ゼロだけの時間   作:海棠

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なぜ3部版ザ・ワールドではなく7部版ザ・ワールドにしたかというとルイズの体格に3部の方ではあまりにもアンバランスだと感じたからです。





自分が7部版が好きだという理由もありますが。


第一部:ゼロのルイズは邂逅する/Vento di Tristain
Act0「召喚/Stand」


彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは苦戦していた! 何に苦戦しているのかと言えば・・・

 

 

「おい、ルイズゥ! まだ召喚できねぇのかよぉ!!」

「これで計20回目の爆発だぞぉ?!! いい加減にしろよなぁ!!」

 

 

そう!今年の使い魔召喚儀式である!!

彼女の二つ名は『ゼロ』!理由は『どんな魔法も爆発するから』!!

そして彼女は今通算21回目の使い魔召喚儀式を唱えようとしていた!!

しかし、なぜ彼女がこんなに必死になっているのか!!

使い魔とは、今後の人生のパートナーであり、自分の属性を決める重要なきっかけでもあるのだ!だからこそ、何もかも爆発するルイズは自分の属性を知りたかったのだ!!

 

「見ていなさい……ッ!あんた達の使い魔では到底及ばないくらい、神聖で美しく、そして強力な使い魔を召喚してみせるわ……!!」

地獄のような声と表情をしながらルイズはうなった。

 

「宇宙の果てのどこかを彷徨う私のシモベよ……神聖で美しく、そして強力な使い魔よ。私は心より求め、訴えるわ!我が導きに…答えなさいッ!!」

次の瞬間、すさまじい爆発が起こった。ちなみに先ほどの彼女の発した詠唱はオリジナルである。

しかし、彼女には今、強い意志があった。何がなんでも成功させてやる、自分を笑ったやつらを負かしてやるという意思があった。

だからこそなのだろう。その呼び出された使い魔の元本体は、勝利にどん欲な人間だった。

 

「ゲホッ……ゴホッ……」

爆発によって舞い上がった粉塵が、喉に張り付く不快感に咳が出る。

しかしルイズは目を剥いた。煙が晴れるとそこには一体の亜人がいたからだ。

姿は黄金に輝いており、目つきはどことなく優しそうだ。しかし、何とも言えぬ不気味感を醸し出している。肉体は筋肉質だが細めだ。膝にはDの文字をあしらった飾りがある。

 

「お、おい、なんだあれ?」

「亜人か?」

「でも、あんな亜人みたことねぇぜ」

 

周りが怪訝そうにする中、ルイズは喜びに打ち震えていた。

やった、成功した、やってやったんだ、と。

すると亜人はルイズを見るとスッと歩いてきた。

 

「あら、あなたから来るのね」

そう言いながらルイズは背伸びをする。すると亜人はそんな彼女の意思をくみ取ったのかすこしその細身で背の高い肉体をかがませる。

 

 

チュッ

 

 

ルイズは亜人に口づけをした。すると亜人の左腕にルーンが刻み込まれる。

 

「・・・ッ?!」

亜人は少し驚いたような表情をするがすぐに痛みが治まると同時に元の優しそうな表情に戻った。

 

「ふむ、珍しいルーンですね」

そう言いながら彼女たちの先生、ミスタ・コルベールが亜人に刻まれているルーンをさらさらと書き写した。

 

「では今日はここで終わりです。皆さん、帰りましょう」

そう言って彼はふわっと空に浮かび上がった。

 

「ルイズは歩いて帰れよな!」

「あいつレビテーションどころかフライもできないもんな!!」

 

そういうと周りの人間が笑いだす。

ルイズはイラつきながら浮かんでいく人たちを見た。

あぁ、いらだたしい。どうにかして落とす方法はないものか、と。

すると次の瞬間、自分を馬鹿にした生徒二人とそれにつられて笑った人間が墜落した。よく見ると石を顔面に投げつけられたようだ。しかし一体だれがやったのか。ルイズはふと自分の使い魔を見る。

 

「あなたがやったの?」

しかし亜人はルイズを見つめたままだんまりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~しばらくして~

 

「あー・・・」

ルイズは自室でうなっていた。なぜか。

一応視覚の共有はできた。あまりにも見えたり聞こえたりと五感が急激に鋭くなって気分が悪くなったが。

薬草採取は・・・、たぶん難しいだろう。人型だし、なぜか10メイル以上は離れることはできないみたいだし。

主人を守ることは・・・、なんとなくできそうな気がする。これも自分を中心にして半径10メイル以内だが。

意思みたいなものがあるがどうやらしゃべれないみたいだ。

問題があるのならただ一つ。

 

「何の亜人なのよぉ~~~~~!!」

 

そう、何の亜人かわからないのだ。姿形的に殴る蹴るはできそうだ。しかし、それだけしかわからない。

ルイズが実家から持ってきた魔獣図鑑にものっていなかった。

 

「あなた何の亜人なのよぉ」

ほぼヤケになってルイズは亜人に喚く。

すると亜人はペンを持つと紙にさらさらと書いた。自分はどういう存在かというのを知らせたかったのだ。

そこに書かれていた文字はハルケギニア語だった。しかしなぜハルケギニア語だったのか。それには一つの理由があった。今、亜人はルイズと契約を結んだため、彼女の使い魔、スタンドとなっているのだ。よって勝手にこの世界の知識は亜人に流れ込んできたし、その中には文字も含まれていた。どの発音がどの文字にあたるのかも亜人は理解していた。

ルイズは紙に書きこまれた文字を読む。

 

「すた・・・んど・・・?」

ルイズは不思議そうな顔をして亜人の方を見た。

 

「これがあなたの名前・・・?」

すると亜人は首を横に振ると再び紙にさらさらと書き込み始めた。

 

「『自分の名前は【THE()_()WORLD(ワールド)】』・・・? じゃあスタンドっていうのは?」

すると名前を呼ばれた亜人、ザ・ワールドは再び書き込み始めた。

 

「『スタンドは自分たちの種族みたいなもの』・・・。つまり、あなたみたいな人がたくさんいるの…?」

ザ・ワールドは紙に書き込み始める。

 

「『姿かたちは違うがたくさんいる。もしかしたら自分が知らないスタンドもいるかもしれない』・・・。・・・へぇ、そんな種族がいるのね」

この世界は広いんだし、自分や学者が知らない種族がいてもおかしくないわよね、とルイズは一人で納得した。

 

「洗濯物は・・・、あぁ、私から離れれないから無理か」

ルイズはため息をつくと布団の中にもぐりこんだ。

ザ・ワールドは空に浮かんでいる二つの月を見た。そして自分が以前いた世界とは違う世界に来たのかもしれないと思った。

 

 

 

続く




THE_WORLDのスペック(通常時)は

破壊力:B(体格からAではないと推測。しかし足を叩き切ることができたことからCではないと判断)
スピード:A
持続力:A
射程:10m
精密動作性:B
成長性:B
特性
自分以外の時を5秒間止める。

とします。基本的には3部版ザ・ワールドを基準にします。

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