僕のヒーローアカデミアwithスーパー戦隊&仮面ライダー 作:ガイコッツ
気「潜伏解放戦士は日々訓練を積んできたの、肉体を、心を、打ち続けて来た、より人らしく生きる為に」
気月置歳は側近を連れ渡我に歩みよる。渡我は解放戦士によって囲まれていた。
気「迷惑なのよ、後発の……大義もないあなた達が取り沙汰される現状、トガヒミコ インタビューは嫌いなようね、でもごめんなさい取材対象への遠慮なんて一年目で捨てちゃった」
気月は自分の周りに戦士を置くと、渡我と対峙した。
気「トガヒミコあなた今から丸裸よ、少女の凶行とその理由……! とてもいい記事になりそう、現役だった頃の血が疼いちゃう!」
今から取材できると気月はウットリとした表情を見せる。すると突然気月の隣に立っていた男の肩にナイフが刺さった。
気「? いない、これね、この子が捕まらないワケ……どこに」
ナイフが投げられた方に渡我の姿は無い。渡我は飛び上がり、気月の頭上からナイフを振り下ろそうとしていた。
「キュリオス様の取材中!」
ナイフを振り下ろそうとした瞬間、気月の側近が個性を発動し、渡我を吹き飛ばした。
渡「きゃっ!」
キ「トガちゃん!」
吹き飛ばされた渡我はラーメン屋のガラスに激突し、店内に入ってしまう。
気「あぁそこ! 気をつけて!」
興奮しながら気月はラーメン屋の床を指差す。渡我が床に目を向けた瞬間、店内の床が爆発した。
気「戦士達に慈悲はないの、延命したければ受けて下さいインタビュー」
気月は爆発の様子を見てニヤリと笑う。キバットはその戦いに入る余地がなく上空でただ見ているしか出来なかった。
キ「アイツの個性は色んなものを爆発させる個性か! くそっ! オレが入っても邪魔になるだけじゃねーか!」
キバットが上空で歯がみする。一方店内では渡我がラーメン屋に潜んでいた戦士達に襲われていた。
外からも解放戦士が入り込み、渡我に襲いかかる。
渡「チウッ」
渡我は襲いかかって来た戦士達に向かい注射器を投げる。注射器が刺さったことを確認すると口元にマスクを装着した。
渡「直飲みチウチウマスク」
渡我が息を吸うと注射器が血を吸い、血液がチューブを流れる。その光景を見た気月は更に興奮した。
気「注射器! 血を摂取し変身する異能! なるほどしかもそうやって複数人から摂取してこちらに候補を絞らせない!」
気月はマスクの分析をしながら興奮する。上空から渡我の戦いを見ていたキバットは何か異変に気づいた。
キ「なんでアイツら注射器刺さって血ィ抜かれてんのに何もしねぇんだ? まさかっ!」
解放戦士の意図を理解したキバットは急降下し渡我の元へ向かう。チューブを流れる血液は渡我の口に届こうとしていた。
キ「トガちゃんダメだぁ!」
キバットはマスクから伸びるチューブを噛みちぎる。しかし一本だけチューブが残り、その血液を渡我は摂取してしまった。
ドンッ!
渡「ゲホッ!?」
キ「やっぱりアイツら! 味方も爆弾に変えてやがった!」
血液が渡我の体の中で爆発する。それと同時に注射器を刺した解放戦士の体内も爆発した。
気「あら賢いコウモリさんね、一人分の血液しか摂ってないからダメージも余りなさそう」
気月が自身の攻撃を察したキバットの行動を見て関心する。そして更に気月の興奮が高まった。
気「でも分かったでしょう! 変身して紛れ込もうと考えちゃダメ! 自身が起爆装置になる事を厭わぬ戦士があなた達を異能で追い詰めます!」
解放戦士は攻撃の手を緩めない。体の内部を攻撃された渡我を狙い次々と戦士達が襲ってくる。
キ「この外道ども! 来るんじゃねぇ!」
キバットは飛行しながら解放戦士の攻撃から渡我を守る。渡我はヨタヨタと体をよろめかせながらラーメン屋から抜け出した。
渡「キバットさんありがとうです……」
渡我はボロボロの体で戦士達に背を向け逃げる。しかし戦士達は渡我を見逃さずに攻撃を続けた。
気「渡我家長女 8月7日生まれ17歳! 中学卒業式出席後失踪! ご両親への突撃取材はご覧になられましたか!?」
渡我が袋叩きにされている最中、気月はインタビューを始める。返答がなくても気月は質問を続けた。
気「中学の同級生にインタビューした映像は!? 皆言ってましたよ! とても明るく聞き分けの良い子だったと! だからこそ何故! 何故あんな事をと! 何故 普通の暮らしを捨てたのか! 自身の口から聞かせて頂けますか!?」
