さて、今回のトランス・・・・・否、今回の「ゼロの幻想入り」は外のサイバトロン基地に集結しているマイスター副官たちから物語を始めるとしよう!
サイバトロンが人里を襲う一時間前
サイバトロン基地
「マイスター副官、俺たちを緊急招集するなんて一体どうしたって言うんだい?」
ニューヨークで待機していた戦士 トラックスは不思議そうに聞く。
「そうそう!俺っちたち、これでもまじめに仕事してたんだぜ?」
その隣では待ちきれんとばかりに足を動かしている通信員ブロードキャスト。
「おいおい、別に疑って呼んだんじゃないんだ。落ち着いて聞いてくれ、コンボイ司令官がみんなを連れてセイバートロン星に向かってから早くも一週間。スペースブリッジは愚か、通信すらできない事態なんだ。」
「おそらく、何かしらの電波障害か何かが起こっているんじゃないか?」
「一週間以上も通信ができないなんて馬鹿げたことがあるかい?」
「でもさ、俺っちたちだけ集まってもしょうがないんじゃないの?」
ブロードキャストは、首をかしげながら言うがいつもならおちゃらけているマイスターは今回に限ってはまじめを通していた。
「・・・・・・・実は、一昨日アダムスにセイバートロン星に行って来てもらうように頼んだんだがセイバートロン星に着いてから通信がポツリと途切れてしまったんだ。」
アダムスとはUFOにトランスフォームする戦士である。
「何だって?」
メンバーの中で巨体を誇るインフェルノは驚いた顔で言う。
「私は、おそらくセイバートロン星に何かが起こったと思うんだ。だから今回、我々も司令官たちの跡を追うべくセイバートロン星へ向かうことにした。」
「しかし、マイスター副官。行くにしてもこっちにはロケットがないんだぜ?どうやってセイバートロン星に帰るつもりなんだ?」
「心配無用、ロケットならあるさ。」
マイスターは、数少ないメンバーを連れて基地の外へと行く。基地の外では、彼ら以上に巨体を誇ったトランスフォーマーが待っていた。
「通信、受ケテ来タ。要件、一体ナンダ?」
少し不自然そうな口調でしゃべるこのトランスフォーマーの名は警備員 オメガスプリーム。宇宙ロケットと戦車、防衛基地の三つにトランスフォームするサイバトロンメンバーである。
「あぁ、オメガスプリーム。すぐに我々を乗せてセイバートロン星に向かって飛んでくれ。」
「情報、不足。」
「コンボイ司令官たちが私たちに何も知らせずにセイバートロン星に行ってしまったんだ。連絡をしても何の返事もない。だから調べに行く必要があるんだ。」
「セイバートロン星、遠イ。エネルギー、持ツカワカラナイ。」
「それなら向こうで補充すればいいさ。今は司令官たちが心配なんだ。頼む。」
「・・・・・・・了解シタ。スグニセイバートロン星ヘ発進スル。トランスフォーム!!」
オメガスプリームはロケット、戦車、防衛基地にトランスフォームする。
「よし、みんな。急いでロケットに乗り込むんだ。」
マイスターを先導にサイバトロン戦士たちはロケットの中へと搭乗していく。
「セイバートロン星ニ向カッテ発進スル!!」
オメガスプリームはセイバートロン星へ向かって飛んでいくべく上昇する。
しかし、上昇した直後に上空に奇妙な隙間が現れて彼を飲み込んだことは誰も気づくことはなかった。
テレレレ~テ~テン!(エンブレムターン)
人里
「行くぞ!このチビ共!!」
サイバトロン一同は一斉にゼロに襲いかかる。
「くっ!」
ゼロは、左腕をバスターに変形させ、チャージショットを放つ。
幻想郷に来る前は、シグマの不意打ちで破損したため使用不能になっていたがパーセプターとホイルジャックの協力もあってドップラーの反乱以前の性能を取り戻すことに成功した。
バスターから放たれたエネルギー弾は、サイバトロンたちを吹き飛ばしていくが倒れたメンバーは痛みを感じないのかまた起き上がってくる。
「みんな痛くないのかな?相当痛そうなのに?」
