ロックマンX ゼロの幻想入り   作:赤バンブル

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メガミッション・・・・・公式外伝でもイクスはX5とかでも出してもよかったような気がする。


月への侵略その2

月の都

 

「転送装置による月への侵入成功。これより、攻撃を開始します。」

 

「アタックだ!アタ―――――――――ック!!」

 

上空に突如現れた三角錐型の戦闘機が攻撃を開始していた。

 

「対空砲火始め!!これ以上都に攻撃させるな!!」

 

地上では兎たちが迎撃態勢をとっていた。飛行していたうちの一機が被弾する。

 

「やったわ!」

 

「畜生!俺の翼に穴を空けやがって。トランスフォーム!!」

 

「「「トランスフォーム!!」」」

 

戦闘機たちは一瞬にしてロボットへと姿を変えていく。その光景に兎たちは呆気にとられる。

 

「今度はこっちの番だ!くたばりやがれ!!」

 

戦闘機からロボットモードへと変形したジェットロン部隊は、両腕に取り付けられているレーザーライフルを兎たちに向けて発射する。勝ち目がないと思ったのか兎たちは陣営を崩して散り散りになって逃げて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綿月姉妹屋敷

 

「レイセン、状況は?」

 

扇子を左手に持った豊姫はいつもと違い、怒っているのではないかと思えるくらいに表情が厳しくなっていた。

 

「はい、現在通信網が乱れていて詳細が一部分かっていませんが海岸の方ではワニ(アリゲイツ)タコ(オクトパルド)イカ(クラーケン)のような怪物が。都には戦闘機のようなものが複数現れ、鉄の巨人に姿を変えて暴れまわっているそうです。他にも獣や昆虫の姿をした化け物に襲われているという報告もあります!」

 

「・・・・・・・・敵にしては随分と派手なことをしてくれたわね。」

 

豊姫は扇子を閉じる。

 

「レイセン、私も出るわ。援護をお願い。」

 

「はい!」

 

「どこの輩かは知らないけど私たちにここまで喧嘩を吹っかけてきたことを後悔させてやるわ。」

 

二人は屋敷から出て行こうとする。

 

 

 

ところがである!

 

「お、お姉様・・・・・・・」

 

2人が向かおうとした方角からボロボロになった依姫が足を引きずりながら戻ってきていた。

 

「依姫!?」

 

「依姫様!?」

 

二人は膝をついた依姫の元へと行く。

 

「も、申し訳ありません・・・・・・・・・・私としたことが敵のことを甘く見ていたばかりに・・・・・・・」

 

「しっかりして!」

 

弱っている依姫に豊姫は必死に呼びかける。

 

「や、奴らは化け物です・・・・・・・・いくら斬ったところで何度も再生し、その圧倒的な力でねじ伏せてきます。私が駆けつけた頃には部隊も全滅、私と共にいた者も・・・・・・」

 

「貴方は、十分頑張ったわ。ここからは私に任せなさい。レイセン、依姫を医務室へ。」

 

「は、はい!」

 

豊姫は依姫をレイセンに任せて前線へと向かおうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、実はこの依姫は真っ赤な嘘!

 

 

 

 

 

「・・・・ニヤリ。」

 

「?依姫様?」

 

急に笑みを浮かべた依姫を少し変に思った束の間、依姫は手刀で豊姫の胸を貫いた。

 

「!?」

 

「よ、依姫様!?い、一体何・・・・・・・」

 

「フン!」

 

「ブッ!?」

 

レイセンは、依姫に腹部を殴られ、気を失う。豊姫は実の妹に胸を抉られて動揺していた。

 

「よ・・・・・より・・・・ゴフッ!・・・・・・これはどういう・・・・・・」

 

「へっ!本当に甘ちゃん野郎だな、豊姫様よ。どこかの甘ちゃんハンターよりも甘すぎるぜ。」

 

依姫は、呆れた顔で豊姫の心臓を抉り取る。豊姫は胸から血を吹き出しながら倒れる。

 

「クックックックッ・・・・・・・いくらアンタでも心臓を抉り取られたんじゃまともに動けねえだろ。」

 

「ゴボッ!ゲボッ!!」

 

