ロックマンX ゼロの幻想入り   作:赤バンブル

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シリアス中心?


貴方はだあれ?

シグマの手によって行方を暗ましたレミリア。

 

そのことをフランに打ち明ける事ができないゼロたちはホイルジャックの提案で彼女のそっくりのロボットレミリアを製作するが案の定の暴走、そして、フランを騙す事はできないとゼロは思わず激怒をし周囲は重い空気に晒される。

 

しかし、それも束の間脱走を試みたクリスター・マイマインが謝ってマインド転送装置を誤作動しロボットレミリアの体になって脱走してしまった。

 

その頃、フランは永琳たちの目を盗んで妖怪の山へと向かっていた。

 

 

 

さて、今回の「ロックマンX ゼロの幻想入り」は、にとりの家から少し離れた川で一人座っているゼロから物語を始めよう!

 

 

 

 

妖怪の山

 

「・・・・・・」

 

ゼロは山から流れる川を見ながら黙って座っていた。先ほど怒鳴ったことを気にしているのか石を投げて考え事をしていた。

 

「・・・・・確かにああは言ったが俺自身も一体どうすればいいのかわかっていない。・・・・情けないことを言っちまったな。」

 

自分は戦う事しかできない。そして、その戦いの中ではかつての同僚や意識の残っていたイレギュラーも含まれていた。

 

『・・・・俺はレプリフォースを信じる・・・・。行くぞ!』

 

『教えてやるよ・・・・・始末される側の気持ちをなっ!』

 

『戦ってくれよ!!悪魔のイレギュラーハンター!』

 

『イレギュラー?シマツシテヤルヨ!オクトパルドノヨウニナッ!!』

 

 

 

「・・・・・・俺にはわからない。今までイレギュラーと戦う事しかできなかった俺には。フランとどう向き合っていけば・・・・」

 

「それは、みんな同じだと思うわ。」

 

「ん?」

 

ゼロが後ろを振り向くとそこにはアイリスとバンブルがいた。

 

「アイリス・・・・バンブルも。」

 

「みんなゼロと同じ気持ちさ。オイラ、いくら上手に嘘をつけたとしてもいつかバレちゃうことはわかるんだ。それが姉妹だったらなおさらね。それにうまく偽物作っても姉妹には誤魔化せないものもあるって言うもの。この間ハウンドがホログラムでサンストリーカーに化けてランボルを脅かそうとしたんだけど速攻でバレちゃったしね。ゼロの言っていることは正しいよ。」

 

「ふん・・・・・別に同情しなくてもいい。」

 

「そんなことはないわ。私もあなたの言ったことは正しいと思っているわ。私も兄さんのコピーが作られたとしてもその人を兄さんと呼ぶなんてできないわ・・・・・・」

 

アイリスは暗い顔をして言う。

 

「アイリス。」

 

「ゼロだって同じよ。もし、ゼロが死んでシグマがゼロそっくりのコピーを作ったとしても・・・・・それはゼロでも何でもない。私だってそうでしょ?」

 

「・・・・・」

 

「フランちゃんに本当のことを言ってショックを受けたときはレミリアちゃんの代わりにはなれないけど私たちは私たちで力になってあげましょう。」

 

「・・・・・そうだな。その前に怒鳴ったことについては改めて謝らなくちゃな。」

 

ゼロは立ち上がってにとりの家の方へ戻ろうとする。

 

 

その時だ!

