「ふぁあ、おはようございます」
「この顔によくそんなこと言えたな」
寝てません、はい、寝れませんでした。
「なんで寝てないんですか?」
「半笑いで聞くんじゃねぇよ、確信犯じゃねえか」
ニヤニヤとした顔で聞いてくる。こやつなぁ。
ふわふわとした頭で外を見れば雨は上がっている、詩乃は狭いスペースで俺に背伸びをした後やっと俺の聖域から出て行く。
「詩乃、雨上がってるよな」
「えぇ、送ってくださいよ」
予想していた通りの返事、溜息吐こうとしたけど我慢しておく。
「じゃあ着替えてこい、俺小便行ってくる」
「もっと誤魔化しようありませんか?」
「実際はウンコだ、これでも誤魔化してたよ」
詩乃は身体をほぐしながら俺に怪訝な表情で突っ込むが俺の返事を聞き尚のことげんなりとしている。
「絶対に手洗ってくださいね」
「俺だってそれくらいの常識あるわ!着替えとけよ」
「はぁい」
ふぅ、女の子ってこうなの?
部屋から出て階段を降りると母さん・・・いやババアは俺の顔を見て口角を上げる、ザッケンナコラー。
「ねぇねぇどうだったの? A?B?それともC?」
「古っ!? AもBもあるかよ!」
母さんはクスクスと俺を笑う、いつまでたってもこの人はこうなのか、小ジワ増えて必死に化粧品で誤魔化す人生送りますように。
「あのね、仁」
急に笑顔を潜め低い声で諭すように語りかける。
お? 急にシリアスか?
「何、別に悲しませるな〜とか言うなよ?」
「いや、ちゃんとコンドーム使ってね?」
「・・・俺、持ってないから」
「え!?じゃあ昨日どうしたのよ!」
「ヤッてねぇよ!ゴム持ってねぇのに何そそのかしてやがんだ!!」
「えぇ!?本当にもってないの? パパが男は基本的に財布に入れてるって行ってたけど!?」
「俺がもってたらどう思う?」
「引く」
だろ?
正直な母親でびっくりだ。
「まぁいいわ、仁がヘタレだったおかげで心配する事なくて。詩乃ちゃん呼んできて、もう九時半よ」
「あいあい」
ウンコしよ。
メシ食った後、詩乃は母さんと片付けをしていた、
母さんが俺にどっかいけと言う顔をしていたため俺は部屋へと戻っている。
どうせ年甲斐もなくガールズトークとか言う物してんだろ、俺の恥ずかしい過去とかずっと言ってんだ。
朝飯食ったらなんかもう目覚めたな。
改めて外を見ると若干の小雨がまだ降っており木は大きく揺れている、詩乃はどうするんだろ?
「先輩?」
「どうぞ」
「どうしましょうか、私帰ります?」
「どっちでもいいんじゃねぇ?」
予定ないし雨降ってるから外も出たくないし風強そう
「ゲームやんなくていいんですか?」
「まぁどっちでもかなぁ、フレンドは入ってるか分からねぇけどあいつは一人でもなんかしてるし」
奴は俺が入った時はいつも一人でステージに出てる。で俺がホームで待ってたら俺を回収してまたどっか行く。
多分あれだな、あの娘は北京カクテル打たれてるんだ、だから戦って心拍数上げないと死ぬんだ。
「なんか変なこと考えてませんか?」
「さぁ?」
返事としては成り立ってないだろう返し。
「で、どうしよっか。詩乃はどうしたい、俺ん家遊び道具って言っても麻雀しかないし」
やるなら面子は揃ってる、三麻だけど。
「いえ、ルールわからないんで遠慮しときます。じゃあ帰りましょうか」
「じゃあ送ろうか?」
「もちろん」
外に出てみれば見た目より風も強くはなく、雨もパラパラと気になるほどではなかった。
「なぁ、傘を二人でまた必要性は?」
「私、昨日ブラジャー忘れて今つけてないんですよ」
「しら・・・!?」
会話が成り立ってない、しかしその言葉は破壊力が高い。
そして男の性なのだろう、見えるはずもないのに胸元を凝視してしまう。
「だから雨に濡れて透けちゃっても良いんですか?」
私は一向に構わん。
スッと傘を自分の方へずらす。
「ちょ!?やめてくださいって!」
私は一向に構わん。
詩乃は俺に密着するがどうにも隠れきれない。
「本当にやめてくださいって!怒りますよ!!」
私は一向に構わん!
「先輩」
「はいはい」
後輩のちっさな女の子が出すドスの効いた声ってどうしてこうも怖ろしいのか、恐らくだが遺伝子レベルで何かあるんだろう。
現実を書いたらGGOを書きたくなる、GGOを書いたら現実を書きたくなる。
今年って台風来ましたっけ?(痴呆)