ゼロだけの時間   作:海棠

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ルイズとキュルケのフルネームがいまだに覚えられません。









Act5「土くれのフーケ/The capture」

剣はすごくはしゃいだ声で二人に話しかけた。

 

「すげーな姉ちゃんども! 今時のメイジってこんなこともできるのか?!」

「これは魔法とは関係ないわ。スタンドという新しい力よ!」

「へぇ、俺は6000年生きてきたがそんなの初めて知ったぜ!」

そんなことを言いながら3人(?)は馬恐竜を走らせていた。

そして空から竜に乗っている二人が追いかけてくる。

 

「あれ、速いわね!」

「・・・危険」

「え、なにが?!」

「・・・あのメイドも、ルイズの亜人も、ルイズも」

そう言いながらタバサは杖をルイズの方に向ける。

 

「こっちに杖向けてるわ! シエスタ!」

「はい、なんでしょう!」

「私が『飛べ!』って言ったら横に飛んでちょうだい! そして森の中に突っ込んでかく乱するわよ!!」

「はい!」

 

「エア・ハンマー」

 

「ッ! とべ!」

「はい!」

次の瞬間、ザ・ワールドの助力もあって 横っ飛びした馬恐竜の足元の地面が大きくえぐれた。

 

「「?!!」」

その素早い動きに空の二人は驚いてしまう。

その間にも二人と一本を乗せた馬恐竜は森の中へ入ってしまった。

 

「逃げられた・・・」

タバサはつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の中を通っている間に二人と一本は話をし始める。

 

「・・・そういえば、あなたの名前を聞いてなかったわね」

「ああ、そういやそうだな。お互い自己紹介しようや」

「では私から。私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。そしてこの子がTHE()_()WORLD(ワールド)よ」

「私はシエスタって言います」

「おう!俺の名前はデルフリンガーっていうんだ! よろしくな!」

「いい名前ね」

「おう!そうだろうそうだろう!!」

そんなことを言いながら馬恐竜を走らせるとだんだん森が開けてきた。次の瞬間、氷の槍が周りに突き刺さった。

 

「「「?!!!」」」

ルイズがとっさに上空を見るとそこには杖を向けて竜に乗っているタバサとあわあわしているキュルケの姿があった。

ルイズはそれを見て舌打ちする。それと同時に推測する。

 

「あの技術…、スクウェアクラス・・・少なくとも『風』か『水』ね。厄介な相手だわ」

そう言いながらルイズはザ・ワールドに構えさせる。

 

「おい、どうすんだ、あれ!!」

「迎撃するわ。このザ・ワールドの力でね」

すると再び氷の槍が飛んでくる。

 

「あなたのやることなんて…無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄…無駄アァアッ!!!!

ルイズが叫び、ザ・ワールドは拳で氷の槍をすべて叩き落とす。

 

「「「?!!」」」

そのパワーにタバサ一同は目を見開く。

 

「ザ・ワールドォ!!」

 

ドオォ――z__ン!!!!

 

そして彼女はザ・ワールドでできる限り馬恐竜を全員ごと斜め前に移動させる。ついでにナイフを一本、竜の目に向かって投げつけるとつぶやいた。

 

「時は再び、刻み始めるッ!!」

すると竜は驚いて体勢を崩してしまう。そして上に乗っていた二人は振り落とされそうになる。ナイフは頬に軽く刺さっただけだった。

 

「きゅい――――――!!!!」

竜が悲鳴を上げる。

その間にルイズたちは逃走に成功した。ついでに馬恐竜は馬に戻した。

 

 

 

 

 

 

 

そして学園に戻ったころには夜になっていた。竜の姿は見えない。

ルイズたちは馬を厩所に戻すと背伸びをした。ザ・ワールドはしまっている。

 

「今日はなんか疲れたわね・・・」

「ほんとそうですね…」

「しっかし、最近のメイジってのはけんかっ早いのか? 喧嘩なら高く買ってやるぜ」

「あれはタバサって子の仕業ね。おおむね私を警戒しての行動でしょう。でもバカねぇ。私は自分からは絶対に攻撃しないというのに・・・」

そう言いながらルイズたちは学院内に戻ろうとする。すると大きな音が起こった。

 

「「「?」」」

全員が少し上を見る。なんとそこにはでっかい土のゴーレムが出現していた。

 

「「「・・・」」」

唖然としていた3人(?)が見ているとゴーレムはそのまま塔を殴り始めた。

 

「あそこって宝物庫じゃありませんでしたか…?」

「うん、そうね・・・」

「「「・・・」」」

次の瞬間、ルイズは杖を抜き、シエスタは靴を脱ぎ棄てて足と手を恐竜化させると一気に塔の壁を登り始めた。

 

「フレイムボール!!」

ルイズが叫んで杖を向けるとゴーレムの左手が粉砕した。しかしゴーレムは再び再生する。だがルイズは知っていた。あの再生だけでもかなりの精神力を使うということを!!