 

 

「おーい!大変だ!!」

 

一台のパトカーが三人のところへと走ってきた。

 

「あれ?プロールだ。一体どうしたんだろ?」

 

三人の目の前に着くとパトカーはプロールへと姿を変える。

 

「どうしたんだい、プロール。」

 

「バンブル、ゼロ、アイリス。この辺でライドチェイサーが走ってこなかったかい?」

 

「ライドチェイサー?いや、俺たちのはにとりの家に置きっぱなしになっているがロックはしてある。」

 

「実は基地にいるランボルとサンストリーカーから連絡があってロボットレミリアが脱走したらしい。」

 

「何だって!?」

 

「でも、おかしいんじゃないんですか?ホイルジャックさんの話だとAIは未完成だって・・・・・・」

 

「それがマインド転送装置が誤作動を起こしてどうやら捕虜のメモリーをインストールしてしまったそうなんだ。現に逃げ出そうとしていた捕虜が機能停止して近くに倒れていたしな。」

 

「ねえ、それってマズいんじゃないの?」

 

「あぁ、間違って人里に逃げて能力を発動させたら大パニックになる。マイスター副官たちが周辺を捜査しているが手掛かりになりそうなものは・・・・・・・・」

 

「悩む前に一刻も早くロボットレミリアを捕まえる方が先だ!手分けして探すぞ!」

 

ゼロたちのロボットレミリアの捜索が開始された!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)Flandre

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽香の花畑

 

一方、ここは妖怪の山の近くにある幽香の花畑。

 

「ゼロとアイリス?あぁ・・・・確か今朝この道を通って河童の家の方へと行ってたわよ。」

 

日傘をさして幽香は訪ねてきたフランに言う。彼女の後ろでは行く宛がなくなったヘチマールとマシュラームが花の世話をしている。

 

「うん、ありがとう。」

 

フランは礼を言うと山の方へと走って行った。

 

「・・・・・あの子、随分と急いでいるようだけどどうしたのかしら?」

 

「お姉ちゃん、雑草抜き終わったよ。」

 

「苗も植え終わったよ。」

 

「ご苦労様・・・・・・・・ってあなたたち泥だらけじゃないの。」

 

幽香は泥だらけになったマシュラームたちを見る。

 

「あっ、大丈夫だよ。後でウルト〇マンごっこで遊んで汚れるから。」

 

「そういう問題じゃないでしょ。」

 

幽香は二人を引っ張って水場で洗う。

 

「全く・・・・・河童からも聞いたけどやっぱり中身は子供なのね。」

 

「「プハッ!ププ・・・・・・・」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)Crystar Mymine

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山 道中

 

「ひいいぃぃいいい!!!」

 

マイマインは、悲鳴を上げながらライドチェイサーを走らせていた。だが、これは敵に追われているから叫んでいるのではない。

 

「なんで俺の足こんな短いんだよ!?ペダルに届かない!!」

 

入り口にあったライドチェイサーのロックを壊して走らせたのはよかったもののライドチェイサーのハンドル以外まともに動かす事ができずスピードを上げ過ぎて混乱状態に陥っていた。

 

「ひいぃ~ん!!このままだとぶつかって木っ端微塵になってしまう~!!」

 

っと言っている間にマイマインはライドチェイサーを木に激突させ、崖の下へと落ちていく。

 

「ふえぇぇぇええ~!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)Autobots

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にとりの家

 

「まさか脱走するとはね・・・・・・」

 

一回基地へ戻ってきたゼロはホイルジャックと共に空っぽになったカプセルを見て首を傾げる。

 

「基地に戻ってきたときは俺のライドチェイサーもなくなっていた。もしかしたら奴はかなり遠くへ逃げた可能性があるぞ。」

 

「いかんな、もし敵とコンタクトを取ろうとしているとしたら豪いことになるぞ。」

 

「幸い、チェイサーには発信機を取り付けてある。その反応を辿ればなんとかなると思うが・・・・・・」

 

「うむ、パワーグライドとアダムスに頼んで付近を調査してもらおう。」

 

「デストロンには教えないのか?」

 

「元々、吾輩たちがやってしまったことだからね。いくら今手を組んでいるとは言ってもこんなことを敵さんに押し付けちゃいかんよ。」

 

ホイルジャックは、テレトラン2の通信機能を使って二人に呼びかける。

 

「こちら基地のホイルジャック、聞こえるかね?」

 

『はいよ~、こちらパワーグライド~。現在この広~い空をパトロール中。目下異常なし、どうぞ。』

 

