GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。   作:桐生 勇太

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待望の最終回ですが、

実際時間がなくて急いで書きあげました。


FINAL GAME:異世界に行っても変わらぬ物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …私は、負けた。完敗した。

 

 

アリア達には、謝っても謝り切れん。自分の気持ちも伝えられず…………

 

 

「………………斗…………黎…………斗…………」

 

 

 誰かの呼ぶ声がする…………私が消滅させた人のあの世からの呼び声だろうか?

 

 

「………斗…………黎斗…………」

 

 

 ………ふふ………もはや消滅を待つだけ、か………

 

 

「ちょっと! 黎斗! 聞いてるの!?」

 

 

 ………へ?

 

 

「もう! 聞こえないのかと思っちゃったよ!」

 

 

 …ポッピー? え? ど、どこから声を出しているんだ? もうあの世についたのか?

 

 

「そんなわけないでしょ! 私はね、今は黎斗の中にいるの。

 

ゲムデウスワクチンを体に取り込んで、私が消えるとき、黎斗にお別れを言ったでしょ? あの時に、黎斗の体の中に取り込まれてたの!」

 

 

 ………全く気づかなかった………もしかして、ずっと見ていたのかい?

 

 

「うん! 黎斗、少しは優しくなったみたいで、よかったよ!」

 

 

 ………約束したからな。確か、「黎斗、みんなに迷惑かけちゃだめだよ? これからは、プレイヤーを笑顔にする  楽しいゲーム  を作って!」だったか? はは、もうゲームは作れそうにもないが…

 

 

「………そうみたいだね」

 

 

 …このままいくと、私は消えて、ポッピーが残る、という感じになるのかな?

 

 

「ううん そうはならないよ」

 

 

 …いや、生憎私にはもうライフがないんだ。このまま消える。確実に。

 

 

「大丈夫だよ。 私、いつかこんなことになるって思ってたの。だから、すっごい裏技、考えたんだ!」

 

 

 …例え生還しても、正宗…あいつに勝てるとは思えんが……それはなんなんだい?

 

 

「うん! 私が黎斗に発動されてる、【GAME OVER】の「死のデータ」を受けるの! そうすれば、黎斗は死なないでしょ?」

 

 

 ………は?   ちょっ、ちょっと待ってくれ! そんなことをしたら、ポッピー、君が…! 

そんなのだめだ! 死ぬのは私、それで__________」

 

 

「でも、黎斗が死んでも死ななくても、きっとみんな、アイツに殺されちゃうよ?」

 

 

 そ、それは………だけど、こんな………!

 

 

「黎斗、もう一度、私と約束して? あの日、病院にあなたがお見舞いに来てくれた時に言った言葉を、もう一度言うわ。 黎斗、あなたのゲームを作る才能は、きっと神様がくれた素敵な贈り物だと思うの。だから、その才能を使って、いろんな人たちが笑顔になれる、楽しいゲームを作って………」

 

 

 ………おかあ…さん………?

 

「じゃあ、もう行くね。さよなら。黎斗………」

 

【GAME OVER】

 

 

 …ポッピー……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 初めは、ただ楽しかった。次に、嬉しかった。

 

ゲームを作るのが、楽しくてたまらなかった。作ったゲームをほめてもらえるのが、嬉しかった。

 

嬉しくて、楽しくて…

 

楽しくて、嬉しくて…

 

いつからだろう? 母の笑顔を見なくなったのは? 

 

 

永夢の才能に嫉妬して、いつしか、売り上げを気にするようになっていった。

 

プレイヤーや人々のことよりも、自分のことを優先して………

 

いつか、ゲームを作ることが楽しいと感じなくなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

もう、いい。

 

 

 

 

 

 

 

 

神じゃなくていい。

 

 

 

 

 

 

この世界の人々を、せめて今生きている人を守れる力。それでいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

全能じゃなくていい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣いている人に、手を差し伸べられればいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ろう、一番最初の私に。

 

 

 

 

 

 

 

 

誰よりも人を愛していた、誰よりもゲームを愛していた、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日の、私に。

 

 

 

 

 

「正宗…まだ決着はついていないぞ?」

 

 ゆっくりと立ち上がる。静かな気持ちだ………

 

「ば、馬鹿な…! 確かに、絶版にしたはず…! 一体、お前は………!?」

 

「私か? 檀 黎斗神という名はもう捨てた……」

 

 

戻ろう、あの日の私に。

 

