シンプルに嬉しい!超嬉しい!なんも言えねー!笑
「ここがあなたの家なのですね、とミサカは部屋にあがって間取りを確認します」
「……どう考えても、まずいよなぁ」
男のひとり暮らし部屋に、女子中学生。しかも、同居するときた。
いいのか? 年齢差はあんまりないけど……いいのか?
いいわけないよな。
「なぁ、肉体の調整とか色々あるんだろ? ゲコ太先生のとこじゃなくてよかったのか?」
「いいもなにも、ミサカはあなたのモノですので、とミサカは所有権の所在を明言します」
「……なんか、嫌味ったらしいな」
「そんなことないですよ、とミサカはそんなことあることをひた隠しにしつつ返答します」
「やっぱそうなんだな!?」
くっそ、御坂妹といると調子狂うな……マイペースすぎんだろ。
こんなマイペースなのが約1万人いんのか……想像したくないな。見た目は可愛いのに。
「じゃあ、俺のモノとか抜きで……本当にこんなとこでいいのか?」
「はい、とミサカは即答します」
「……りょーかい」
しかし、どうするか。女の子と一緒に暮らしてる……しかも、常盤台の制服で御坂の姿をしたやつだからな。誰かに見られたら、特になにも知らない青ピとか土御門とかに見られたら面倒だな。何か対策を考えないと。
「顔は……俺特製マスクでいいとして、服だな。服買いに行くか」
俺の女の時の服はサイズが合わないだろう。
「ほう、それはデートですか、とミサカは確認をとります」
「お前は俺をからかいたいのか? そうなんだな?」
そんなやりとりをしながら、俺は何かいらないものがないかを探す。しかし普段から掃除しているせいか、なかなか見つからない。
「んー……あ、あった」
マネーカードが入っていた茶封筒を見つけ、マスクに
「ほい、とりあえずこれ被って」
「これはなんでしょうか、とミサカは疑問を投げかけます」
「変装マスク。見られたらやばい人いるし」
青ピと土御門……あと涙子。まぁやましいことはないんだけどな、誤解されないに越したことはない。
「……そういえば、あなたの名前を聞いてませんでした、とミサカはマスクを被りつつ尋ねます」
「あぁ……赤城譲だよ」
「下の名前と名字、どちらでお呼びしたらいいでしょうか、とミサカは再び尋ねます」
「好きな方でいいでしょ」
「ではアカカギさん」
「おい、俺をツッコミ役の主人公みたいな名前で呼ぶな。俺の名前は赤城だ」
「失礼、噛みました」
「いや、ワザとだ」
「かみまみた」
「ワザとじゃない!? ……って、なにやってんだ俺たち」
「キレのないノリツッコミですね、とミサカは相変わらずの締まらなさに溜息を吐きます」
いや、突然振ってきたのが悪いだろ。咄嗟に反応できた俺を褒めて欲しい。
てか、なんでこんなこと知ってんだよ御坂妹は。知識に偏りがありすぎないか?
「早く行きましょう、とミサカはもたもたしているあなたを催促します」
「もたもたしてんのは誰のせいだっつーの!」
***
「これはどうでしょう、とミサカは意見を求めます」
「……うん、いいね」
御坂の姿の時も、今の特殊マスクの時も似合う服だな。
ちなみに、特殊マスクの顔は俺の女の時の顔を少し変えている。そうしておけば、女の時の俺を知っている人にも言い訳できるし。
頷いてそういうと、満足そうな顔をして御坂妹は服選びに戻っていった。しかし、自分でいうのもなんだが、俺のマスクの出来すごいな。表情まで浮かべられるのか。
「あれ、譲さんなにしてるんですか?」
「涙子……と、初春さんか。服見てるんだけど、そっちも?」
「はい、佐天さんがインターネットでイギリスのジーンズを見つけたとかなんとかで、実物を見たいと言い出して」
「だって、服は実物を見ないと。安かったらこっちで買うけどね」
なるほど、涙子が初春さんを連れ出した感じか。
「譲さん、あの常盤台の制服を着た女の子は誰ですか?
「あぁ……親戚」
服を選んでいる御坂妹を指差し言った涙子。さすがにクローンなんて言えないので、もっともらしい嘘をつく。
しかし、名前を聞かれたらやばいな……御坂妹の妹でマイでいっか。
「へぇ……あれですね、譲さんが嬢さんの時の顔に似てますね」
「あいつがモデルだからね。さすがにゼロから顔はつくれないよ」
そして、これが特殊マスクの言い訳。こう言っとけば、親戚という信憑性も上がるだろう。
実際はゼロからつくったんだけど。
「あの」
「おぉ、選び終わった?」
「いえ、そちらの方々は知り合いでしょうか、とミサ」
「そうそう! 佐天さんと初春さん!」
御坂と言いかけた御坂妹の言葉を遮り、ふたりを紹介する。
「……ふたりとも御坂の知り合いだから、御坂とか言うとめんどくさいことになるかも」
「……なるほど、とミサカは息のかかる位置まで近づいたあなたに驚きつつ頷きます」
御坂妹に耳打ちをすると、納得したように頷いた。いや、絶対驚いてないけどな。
「……では、ミサカはなにをすれば」
「演技は……できないか」
「できないことはないですが、とミサカは新しいことにチャレンジする意気込みを見せます」
「……期待しとく」
そう告げて耳打ちを終了し、俺は御坂妹から離れる。
「佐天さんと初春さん、初めまして。こいつがいつもお世話になってます」
「こいつって……」
ツッコミを入れながら、ちゃんと御坂と言わなかった御坂妹に内心感心する。やればできるんだな。
「いえいえ、逆ですよ逆。いつもは佐天さんがお世話になりっぱなしで」
「うーいーはーるぅ?」
「ここではダメですよ! 赤城さんも見てますし!」
手をわきわきと動かした涙子に、初春さんは即座に反応しスカートを抑えた。ちぇ、とつまらなそうに舌打ちをして、涙子は手を下ろす。
「それじゃあ、私たちはこれで。また今度遊びましょうね!」
「おーう」
涙子の言葉に、軽く手を振って答える。
「……ミサカの演技力に度肝を抜かれたようですね、とミサカは胸を張ります」
「胸を張るまでのことはしてないけどな」
「マスクとりますよ? とミサカは首元に手をかけ言います」
「俺が悪かった!」
マイペースな御坂妹。口喧嘩というか、やりとりで俺が勝てる日は来そうにない。
しかし、知り合いに会った時の言い訳を考えないとな。親戚……でいいのかな。いいことにしとこう。
次回は感想欄では言いましたが、アクセラレータ編が終わったので番外編を投稿したいと思います。また例のごとくパラレルワールド的な感じで思っといてください。番外編の出来事が本編で絡んだらということは全くないので、なんかこの番外編は嫌い、と思ったら読まなくても大丈夫です。私がいうのもあれですが笑
番外編書いたら、本格的に新作の方にも取り掛かろうかな、と思ってます。投稿したら報告、もとい宣伝します。
番外編の次はオリジナル展開に入ります。オリジナル展開があまり好きじゃない人もいるかと思いますが、ご了承ください。