「あっつ・・・なんかジュースいるか?」
「なんでも。あ、アクエリ」
俺はコーラでいいか。
クーラーボックス脇のおっちゃんに小銭を渡しコーラとアクエリアスを持ってくる。
詩乃のいる場所はここから見ると尚更わかるがやけに薄暗く見える。
ここから見たらあの場所ダメだな、そう言うことする場所としか見えねぇわ。
その中で詩乃の目だけが光ってた、目です大佐(?)ライトのような。
どうでもいいか、色々と含めて。
「へい、アクエリ」
「あい」
俺が差し出したアクエリを受け取りすぐに口に入れる。
「はぁ、やってくれましたねぇ」
フリーザ様かな?
「おあいこだよ」
「こう言う時は女の子に優しくするもんじゃないの?」
「お嬢様扱いがお好きで?」
「やだけどね」
あのあとなんとかハフハフしながらたこ焼きを食い切った、他も苦戦することはなかった。
ただ相手に食べさせようとはしなかった、報復が怖い。
「こっちのお祭りって他にもやってるんでしょ?」
「うん、まぁほかはだいぶ離れるけどね」
ゴミを纏めて人波を眺める、いつも通りだけど多いな。
「私が前住んでたとこはこんな感じで大勢が集まるお祭りとか無かったから新鮮だなぁ」
「地元どこだっけ?」
家族連れや、カップル、カップル(偽)、友達同士。
「秋田」
「秋田美人か」
「そうね」
「・・・フッ」
否定せんのかい。
「なんで笑うのよ」
「ベタだけど詩乃は否定しないタイプなのが意外だった」
「そんなことないよぉ〜」
「やめとけやめとけ、すぐに限界になって頰がひきつるから」
求めてないです。
「でしょ、これからはどうするの?」
大体わかっていたのか俺の言葉にも特に反応はない。
これからねぇ、何するっても何しようか。
「歩こうよ、人多いの苦手だし」
「仰せの通りに」
ゴミはちゃんと分別してゴミ箱に捨てて鳥居をくぐる。
流石の夏でもこの時間になれば既に暗い。
「先輩ってこれまで何してたの?」
詩乃が話を振ってくる、これまで何やってたか?
「ゲームして学校行って部活して、休みになったら友達と遊んだりゲームしたり」
「ゲームは遊びじゃないの?」
「ゲームは遊びじゃなかった」
その頃が所謂ガチ勢。
「今・・・ふぅん、真面目になれるものがあったのは良いんじゃない?」
「なんだかんだ色々と楽しかったよ、部活も学校もゲームも詩乃は?」
そういやあんまり聞いたことなかったな、まぁ聞かずにおいたってのもあるけど。
事情が事情だし。
「ん〜子供の頃お父さん死んでお母さんがもおかしくなって、中学校まではおじいちゃんのところで暮らしてて高校からこっちに来て、先輩と遊んだりしてた」
あれいつの間にタメ口になってたっけ?いいっちゃけど。
てか波乱万丈だな。
「本かなんか描くか?」
「先輩ってやっぱりデリカシーないね」
「怒られたら謝ってこれからは気をつける主義、気に障ったならごめん」
「いえ、そんなとこがいいんだろなぁ、でも私以外じゃ怒られるけど。」
なんかやってねぇなぁ。
「あ」
思い出した。
「どうしたの?」
「今更ながらお手を拝借。」
そう言って左手を差し出す。
利き手は塞がない、ゴルゴ13も同じこと言ってる。
「あぁ、恥ずかしがらないでよ?」
「はいはい」
差し出された詩乃の手をそっと握る、少し冷たい気がした。
「お前冷え性?」
「はぁ?」
「こんな暑いのに手が冷手ぇからさぁ、冷え性かなって」
「はぁ、こんな時に冷え性の話する?」
「じゃあいずれ」
「別に言わなくていいわよ」
「お前冷え性なめちゃいかんよ、血行不良から腰痛とかなるし」
「あーもういい!黙って歩こう!」
詩乃から終了の合図が出る。
俺は月を眺め歩く、綺麗な満月だ。
月が綺麗ですね。
祭り終了。
最後もベタ。