バンブルは、不思議そうに見ている中、足を氷漬けにされていた慧音と妹紅は急いで援護に回るべく溶かしていた。
「妹紅、急いでくれ。いくらゼロでもあの数では限界がある。」
「わかってるって。でも、氷妖精がやったのとはレベルが違うんだ。すぐにって言われてもできねえよ。」
「アイリス、お前はゼロの援護に回ってくれ。」
慧音は、自分たちを護衛しているアイリスに言う。
「えっ?でもそんなことをしたら・・・・・・」
「私たちは、時間が経てば動けるようになる。心配することはない。」
「・・・・・はい。」
アイリスは、ライドチェイサーから何かを取り出して自分の体につける。
すると、眩い光が彼女の身を包んだ。
少し前 にとりの家
『これは、かつてエックスが身に着けたアーマーを君に合わせて改良したものじゃ。』
ライト博士は、アイリスの目の前に純白のアーマーを見せる。それはかつてエックスがシグマとの最初の戦いで身に着けた「ファーストアーマー」によく似ていた。
『残念ながらカスタマイズした物の中で使用できるのは今のところこれしかない。本来なら別の物もすぐに用意してやりたいところなんじゃが・・・・・・・』
「・・・・・・大丈夫です。お気持ちだけでもうれしいので。」
申し訳なさそうな顔をするライト博士に対してアイリスは、感謝しながら答える。
『すまんのう。じゃが、これから起こるであろう戦いではおそらくこのアーマーだけでは性能不足になるじゃろう。他のアーマーは儂とパーセプター君、そして、ホイルジャック君とで急いで製作する。』
「ねえねえねえ。私も仲間に入れてよ~。」
一人だけ忘れ去られていたにとりは涙目でライト博士を見る。
『あっ・・・・・すまなかったのう。では、にとり君にも協力してもらおう。』
「アイリス、バスターに俺のDNAデータを組み込め。エックスのをベースにしているなら俺の技も使えるようになるはずだ。」
イーグリードは自分の体からDNAデータの端末を取り出すと早速にとりにコピーを作ってもらう。そして、そのコピー端末をアイリスのバスターに組み込んだ。
現在 人里
「・・・・・よし。」
純白のファーストアーマーを身に着けたアイリスはバスターを展開すると急いでゼロの元へと向かう。
一方のゼロは、亡者の如く迫ってくるサイバトロンを相手に止むを得ずセイバーを引き抜こうとしていた。
「・・・・・・流石にこれ以上バスターでの威嚇は無理だな。悪いが手足の一本二本斬らせてもらう。」
「斬れるものなら斬ってみやがれ!その前にお前の顔の皮を剥いでやる!!」
「ちょっと待て!それじゃあ面白くない!いっその事バラバラにしてパーツの一つ一つを壁飾りにしてやろう!」
「いや、頭だけはサッカーボールにして遊ぼうぜ!」
「全く、とんでもないことを言う奴等だ・・・・・。」
ゼロは、セイバーを引き抜くと迫り来るサイバトロンたちに向かって接近する。
「逃げても無駄だぞ!」
「あぁ、逃げる気なんて毛頭ない!」
アイアンハイドの足元に着いたゼロは、早速彼の右足を切断する。
「ぐわぁぁ!?」
バランスを崩したアイアンハイドは後ろに倒れる。
「コイツ!」
「アースクラッシュ!!」
襲い掛かるサイバトロンたちに向かってゼロは地面を殴りつけて広範囲に攻撃を行う。
「「「「うわあぁぁぁ!?」」」」
「もう許さん!」
ゼロの背後からパトカーにトランスフォームするプロールが銃を構える。
「させない!」
アイリスはプロールの銃をチャージショットで撃ち落とす。
「くっ!この小娘!」
プロールは、目標をアイリスに変えて襲い掛かる。ダッシュでプロールの真下に潜り込むとバスターを彼の頭部に向ける。
「ストームトルネード!!」
「うおぁわぁぁぁぁ!?」
バスターから発生する竜巻に呑まれプロールは上空高く舞い上がった。
「うっ!?」
起き上がってゼロの援護に回ろうとしたアイリスを何か見えないものが掴んだ。
「おっと、暴れるのはそこまでだぜお嬢ちゃん。」
正体は透明になっていたリジェだ!
