昨日は寝落ちプラス仕上がっていなくて投稿できませんでした。やっぱ、投稿というか執筆ペースが落ちますね。
「おはようございます、とミサカは顔を覗き込みながら朝の挨拶をします」
「……おう、おはよう。近い」
夢の中の俺を起こしたのは、御坂妹だった。覗き込んで起こしたからか顔の距離は近く、下手をすれば触れてしまうほどの距離にある。
「その薄手の敷布団で体は痛くないのですか、とミサカはあなたの体を気遣います」
「俺の能力で快適に改造してあるから大丈夫」
上半身を起こし、伸びをしながら答える。
さすがに御坂妹と一緒のベッドで寝るわけにもいかないので、俺は本来なら来客用の布団を床に敷いて寝ている。ベッドも快適に
「気遣いついでに、朝ごはんを作ってみました、とミサカは机の上に並べたものを見せびらかします」
「ん……おおっ、うまそう」
机の上に並べられた食べ物。スクランブルエッグ、ウィンナー、コンソメスープ、白飯。ホテルの朝食みたいだ。
「これ、全部作ったの?」
「レシピを見れば簡単なことです。とミサカは胸を張ります」
「……頑張ったんだな」
ぽん、と頭に手を置く。いつもならミサカは賞賛してほしい気持ちを抑えつつ胸を張ります、と言っているところだ。
「褒めてほしいのを隠してる時に限って……ずるいです。とミサカは文句を言ってみます」
「なんとなく御坂妹のことが分かってきたからな。無表情に見えて意外と多彩な表情してるよな」
「そうでしょうか、とミサカは首を傾げます」
そういうところなんだよな、と内心呟く。
「ところで、お昼ご飯はどうしますか。とミサカはあなたの予定を確認します」
「昼は……そうだな、始業式終わりにどっかで待ち合わせするか。飯食べに行こ」
「ほう、それはデートと見なしていいのでしょうか」
「その流れはもうやっただろ」
ご飯を食べながら、そんなやりとりをする。見た目通りとても美味しく、プロが作ったんじゃないかと思うくらいだった。
「ごちそうさまでした」
「味はどうでしたか? とミサカは感想を聞いてみます」
「めっちゃ美味かった……昼飯も作ってもらってもいいくらいだな」
「いえ、せっかくですが。どうせならあなたと出かけたいので遠慮しておきます。とミサカはあなたと出かけることが楽しみだということをアピールしてみます」
「……そう」
そうやってストレートに言われると照れるな。俺なんかと一緒に飯を食って楽しいのか。
「それじゃ、片付けは俺がやるよ。まだ時間もあるし」
「それでは、ミサカはお手伝いします」
そう言って御坂妹は食器をまとめ始めた。俺はそれを受け取り、台所に運んで洗い物を始める。
「皿拭きはどこでしょうか、とミサカは問いかけます」
「あぁ……えっと、はい」
「……どこから取り出したのでしょうか、とミサカはさらに問いかけます」
「ん? キッチンペーパーを変換しただけだけど」
ふきんとかって菌が繁殖しやすいらしいしな。キッチンペーパーを変換して、能力を解除して使い捨てってのが1番衛生的なんだよな。
「……便利な能力ですね、とミサカは洗い終わった食器を拭きつつ感心します」
御坂妹は俺の隣で皿拭きを始めた。あまり広くない台所なので、距離は近い。
「……やっぱ、狭いよなここ」
「ミサカは気にしませんが」
「俺が気にするんだよ」
そう言うと、御坂妹の皿を拭く手が止まった。
「どうした?」
「あなたは、ミサカがいると迷惑でしょうか」
「んなわけないだろ。自分ではただの作り物だとか思ってるかもしれないけど、俺から見たら普通に人間だし、女子なんだよ。気にしないわけないだろうが」
「……それは、ミサカを異性として意識していると」
「……なんか誤解を招く言い方だな。まぁ、間違ってないけど」
そんな話をしながら、洗い物を終える。登校時間にはまだ早いが、俺は支度をして身だしなみを整える。
「ほら、襟が……とミサカは良妻を演じます」
「だから、妻ってなんだよ妻って」
正面に立って、俺の後ろ襟を直す御坂妹。必然的に距離は近くなる。
「ところで、お昼の集合はどうしましょう。とミサカは確認をとります」
「あー……確か俺が前使ってた0円ケータイが……あったあった」
部屋の隅の物入れを漁り、開閉式のケータイを取り出す。ケータイが0円って、外だったら信じられなかったな。
「今度ちゃんとしたの買うから、しばらくそれでいい?」
「はい、とミサカは頷きます」
ケータイを手渡し、俺は靴を履く。
しかし、いい同居人を持ったな。料理ができるっていうのはデカイな。俺もできるけど、やっぱ他人が作った飯の方が美味いんだよな。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、とミサカは見送ります」
手を振る御坂妹を背に、俺は家を出る。
「……なにしてんの?」
「あぁ……えっと」
「赤城譲。名前言ってなかったな。それで、なにしてんの?」
家の前、やけにやつれた姿の隣人、上条がドアに手をかけていた。
「いや……少し野暮用が」
「またいつもの不幸か……学校には遅れんなよ?」
「……おう」
こりゃ来てもボロボロかな。記憶もないんだから、フォローしないと。
そんなことを考えながら、しばらくぶりの通学路を歩く。いつもの青い髪のあいつや、金髪サングラスのあいつに会うとなると、気のせいだろうか胃が痛い。