外に出ると若干雨が降っていた、風もそこそこに吹いている。
そういえば今日の晩に台風来るって言ってたっけ、それもあるんろうな。
「台風の時に一人じゃ寂しいでしょ?」
とか言って誘ったんだろ。
傘を差し街を歩く、街並みを見れば変わり映えのない街だが小学校からこっちにきて様変わりしたものは多い。
猫が減ったし、お隣さんはいなくなり新しい人がきた、桜の植樹が行われ街道の見栄えが良くもなった、公園も印象が変わった、友達が引っ越して行った、中学で良く使ったメシ屋も潰れたし。
変わらないものもある、むしろそっちが多いか。
でもそのせいで変わったものが際立って見える。
変わる良さもあるし変わらない良さもある、こんな歳で考えることじゃないとは思うけど。
まぁ暇つぶし半分の物だ深く考えるものでもない。
詩乃の家へ着く。
インターホンを鳴らすとすぐに詩乃の声が出て来る。
「はい」
「貴女は神を信じますか?」
「はい?」
「神は万人を愛します、そして私たちに真理を見せようとしてくださいます、しかしこのままでは悟りを開くことが出来ず地獄へ落とされてしまいます、そうならないためにも貴女に僕を遣わせたのです」
神は唯一無二の存在、さぁ詩乃さん貴女も私と同じ神を信じましょう。
「あの、先輩何やってるんですか?カメラあるからわかりますよ」
かしこい。
「あ、このちっさいのカメラ?マジかよ、今度から隠してやるわ」
「いやウチは間に合ってます、晩御飯のことですか?」
「まぁそうだよね」
「わかりました、今行きます」
どうやら詩乃は宗教よりメシが大事なようだ。
少し待てば二階のドアから詩乃が出て来る。
服は八分丈のシャツ?に長ズボン、まるでこれからコンビニ行くみたいな印象。
俺知ってるよ、こういうのってズボンじゃなくてパンツっていうんでしょ。
だから女の人ってパンツで外歩いてるんでしょ。
「お待たせしました」
とはいうが傘は? この雨が目に入らぬか?
マジで物理的にもな。
「傘はどうした」
の言葉を言う前に俺の傘へと入って来る。
しかし俺は動くことなく傘は俺センターで詩乃の入る隙間はない。
「ちょっと!濡れるじゃないですか入れてくださいよ」
「いいね、もう一回言って」
「怒りますよ」
「はいはい」
冗談の通じないお姫様だこと、これが黄門さまなら眼球に印籠ねじ込まれるぞ。
「ふぅよかった、中も濡れてない」
「意味深」
「怒りますよ」
肩にはトートバックを下げている、なんか持って来るものでもあるのか? 東北土産?
「何入れてんの?」
「え? 着替えですよ?」
「なんで?」
「え?泊まらせてくれるって先輩の発案じゃないんですか?」
「・・・」
聞いてなぁーい。
老婆心という言葉は早くねぇか、それともババアと呼ばれてぇのか母よ。
「お前さぁもっと警戒心持ちなよ、まぁ親もいるから別に気持ちも分からなくはないけど」
「分からないのは先輩もですよ」
「はいはい、まぁはよ帰ろう風も強くなってきたし。これが雪山なら遭難するって岳で言ってた」
「・・・はい、行きましょう」
ちょっと待てよ。
部屋は空いてるな、詩乃の寝るとこは確保してる、布団だって押入れに置いてある。
クソ、そういやGGOやる前に布団取り込んでやがった、現実で伏線張ってんじゃねぇよ。
まぁ大丈夫だ、悪い予感はするがそれが実現するとは限らない。
こういう時、思い浮かぶのはマーフィーの法則。
大概有名な例えだが、パンを落とした時、ジャムを塗った面が下になってしまう、そんな感じだ。
そんなことはない。
俺だってそう思う、こうなるとは微塵にも予測してなかった。
○○○の法則ってどうやって決めてるんですかね?
発表してみんながあるあるってなったらOKなんですかね?