「すまないが空から基地から逃げ出した女の子を探してくれ。青みがかった銀髪で見た目が幼い子供だ。見つけ次第すぐに知らせてくれ。」

 

『合点さ。』

 

「さてと次はアダムスに・・・・」

 

その一部始終をデストロンの光学情報兵リフレクターが聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リフレクターはすぐにこのことをメガトロンに報告した。

 

「という事は脱走したそのロボットレミリアという奴は能力まで同じように使えるという事か。」

 

「「「仰る通りです。」」」

 

「ラムジェット、ダージ。」

 

メガトロンの指示でラムジェットとダージが来る。

 

「お呼びですかメガトロン様。」

 

「捕虜が入れ替わったロボットがこの基地を脱走した。最悪な場合敵を呼び寄せかねん。見つけ次第破壊しろ。」

 

「「了解「しました。」」

 

ラムジェットとダージは戦闘機へと変形し、基地から飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)Flandre

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山 道中

 

幽香の花畑から妖怪の山の中を歩いていたフランは、川に沿って歩いていた。

 

「ゼロたち、何やってんのかな?」

 

フランは、そうやって歩いていると川に何か浮いているのに目が付く。

 

「うん?あれって・・・・・・」

 

フランには見覚えがあった。自分と何となく近い大きさ、見覚えのある服装、そして髪の色・・・・・・・・

 

「お姉様!!」

 

フランは、川に飛び込んでレミリア?を引き上げる。気を失っているのか起きる様子はない。

 

「翼がなくなってる・・・・・・それに体がすごく冷たい。一体どうしちゃったんだろ?」

 

「う、うぅ・・・・・・」

 

レミリアが目を開ける。

 

「お姉様!よかった目が覚めたのね!!」

 

「!?う、うわあぁぁぁぁ!?」

 

レミリア?は、驚いてフランから離れる。

 

「どうしたのお姉様?」

 

「お、俺を壊しに来たな!悪魔の妹め!!」

 

「?」

 

レミリア?が言っていることをフランは理解できなかった。

 

「喰らえ!クリスタルハンター!!」

 

レミリアは、口から何かを吐きだそうとする。

 

 

しかし、なにも起きなかった!!

 

 

 

「・・・・・・・あれ?どうして出ない?早く出ろ!!こんなところで捕まってたまるか!?」

 

「・・・・・お姉様、何やってるの?」

 

「お姉様?ふざけるな!俺はクリスター・マイマインだ!」

 

「?」

 

「あれ?気持ち悪いとか言わないのか?カタツムリの化け物とか、ノロマレプリロイドとか・・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「?」

 

フランが川に指をさしたため、マイマインは川で顔を覗いてみる。

 

「・・・・・・・・えっ?」

 

そこに映っていたのは目の前にいる彼女と似た容姿をした少女の顔。

 

 

「・・・・・・・俺?」

 

「貴方って誰なの?お姉様に似ているけど吸血鬼じゃなさそうだし・・・・」

 

「お、俺は・・・・・・」

 

 

その時だ!

 

 

「ラムジェットより、メガトロン様。目的のガキを発見しました。」

 

『よし、奴が遠くへ逃げる前に破壊しろ!!』

 

「了解!」

 

上空からラムジェットが迫る。二人の目の前に辿り着くとロボットモードへと変形し腕についているレーザーライフルをマイマインに向ける。

 

「やっと見つけたぞ、随分手間を掛けさせやがって。」

 

「!!」

 

マイマインは急いで逃げ始める。

 

「おっと、俺から逃げられると思っていやがるのか!」

 

逃げる先にレーザーライフルを撃ちマイマインの足を止める。

 

「あ、あぁ・・・・・・・」

 

「お前が敵に接触したら面倒だからな。さっさとここでくたばってもらうぜ。」

 

「う、うわあぁぁ・・・・・・・」

 