あまりの苦痛に血を吐き出して苦しむ姿を見ながら依姫の姿がダブルに変化する。やがて豊姫は地上に打ち上げられた小魚のように痙攣を起こす程度にしか動かなくなった。

 

「まあ、安心しろよ。もし死んじまってもすぐに妹に会わせてやるからよ。・・・・・・・・ん?」

 

ダブルは自分の後ろに降りてくる複数の人影を見る。

 

「・・・・・・てめえらか。」

 

「殺してはいないだろうな?」

 

「オンナ・・・・・・死ンダ?」

 

「ゴボッボッボッボッ・・・・・まあ、運が良くても仮死状態だろうがな。」

 

「心臓はこっちへ渡しておけよな。」

 

「ちっ。」

 

ダブルは、舌打ちをしながら豊姫から取った心臓をマントの男の一人に渡す。

 

「月の制圧はほぼ完了している。後はこの女の妹がどう抵抗するかだ。」

 

「あぁ?おいおい、話が違うぜ?あの女は俺の獲物だ。あの甘ちゃんハンターに似て気に入らなかったんだからな。」

 

「オンナ・・・・・コロス?」

 

「てめえは黙ってろこの薄のろゴリラ!!」

 

「オレ、・・・・・ゴリラジャナイ!!」

 

マントの男の一人の大男がダブルに悪口を言われて襲い掛かろうとする。それを少し低めのマントの男が押さえる。

 

「やめろ、カーチス!主の目の前だぞ!手を引け!」

 

「デモ・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「いいから、沈めなさい。カーチス。」

 

「!?」

 

マントの男たちの後ろから聞こえる物静かな声に大男は一瞬にして鎮まる。

 

「・・・・・・ワカッタ。」

 

「へっ!てめえらはこの俺があの女をズタズタに斬り殺す姿を見ていればいいんだよ!」

 

ダブルが勝ち誇ったかのように叫ぶとまた、男たちの後ろから声が聞こえてくる。

 

「・・・・・・・ダブル、貴方にも警告しておいてあげる。貴方は綿月依姫には勝てない。」

 

「はあっ!?何言っていやがる!?あの女のデータは全部把握済みだ!俺が勝てない要素があるわけないだろ!!」

 

「・・・・・・・私には見える。貴方が綿月依姫に負ける未来が。」

 

「ふざけるな!!てめえのホラに引っかかるとでも思っているのか!そんなこと言ってるとてめえから!!!」

 

ダブルは激情して襲い掛かろうとするがマントの男たちに立ち塞がれて歯を食いしばりながら後を引く。

 

「・・・・・・・・後悔すんなよ。あの女を八つ裂きにした後はてめえとそこの屑どもを始末してやるからな!!」

 

ダブルはそう言うと依姫がいる海岸の方へと飛び立って行った。マントの男の一人が声の主の方を見る。

 

「よろしかったのですか?」

 

「いいのよ。彼は相手の言う事を信じないのだから。死の寸前になっても到底理解できないでしょうからね。」

 

「ゴッボッボッ・・・・・しかし、信じられませんな。たかが月の使者の片割れの妹。そこまでの力を有しているとは思えませんがな・・・・・・」

 

「言葉を慎みなさい。彼女の力は貴方達でもそう易々と止められる代物ではないんだから。」

 

「まるで知っているような言い方ですね~。」

 

「あるわよ。まだ、幼かった時だけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月 海岸

 

「はあ・・・・はあ・・・・・」

 

一方、依姫はアリゲイツを倒すことに成功した。

 

「ば、バカな!?俺は不死身・・・・・・」

 

依姫は何度もアリゲイツを破壊しているうちにアリゲイツのボディの中に再生機能を促す「何か」があることに気がついた。そこでアリゲイツを破壊した直後にその再生機能を持つ何かを切断することによってようやくアリゲイツの再生機能を破壊することに成功したのだ。

 

「おやおや、アリゲイツ副隊長が破れてしまったようですね。流石は月の使者のリーダーの片割れ。お見事な腕前です。」

 

「次は貴方達の番よ・・・・・・再生の原理さえ分かればもうこちらの物よ。」

 

余裕そうに話すタコ ランチャー・オクトパルドに依姫は刀を向ける。

 

「ホッホッホッホッ・・・・・・いいのですか?そうしている間にも都の方はどうなっているのやら。」

 