気月のインタビューは止まらない。渡我は戦士達に攻撃され続け地面に伏せていた。
キ「トガちゃん! トガちゃぁぁん! クソッ離せこのやろう!」
キバットがトガに向かって叫ぶが返事は無い。キバットは解放戦士に捕まり、身動きが取れなかった。
気「私は知っています! あなたの苦しみ! 何故あなたは狂気に至ったか!」
気月の興奮は最高潮に達する。しかし次の瞬間、その興奮の熱は一気に凍りついた。
渡「普通の暮らしって……なんですか?」
渡我は地面から起き上がり気月に問う。その表情はまるで感情のない人形の様だった。
気「やっと答えてくれましたね……」
その仮面のような感情の無い顔に気月の興奮は収まる。
渡「解放軍さん、とっても素敵な世の中つくろうとしてるので私あなた達好きですよ……私も普通に生きるのです」
渡我の口角がゆっくりと上がり、不気味な笑顔を見せる。その笑顔を見た瞬間、気月の興奮に再び熱が入った。
気「やはり私の勘は衰えてなかった、あなたは超人社会の闇を体現する者……」
気月が舌舐めずりをしていると渡我が立ち上がろうとする。しかし攻撃され続けていた渡我は立ち上がれずに地面に倒れた。
渡「ゲホッ……コホッ」
気「体の内外ともにボロボロ、カワイソウに」
満身創痍の渡我に向かい気月は歩を進める。そして渡我の近くまで歩み寄ると地面に膝をつけ、そっと渡我の顔に手を伸ばした。
気「異能の抑圧によって自分を殺した不幸な少女、それがあなたなんでしょ? 渡我被身子」
気月は優しく渡我に語りかける。渡我はその隙を狙い、気月にナイフを突きつけた。
渡「うるさいなぁ!」
《デトネラット社 謹製 「チェインリング」キュリオスパンク》
気月の着けていた腕輪がブロック状のグローブの様な武器に変形する。
ナイフを突き刺そうとした渡我にキュリオスパンクを叩きつける。叩きつけられた箇所が爆発し、渡我は爆撃を顔面に食らった。
爆撃をモロに喰らい渡我の顔面は血に塗れる。気を失い地面に伏せようとする渡我の体を気月は受け止めた。
気「あなたの普通と解放軍の目的に相違はありません、なればこそあなたは解放軍の正しさを立証しうる人柱となれるのです……死して悲劇を確立させましょう」
気月は腕の中でグデンとしている渡我に優しく語りかける。
気「あなたの人生は現代の"聖典"として語られるでしょう」
気月は渡我に優しく微笑み抱き寄せる。その光景を見ていたキバットは我慢の限界を迎えた。
キ「勝手なこと言ってんじゃねぇぞお前らぁぁぁ!」
「うぎゃあ!」
解放戦士に捕まっていたキバットは戦士の手に噛みつき、手から逃れる。
そしてそのまま気月に向かって飛んで行った。
気「おっと」
気月はキバットに向けてキュリオスパンクを繰り出すがキバットはそれを避け、渡我の服に噛みつく。そしてそのまま服を引っ張り気月の元から離した。
キ「黙って聞いてりゃ人の人生ほじくり返して不幸だなんだと好き勝手言いやがって! 渡我ちゃんの人生をてめーらが決めんじゃねぇ!」
渡我を気月から離すとキバットは気月達に向かって怒鳴る。それを見た気月の口角はグインと上がった。
キ「なんて素晴らしい友情なの……あなたの事も取材したい、いい記事になりそう」
舌舐めずりをしながら気月はキバットに向かい歩を進める。いくらなんでもキバットだけでは気月に勝てるワケがない、解放戦士誰もがキバットを鼻で笑った瞬間。
渡「嫌な人……私はちっとも不幸じゃない」
気「!?」
キバットの後ろで倒れていた渡我がゆっくりと起き上がった。
渡「嬉しい時にはニッコリ笑うの、あなた達が好きな人にキスするように、私は好きな人の血を啜るの……私は不幸なんかじゃないの」
よろよろとしながら渡我は立ち上がる。その姿を見たキバットは覚悟を決めた。
キ「トガちゃん、このままだとさっきと変わらず袋叩きだ、けど一つだけ手がある……オレの名を呼んで左手を出してくれ、そうすれば変えられる!」
キバットが渡我に伝えると渡我はゆっくりと左手を前に出した。
キ「キバット……」
か細い声でキバットの名を呼ぶ。するとキバットは渡我の左の掌に噛み付いた。
キ「ガブッ!!」
キバットが渡我の掌に噛みつき、魔皇力を注入する。魔皇力を注入された渡我の顔に紋章が浮かび出る。そして腰に鎖が巻きつくと、鎖がベルトに変わった。
渡「変身……」
渡我が無意識に一言発する。キバットはベルトに逆さまに装着された。