 

「今の私は、 檀 黎斗 だ……!」

 

 私の目が、片方は紫に、もう片方は白く輝いた。

 

「………ハッ、ハハ………何が起きたかは知らんが、これから一体どうするつもりだ!? 君と私の間の戦力差は、何も変わっていないぞ!」

 

「超えて見せてやる…全てを…!」

 

 その時、私のドライバーに刺さっていたハイパー無敵ガシャットが宙へと浮き上がり、光を放った。

 

「行くぞ……正宗、いや、お父さん。あなたを………攻略する!」

 

【ポーズ】

 

 ガシャットを起動するよりも早く、時が止まる。

 

「ふふふふ………どんなことをしようとも無駄だ。君も、そのガシャットも、絶版だ」

 

「馬鹿だな。あなたは」

 

 私へ延ばされた腕をつかむ。そのまま腹部を蹴り飛ばした。

 

「ぐあっ!?」

 

【リスタート】

 

「馬鹿な…ただのウイルスが、【ポーズ】の影響下から、抜けられるはずが………」

 

「このガシャットには、持っている存在にハイパー無敵の効果を発動させることができる………

因みに、これは「過去に過ちを犯した主人公が、おのれの力を使って人々を導く」主人公最強のゲームだ。

このゲームは、現実の世界、そのものを作り出す…!

見せてやる………

 

 

グレード【GOD】…変身!」

 

                  クロス

【HYPER CREATOR GOD X!!

 

HYPER CREATE OF ガシャット!ガッチャーン!!!

 

レベルアップ∞!!!!!!

 

創世の騎士よ! 照らせ! 太陽の如く!! 最強の創世ゲーマー!!!

 

HYPER 無限!!!!!! 幻夢!!!!!!】

 

 

 

名前 :ゲンム

 

種族 :――

 

レベル:――

 

称号 : 神

 

体力 :∞

 

知力 :550

 

攻撃 :∞

 

防御 :∞

 

速さ :∞

 

魔力 :∞

 

スキル:キーボード両人差し指乱れ入力 変顔 ゲンムスマイル ゲーム開発 地球流武器術 地球流拳闘術 暗記 変身 肉体改造

 全属性魔法 全攻撃無効 世界創世 魔法創世 基礎能力自動上昇 体力上書

 

賞罰 :現人神

 

好物 :アリア・クルルセドイ ミリカ=ローデン クリス クライシィ=イーグル 杉原 要 ゲムム

 

こんな私に、神を名乗る権利も、人の人生をどうこうする資格もないが…

それでも、精一杯生きていこう。

 

人の歩むべき道を指し示すような資格がなくとも、ならば人の歩む道を照らせる太陽になろう。

 

この世界が闇に満ちているのなら、私が光を作ろう。

 

この世界に愛がないのなら、私が愛を作ろう。

 

この世界を大切に思うから、私が守ってゆこう。

 

 

 

 

 

 

「これで、最後だ…勝負だ! 父さん!」

 

「い、良いだろう…君の無敵か、私の無敵か…どちらが真の無敵の戦士の名に足りるか、ジャッジしようではないか…今こそ審判の時だ!」

 

 正宗が殴り掛かってくる。だが、もはや効くことはない。軽くあしらい、弾き飛ばす。

 

「こ、こんな力…ありえん! うおおおおおおおお!!!!!!」

 

【キメワザ………HYPER CRITICAL CREWS-AID】

 

「これで、すべて終わりだ!!!!!!」

 

【神ワザ! HYPER CREATE OF DELETE!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【終天の…一撃!!!】

 

【創世のォ一発!!!】

 

この攻撃に、敗北した方に全てのダメージが入る…

 

 

 

 

 

【HIT!!!】

 

 

 

 

 

 

 

「ぐア………そ、そんな…世界のルールたる、この私が…」

 

 結果は…私の勝利だった。

 

 

 

 

 

 

 

「かつて、あなたは私にこう言いましたね、

 

「幻夢コーポレーションを、世界一のゲーム会社にする。そんな絵空事のような、幻にも等しい夢を実現させるために私は、人生の全てをささげた…幻夢コーポレーションは、私が命を削って築き上げた、私の全て」と…

 

だが、それは間違いだ。本当に命を削ったのは、何の罪も、関係もない人々だ…

 

そのことに気づいたか、そうでないか…それが私とあなたの差です」

 

「は、はは………それで、どうする? このまま、私を殺すか?」

 