怯えているマイマインを見てフランはいまいち状況がよくわからなかったがどう見てもマイマインが追われていると読めた。

 

「さっさとスクラップになりな!」

 

「くう!」

 

マイマインは目を閉じて頭を押さえる。ラムジェットのレーザーライフルが火を噴こうとしたその時

 

「えい!」

 

フランが炎を纏った剣「レーヴァテイン」でラムジェットの腕を斬り飛ばす。

 

「ぐわぁあ!?このクソガキ!お、俺の腕を!?」

 

いきなりの攻撃にラムジェットは動揺する。

 

「禁忌『フォーオブアカインド』!!」

 

動揺している隙を見てフランはさらにスペルカードを宣言し、マイマインを連れて分身を含めて四手に別れた。

 

「くそ・・・・・・・あのガキ!!」

 

ラムジェットはフランの方を見ると分身が別れ別れになったためどちらを追うべきか戸惑った。

 

「ええい!小癪な手を!!」

 

ラムジェットは戦闘機へと変形し、切断された腕を持つと通信を入れる。

 

「ラムジェットより、メガトロン様。目標を破壊しようとした瞬間思わぬ不意打ちにより負傷しました!目標は四手に別れてなおも逃走中!応援を寄越してください!」

 

『何!?逃がしただと?すぐに別の部隊をそっちに送る。お前は奴らが到着し次第、基地へ戻れ。今は戦力が欠けるのは望ましくないからな。』

 

「はっ!では、応援が到着するまで少し付近を探ります。」

 

ラムジェットは、そう言うと辺りの探索を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)ZERO&Iris

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ゼロとアイリスは

 

「見ろ、基地から盗まれたライドチェイサーだ。」

 

マイマインが落下した現場へと到着していた。

 

「この様子だとここから落ちたのかしら?」

 

「あるいはな、まだそう遠くへは行っていないはずだ。あたりを探すぞ。」

 

その直後、すぐ近くの茂みがガサガサと揺れる。

 

「「!?」」

 

二人はバスターを構える。すると茂みからフランの分身が出てきた。

 

「フラン!?」

 

「フランちゃん!?」

 

「!!」

 

フランの分身は慌てて反対側の茂みへと逃げようとする。

 

「待て!」

 

ゼロは分身を捕まえるがすぐに違和感を感じる。

 

「!?お前・・・・・フランじゃないのか?」

 

「えっ?」

 

「見ろ、コイツの後ろには小さくてわかりづらいが魔法陣が展開されている。それに・・・・・」

 

ゼロが言いかけたとき、分身はあっという間に消えてしまった。

 

「消えた?」

 

「・・・・どうやら完全な状態じゃないせいであまりにも弱すぎる。俺が掴んだだけで消えるとはな。だが、おそらく、本体であるフランもそう遠くへは行っていないはずだ。」

 

「もしかして永遠亭から逃げてきたんじゃ。」

 

「おそらくな。その辺で倒れているかもしれない。ロボットレミリアもそうだがフランを見つけ出さなきゃな。俺は分身が出てきた方を探す。アイリスは引き続きこの辺を探してくれ。」

 

「わかったわ。」

 

ゼロは、アイリスと別れて分身が出てきた方へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)Flandre&Crystar Mymine

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山 出口

 

「はあ・・・・・はあ・・・・・・」

 

フランは息を荒くして木の下に座っていた。直ぐ近くにはマイマインが震えながらしゃがんでいる。

 

「え、永琳の言う通り・・・・・・・まだ治っていなかったのかな?こんなに早く疲れるなんて。」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・マイマインって言うんだよね?」

 

フランは、マイマインを見る。

 

「さっきの攻撃で掠ったみたいだけど大丈・・・・!?」

 

フランは、マイマインの腕を見て驚く。

 

素肌に当たる表皮が一部剥がれ、中のフレームが露出していたのだ。

 

「・・・・・」

 

「あなたもゼロやアイリスお姉ちゃんと同じレプリロイドなの?」

 

