GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。   作:桐生 勇太

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第6GAME:檀 黎斗神VSミリカ=ローデン

「いや、お前のスキル欄がひどすぎてな…まあなんだ、強く生きろよ」

 

「うるさいよ!! アタシが気にしていることをよくも!」

 

 不味いな。完璧に切れてしまった…真っ赤になって怒り出した。

 

「まあそう怒るな。知らないのか?」

 

「…何をよ?」

 

「怒った顔よりも、美人は笑った顔のほうが似合うのだぞ」

 

「な、な、な…」

 

 む、ひるみだしたぞ…さてはこいつ、褒められるのに慣れていない口か…それにしても…

 

「知力7はいくら何でも低すぎるだろう? 一般人の約3分の1以下だし、私の約78分の1だぞ」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

 む? 周りが凍り付いたな…なんだ? [ポーズ]か? いや、よく見ると王のわきに控えている側用人たちが必死に笑いをこらえている。ネタになっているようだな。

 

「あ、アンタ…」

 

「お前、脳筋タイプか?」

 

「ぶっ殺してやる!!!」

 

 おおう、いきなり抜刀して切りかかってきたぞ、こいつ。変身していなかったら、よける間もなく切られていただろう。危ない危ない。

 

 

 

 

 

 

 

…ん? よく見れば片手に大剣、腰にも大剣、背中に双剣? ちょっと多すぎやしないか?

 

「ふぅん!」

 

 そうこう考えているうちにミリカが持っていた大剣を投げ飛ばしてきた。

 

「うぉ!?」

 

 何を考えている?しかし、大剣を投げ飛ばすとは、恐ろしい奴だな。飛ばされた大剣はどこかに突き刺さったようで、ガランガランとやかましい音はしなかった。

 

「もう一丁!」

 

「おおっとぉ!」

 

 また投げてきたぞこいつ、アホか? アホの子なのか? 一瞬だっただが大剣の模様を見たが、どちらもよく作りこまれていて、両方一緒だった。背中の双剣も投げてくるかと思ったら、こっちは普通に投げずに使うようだ。両手に持って突進してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………待てよ? 「飛ばされた大剣はどこかに突き刺さったようで、ガランガランとやかましい音はしなかった。」? そういえばさっきの2本目も…そううまくいくのか? いや、それ以前に…

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私には地面に大剣が刺さった音も聞こえなかった

 

目の前のミリカがふっと笑った気がした。

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 何かはわからん。だが、何となく危険だと思った。本能に従い身を横に投げ出した。

 

「…っち」

 

 ヴォンという風を切る音とともに、さっきまで私の頭があった場所を先ほどミリカが投げた大剣が通り過ぎた。誰も持っていない大剣がひとりでに浮くことはあり得ない。

 

「なるほどな…これはお前の魔法…いや、この剣が魔法剣か…となると」

 

 あたりを見回すと、もう一方の剣も宙に浮いていた。

 

「やはりな…いくら強いとはいえ、女が1人で4本は無理だろうと思っていたが、半分は宙に浮かせ、もう半分は自分で持つわけだ。大剣が2本とも同じ模様なのは同じ魔法剣だからだろう?」

 

「へぇ、良く分かったねぇ。あんたの言うとうりだよ。イーグル国随一の騎士、ミリカ=ローデンの「無限死刀・四刀流」受けてみな!!」

 

 むう、こいつは少々てこずりそうだぞ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果報告というかなんというか、いや、こいつ普通に強いぞ。そもそも大体の基本能力が敗けてるし、唯一勝っている速さでけむに巻こうにも宙に浮いている2本の大剣が邪魔だ。おまけにこっちは「ガシャコンブレイカー」しか武器がないのに向こうは4本ときている。むう、不味い。このままではそのうちバランスを崩して決定的な一撃をもらってしまうぞ。

 

「ほらほら、最初の威勢どうしたい!?」

 

「む、ぐっ…

 

 

 

…仕方ないな、少し本気を出すか」

 

「ん?」

 

 「ギリギリチャンバラガシャット」を取り出す。これは、なぜか地下室の召喚魔方陣の端のほうに落ちていたものだ。このほかにもプロトガシャット系はすべて箱の中に入っていて、ありがたいことに私の「ガシャット製造用携帯端末」もあった。これはその一つだ。

 

「? それは?」

 

「行くぞ…! グレード3・0変身!」

 

【ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マイティアクショーン!X!アガッチャ!ギリ・ギリ・バリ・バリ・チャンバラ~!】

 

 体にギリギリチャンバラの防具が重なり装着した。

 

「!? 変わった…!」

 

【ガシャコンスパロー!】

 

「いよぅし、ここから盛り返すぞ!」

 

 ミリカがまた双剣を振ってきたが、いなす。そのすきに大剣が私を狙うが、スパローから出た弓矢が超軌道で曲がり、大剣を2本とも弾き飛ばした。そのすきにスパローを双剣モードにし、切りかかる。これを繰り返せば、ハンディはない。むしろ…

 

「な!? ぐっ…」

 

 本来ならば私のほうが力負けするのだが、ギリギリチャンバラの力が入っているため、基礎能力が跳ね上がった。もうミリカに勝ち目はない。あっという間に追い込んだ。

 

「まさか、こんな…」

 

 最終的には双剣も弾き飛ばしたため両手で大剣を持ちもう一方の大剣をを浮かしていたがそれももう終わった。鎧越しなので問題ないと思い軽くミリカを蹴飛ばした。

 

「ぐギャバ!!」

 

 ヤベ、強くしすぎた。壁にミリカが激突してしまった。変身を慌てて解き、ミリカに駆け寄った。その時、上空で何かが光った気がした。

ふと上を見上げると、先ほど上空に飛ばしたミリカの大剣がミリカに向けて真っ逆さまに降ってきている。ミリカの魔力供給が止まったため、浮遊力がなくなったのだろう。

 

「!! いかん!」

 

 慌ててミリカに駆け寄り、大剣を受け止めた。私の体に大剣が突き刺さる。

 

「ぐ、う……無事か…?」

 

「あ、アンタ、アタシなんかのために…」

 

 無事を確認し、ほっと一息つく。同時に体から力が抜けた。その場に倒れこむ。

 

「そ、そんな…」

 

 目の前にミリカの泣きそうな顔が見える。そっと手をミリカの頬に置き、「泣くな」といった。「お前の笑った顔を見せてくれ」というと、ミリカは涙をぬぐい、無理やりだが笑った。「綺麗だ」そういうと同時に、私の意識は闇に落ちていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒォウ!!」

 

 土管から一気に飛び出し、ミリカの目の前に着地する。

 

「それで、勝負は私の勝ちということでいいかな?」

 

 ミリカは何も言わず、しばらく呆然と私を見上げた後、いきなり私の胸に飛び込んできた。いや、お前ついさっきに私のことを殺すとか何とか言ってただろう…だが、まあ、悪い気はしないな。




 お読みいただきありがとうございました。

接戦勝負をかいたりするのって大変ですね。身に沁みます…

 現在の登場済みヒロイン

クライシィ=イーグル イーグル国第2王女

クリス        元魔王軍暗黒騎士団隊長

黒龍ヘイロン     クリスの召喚龍

ミリカ=ローデン   イーグル国聖騎士団隊長

ですね。少なくともあと2~3人は出す予定です。

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