ニセコイ 〜転生者の軌跡〜   作:猫の休日

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お待たせしました。
ちょっと書き方変わってるかもです。

それでは。どぞ。


第11話 林間学校4

外を徘徊していると、楽とお嬢が向かい合っているところに出くわした。

 

………何してんだ?

 

「ーーーーーー」

「ーーーーーー」

 

遠くで何を話しているのか聞こえない。気にはなるが…果たして聞いてもいいものなのか。

 

なんて思っていると、次の瞬間お嬢が叫んだ。

 

「見たんでしょ!? 私の!! このパーフェクトバディ!! 信じらんない!! あんな…! 一糸まとわぬ姿をあんたなんかに見られるなんて!!」

 

わー!! と、言いたいことを叫んだお嬢。

 

ああ、なるほど。あのシーンか……。何か気にして損した。

大方周辺地理も把握したし、俺は部屋に戻るかな。

 

………って、思ったんだけどなぁ。

 

俺は視線をお嬢たちの背後の森の、少し離れたところへ視線を向ける。

ここからははっきりと視認することはできないが……まず間違いなく、誰かいる。

何故気づけたか。それは一歩引き、全体を一枚の完成された絵を見るように眺めたときに感じる、気づける人のみ気づける小さな違和感。そこだけ、他の場所と違うという、小さいけれども、明確なその違和感。それに、気づいた。

暗闇になれた目で改めて見ると、成る程、草木で丁寧に隠された、小さな拠点があるようだ。

あれを他の国の森でやると発見は困難になるが、日本の森では逆に目立つ。この森は人の手がかなり加わった、所謂人工林のようなもの。カモフラージュどころか、違和感しかない。

 

「仕方がない。行くか」

 

鬼が出るか、蛇が出るか。それとも、竜の頭が出てくるか。

 

俺は夜の闇に溶けるように、移動した。

 

 

 

 

森へ入って、700メートルほどの地点。そこに、奴等の拠点があった。

拠点には8人の外国人がたむろしており、俺はその様子を木の上から眺めていた。

 

(リーダーは……あいつか)

 

1人指示を出しているやつを確認。最悪、あいつ以外皆殺しでいい。

 

話を聞いていると、どうやら先程の楽とお嬢の姿を見ていたらしい。お嬢が第1ターゲットで、楽が第2ターゲットになったようだ。

楽……お気の毒に。

事前に防ぐつもりだけど、最悪の場合俺はお嬢を優先するからね?

 

なんて思いつつ、足に巻いてあるナイフポーチから、近接戦もできる丈夫な投げナイフを抜く。両手の指の間にそれぞれ4本ずつ。

そろそろ部屋にも戻らないといけない時刻が迫ってきているため、すぐに行動を開始する。一応ほかに敵がいないか注意していたが、会話的にも気配的にも、どうやらこいつらで全員のようだ。

 

(リーダーと……あと副官っぽいあいつの二人だけ捕縛して、あとは殺すか)

 

そう決めるやいない、行動に移す。

木から飛び降りるやいなや、一番遠いところにいる敵3人にナイフを投擲。頭に吸い込まれていくのを確認せずに、音もなく着地する。

ナイフが3人の頭に突き刺さり、3人がほぼ同タイミングで倒れるのを視界の端に捉えつつ、今度は捕縛対象以外の敵3人にナイフを投擲。すぐさま駆け出す。

リーダーの背後に音もなく、しかし素早く近づくとナイフの柄頭で後頭部を強打。意識を刈り取る。それと同時に、投擲したナイフが3人の頭と首に見事に刺さり、崩れ落ちる。

残りの1人、副官であろう男は拳銃を抜いていたので、素早く腕に投擲。ヒット。銃を落とした隙に、一瞬で距離を詰め、側頭部を肘で殴打。意識を刈り取った。

 

ーーかかった時間、およそ1分。驚異的な早さである。

 

俺は事が済むと、ほぼ止めていた息を一気に吐き出す。ナイフの回収ついでに、息のあるものがいないか確認する。

6人とも見事にこと切れている。ナイフを頭や首から引き抜くと、血が溢れ出した。

 

……今さらのことだが、人を殺してもなにも感じない。抵抗もない。罪悪感も。

 

俺は携帯を取り出すと、クロードに電話を掛ける。1コール後、クロードがでた。

 

「優か……」

 

声に覇気がない。まだ自分のしでかしたことに後悔しているのだろうか。

 

「クロード様。ドラゴンヘッドを発見。6名を殺害し、リーダーと副官と思われる2名を無力化しました」

「場所は」

 

その声は、先程とは違い鋭い声音だ。

 

「宿泊施設より南東、約700メートルほどの森の中です。小さいですが拠点を作っているため、すぐに見つかるかと。また、会話を聞いていた限りこの場にいるので全員のようです」

「分かった。すぐに向かう」

 

電話をしてから数分、クロードが来た。

 

「クロード様」

「待たせたな、優……」

 

クロードはそう言うと、その場の惨状を見回しながらいった。

 

「腕をあげたな。死んでいるやつらは全員一撃。気絶してるやつも同様……か。1分もかかっていないな」

「ええ。正確な時間は分かりませんが、1分は間違いなくかかっていません」

「そうか、あとは任せろ」

「はい。あとはお願いします。私はそろそろ部屋に戻らないといけないので」

「ああ。……念のため警戒は怠るなよ。それと情報を聞き出せたらすぐに連絡する」

「はい。お願いします。それでは失礼します」

 

会釈程度のおじきをした後、俺は部屋に向かって駆ける。

空を見上げおおよその時間を確認……少し急いだ方が良さそうだ。

 

 

 

 

結論をいうと、何とか部屋の点呼の時間に間に合った。

気を付けていたが泥や葉っぱが付いていたのでそれを取り、返り血を浴びてないかの確認も忘れない。

部屋に帰ってからはもう一度風呂に入りーー集が色々とちょっかいをかけてきて大変だったが、何とか傷を見られずにすんだーー就寝時間となった。

 

廊下から先生の「……さーて、明日はみんなで山に行くからな〜。早めに寝とけよー!」という声が聞こえる。

それを最後に、優は夢の中へと旅だった。

寝れるときに寝る。それが優の、ひいてはヒットマンの考え。

 

 

 

 

 

 

〜優が寝た後〜

 

「…ふすまを開けたら殺すからね」

「開けない開けない大丈夫だって〜」

 

(……とーぜん開けるよな楽?)

(俺は疲れたから寝る)

(つれねーなー。優はどうよ?)

(…………………)

(………優?)

(……寝たのか?)

(……っぽいね)

(……楽、優さっきまで起きてたよね? 早くない?)

(確かにな。疲れてたんだろ? ていうか、俺ももう寝るから)

(……つれねーなー)

 

……………………。

 

ガラ(集がふすまを開ける音)

チャ、ドス(ふすまの前でスタンバってた宮本が集の眼鏡を素早く持ち上げ、チョキの手の形で目を突く音)

 

プラーン(集と楽がベランダに吊るされる。尚、本格的に寝ていた優はおとがめなしということで回避)

 

翌朝。

 

「………ミノムシにでもなりたいのか?」

「助けて……」

 

 

 




ありがとうございました!

最近フォールアウト4に嵌まりまして、やってるうちにフォールアウト4のSSが書きたくなってきた今日この頃……。

……取り合えず、東京喰種の次話と、フェアリーテイルは土日のどちらかに投稿する予定ですので、よろしければ覗いてやってください。たぶん日曜日になると思いますが。

ではでは。


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