お待たせしました。
ちょっと書き方変わってるかもです。
それでは。どぞ。
外を徘徊していると、楽とお嬢が向かい合っているところに出くわした。
………何してんだ?
「ーーーーーー」
「ーーーーーー」
遠くで何を話しているのか聞こえない。気にはなるが…果たして聞いてもいいものなのか。
なんて思っていると、次の瞬間お嬢が叫んだ。
「見たんでしょ!? 私の!! このパーフェクトバディ!! 信じらんない!! あんな…! 一糸まとわぬ姿をあんたなんかに見られるなんて!!」
わー!! と、言いたいことを叫んだお嬢。
ああ、なるほど。あのシーンか……。何か気にして損した。
大方周辺地理も把握したし、俺は部屋に戻るかな。
………って、思ったんだけどなぁ。
俺は視線をお嬢たちの背後の森の、少し離れたところへ視線を向ける。
ここからははっきりと視認することはできないが……まず間違いなく、誰かいる。
何故気づけたか。それは一歩引き、全体を一枚の完成された絵を見るように眺めたときに感じる、気づける人のみ気づける小さな違和感。そこだけ、他の場所と違うという、小さいけれども、明確なその違和感。それに、気づいた。
暗闇になれた目で改めて見ると、成る程、草木で丁寧に隠された、小さな拠点があるようだ。
あれを他の国の森でやると発見は困難になるが、日本の森では逆に目立つ。この森は人の手がかなり加わった、所謂人工林のようなもの。カモフラージュどころか、違和感しかない。
「仕方がない。行くか」
鬼が出るか、蛇が出るか。それとも、竜の頭が出てくるか。
俺は夜の闇に溶けるように、移動した。
森へ入って、700メートルほどの地点。そこに、奴等の拠点があった。
拠点には8人の外国人がたむろしており、俺はその様子を木の上から眺めていた。
(リーダーは……あいつか)
1人指示を出しているやつを確認。最悪、あいつ以外皆殺しでいい。
話を聞いていると、どうやら先程の楽とお嬢の姿を見ていたらしい。お嬢が第1ターゲットで、楽が第2ターゲットになったようだ。
楽……お気の毒に。
事前に防ぐつもりだけど、最悪の場合俺はお嬢を優先するからね?
なんて思いつつ、足に巻いてあるナイフポーチから、近接戦もできる丈夫な投げナイフを抜く。両手の指の間にそれぞれ4本ずつ。
そろそろ部屋にも戻らないといけない時刻が迫ってきているため、すぐに行動を開始する。一応ほかに敵がいないか注意していたが、会話的にも気配的にも、どうやらこいつらで全員のようだ。
(リーダーと……あと副官っぽいあいつの二人だけ捕縛して、あとは殺すか)
そう決めるやいない、行動に移す。
木から飛び降りるやいなや、一番遠いところにいる敵3人にナイフを投擲。頭に吸い込まれていくのを確認せずに、音もなく着地する。
ナイフが3人の頭に突き刺さり、3人がほぼ同タイミングで倒れるのを視界の端に捉えつつ、今度は捕縛対象以外の敵3人にナイフを投擲。すぐさま駆け出す。
リーダーの背後に音もなく、しかし素早く近づくとナイフの柄頭で後頭部を強打。意識を刈り取る。それと同時に、投擲したナイフが3人の頭と首に見事に刺さり、崩れ落ちる。
残りの1人、副官であろう男は拳銃を抜いていたので、素早く腕に投擲。ヒット。銃を落とした隙に、一瞬で距離を詰め、側頭部を肘で殴打。意識を刈り取った。
ーーかかった時間、およそ1分。驚異的な早さである。
俺は事が済むと、ほぼ止めていた息を一気に吐き出す。ナイフの回収ついでに、息のあるものがいないか確認する。
6人とも見事にこと切れている。ナイフを頭や首から引き抜くと、血が溢れ出した。
……今さらのことだが、人を殺してもなにも感じない。抵抗もない。罪悪感も。
俺は携帯を取り出すと、クロードに電話を掛ける。1コール後、クロードがでた。
「優か……」
声に覇気がない。まだ自分のしでかしたことに後悔しているのだろうか。
「クロード様。ドラゴンヘッドを発見。6名を殺害し、リーダーと副官と思われる2名を無力化しました」
「場所は」
その声は、先程とは違い鋭い声音だ。
「宿泊施設より南東、約700メートルほどの森の中です。小さいですが拠点を作っているため、すぐに見つかるかと。また、会話を聞いていた限りこの場にいるので全員のようです」
「分かった。すぐに向かう」
電話をしてから数分、クロードが来た。
「クロード様」
「待たせたな、優……」
クロードはそう言うと、その場の惨状を見回しながらいった。
「腕をあげたな。死んでいるやつらは全員一撃。気絶してるやつも同様……か。1分もかかっていないな」
「ええ。正確な時間は分かりませんが、1分は間違いなくかかっていません」
「そうか、あとは任せろ」
「はい。あとはお願いします。私はそろそろ部屋に戻らないといけないので」
「ああ。……念のため警戒は怠るなよ。それと情報を聞き出せたらすぐに連絡する」
「はい。お願いします。それでは失礼します」
会釈程度のおじきをした後、俺は部屋に向かって駆ける。
空を見上げおおよその時間を確認……少し急いだ方が良さそうだ。
結論をいうと、何とか部屋の点呼の時間に間に合った。
気を付けていたが泥や葉っぱが付いていたのでそれを取り、返り血を浴びてないかの確認も忘れない。
部屋に帰ってからはもう一度風呂に入りーー集が色々とちょっかいをかけてきて大変だったが、何とか傷を見られずにすんだーー就寝時間となった。
廊下から先生の「……さーて、明日はみんなで山に行くからな〜。早めに寝とけよー!」という声が聞こえる。
それを最後に、優は夢の中へと旅だった。
寝れるときに寝る。それが優の、ひいてはヒットマンの考え。
◇
〜優が寝た後〜
「…ふすまを開けたら殺すからね」
「開けない開けない大丈夫だって〜」
(……とーぜん開けるよな楽?)
(俺は疲れたから寝る)
(つれねーなー。優はどうよ?)
(…………………)
(………優?)
(……寝たのか?)
(……っぽいね)
(……楽、優さっきまで起きてたよね? 早くない?)
(確かにな。疲れてたんだろ? ていうか、俺ももう寝るから)
(……つれねーなー)
……………………。
ガラ(集がふすまを開ける音)
チャ、ドス(ふすまの前でスタンバってた宮本が集の眼鏡を素早く持ち上げ、チョキの手の形で目を突く音)
プラーン(集と楽がベランダに吊るされる。尚、本格的に寝ていた優はおとがめなしということで回避)
翌朝。
「………ミノムシにでもなりたいのか?」
「助けて……」
ありがとうございました!
最近フォールアウト4に嵌まりまして、やってるうちにフォールアウト4のSSが書きたくなってきた今日この頃……。
……取り合えず、東京喰種の次話と、フェアリーテイルは土日のどちらかに投稿する予定ですので、よろしければ覗いてやってください。たぶん日曜日になると思いますが。
ではでは。