GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。   作:桐生 勇太

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第37GAME:さらばニトロ

「確信をもって言おう………君の物語は、ここで「バット・エンド」だ………」

 

 それを言うと同時に、政宗は右手を大きく振った。同時に、仲間たちが次々と倒れていく。

 

「こ、これは…ゲーム病!? 政宗…あなたは一体…」

 

「満を持してとよくいうだろう? たった今この世界のすべての人々に私のウイルスをばらまいた。全ての人間を取り込み、「より完全な存在」になるためだ………この世界の人たちには、私の贄となってもらう」

 

「貴様…!」

 

「止められるものならば止めて見ろ。無敵の力を失った君に、何ができるというのだ?」

 

 政宗は不敵に笑う。確かに、もはや攻略のすべはなくなった。たとえもう一度ハイパー無敵を作ろうとも、奴を倒すことはできない。

 

「ふふ、止めて見せろというのも、無理な話か…ここで君には死んでもらう………ん?」

 

 その時、政宗のハイパー無敵ガシャットDから光が溢れ、ニトロが出てきた。爆走バイクガシャットはハイパー無敵ガシャットDの部品に使っていたので、もう見る機会はないと思っていたが…まさか、ハイパー無敵ガシャットDの中に残存データとして残っていたとは。

 

「おやおや…招いた覚えのないイレギュラーだな…」

 

 ニトロは、こっちを見て、手を振った。「行け」と言っているのだろう。

 

「ニトロ…任せた!」

 

 ニトロに背を向け、私はタイラントゾンビに変身する。通常なら運びきれないが、体が4mほどになるといくらか楽だ。仲間たちを担ぎ上げ、走り出す。

 

「なるほど…主人のため、自ら命を捨てる従者か…感動的な光景だな

 

 

 

 

 

だが、レーザーニトロよ、君の力で私を止められるとは思えん…実に感動的だが、実に無意味だ……」

 

 私は振り返りはしない。彼が、ニトロが私の為に死ぬ気ならば、彼の為にも、振り返らずに最速で逃げる。それが一番、「彼を思う」ということだ。こんな持ち主を、許せ、ニトロ…

 

 

 

 

 

 

かなり離れたころ、遠くの場所で爆発が起きた。そのタイミングと、私のスマホに表示されるニトロの反応が消えたのは、同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、ここから追いかけてもいいが…この哀れなレーザーニトロに免じて、今日は逃がしておくとしよう…ふふ、まあ、明日になればすべては無駄。そこは変わらんが………」

 

 結局私は政宗に追う気がないことを知ると、急いで、新しいガシャットの開発を始めた。勝てるとは思えん。だが、このまま負けられん。せめて、少しでもやつを…!

 

 

 

 

 

 

奴に、このまま見逃したことを後悔させてやる………!




お読みいただきありがとうございました。
























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