 正宗は笑っている。もはややけくそになっているのだろう。

 

「殺しはしない。たとえ殺したとしても、また私と同じように別の異世界に逃げられる可能性があるからな。そこで、ここに中のデータを抜いて空になったタイラントウイルスガシャットがある。そして、今のあなたはバグスターだ。もう、分かるでしょう?」

 

「ま、まさか…よ、よせ、やめ、やめろおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

 ガシャットのスイッチを押すと同時に、正宗が吸い込まれていく。

 

「永遠の時の中、自分の罪を償ってくれ。父さん」

 

 データが入り込み、新たなガシャットになる。ガシャットの名は、「バグスターズ」全てのバグスターの力を封じ込めたものの名にふさわしいものだ。

 

「さて…あとは…」

 

 右手を振ると同時に、私と正宗の戦いの余波で傷ついていた大地がみるみる戻っていく。命無きものを自由に作れても、命そのものは操れない。ポッピーが生き返ることはもうないのだ。それでも、せめて約束は守ろう。

 

「ポッピーとの約束だ!!私は今度こそ、人が笑ってできるゲームを作り上げる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから、一年がたった。私は今、イーグル国の街角にある家にいる。

 

私が作ったゲームはまたたくまに世界に広がった。まあゲームといっても、良い具合に切った石板に[イリューシン]の魔法をかけて、石板のへこみ部分に触れると反応する特殊な魔法[スイッチ]を付けただけのものだが。

 

「ほぎゃぁ! ほぎゃあ!」

 

「おおよしよし…ほーら、珀斗(はくと)、パパだぞー」

 

 赤ん坊を抱き上げて満点の笑みを見せるが………

 

「ギャアァァァァァァァァ!!!!!!」

 

「な、なんで泣くんだ!? よしよし、ほ~ら、べろべろばぁ~」

 

「ギャアァァァァァァァァ!!!!!!」

 

「ああもう、ほら、あなた、こっちに渡して。よしよし…」

 

「キャッキャッ」

 

 うむ………くそ、アリア、さすがは「聖女の微笑み」を持っているだけあるな。「ゲンムスマイル」の私とはお大違いだ。

 

この子は檀 珀斗。私とアリアの間に生まれた子だ。当然ほかにも、クライシィ、ミリカなど、他のみんなとも一応結婚したのだが、生憎人間とバグスター。子供はアリア以外にはできなかった。だけど、皆満足そうにしている。

 

「ところでアリア、バグスターズガシャットを見なかったか?いつの間にかないんだ」

 

「いえ、知らないけど………」

 

 ふむ、これはもしかすると、厄介なことになりそうだな。一つ探すか。

 

 

 

 それにしても、私はこの異世界にきて自分は変わったと思っていたが、実際変わっていないようだ。

 

ゲームを愛していた時代の私も私であり、

 

自分を神だと思っていたころの私も私なのだ。

 

実際的に、私という存在は少年時代と全く変わっていなかったということだ。

 

 

 

 

 

 

さしずめ、

 

私は異世界に行っても私のまま、と言ったところか。

 

 

この後、私の作ったゲームは世界中の人々に永遠に愛され、

 

私が「創世神ゲムム」に続き、ゲームという遊びを作った神、

 

「遊戯神 ゲンム」という名で呼ばれるのは、この数千年後の話だ。




~GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。~






私の作品は、もともとは魔王を倒した後、魔神もハイパー無敵の力で倒して大団円とする予定でした。ですがそれだとこれから自分が書こうとしている
「MASKED RIDER EX-AID THE GAME IS NEXT STAGE」という小説と内容についての問題が発生するため、ポッピーには死んでもらいました。当然ですがこれを決めたのが14話の時です。

因みに前話でサブタイトルを「さらば黎斗神」としたのは黎斗が本当の意味で改心してほしかったので、その意思表示のためにも、「黎斗が神に固執する自分を捨てる」描写が必要だったからです。そのためにも、ポッピーの犠牲がどうしても必要でした。

今作のタグがバットエンドになったのも、重要キャラが死んでしまうため、バットエンドと表しました。

それと、HYPER CREATOR GOD Xの名前の意味は
「超創世 神の交錯」です。


因みにこの作品のある意味本当のラスボス戦は上記に書いた小説で書く予定です。

あと、これまでかなりのハイペースで書いてきたので、
ちょっと休みたいかな~なんて…………

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