「・・・・・・うん。」

 

今まで黙っていたマイマインがようやく口を開いた。

 

「でも、どうしてお姉様そっくりなんだろう?」

 

「さあな。お前の姉貴に似せて作ろうとしていたんじゃないか?シグマ様に捕まっちまったようだからな。」

     

「えっ?」

 

マイマインの一言でフランは唖然とする。

 

「なんだ?知らなかったのか?お前の姉貴、シグマ様に捕まっているんだぞ。」

 

「・・・・・・知らない。」

 

フランは、信じる事ができなかった。

 

「知らない知らない知らない知らない!!知らない、そんなこと!!」

 

「!?」

 

「咲夜だって、美鈴だって、パチェだって、みーんなそんなこと言ってなかったもん!!」

 

「・・・・本当に知らなかったのか?」

 

「・・・・・・私だけ知らなかった。」

 

しゃがんでフランは縮こまる。

 

「なんでみんな教えてくれなかったの?どうして、嘘ついたの?・・・・・・お姉様がいなくなったって。」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・ねえ。」

 

「なんだよ。」

 

「どうしてみんな教えてくれなかったのかな?」

 

「・・・・・・・心配するからじゃない?」

 

「?」

 

「家族ってみんな心配するらしいからな。こんな見た目が可愛い子なら尚更だよ。」

 

マイマインはため息をついて言う。

 

「マイマインは家族がいないの?」

 

「いない。作ってくれた博士のところにいたんだけど失敗作として捨てられたんだ。」

 

「捨てられた。」

 

「本当はカタツムリをモデルにした可愛いレプリロイドを作ろうとしたんだけど作ってみたらかえって気持ち悪いからという理由で。それからはずっと独りぼっちさ。」

 

「・・・・・・寂しくなかったの?」

 

「寂しかったけど誰も相手にしてくれなかった。そんなとき、シグマ様が俺の能力を買ってくれた。初めて人に力を求められてあの時はうれしかったな・・・・・・すぐにイレギュラーハンターにやられたけど。」

 

「・・・・・友達もいないの?」

 

「友達か・・・・・・・・・考えたこともないな。いつも一人だったし、作ろうとしたところで博士みたいに裏切られるのが怖いし・・・・・・」

 

「・・・・・じゃあ、フランが最初の友達でもいいよ?」

 

「・・・・えっ?」

 

マイマインは、フランの方を見る。

 

「フランもね、魔理沙や霊夢たちに会うまでは独りぼっちだったんだ。お姉様からも私の能力を恐れて遠ざけられていたし、話し相手も誰もいない。マイマインと一緒だったんだよ?」

 

「・・・・・・」

 

「でもね、霊夢と魔理沙に会ってから少し変われた気がするの。お姉様とは喧嘩するけど能力が暴走することはなくなったし、相手をしてくれるようになった・・・・・・。友達も増えたし・・・・・・」

 

「?」

 

フランの声が少し震えているのにマイマインは奇妙に感じた。改めて彼女の顔を見ると目から涙が溢れて来ていた。

 

「で・・・・・でも・・・・・・・お姉様がいなくなるなんて考えたことなかったな・・・・・・・いつもすぐ近くにいたし・・・・・おやつの取り合いしたし・・・・・・からかったらやり返したし・・・・・・それに・・・・」

 

「・・・・・・フラン?」

 

「う、うぅう・・・・・・お姉さまに会えなくなるなんて嫌だよ・・・・・・・・もう、悪戯もしないから・・・・・・今までおやつ取ったりしたことも謝るから・・・・・・帰ってきてよ・・・・・・・帰ってきて・・・・・・」

 

フランが泣いているのに同調したのか空から雨が降り出す。雨は彼女の顔に落ちると涙と一緒に地面へと落ちていく。

 

「・・・・・」

 