「!?・・・・・・まさか!?」

 

オクトパルドの言葉に依姫は何かを察する。

 

「ど、どうしたのですか?依姫様。」

 

依姫の態度の急変に兎たちは動揺する。

 

「みんな、急いで都に戻るわよ!」

 

「「「「えっ?」」」」

 

「こっちは陽動だったのよ!私たちは足止めをされていたに過ぎない!」

 

「と、という事は・・・・・・・」

 

「とにかく手遅れになる前に戻るのよ!」

 

依姫は兎たちを従えて急いで都の方へと引き返していく。その後ろでオクトパルドたちが不敵な笑みを浮かべているのを知らないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月の都 入り口

 

依姫たちが都の一歩手前まで戻ると都の入り口の目の前で双月が待ち構えていた。

 

「双月!?何で貴方がこんなところに!?」

 

「依姫様、やっと来たんデシね。」

 

急いで戻ってきた依姫たちに対して双月は平然とした態度で答えた。

 

「何を言ってるの!?お姉様は!?レイセンも無事なの!?」

 

「・・・・・・・・クックククク、ファ―――――――ハッハッハッハハ!!全く、この世界の住民は甘ちゃん揃いだぜ!!まあ、そのおかげでこっちの情報を流しやすかったがね。」

 

「どういう事!?一体何を言っているのか・・・・・・・」

 

「姉貴の方も呆気なかったが妹の方も間抜けなようだな。てめえを送った後にあの世で会わせてやる!死ね!依姫!!」

 

双月は本来の姿であるダブルへと姿を変える。その姿に依姫たちは唖然とした。

 

「なっ!?」

 

「ヒャ――――――――ハッハッハッハッハッ!!!」

 

ダブルは腕から液体金属製ののブレードを展開すると素早い動きで依姫の目の前にまで一気に迫る。

 

「くっ!」

 

依姫は刀でブレードを受け止めるがアリゲイツ戦で消耗していたこともあって肩を掠った。

 

「ほれ?どうしたよ?いつもみたいなキレがないぜ!!」

 

ダブルはジャンプをして距離をとったかと思いきや、すぐさま反転して攻撃を行う。

 

「デビルスラッシュ!!」

 

「がぁあ!?」

 

ダブルの連撃に依姫は徐々に押されていく。

 

「ハッハッハッハッハ!!やっぱ戦うのは楽しいな!依姫様よ!!」

 

「これが楽しいですって!?おかし過ぎるじゃない!なんで戦う事がそんなに楽しいのよ!」

 

ダブルの言葉に依姫は言い返した。

 

「こんなことをし続ければ周りのすべてが失われていく。大切な家族、友人、愛する人さえも。それでも楽しいというの?」

 

「あ?ほぼ不死身のバケモンであるアンタが何言いだすかと思えば・・・・・・」

 

「貴方だってそうでしょ?大事な家族だって・・・・・・」

 

「んなもんねえよ。」

 

「えっ?」

 

「俺たちは戦うために生まれた存在、それも人間の勝手な判断のおかげでな。俺はその戦いのためにさらに手を加えられて造られた存在の中の一つさ。」

 

ダブルは自分の姿を依姫へと変える。

 

「よ、依姫様が二人にっ!?」

 

「わ、私になった!?」

 

「俺の擬態能力もこういうスパイ活動のために特化されていった。人格もうまく書き換えてな。てめえの姿に成りすました時と言ったら豊姫の奴、俺のことをアンタだと思って疑わなかったぜ?」

 

「・・・・・はっ!お、お姉様をどうしたの!?」

 

豊姫のことを気にして依姫は、ダブルに聞く。

 

「・・・・・俺が殺した。」

 

「!?」

 

「ヒャ―――――――ハッハッハッハッハッハ!!その顔だ!その絶望しきった顔!それが何よりも愉快なもんだぜ!!」

 

顔を真っ青にした依姫を見てダブルは大笑いする。そして、元の姿へ戻ると依姫を見下すような顔をする。

 

「・・・・・・へっ。たかが肉親の死を聞いただけでやる気が失せるとはな。これだから、面白くねえんだ。」

 

ダブルは、液体金属ブレードを展開する。

 

「そんじゃ、まずは首でも斬り飛ばしてやろうかね・・・・・じゃ、あばよ。」

 