キバットがベルトになったと同時に渡我の体が鎧に包まれ、変身を完了させた。
気「こ、これは?」
目の前で起きた事態に気月は後ずさる。それを見たキバットは逆さまになりながら笑った。
キ「仮面ライダーキバだ、覚えときな!」
キバットがビシッと決めると渡我は自分の体を見回した。
渡「これが……私?」
仮面ライダーに変身した自分の姿に渡我は唖然としている。更に先程までのダメージが無い事に驚きを隠せなかった。
渡「体が軽い……とてもいい気分です!」
渡我はゆっくりと構えを取ると気月達に向かって走り出す。
気「変身したと言っても所詮付け焼き刃、体が耐えられるわけがない!」
自分に向かって走る渡我に向かいキュリオスパンクを構える。近づいて来た渡我に向かって繰り出した瞬間、視界から渡我の姿が消えた。
気「え、どこに?」
気月が周りを見回す。すると自分の周りに立っていた戦士達がバタバタと倒れた。
渡「こんな変身も悪くないですね」
気「!?」
声のした方を気月が向くと、そこには電線にコウモリのように逆さでぶら下がっている渡我の姿があった。
キ「トガちゃん、君の持っている血液をオレに飲ませてみてくれ、驚く事が起きるぜ」
渡「? わかりました」
キバットがこっそりと渡我に伝える。渡我は首を傾げながら自分の血のストックの一つをキバットに差し出すと、キバットはフエッスルを咥えるように血の入ったカプセルを咥えた。
キ「はいはいなるほど、イイぜトガちゃん、そろそろトドメにかかろう」
渡「わかりました!」
渡我は電線から降りると気月に向かう。気月は口角を上げながらキュリオスパンクを振りかぶった。
気「こんな展開! いい記事になりそう!」
真っ直ぐに向かって来た渡我にキュリオスパンクを喰らわせる。爆発が直撃した事を気月が実感した瞬間。
気「え?」
気月の体が宙に浮いた。気月の体はどんどんと高く登っていく。
渡「お茶子ちゃんの個性が……使える?」
渡我は自分の手のひらを眺める。変身しているので指の肉球はわからなかったが、何かがある実感はあった。
キ「変身している時、トガちゃんは口が塞がっているから血を摂取できない、でもオレはこの通り喋れるから変わりに血を摂って君を変身させることができるようになったのさ」
キバットが自慢げに教えると気月は思わず叫んだ。
気「何で! 彼女の個性届けでは確かに外見だけと……まさか! 今伸ばしたとでも! 死への恐怖が! 異能を!」
渡「ううん」
渡我は気月の言葉に対して首を横に振る。そしてフエッスルを手に取った。
渡我はフエッスルをキバットに咥えさせる。
キ「ウェイクアップ!」
キバットはフエッスルを吹くとベルトのバックルから飛び立ち、右脚のカテナを解除した。
その瞬間、空は暗くなり夜になる。夜空には三日月が浮かんでいた。
気「なんなの……これは」
気月は宙を浮きながら三日月の方を向く。するとそこには空高く飛び上がり三日月を背にした渡我の姿があった。
渡「私は恋して生きて普通に死ぬの」
渡我は両手の指を合わせ、お茶子の個性"ゼログラビティ"を解除する。宙を浮いていた気月の体は重力に従い、地面に向かい落ち始めた。
渡「私はもっと"好き"になる」
渡我は気月に向かいキックを放つ。気月はニヤリと口角を上げた。
気「なんて素敵な見出し……最高の記事に」
気月が全て言い切る前に、渡我のキックが激突する。そしてそのまま気月の体は地面に叩きつけられ、地面にキバの紋章が刻まれた。
「そ、そんな……キュリオスさまぁぁ!」
キックの衝撃で解放軍の戦士が集まってくる。地面にめり込む気月の姿を見た戦士達が悲鳴を上げる中、変身を解除した渡我は建物の隙間に隠れていった。
渡「フフ……ボロボロ、負担が大っきい、出久くんみたい」
変身を解除した瞬間、一気に変身の負荷が襲いかかる。しかし渡我は笑っていた。
渡「仕方ないよね、だって気に入らないのは壊すんだもんね弔くん」
渡我はそのまま建物の隙間の闇の中へと消えていった。
インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
この題名を見た瞬間 キングオブヴァンパイアの仮面ライダーキバが思い浮かび、そうだトガヒミコをキバにしてみよう! と思い実践してみました。 主人公ライダーを敵連合に使うとは何事か! と思う人もいるかもしれませんがそこはご勘弁ください。
次回も敵連合VS解放軍です