とある少年の物質変換   作:まうんてんうちうち

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またまたまた投稿。今回は本編です。
受験で書けない書けない詐欺しといて、投稿。い、一応勉強はしてますよ?ホントですよ?

暇な時間、といっても寝る前の数分にちょくちょく書いたら書かなかったりしてたら書きあがったので、投稿します。時間あけて書いたので、変なとこもあるかもですが、どうぞ。


30話

 スーパーへ行き、家に帰ると、リビングで御坂妹が誰かと話していた。ケータイを耳に当てているわけではないので、どうやら、いつ言っていたかは忘れたが、ミサカネットワークなるものだろう。9968人の妹たちと話をしているようだ。

 

 邪魔をしないように、ドアを開けた音にこちらを向いた御坂妹に目でただいまを告げて、キッチンに入ってレジ袋から牛乳を取り出し、冷蔵庫に入れる。冷蔵庫はかなり整理されていて、普段御坂妹がどれだけ気を使っているかがうかがえる。

 

「すみません」

「ん、おお。どうした?」

 

 やりとりを終えたのか、御坂妹が俺の背後に立っていた。買ってきたものをしまいながら、俺は目線は冷蔵庫に向けたまま話を続ける。

 

「お願いがあります」

「珍しいな……いや、夕食のメニューのお願いはしょっちゅうか」

 

 冷蔵庫の扉を閉め、御坂妹に向き直る。一呼吸して、御坂妹は続けた。

 

「ミサカと、ミサカの妹たちの命を助けてください」

「……事情を話してくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけだ。上条、手を貸してくれ」

 

 まず向かったのは隣室。頼りになる助っ人、上条の部屋だ。

 

 

 最近、謎の高熱源体の直撃を受け樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)は大破したらしい。

 そしてその樹形図の設計者は、先の御坂妹を使っていた白髪の少年実験の予測演算、など、あの実験の核を担っていた、とのことだ。

 

 現在、大破したという樹形図の設計者の残骸(レムナント)が学園都市に持ち帰られ、それを元に科学結社とやらが新たに樹形図の設計者を作り直そうとしているのだとか。

 

 あの実験の核を担っていた物が復活する、つまりそれはあの実験が再開される、ということ。

 そしてそれを防ぐため、御坂妹は他の妹に連絡を取っていた……というのが、御坂妹の話してくれた事情だ。

 

「ああ。もちろんだ」

 

 そして、あの実験関係となると……多分御坂はもう動いているだろう。

 

 だとすると、最善の方法は……

 

 

「上条、お前は御坂を探してくれ。あの実験関係となったらあいつも動いている……と思う。御坂を探し出して暴走しないよう抑えの役割を頼む」

「ああ。わかった」

 

 そう言い、頷いて上条は部屋を出て走っていった。

 

「ミサカたちは先に向かいましょう」

「ああ」

 

 ポケットに入れておいた変換用の丸めたレシートを放り、バイクに変換する。さらにふたつレシートを取り出してヘルメットにし、御坂妹へと渡す。

 

「方向は?」

「あちらです。とミサカは指し示します」

「了解」

 

 地を鳴らすエンジン音を轟かせ、バイクをミサカ妹が指した方向へと走らせる。

 下水道の工事か、ところどころ最短距離への道が工事中で塞がれている。

 

「ツイてないな。こんな時に限って工事に引っかかるなんて」

「……いえ、他のミサカからの情報によれば、先ほどまでこんな工事はなかったはずですが」

「…………なに?」

 

 再び現れた工事中を避け、左折する。

 ……たしかに、工事をやっているにしては静かすぎる気がする。

 

「あそこにいるのは……人、でしょうか?」

「……っ! くそ!」

「!?」

 

 

 ハンドルから手を離し、御坂妹を抱きしめ、俺が下になるようバイクから飛び降りる。

 

 時速50キロほどで走っていたため、飛び降りた後、俺は進行方向に何メートルか地面を転げ回った。

 

 当然体は硬質化したものの、服は破け、少し擦り傷ができてしまった。ヒリヒリする。

 

「っつつ……御坂妹、大丈夫か?」

「は、はい……しかし、一体どうしたのでしょうか、とミサカは──」

 

 ミサカ妹の言葉を遮るように、緑色の閃光が俺たちの横を駆け抜け、射線上にあったバイクは跡形もなく消しとんだ。

 

「……めんどくさいわね。なんで避けんのよ」

「アホか、死ぬわ」

 

 御坂妹を支えながら立ち上がり、服を手で払う。

 

 

 茶髪、少し荒い言葉遣い。少女というよりお姉さんといった風貌。

 

 先日、路地裏にいたビームの人だ。

 

 

「御坂妹、先に向かっててくれ」

「しかし、貴方はどうするのでしょうか、とミサカは貴方の身を案じます」

「大丈夫、すぐに追いつく」

 

 マンガとかだと死亡フラグだが……あのビームが攻撃手段なら、大丈夫だろう。俺に負けはない。

 

「……分かりました」

 

 頷き、御坂妹は走って目的地へと向かっていった。相手が攻撃しないことを確認し、俺は立ち上がる。

 

「攻撃しないんだな」

「あの女は標的じゃない」

 

 そう言って緑色の閃光を俺に放つ。それを右手で酸素に変換する。

 一呼吸、大きく吸って吐いて俺は問う。

 

「俺を狙う理由は?」

「言えないわね」

「だと思った」

 

 ビーム姉さんは緑の球体を体の周りに出現させ、不敵でどう猛な笑みを浮かべる。それを見て、俺は酸素に変換する準備をする。

 

 

***

 

 

 

「さて、始まったね」

「そうだな」

 

 液体で満たされた巨大なビーカーのような見た目の装置。その中に逆さになって浮かぶ長髪の男の言葉に、少年が相槌を打った。

 

 少年のおおよその身長は170代後半。体格は鍛えているのか、ムキムキというわけではないが、がっしりとしている。

 

「君は、この戦いをどう見る?」

「戦い、と呼べるのかどうか。あいつと麦野じゃ格が違う」

「それは、彼が君自身だからかな?」

 

 少しの間をおき、ビーカーの男は続けた。

 

「赤城譲」

 

 少年……もとい赤城譲は、口角を釣り上げ笑った。


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