ダブルはブレードを回転させながら依姫に向かって投げる。依姫は戦意を失って立ち尽くしていた。

 

「依姫様、避けてください!!」

 

「依姫様!」

 

部下である兎たちが必死に呼びかけるが依姫の態度は変わらない。ダブルもこれで勝利を確信した。

 

(へっ!ざまあみろってんだ!結局あんなへぼな予言当たるわけねえんだよ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・金山彦命。」

 

「!?」

 

依姫が言葉を発した瞬間、彼女の一歩手前にまで迫っていた回転ブレードが分解・再構築され、ダブルの方へと飛ばされて行った。

 

「何ッ!?」

 

ダブルは、素早くブレードを避けるがすぐ背後にこれまでにない殺気を感じた。そして、自分の腹部が刀で貫通していることに気がつく。

 

「い・・・・・いつの間に・・・・・・」

 

自分の背後に回っていた依姫を見てダブルは思わず距離をとった。

 

「双月・・・・・・・私は・・・・・・私は貴方のことを信じていたのに・・・・・・・・」

 

「ケッ!だから何だってんだ!!」

 

ダブルは、依姫に向かって衝撃波を放とうとしたが依姫は更にダブルの体を斬りつけていく。

 

「いくら斬っても無駄・・・・・・・!?」

 

「やっぱりあなたにも急所はあったのね。」

 

依姫は、ダブルの動力炉に刀を深く突き刺した。ダブルは反撃しようとするが腕を斬りおとされて膝をつく。

 

「まさか・・・・・・・移動式のコアの軌道を読んだとは・・・・・・・・」

 

「・・・・双月、答えなさい。どうして、こんなことをしたの。」

 

「・・・・・・・・へっ、本当に甘ちゃんだな、依姫。俺は、お前たち月の住民の動きを監視するために送り込まれてきたのさ。そして、機が熟した時に一気に制圧作戦に乗り出す・・・・・・だが、それにはお前たち姉妹が邪魔だった・・・・・・・」

 

身体から火花を発し始めながらもダブルは語る。

 

「姉は妖怪の賢者をも上回る能力・・・・・・・そして、てめえの神を下ろす能力・・・・・・・2人が揃っている状態での制圧は確かに容易ではなかった・・・・・・だから、お前たち二人を引き離すことで作戦は成功した・・・・・・・てめえに負けたのは忍びねえが・・・・・・」

 

「双月・・・・・・・」

 

「あばよ・・・・・依姫!地獄で待ってるぜ―――――――――――――!!」

 

ダブルは勢いよく爆発して砕け散る。兎たちはホッとしたのか尻もちをついていたが依姫だけは複雑な思いでその最後を見ていた。

 

「どうして・・・・・・どうして・・・・・・あんなことになってまで・・・・・・・」

 

依姫は、その思いを胸の内にしまい、都へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月の都

 

都はすでに壊滅状態だった。

 

「ここまで攻撃を受けていたなんて・・・・・」

 

依姫は、急いで屋敷へと向かった。屋敷ではレイセンが倒れていた。幸い気を失っているだけのようで時間が経てば目を覚ますらしい。依姫は警戒しながら屋敷の中へと入る。

 

「・・・・・・・・」

 

依姫は、辺りに複数の気配を感じ取る。

 

「そこ!」

 

刀を振るうがどうやら外れたようだ。彼女たちの目の前に現れたのはマントで己の身を隠した男たちだった。

 

「オンナ・・・・・生キテタ・・・・・・」

 

「ゴッボッボッボッボッボッ・・・・・・どうやらダブルは失敗したようだな。」

 

「だが、消耗しているのは事実。ここに戻ってきたのが最大の失敗のようだったな!」

 

「お姉様は・・・・・・・・豊姫お姉様をどこへやった!!」

 

依姫は警戒しながら言う。するとリーダーと思われる男が口を開いた。

 

「心配するな、貴様の姉はまだ生きている。仮死状態ではあるがな。」

 

「なんですって?」

 

「綿月依姫、あそこを見ろ。」

 

男が指をさした方を見ると十字架にかけられた豊姫の姿があった。

 

「お姉様!」

 

「そして、貴様の姉の命を繋ぐものが我らの元にある。」

 

