GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。   作:桐生 勇太

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こんにちは。

 前回の前書きについて、謝罪します。
説明不足過ぎて、「全ての元凶が大勝利だからバッドエンドにタグを変えた」と解釈してしまう方がいました。大変申し訳ありません。

 この作品、実は3つのエンディングを考えてありまして、「今回自分が書くのはバットエンド」という風に決めたためタグを変更しました。
なので別に「黎斗がラスボスに大勝利を収めるからバットエンド」ということはなく、「物語そのものがいい形で終わらない」から「バットエンド」です。混乱を招いてしまい、大変申し訳ありません。


第15GAME:黎斗神の神がかった作戦

 あれから数日が立った。結局、あの後クリティカとアリアは過激派に捕まり、十字架に張り付けられ、火刑に処されることが決まった。今日はその日だ。

 

 今私はその広場の真ん中近く、つまりその刑をする場所の目の前に金髪のカツラをかぶって立っているわけだ。

 

「祈るがいい。罪深きものよ」

 

 近くにいた神父気取りの男がお決まりのセリフを吐いた。いよいよ火がつけられるようだ。さあ、私の出番だな。

 

「さあさあ!!! 見るがいい人間共!!! 本当の悪魔の姿を!!!!!!」

 

 カツラを勢いよくとって、叫んだ。周りにいたやじ馬たちが驚いて飛び上がった。

 

【ドラゴナイトハンター! Z!!】

 

【マイティアクションX! デンジャラスゾンビ】

 

「グレードX・0…変身!」

 

【ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マイティアクショーン!X!アガッチャ!デンジャラスゾンビ!】

 

 デンジャラスゾンビに変身しつつ、ドラゴナイトハンターZのドラゴンを出す。いつか使っていたタドルファンタジーと同じでドラゴンは私の意のままに動く。これはクリスからヒントを得た結果だ。ぱっと見は使い魔のドラゴンと、それを従える騎士。完全にやばい雰囲気の上、最初に私は黒髪であることを示した。当然…

 

「ギャァァァァァ!!!!!!」

 

 まあ当然パニックになる。当たり前だな。口々に「悪魔だ」だの「暗黒騎士だ」だの言っている。いいぞもっとやれ。パニックになればなるほどいい。

 

「さあ!! まずはすべてを焼き尽くせ!! ヴァーハッハッハ!!!!」

 

 ドラゴンに命じると同時に、ドラゴンが火を噴いた。当然人などには当たらないように、燃えやすいようなものには当てないように、でも人が恐怖を覚えるようにするとなると、なかなか大変だ。だが、いいアクセントになったようだ。広場にいたやつら全員叫びながら脱兎のように逃げ出した。

 

「おのれ悪魔め! 覚悟!!」

 

 叫びながら神殿騎士たちがこっちに来た。よし。これも計画通りだ。手加減しながらだが、何人かは容赦なく殴った。鎧が砕け、鮮血が飛び散り、騎士たちの腕や足があり得ない方向に曲がる。

 

「ぐア、ァァァ……」

 

 ふん、他愛もない…よし、ばっちりだ。後は………………

 

「アタシが相手になってやる! 聖騎士団隊長、ミリカ=ローデンが相手だ!!」

 

 来たな、ミリカのやつ……よし、ちゃあんとセリフは覚えてきたようだな。

 

「良いだろう、かかって来るがいい!! まずお前から血祭りにあげてやる!!!!!!」

 

 セリフを言うと同時に、ミリカが剣を抜く。ミリカには「絶対に手加減はするな。ただし魔法はまだ使うな」と言ってある。忘れていないかだけ不安だったが、しっかり覚えているようだ。やるじゃないか知力7。

 

「やっ! たあ!! はあッ!!」

 

 次々と剣が当たるが全く効かない。当然だ。レベル3で圧倒したのに、レベルXとなるともうミリカ程度の攻撃など寄せ付けない。

 

「ヴァーハッハッハ!! 無駄無駄無駄無駄ァァ!!!!!!!!」

 

 あっという間に追い込んだ。周りでミリカを見守って居たやじ馬が絶望的な表情になる。

 

「くっ…このままではこの街は悪魔とドラゴンによって滅ぼされてしまう…!」

 

 少しヤラセ感はあるが、うまい具合に騙せたようだ。やはり人間は追い詰められたりすると正常な判断ができなくなるな。みんな仲良く大パニックだ………後ろのやじ馬がギャアギャアうるせぇ。

 

 よし、そろそろだな。パチンと1つ指を鳴らす。クライシィ、クリス、出番だ。

 

「皆様! あそこに張り付けられている方は治療魔法が使えたはずです! あの聖騎士様を万全の状態にすれば、勝てるかもしれません!」

 

 予定どうりだ。周りのやつらは迷っている。さっきまで魔女だのなんだの言われていた女が協力してくれるとは思えないのだろう。そこへクリスが続く。

 

「あの少女が悪魔の手先の魔女なら助けてはくれんだろう! だが本当に聖女ならばきっと奇跡は起こるはずだ! どのみちこのままでは、あの悪魔にみな殺されるだけ! 私はあの少女が聖女だと信じよう!!」

 

 芝居がかった口調で、クリスがアリアのひもを断ち切る。

 

「神様! どうか私にあの騎士を助けるための力を! 街に平和を!我に祝福を![ハイヒール]」

 

 アリアが叫ぶと同時に魔法が発動した。緑色の光がミリカを包み込む。

 

「力が…湧き上がってきた!!!!」

 

 さあて後は悪魔役の私がやられれば終わりだ。

 

「くらえ! [エクスプロージョン][サンダーボルト]」

 

 雷魔法はドラゴンに、爆発魔法が私に命中する。煙の中、変身を解除してドラゴナイトハンターZのスイッチを切った。こうすれば他からはドラゴンが雷に打たれて霧散し、悪魔の鎧がはじけ飛んだように見えるだろう。

 

「ぐうぅぅぅ……!! こ、こんなはずでは………魔王陛下、万歳!!!」

 

 言い終わると同時にミリカが駆け寄って来て私の首を切り飛ばした。後は私が近くの建物の屋根にコンテニューすれば終了だ。周りのやつらは広場にいるアリア達に気を取られているからばれることもないだろう。ふう、疲れた。

 

 この作戦はアリアと会ったあの日から計画していて、このとうり成功したわけだ。これでもうアリアたちを狙うやつはいなくなるだろう。完璧完璧。さ☆す★が☆は★私☆だ★

 

この後面倒ごとは彼女たちに丸投げにし、私は1人【透明化】のアイテムを取って宿に帰った。




お読みいただきありがとうございました。

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