?まだなのか?」
「うーん・・おそらく美紀さんはすぐに選んでいるんでしょうが、圭さんが美紀さんに似合いそうなのを選んだりして自分のを後回しにしていたりとか・・」
「・・あぁ、ありそうだな。」
若狭が言って来た事が有りありと頭に浮かぶ。その情景はすごく有りそうだ。
「まぁ、問題があれば声が聞こえるだろうし、それぞれにトランシーバーが有るから問題があればすぐに連絡が入るだろう。」
そう言って俺は近くの自動販売機を見つけ鍵穴を錬金術で破壊。表面を開いて中の飲み物を取り出す。
「ちょっと!?一夏さん!?」
「ん?・・久々にコーヒーが飲みたくなったんだよ。最近メインでは普通の飲料水系をメインだったからな。もともとこういう物は好きなんだが我慢してたんだ。で、今は待つ間暇だし、久々に見つけたからな。電気が通って無いからぬるいが、それでもこう言うのは久々に飲むとうまい。」
そう言って一気にあおる。あき缶はその隣のゴミ箱に投げ入れた。
「ふむ、帰ってきた様だな。」
丁度、視界端に入った二人の方を見ると、圭が頭を押さえて美紀に怒られていた。
「まったく・・圭はいつもそうなんだから。」
「だから、ごめんってば、美紀ぃ・・。」
なにやら怒っているが、このやり取りはいつもの事なんだろう。凄く普通な感じで自然にしていた。
コレで全員が揃ったので、その荷物を車に乗せるのを待つ。
そして、全員が集まってきたので自動販売機から持ち出した飲み物をそれぞれに配る。
「それでは、先ずはこの後の事を話そうと思う。まず、今日中に大学まで行くのは難しいだろう。すでに夕方に近づいて来ているし、此処からなら少し距離が有る。故に今日はこのあたりで一夜を過ごす。その為の器具も準備している。それじゃ先ずは少しでも開けた所で川が近い所に行くぞ。地図からソレに適した所はあるか?」
そう言ってこの付近の地図を広げると、
「うーん・・いっくん。ここなら大学に行く道の途中に有るし川も近いよ。夏には確かキャンプ場みたいになるはずだし。昔に此処に行ったことあるよ。」
丈槍が指さした場所は川の近くに有る河川敷の自然公園だ。
「いい感じの条件だな。水はきれいか?」
「うん。昔行った時には泳いだりしたよ。」
「そういや、私も行ったことあるな。確か井戸水を手こぎポンプでくみ上げる様な物も有ったよ。子供にそう言う物を触らせるのも一環と言う事で設置したはずだから今でも動くんじゃないか?」
そう言う物が有るなら川がダメそうならそっちを使うのも有りだ。まぁ、街に人が居ない以上は川の方も綺麗だろうがな。
「それじゃそこで一晩過ごすぞ。」
そう言って地図の通りの場所に向かう事にした。スペルキャスターをそのままに、バイクにまたがる。そして、走り出した後、目の前に出てきた感染者にはナックルのビームで穴をあける。そしてそのままエネルギーを回収して錬金術の変換機へと溜めた。
そして、しばらく走って着いたその自然公園の良さそうな位置に車を止める。
「それじゃ、先ずは車の周りにカラーコーンを置くぞ。」
コレは事前に使えそうだと車庫まで持ってきておいた荷物の中から、おそらく使う事になると車に乗せた物だ。カラーコーンなら重ねて収納できるのでソレを出すと車の周りに等間隔に置いた。
「それから、この『鳴り子の付いたロープ』を『カラーコーンにかける用のわっか』に繋いだものだが、これをカラーコーンどうしでつなげ。」
言う通りに作業を進める全員。ソレを俺は傍から見ながら指示を進める。
今回はカラーコーンにしたが、長い期間移動しない場合や風の強い時はこう言うのはあまり使わない様にな。移動しない場合なら杭を打ったりしているのが良いし、風の強い日は鳴り子がなってしまい、感染者が音によってくる可能性が有る。この鳴り子が鳴った時は素早く移動する事を考える様にな。」
「「「わかったよ。」」」「なるほど、分かった。」「「「わかりました。」」」
返事一つで性格が分かるな。丈槍と圭、狗三は距離の詰め方が独特。胡桃は相手との距離をうまく保つ。直樹、若狭、佐倉先生はなるべく失礼の無い様に相手の事を見る。
まぁ、このメンバーならうまくやるだろう。
「それじゃ、食事をして今日は此処でキャンプだ。一応、夜中に交代で見張りをつけるから、その順番を決めておけよ。あぁ、俺は貫徹するから気にするなよ。」
そうして順番を決めて、それぞれの順番で見張りをしつつその警戒の仕方を教えていった。
キャンプと言うとゆるきゃん△とか面白かったですよね。
こちらはガチキャンですが。
命がけですしね・・。
では、まだ次回。