「あら朝田さん、昨日ぶりじゃん」
「!? 山口さん」
この間は商店街行ったから次は公園巡りでもしてみようか。
そう思い少し離れた公園へ来てみるとなんとなんと私服の朝田さん。
「何やってんの?」
「友達と待ち合わせを」
ブランコに座り小さな声で呟く。
「へぇ、家近いの?俺ここら辺だけど」
「えぇ……まぁ」
俺はブランコの隣にあるジャングルジムに入る、こんな小さかったんだな、成長してるんだなぁ俺って。
「ミホに聞いたけど最近引っ越して来たんでしょ? すぐに友達作れるのは羨ましいな」
「いえ、まだ新川くんとミホちゃんたちだけなんで」
「ミホ達馬鹿だから気ぃ抜いて付き合っときな、いちいちマジにすると疲れるからさ」
「あぁ、ははは」
だいたい察してやがるなこの娘。
「新川君ってことは男の子だよね? やるね」
「いや、そんなわけじゃないですよ! 変なこと言わないでください」
勢い余ってブランコがガチャリと響く、あんま虐めてあげないでね、俺何回もそれで遊んでて怪我したから思い出あるの。
「いや、そこはどうなんでしょうね〜ってはぐらかすのがいい女なんだよ、わかってないなぁ」
「わかりたくもないですよそんな事、声真似しないでください」
あ、シーソーあるじゃん。
少し離れたところのシーソーに向かう、ただ座るわけではなく真ん中に立ち左右に体重をかけギッコンバッタンと一人で傾ける。
「似てた? あんまモノマネ得意ってわけじゃないけど」
前歯の乳歯このシーソーに捧げたんだっけ?支柱の下に埋めたけど流石にもうねぇか。
次は雲梯。
「あの……PTSDってどう思いますか?」
「う〜んどう思うもなんも言えねぇなぁ、あんま無神経なこと言うと朝田さん泣いちゃうじゃん」
なんでこいつが公園にあるんだろう、完璧筋トレマシーンだよな。
「泣くわけではないですよ、昨日はちょっと……色々あって」
「あぁ、じゃ無責任に……まぁデリカシー考えての持論言っていい?」
あれ俺これ端まで行けねぇ……事はないか、普通に行けたわ。
「……ええ、内容にもよりますけど」
「俺は何もできないししない。朝田さんは俺とかミホとかにはこういうことしないでって言っとけばやらないしその辺考えて遊ぶし、克服したいなら病院でちゃんとした指導を受けて克服すればいいんじゃないの?」
「……」
結構真面目に言ったんだけどな。
あ、砂場周りと同化してわかんなくなってる、でも触ったら砂だ。
「寄り添って欲しいなら俺とか行き摩りの人とかじゃなくでちゃんと朝田さんを理解してくれる人を探したらいいと思うよ?それこそ朝田さん次第だし俺は朝田さんのこと知らないから簡単にOKなんかできないしさぁ」
「結構はっきり言うんですね。」
「そっちの方が簡単でわかりやすいやろ?」
「えぇ、はっきりわかりました。貴方はただのテキトー人間なんですね」
「お! 朝田さんと俺が通じ合えた」
見れば半目でこちらを睨んでいる、その目には少々の憐れみ。
口からは溜息すら溢れている。
わかってくれて何より。
ああだこうだ言ったけど結局はテキトーに遊んでテキトーに過ごそうや!ってこと。
「朝田さんも一緒に……は辞めとくか……どこか遊び行きたい時は俺とか3バカと遊びなよ」
GGOはあかんでしょ、トラウマだってのにワザワザ銃に囲まれに来たら発狂するんじゃねえの?
「えぇ、ミホちゃんたちに貴方の悪口でも言って遊ばせてもらいます」
先輩だよ?
ええけど。
「フフフッ……あ、新川くん……」
公園の入り口を見れば……朝田さんと同世代か?
「なんか朝田さんばっかりみてたからあの子がいくつかわからなくなる」
「どう言う意味ですか!」
多分、朝田さんと同世代かな。
「君が新川くんかい?」
「は……はい」
なんでこの年のやつはビビるんだ?
「君、趣味いいね」
「ちょっと!やめてくださいよ!!」
おお、なかなかいい悲鳴を上げてくれる。
あまり茶化さないでおこう、俺が帰った後修羅場になっては三馬鹿に悪口を言われてしまう。
「じゃ、俺帰るから」
「……帰ってください!」
シノンの話し方どんなんか忘れたな。