GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。 作:桐生 勇太
「おのれィ…もう少しなんだ…」
私は、昨日の夜に爆走バイクとスマホに施した改造を試そうと思ったのだが、しっかり起動しなかった。どうやら少し手直しが必要だったようで、ただいま日の出と同時に調整中だ。
「うむぐぅ…少し休憩するか……ん?」
ふと窓を見ると…外は真っ暗だった。
「な…いつの間に?」
「そんなに集中していたのか…さすが私」と思いつつも、「いや、いくらなんでもありえん」とも思う。目を擦って、もう1度窓のほうを見る。
「ゑ?」
朝になっている…なんだ、驚いた…少し疲れているようだな…少し寝よう。
うむ、1度しっかり寝ると気持ちいいな。さぁて、続きを…あれ?
…端末の電源がつかない…どうやらうっかりつけっぱなしのまま寝てしまったようだ。仕方ない、充電するか…そこで私は、コンセントを持ったまま部屋を2~3周してから気づいた。
「剣と魔法の世界にコンセントがあるわけないよな…」
充電手段は、無かった。
そして私は、いまミリカの部屋へとお邪魔していた。
「というわけでミリカよ、お前は確か雷の魔法が使えたな? 充電頼む」
「よくわかんないけど、要は電気を通せばいいんだろ?」
「まあそういうことだな。ただ、使用する電力には注意して…
ピッシャァァァァァァァァン!!!!!!!!
言い終わらないうちに、アランブラの魔法の「シビレール」みたいなものが私の端末に直撃した。
「何やってんの脳筋!!!?」
「の、脳筋っていうな!!」
「やかましいわ! 脳筋!!!!」
「ちょっと!!」
なんてことをするんだこいつは。私の端末が壊れてしまっ…………………
充電率100%………だと………?
「ご、ごめんよ。加減ができなくて…」
「あ、ああ…んあ、なんだ、その、ええと…あ、ありがとうな」
「…?」
と、とりあえずこれで充電が完了したな。よし、再開しよう。
「ヴァーハッハッハ!! できた! できたぞぉ! 神の才能に、不可能はなァァァァイ!!!!」
とうとう完成したぞ。まあ、これから私が楽をするためのおまけ能力だがな。後は最後の実験だ。
宿の外に出て、ガシャットを出す。爆走バイクを出してそばに置き、スマホの電源を入れ、電話をする。
「090-9610ー2330っと…」
電話がつながると同時に、急に画面にコントローラーのようなものが出てきた。A、Bボタンとスティックだ。画面中央の「start」を押すと同時に、隣のバイクが起動した。スティックを前に動かすと、バイクが前進する。そのまま1番前までスティックを動かすと、大体80~100KM くらい出た。これで私が直接乗り込まずとも、移動が可能になった。
「よし、第1段階は終了だ。次は…」
先日撮っておいた地図の写真のデータをもとに、Mapを出して行先にピンを止めた。後はこのままもう1度「start」を押しせば…
ドロロロロロロロ
「いよし! さすが私!」
ひとりでにバイクが動き、目的地へと向かっていった。よおし、完璧だ…
後はA、Bボタンの動作のチェックをすれば、終わりだ。変身した状態で「ジェットコンバット」を装着し、目的地に先回りして待っていると、あとからバイクが現れた。
「フフフ…誤差が少しもない。さすが、私だ」
変身を解除して、満足そうにうなずく。「完璧」って言葉って…いいよな。
その時、
「見つけたぞ!」
突然後ろから騎士の鎧を着たやつに羽交い絞めにされた。
「な、何をする!? 放せ!」
「ついに見つけたぞ! 神の冒涜者め!! この神殿騎士アインが捕まえたぞ!」
あ、なんだか妙に身に覚えがあるような…これはむしろヘタに暴れたら取り返しのならないことになっちゃう奴だ。クソ…まあいい。さすがに昔みたいに魔女裁判にかけられて火刑にはならんだろう…いや、こんな世界だしな、あるかも…やばい、怖くなってきた。
「教会へ来い! 神へ懺悔させてやる!」
いや、連れてかれるのは一向にかまわんのですよ。へぇ。だけどね…
「バイク! バーイク!! あれも持って行け!!! 置きっぱなしはやめてくれぇぇぇ!!!!」
くそ!! 爆走バイク、待っていろよ。私が必ず迎えに行ってやるからな…!!
お読みいただきありがとうございました。
小ネタですが、090-9610ー2330という電話番号は、
9610=クロト
2330=カミサマ
となります。
(意味が分からない人は「数字 50音」で検索してみてください。)
※この下ネタバレ注意!!!!※
見たくない人は閲覧注意
次回、聖女様が白馬の王子様の正体を知るときです。
今回、ゲンム以外にとある仮面ライダーが登場しました。さて、誰でしょう?
ヒント:9話の時点から、それをほのめかすようなものが出てきています。
分かった人がいれば、ぜひ感想欄であなたの予想をかいてみてください。
※当然答えも次の話か、感想欄に書きます。