一方シエスタは塔のてっぺんに登りきると思いっきり跳んだ。そして土くれのフーケがいる方のところへ跳び移った。

 

「な、なんだてめぇ?!!」

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYィーーーーー!!!!!!!!」

シエスタは叫びながらフーケに襲い掛かる。今、ゴーレムVSルイズとフーケ本人VSシエスタの戦いが切って落とされた。

シエスタは思い切り鉤爪で致命傷を与えようとする。しかし、フーケは体術でそれをいなしていく。

 

「クシャァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

「ぐっ・・・! こいつ・・・!!」

しかしシエスタの勢いに徐々にいなしきれず体に傷がついてしまう。そして血が滲み始める。

 

「やばい・・・!!」

フーケはそう言うと一瞬のスキをついてシエスタをゴーレムの肩から叩き落す。

 

「WRYYYYYYYYYYYィーーーー・・・・」

その間、ルイズはゴーレムの腕を集中的に破壊していた。

しかし、爆発の余波で塔の壁にひびが入る。

それを見たルイズは「やべぇ」という気持ちよりも先にスクウェアクラスのメイジが何重にもかけた防壁にひびを入れた自分の爆発に注目した。

この爆発は自分の属性を知るための鍵になるのでは、と思った。

そしてそれを見たフーケはニヤリと笑う。

 

「フフフ、これで終わりだぁ!!」

次の瞬間、彼女の体が浮いた。

 

「ウッシャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 

何とシエスタはゴーレムにしがみついて機をうかがっていたのだ。そのパワーと精神力、まさに怪物!!!

 

「なにぃいいいいいいいいいい?!!!!!!」

これにはフーケも驚く。そして落ちて行く間にもシエスタはがっちりとホールドしている。おおむねこのまま叩き落として殺す気なのだろう。

 

「くっ・・・!! どうにかしないと・・・!!」

そんなことを言ってる間にも二人は地面に近づいていく。そして激突する次の瞬間、

 

「おらぁ!」

「グベッ?!!」

なんと顔面を殴りつけてシエスタを引きはがすと自分は土を操ってクッション代わりにしてそのまま逃げだした。

そして痛みをこらえながらも体勢を立て直したシエスタは血の匂いと衣服の匂いを頼りにそのまま走り出す。ただその足取りは少しおぼつかない。さらにルイズもついていこうとするが足元に氷の槍が放たれる。上を見ると竜からタバサが下りてきた。

ルイズはニヤニヤしながら話しかける。

 

「あら、邪魔する気?」

「・・・」

「私は今から盗賊を捕まえないといけないの。賊を捕まえるのは悪いことじゃないでしょう?」

「・・・」

「・・・はぁ」

 

ドオォ――z__ン!!!!

 

「・・・あなたを相手にする暇はないの」

ルイズはタバサの横を素早く通り過ぎると全速力でシエスタの後を追った。

そして時が動き出す。

 

「?!!」

タバサはいつの間にかいなくなったルイズに驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ・・・!ハァ・・・!」

フーケは焦っていた。これまでにないくらい焦っていた。

後ろからあのメイドが追いかけてくる。自分を殺しに追いかけてくる。

そしてその後ろを何者かがおってきている。少なくとも自分の味方じゃないと第6感が告げている。

 

「シャアアアアアアアアアアア!!!!!!」

シエスタは全力だった。様々なトラップをあちこちに仕掛けてくるフーケに少し手間取っていた。

 

「・・・」

ルイズも少し額に汗が浮かび始めた。ザ・ワールドを連発しているがそう長く追うことができないと自分の肉体が告げていた。

そして全員が思った。

 

ここで逃げ切る/殺すと!!!

 

ルイズは時を止めると全力疾走でフーケのところに向かう。途中で時が動き出してもお構いなしに走り続ける。

そんなことをしている間に気付いたことだがどうやら時を止めた後には少しクールタイムが必要らしい。と言っても5秒~10秒くらいなのだが。

しかし徐々に追いついてきている。そしてフーケが射程圏内に入るとルイズは叫んだ。

 

「ザ・ワールド!!」

 

ドオォ――z__ン!!!!