マイマインはそっとフランの頭を撫でる。レプリロイドとして生まれた自分とは違い、彼女にはかけがえのない家族がいる。自分はイレギュラーとして犯罪に手を染めたけど彼女には止める相手がいた。それを自分たちが奪ったと思うと罪悪感が湧いてきた。今まで感じたことがないにもかかわらずだ。

 

「ごめん・・・・・・・君のお姉さん奪って・・・・・・俺にはどうにもできないけど・・・・・・・ごめん。」

 

「う、うぅう・・・・・・・うぅ・・・・・」

 

そこへゼロが来た。

 

「やっと見つけた・・・・・・分身で探すのが手間取ったが・・・・・」

 

「!?」

 

ゼロはバスターをマイマインに向ける。

 

「そこを動くな!レミリアの振りをしてフランを手招こうとは・・・・イレギュラーにしては味な真似を・・・・」

 

「・・・・・」

 

マイマインは、フランを放すと走り出す。

 

「逃がすか!!」

 

ゼロは、ダークホールドを発動させて動きとめる。そして、目の前に回り手足を斬り落とした。

 

「ぐっ!?」

 

ダークホールドが解除され、マイマインは倒れる。

 

「やっぱりこんなものは作るべきじゃなかったな。フランの目の前では残虐に見えるがここでとどめを・・・・・・」

 

そのとき、フランがゼロの後ろに抱き着いた。

 

「フラン!?」

 

「もういいよ!もう、やらなくていいよ!!」

 

泣きながらゼロに言う。

 

「マイマインは何もやっていないよ!フランのことを騙してもいないし、何も企んでいないし、独りぼっちだったもん!だから・・・・・・・壊さないで・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

ゼロは、セイバーをしまい、フランを抱き上げる。そして、マイマインの方を見る。手足を切断されたのにもかかわらず体を張って逃げようとしていた。

 

「・・・・・・敵に知らせるために脱走したんじゃなかったのか・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

その後、メガトロンの命令で近くを見回りをしていたスカイワープに発見され、マイマインの引き渡しを要求されたがゼロは拒否し、フランと一緒に基地へと戻った。フランは来ていた魔理沙の箒に乗せられて永遠亭に戻され、マイマインはマインド転送装置で元の体に戻されると再び牢屋に入れられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後

 

「・・・・・・・」

 

マイマインは、相変わらず自分の殻を直していた。もう、いつでも処分されていいと思っているのか進行度は脱走以前よりもかなり遅くなっていた。

 

「・・・・・・マイマイン・・・・・エネルギー持ってきたよ。」

 

牢屋の外でにとりが心配そうに見る。

 

「・・・・・・ここに置いておくからね。・・・・・・ちゃんと取るんだよ。」

 

にとりはそう言い残すと去って行く。

 

マイマインは、作業を中断するとエネルギーにありつく。じっくりとエネルギーが満たされていくのを味わいながら。

 

「・・・・・・あの子どうしているのかな?」

 

マイマインは、別れたフランのことを何となく思った。しかし、元の体に戻った以上もはや相手にされることはあるまい。そう結論付けるとまた修理に集中し始める。

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく集中していると牢が開いた音がした。

 

入口の方を見て見るとそこには、見覚えのある顔がいた。

 

「・・・・えっ?」

 

「遊びに来たよ、マイマイン!」

 

 

 

 

 

マイマインの目から涙が出てきた。

 

 

 

 

 




次回予告

霧雨魔理沙だぜ☆!

家にゼロとアイリスが居候してからずいぶん経つんだけどあいつ等もの食わないから一人飯で違和感感じすぎてたまったもんじゃないぜ。

そこでホイルジャックにどうにかならないか頼んでみたんだけど・・・・・・大丈夫なのか?

次回「ロックマンX ゼロの幻想入り」

「初めての食事」

っておい!なんかこのサブタイトルショボ過ぎないか!?

お楽しみに☆!!

本作の連載再開について

  • 再開してほしい
  • できれば再開してほしい
  • どっちでもいい
  • してくてもいい
  • 他の作品を優先してほしい

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