工兵のGGO   作:流舞

3 / 74
狩られる者

「はぁ、せっかく気持ちよく帰ろうと思ってたのになんだよここで襲撃とか」

 

重装の兵士AはM870に弾を込めボヤく。

 

 

「いいじゃねえか、オマケが1匹増えたから経験値の足しくらいにはなるだろ?」

 

 

重装の兵士BはAをなだめ先に進む、手にはMac11、レアドロップ品だ。

 

「しかもあいつの武器なんだよ、いいの貰ったかと思ったら半分も減ってねぇ、完璧初心者だろ?」

 

Bは襲撃者を嘲る。

 

「まぁそうだけどよ、なんか嫌な予感するんだよな……」

 

 

Aはそう呟き、吹き抜けの二回にあるドアに入る。

 

すると光に包まれそのまま動く事はなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

「え、まじ?引っ掛かんのあれ?」

 

そう思うのも無理はない、角はキルゾーンなんてどのゲームでも常識だ。角待ち然りトラップ然り。代表的なトラップに引っかかるとは、素人さんかな?

 

 

戻って見てみれば片方は既にダウン、もう片方は被害を負った様子はないが面食らっている。

 

しかし自分も驚きから体を敵の前に不用心にさらけ出したためすぐに重装の兵士は銃口をこちらに向ける。

 

降りてきた階段に飛び込んだ瞬間パララララッとリズミカルな発射音が階段下に響く。

 

そのままダッシュで上へと登り俺は姿を消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカが!あんな猿でも引っかからねえようなトラップに引っかかりやがって」

 

全弾打ち切ったMac10をリロードしながら仲間に悪態をつく。

 

死んだとはいえ声は聞こえているため後で喧嘩になるであろうと思われる。

 

そして重装Bは襲撃者が逃げた階段をガンガンと音を立て登る。

 

先程の教訓を生かしているかわからない態度である。

 

 

 

「おらクソnoob!出てきやがれ!」

 

そして叫びながら探索を続ける。

 

 

 

 

 

 

当の襲撃者は迎撃の準備を進める。

 

顔真っ赤の相手は楽で助かる。

 

 

 

 

 

 

そして重装Bが最上階に足をかけた時再びトラップが起動し、その音を聞いた重装Bはすぐさま廊下に飛び込む。

 

 

 

 

これは最初に狙撃をするときに仕掛けたもので、ただの回収忘れだ。戻ってきたときに。

 

「あ、これ使えばいいじゃん」

 

 

ただそう思って置きっぱにしていた物だ。

 

そして重装Bが転がりこんだ廊下の先に見えたのは弾道予測線とマズルフラッシュだった。

 

 

 

 

 

まぁ顔真っ赤になってくれたらバカ凸してくれて助かる、変に立ち回り考えなくて済むからさ。

 

胸から下を部屋の中に突っ込んだ姿勢で銃を構えていた体を起こし戦利品の場所へ向かう。

 

「お!Mac10と……MP7!!これは文句なしに高い!」

 

 

 

戦利品は下の重装兵のものを合わせて二点。

 

Mac10

P226

MP7

 

 

外の死体は危ないからやめておく。

 

 

数は最低の一つずつと少ないがレジェンダリーが2つあれば十分、ほっこりしながら俺は後二、三狩りしたら落ちるか、と思い別のステージへと行く事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その道中で俺のこれからのゲーム人生を変えるような、そして現実の人生も変えてくれる出会いがあるとは思いもよらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レジェンダリードロップもあり気が高くなった俺は少し欲が出たのか、高レベル帯の荒地地方へと足を伸ばした。

 

 

 

 

1人で荒れ地のど真ん中を歩くがここに関してはスナイプされる危険性はない、流石にどこから狙うにしても遠すぎる。

 

 

少しすると俺と同じように1人で歩いている者を100mほど先に見つけた俺は岩へと体を隠しつつ数発撃ち込む。

 

この距離ではノックバックは入らなかったため敵はすぐに反応してこちらへと走ってくる。

 

あれは最近流行りのアジリティ特化ビルドか。

 

アジリティに極振りして移動速度を上げ敵の弾丸を躱し接近戦に持ち込んだ後火力で圧倒するというスタイル。

 

敵はそのセオリー通りのジグザグ走行で数発躱されるがこちらはDMR、カス当たりでもアジリティ特化の紙装甲ではだいぶダメージが入るためみるみるうちに体力が減少し最後は俺から50m手前のラインで力尽きた。

 

 

「アホだなぁ、アジリティ特化して勝てるなら別のゲームと成り立たねぇっての、弾道予測線を見て回避するのはいいけどそんな反射神経とかねぇだろうし」

 

当初アジリティ特化型のキャラが流行りだした頃は確かに苦戦した思い出はある。

 

しかしそれは物珍しさからであり特に対策を立てることもなかった、理由として例えば対空ランチャーの様に偏差をつけて撃てば勝手に射線に飛び込んで来てくれるからである。

 

そしてそれを瞬時に判断して回避する脳を持つ奴など代表的な奴でいえば闇風くらいでありそれ以外のやつはただの足の速いやつ。

 

 

俺からすれば偏差を効かせて撃つなど日常茶飯事だ。

 

この論議はアジリティ特化型対策スレでも少し話題になったがアジリティ特化型奴らの減らず口に押しつぶされて消え去った過去を持つ。

 

まぁ別に偏差とかしなくても数発撃てば勝手に死ぬ奴らが増えてこちらとしては大助かりだよ。

 

 

 

 

 

 

正直油断してた、ここのマップでスナとかありえないとたかをくくってました。

 

壮大にアジリティ特化型をdisりながら戦利品を漁っていると急に体が吹き飛び数メートル先で大の字になる。

 

 

画面にはYou dead。

 

 

始めは理解が出来なかった。

 

 

 

 

なんだ? 敵か? 索敵はしてた。 こんなだだっ広いところで遮蔽物とかねぇし。姿も見えない。新手のトラップ? 死んで発動する死後の念? 除念師呼ばなきゃ。 アルカかわいい。 うわ、体動かん、マジで死んでる。

 

 

誰だ?

 

 

俺は目の前のリスポーン待機画面に移行しますか?のNoを選択して誰が来るかを待つ。

 

しかしクソ長い。

 

 

Noを選択して10分ほど経過している。

 

こうなったらマジで死んで発動するトラップなのか?

 

 

 

 

そう思いながらもただひたすらに大の字のまま赤銅色の空を眺めているとだんだんと足音が聞こえてくる。

 

 

 

そして相手が俺の横に立った時に感じたことは。

 

 

 

うわFR-F2て、ゴルゴの敵が使ってなかったっけそれ?なんか雨で濡れて湿った銃身を急にカンカン照りの日差しの中に急に出してゴルゴを撃とうとしたら銃身から立ち上る陽炎で照準がズレてカウンタースナイプ食らったっていうなんでそんなマイナーな物を。ではなく。

 

 

 

 

 

「Jin、ジン?いいのあるじゃない、頂きますね」

 

女!?!?!?!?

 

 

 

その一言だった。




ゴルゴ話はいつぞや風邪をひいて病院で見たうろ覚えでにわか仕込みの話です。

細かい話を覚えている人がいれば教えて貰えると助かります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。