男が持っているカプセル。そこにはダブルが豊姫から奪った心臓が脈を打っていた。

 

「それは!?」

 

「我らの手からこれを取り戻せるか?」

 

「知れたことを!!」

 

依姫はカプセルを持った男に斬りかかる。しかし、男は一瞬で消え失せ、刀だけが空振りする。

 

「なっ!?」

 

依姫が後ろを向くと男は薄暗闇の中で何者かにカプセルを手渡す。

 

「貴様!」

 

「控えろ!我らの主の前にあられるぞ!!」

 

「主?」

 

「ゴッボッボッボッボッ・・・・・・いかにも。あのお方こそ我らが仕える主。」

 

マントの男たちは膝をつく。姿は暗くてよく確認できないが服装から考えると成人の女性ではないかと推測できた。主?は、依姫を見ると薄く微笑んでいるようだった。

 

「お久しぶりね、綿月依姫。貴方に会ったのは第二次月面戦争以来かしら?」

 

「久しぶり?私は貴様と面識なんてないわ!」

 

「そうかしら?私はよく覚えているわよ。貴方に完膚なきまでに叩きのめされたことを。」

 

「?」

 

主?は、カプセルを見せびらかしながら立ち上がる。

 

「・・・・美しいわ・・・・・。流石、月の民・・・・その使者のリーダーの心臓ね。真紅のルビー以上に輝いて見えるわ。」

 

「それは貴様たちが持っていいような代物ではない!それはお姉様の物だ!」

 

「フッフフフ・・・・・じゃあ、私から取り返してみせたら?」

 

「言うまでもない!」

 

依姫は主?に向かって刀を振るった。刀はあっさりと体を貫き切断面から血が流れ始めた。

 

「・・・・・・ゴブッ!?」

 

しかし、その直後に彼女の腹部が何かに貫かれた。よく見ると主?の細い腕が彼女の腹部をいとも簡単に貫いていた。

 

「わ、私が・・・・・・!?お、お前は!?」

 

「私のことを思い出した?」

 

主?は笑みを浮かべながら依姫を見るが依姫は出血により意識が朦朧としてきた。そして、彼女の血が滴り落ちる。

 

「お姉・・・・・さ・・・・・・・ま・・・・・」

 

主?の手が抜け、依姫は血を流しながらその場に倒れた。主?は手に着いた血を舐める。

 

「大人げないわね。普段のように冷静になっていれば勝ったのに。」

 

「いかがなさいますか?」

 

マントの男は、倒れた依姫を見ながら言う。

 

「そうね・・・・・・どの道死にはしないから牢にでも入れておきなさい。後、姉の方も人工血液の供給を忘れずにね。」

 

「畏まりました。」

 

マントの男は、依姫を拾い上げようとする。しかし、戦意を失って動かないと思っていた兎達が銃撃を開始した。

 

「ぬっ!?」

 

「依姫様!!」

 

いつの間に目を覚ましたのかレイセンは急いで依姫を担いで外へと出て行く。

 

「おのれ!」

 

マントの男は急いで後を追おうとするが妨害を受ける。

 

「急いでレイセンと依姫様が逃げる時間を稼ぐのよ!」

 

「小賢しい!!」

 

マントの男は腕にエネルギーを帯びたたせ、手刀で兎たちを惨殺する。

 

外に出た頃には、レイセンも依姫の姿もなかった。

 

「あの兎が!?どこへ・・・・・・!?」

 

上空を見上げると何かが打ち上げられたようだった。

 

「奴め・・・・・・・脱出用のロケットを用意していたのか!」

 

マントの男は、何かをしようとしていた。しかし、その彼の手を何かが止めた。

 

「もう、いいわ。」

 

男が見るとそこには主?がいた。

 

「しかし・・・・・」

 

「どちらにせよ、彼女たちはまたここへ戻ってくる。それは運命によって決まっているのよ。それにまだやることがあるのだから始めなさい。」

 

「・・・・・・・わかりました。」

 

男は諦めたのかのように手を引く。

 

 

「貴方様の命令とあらば・・・・・ご主人様(お嬢様)。」

 




次回、幻想郷に何かが落ちる日。

本作の連載再開について

  • 再開してほしい
  • できれば再開してほしい
  • どっちでもいい
  • してくてもいい
  • 他の作品を優先してほしい

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