「アイリス!」
ゼロは思わず近づこうとするがリジェはアイリスを握り潰そうと力を入れる。
「あああぁぁぁああ!!」
「うっ!」
「おっと、動くんじゃないぞ?武器を捨てねえとこのお嬢ちゃんが一瞬にしてバラバラのスクラップになっちまうぜ?」
リジェはアイリスの顔に銃を突きつける。もし発射されたらひとたまりも無い。
「くっ・・・・・・」
「ゼロ、私に構わず・・・・・」
「おっと、お喋りはよくないぜ?」
「ああぁぁあ!!」
アーマーに亀裂が走る。
「・・・・・・・・」
ゼロは、セイバーを捨てるとバスターを元に戻す。かつての彼ならこのような甘さはなかった。しかし、大事なものをこれ以上失いたくないという感情が彼にそうさせた。
「ゼロ!」
「ハッハハハハ、ちょろいもんだぜ。」
リジェは高笑いしながら言う。サイバトロンたちはゼロを捕えるとすかさず蹴るなり殴るなりと集団リンチを始める。
「この野郎、よくも俺の足を斬りおとしてくれたな!」
右足を失ったアイアンハイドは、ほかのメンバーに支えられながら液体窒素でゼロの足を凍らせて逃げられないようにする。
「よおし、次はこの怪力ゴング様が手取り足取り痛めつけてやるぜ!」
ゴングは銃を使わず、ゼロを殴り始める。
「ぐっ!」
「オラオラ!まだまだくたばんなよ!」
「ゼロ・・・・・・・」
ボロボロになって行くゼロを見ることしかできないアイリスはもう泣きそうな声だった。
「どうだ、大事なパートナーがやられていく様は?今度はどうなるやら・・・・・・」
「この野郎!」
「なっ!?」
その時リジェの背後からバンブルが体当たりをする。突然の攻撃にリジェは反応できず握っていたアイリスを手放す。バンブルは急いで彼女を回収する。
「アイリスちゃん大丈夫?」
「え、えぇ・・・・・」
アーマーに罅は入っていたが彼女自身には目立ったけがはないようだ。起き上がったリジェは鬼の形相でバンブルをにらみつける。
「バンブル・・・・」
「オイラ、もう我慢できないぞ!みんながその気ならもう同じサイバトロン戦士だって思わない!みんなデストロンと同じだ!!」
「なら、まずお前からバラバラにしてやる!!」
リジェは、透明になろうとする。
その時だ!
上空に大きな隙間が開く。
「へっ?」
「「「「えっ?」」」」
サイバトロン一同は全員上空を見る。
隙間からは巨大なロケットが飛んできた。
「何あれ?」
アイリスは茫然とこちらに飛んでくるロケットを見る。
「多分増援かもしれないけど・・・・・・ここにいるとまずいよ!」
バンブルはアイリスを抱き上げると少しでも離れようと逃げ出す。サイバトロン一同はゼロへの攻撃を中断し、ロケットに向かって攻撃を開始する。
ちなみに慧音たちも一足先に離脱している。
「はっ!ゼロは!?」
アイリスはゼロが倒れている方角を見る。ゼロは依然として倒れたままだった。
「ゼロ!」
アイリスは急いでゼロのところへ戻ろうとする。
「ダメだよアイリスちゃん!オイラたちまで巻き込まれちゃうよぉ!?」
バンブルはアイリスを抑える。
「離して!」
「もう間に合わないよ!」
バンブルは抵抗するアイリスを担ぎながら逃げる。
ロケットは丁度サイバトロン戦士の真上に落下し、大爆発する。ついでに人里も勢いよく吹き飛ばされた。
どうにか逃げ切れたアイリスたちは人里の方を見る。
人里は見事に吹き飛ばされ、残されているのは黒焦げ、またはバラバラになってしまったサイバトロン戦士たちだけだった。辛うじて死んではいないようだ。
「あっ、危なかったな・・・・・・」
妹紅は、冷や汗をかきながら言う。
「幸い住民たちをみんな避難させておいたのが救いか・・・・・・しかし、寺子屋は愚かみんな消えてしまった。」
「ゼロ・・・・・・・」
アイリスは跪いて悲しむ。
「アイリスちゃん・・・・・」
バンブルは申し訳なさそうな顔で彼女を見る。
「私が・・・・・私があの時捕まったから・・・・・・・私のせいで・・・・・・・あ、あぁぁ・・・・・・」
