ID musouryubu
「でさぁ目の前でイチャつくわけよ、どう思うよ図らずも花びら舞い散る光景を作り出すことに加担してしまった俺の気持ち」
「うるせぇな、黙ってメシ食えよ」
「なんだよ、俺たち親友だろ、親友なら俺の気持ちもわかるし親友の俺はお前の気持ちがわかる、親友だからこそこういう絆が出来上がってこれが親友のいいところだ。」
「マシンガン親友やめろ、そんな言うなら俺の気持ちもわかるだろ?」
「すげぇうざいって思ってる」
「なるほど、親友ってのはいいもんだな」
わかってくれた、さすが親友。
「でさぁ俺は店長と二人・・・」
「話を止めるんじゃねぇのか、お前は親友と思ってねぇだろ」
「ここで止める気もないって知ってたろ?」
「・・・」
「「へへへへへへへw」」
なんだか生温い風が吹いた気がする。
「・・・」
「ここで話を展開させるのが須川の役目だろ、現実に破滅キャラ持ってくるのか?」
「やめろっす、先輩、このままでいいんすか」
このまま? 何がよ。
「何言ってんだ? 熱暴走か? 冷やしてやるよ」
氷の入ったコップを近づければ手で払われる。
そろそろこの鬱陶しいキャラやめるか。
「で、どうした、何かあったん?」
コップを机に置き椅子に座り直すと須川は手をプルプルと震えさせ我慢ならぬと言った雰囲気を見せている。
そして口を開く。
「周りを見るっすよ!、カップルだらけじゃないっすか!!!」
「あぁ、おお、うん」
確かに。
現在俺たちは食堂にいる。
周りは夏休み前の風物詩、最近付き合い始めました〜勢が多数ひしめく。
その中ポツンと俺たちは男三人で固まり飯を食っており異物というものは際立つ。うん、良くわかる。
風物詩の中にはなにが面白いのか、食堂で日替わり定食を背景に写真を撮っている奴らもいる。
「クソッ!爆ぜろ!爆ぜろ!戦車爆破ミスった先輩並に爆ぜろっす!!」
俺の決死の覚悟でやってた事をそんな例えにするんじゃねぇよ、皆盛り上がったじゃねぇか。
だいたいよぉ。
「こいつら夏休み終りゃ別れてんだよ」
その言葉を言った瞬間だった、まるで氷にヒビが入るような感覚に襲われた。
「・・・先輩それは言っちゃダメっすよ」
「オイオイオイこいつ死ぬわ」
須川、そして拓真、フォローしてくれないのか。
「ちょっとトイレ行ってくるっすー、待っててくれっすー」
「俺も行ってくるっすー、動くなっすー」
口調を真似たら文として見分けつかなぁんだよお前ら。ちなみに前が須川、後ろが拓真。
席を立つのはいいがなぜ食器も一緒に持って行ってるんだ?
それ戻ってこないだろ、親友だからわかるぞ。フォローしてくれないのもわかってるぞ。
Twitterもフォローしてくれてなかったな。
俺は静かに席を立つ、隣の女の子からは舌打ち、男からはどう見てもわざとの膝。
図星で顔真っ赤じゃねぇか。
その晩俺は笹に短冊を括り付けた。
穴ガバガバになれ。
指が動く、なんと楽なんだ。