 

ザ・ワールドは一気に近づくとナイフを逆手に持ってフーケのふくらはぎを切り裂く。

するとルイズがガクッとひざまずいた。もう足が限界なのだ。

そして時は動き出す。

 

「ッ?!」

フーケはごろごろと転がって木にぶつかる。

 

「クシャアアアアアアアアアアア・・・」

シエスタは息を荒くしながらうなり声をあげる。

 

「・・・」

ルイズは息を整えながら二人に近づいていく。

 

「く、くそぉ・・・」

フーケは悔しそうにうめく。

 

「・・・あなたが土くれのフーケで構わないのよね?」

「・・・あぁ、そうだね。それがどうかしたのかい?」

「あなたには死んでもらうわ」

「・・・なんだって?」

「だーかーらー」

そう言いながらルイズとザ・ワールドはありったけのナイフを構える。

 

「今あなたにここで死んでもらうと言ったのよ」

 

「さ、させるk「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYィ―――――!!!!!!!!」ぐあああああっ?!!!!」

シエスタが杖を構えようとしたフーケにとびかかって杖ごと右手をへし折った。

 

「もう遅い! チェックメイトよ!!!」

ルイズが叫んだ瞬間、シエスタが横っ飛びした。そしてフーケの目の前に大量のナイフがいきなり出現した。

 

「ッ?!!」

フーケは何の抵抗もできずに串刺しになった。大量に血を一気に失ったのでガクガクとショックを起こしている。そしてしばらくするとピクリとも動かなくなった。

ルイズはそれを確認するとナイフを回収してフーケの羽織っているフードをめくった。

 

「・・・ミスロングビルがフーケだったのね・・・」

彼女はそう言うとシエスタに遺体を運ぶように言いつける。シエスタはよいしょと気合を入れて担ぐとそのまま走っていった。

そしてルイズは空を見た。またもやそこにはタバサがいた。彼女はルイズを見ながら降下する。

 

「・・・あなたは危険」

タバサは言う。

 

「あら、私のどこが危険なのかしら?」

「・・・あなたの奥底には残虐性がある。それを放っておくのは危険」

「・・・ほう、では、どうするのかしら?」

すると少女はルイズに向かって杖を構える。

 

「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ウィンデ」

彼女は詠唱すると生成した氷の槍をルイズにぶつけようとする。

 

「ザ・ワールド」

 

ドオォ――z__ン!!!!

 

「・・・フフッ」

ルイズはウィンディ・アイシルクの包囲網を抜けると彼女に杖を向けて固定されたタバサに近づく。そしてザ・ワールドで杖を奪って元の位置に戻る。

 

「そして時は動き出す」

するとタバサは自分の杖がないことに驚愕する。そして効力を失った氷の槍はそのまま地面に落下した。中にはそのまま消滅したものもあった。そんな彼女をルイズはザ・ワールドを使って蹴り飛ばす。彼女は何の抵抗もなく吹っ飛ばされて木に激突した。そしてむせる。

 

「な、なにが・・・」

「ウフフフフフフフフ・・・」

動揺しているタバサの真後ろにルイズが一瞬にして現れた。

 

「?!!!」

「動かないでくれるかしら?」

そう言いながらルイズはナイフを首筋に突きつける。

 

「…私が今から言うことは【警告】よ。あなたが死なないようにしてあげるための【注意喚起】よ」

「・・・」コクッ

タバサは頷いた。その態度にルイズはニヤッとした。

 

【私に敵意を向けるな】。ただそれだけよ。それだけが私があなたに今望んでいることよ」

「それだけ・・・?」

「えぇ、私が欲しているのは【普通の生活】よ。血生臭い生活なんか送りたくないわ」

するとタバサの体がびくっと震える。

 

「あなたもそうでしょう・・・?」

そう言いながらルイズはタバサの首筋に息をふわっと当てる。タバサはくすぐったそうに身じろぎした。

 

「じゃあね」

そう言うとルイズは一瞬にして消えた。

タバサは緊張から解放されて安心したのかへなへなと腰を下ろした。そこに彼女の使い魔、シルフィールドがやってくる。

 

「ごめんね、ご主人様! シルフィあの時助けれなくて」

「いや、いい・・・」

そう言いながらタバサは胸をなでおろした。

 

 

 

続く






皆様お気づきかもしれませんがこの物語は「悪党VS悪党」がコンセプトの根幹にあります。

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