彼女は、地面に顔を付けながら泣き始める。
「ゼロ・・・・・・ゼロォ・・・・・・・・・・ゼロオォォォ・・・・・・・・あぁあああ!!!」
「はい、どうぞ。」
聞き覚えのない声が聞こえたかと思ったら空間に隙間が開いて彼女の前に気を失っているゼロが落ちて来た。
「えっ?」
泣いていたアイリスは思わず呆然とする。アイリスだけではない。バンブルや慧音、妹紅もきょとんとした顔で隙間を見ていた。
「あ~、まさかあのロボットがミサイルにもなるなんて飛んだ誤算だったわ~。まあ、死者が出なかっただけよかったけど。」
開いた隙間から、一人の女性が出てくる。
「げっ!?八雲紫!」
「ピンポ~ン。みんなのアイドル、ゆうかりんでぇ~す♡」
「・・・・・・こんな状況でなんていう挨拶をしているんだ・・・・・・っと言うよりあの得体のしれない物体はあなたが呼び込んだというのか!?」
「まあ、あんな形で呼ぶつもりはなかったんだけどね、私も反省しているわ。」
「てめえ!危うく自分で幻想郷崩壊させるところだったんだぞ!?」
紫の態度に思わず妹紅は怒る。
「だ・か・ら、反省してるわよ・・・・・あ~あ、帰ったら藍に怒られちゃうわ~。」
「あの隙間妖怪・・・・・・」
一同が話している中、ロケットは入り口が開く。
「おい、オメガスプリーム。地球に戻ってきてしまっているぞ!?」
「オカシイ。進路、突然変ワッタ。」
マイスター含める残っていたサイバトロンメンバーだ。
「あっ、マイスター副官!?」
バンブルは思わずマイスターの方へと駆けていく。
「バンブルじゃないか!?今まで一体どこへ行ってたんだい!?みんな心配していたんだぞ!?」
「いやこれにはいろいろ事情が・・・・・・・・」
「・・・・・・・って、おいおい。どこのスクラップかと思ったらなんでアイアンハイドたちがボロボロになってるんだ!?」
「・・・・・・・」
バンブルはとりあえず事情を説明する。
「ゼロ!ゼロ!しっかりして!ゼロ!」
アイリスは必死にゼロの体を揺さぶるが起きる様子はない。
「急いで治療しないと・・・・」
「・・・・・・って、訳でみんなこうなったわけ。オイラ、ちょっと用事あるからみんなで来てね。」
バンブルは説明を終えるとアイリスの方へと戻ってくる。
「お待たせ!すぐに戻ろう!トランスフォーム!」
バンブルは車に変形するとドアを開ける。
「さあ、早く乗せて!」
アイリスは後部座席にゼロを寝かせると自分は助手席に座る。
「早く、パーセプターたちに診てもらわないと。」
バンブルは急いで人里(跡地)を後にしていく。その場にはサイバトロン一同と慧音、妹紅、そして、紫が残された。
「・・・・・・とにかく、俺たちもついて行った方がいいんじゃないか?マイスター副官。」
「うん。しかし、アイアンハイドたちが凶暴化するとはどうも信じられんな。みんな、とりあえず運べるだけ運んでバンブルに続くんだ。」
「・・・・・・・私たちはとりあえず住民たちに安全を確認したうえで復旧作業に入るか。」
「しっかし、すっかり跡形もなくなくなっちまったな。この責任どうとってくれるんだよ八雲ゆか・・・・・・・ってもういねえ!?」
次回予告(嘘)
シグマだ。
諸君、我々の話をちゃんと読んでいるかね?
今回は、ゼロが倒れたようだがこれはまだほんの挨拶だ。
これからゆっくり楽しんでくれたまえ。
では、次回の「ロックマンX ゼロの幻想入り」は「ゼロの悪夢」「アイリス覚醒 幻想郷で愛を叫ぶ」「ゆうかりん お仕置きされる」の三本だ。
かつて好きだったキャラの崩壊っぷりを見ながら逝く準備はできたかね?
シグマ、偽の予告にしては出来が良くないようだな!
おのれ、ゼロ!何故次回予告にまで私に牙をむける!!
俺はお前が嫌いなのさ!
本作の連載再開について
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