僕のヒーローアカデミアwithスーパー戦隊&仮面ライダー   作:ガイコッツ

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オリジナル回に落ち着いてみました。


呑んでも呑まれるな

 A組VS B組の戦いが終わった夜、両クラスは今日の戦いの反省会をしていた。

 

 善彦の実家の居酒屋で。

 

飯「それでは皆さんご唱和ください! 本日は! お疲れ様でしたぁ!」

 

「かんぱぁぁぁぁぁぁい!」

 

 飯田のご唱和を無視して両クラスがグラスを掲げ乾杯する。もちろんソフトドリンクで。

 

飯「あっ、ごしょ、、まぁいいか」

 

 飯田は盛り上がる皆を前に諦めて席に座る。その頃善彦は厨房で調理に勤しんでいた。

 

善「ハイこっちの皿準備できたよ! アレはあと10秒あればできるから待ってて! 注文追加了解ー!」

 

 流れるような手捌きで料理をする善彦を耳郎は座敷席の戸を少し開けて覗き見ていた。

 

耳「熟練の動きだな」

 

上「なにがなんだかわからん」

 

 上鳴も一緒に覗き見るが善彦の手は俊速に動き、なにが起きているかわからない。

 

切「おーい! なに覗き見してんだよ! こっちで飲もーぜー!」

 

鉄「ここの店サイコーだな! うめーし安いし!」

 

 切島と鉄哲が肩を組みガハハと大笑いする。完全に酔っ払いのノリであった。

 

耳「ウチらジュースしか頼んでないよね?」

 

芦「なんかテンションがフルになって一周回って酔っ払いみたいになったっぽい」

 

 呆れた様子で芦戸が説明するが耳郎はさっぱりわからない。

 

拳「はーい誰かグラス空いてたらちょうだいねー、足らないのあったら注文しとくから教えてねー」

 

 B組の拳藤は手をパンパンと叩き皆に呼びかける。

 

芦「出た! 飲み会いるいる『皆をまとめるポジションの人』!!」

 

 姉御というよりお母さんと言った様子の拳藤を見て芦戸が声を漏らす。

 

常「ダーク、、シャドウ、、深淵、、グーッ、、」

 

 常闇に関してはもう潰れてダウンしていた。タオルを目に当て寝言を言いながらスヤスヤと眠っている。

 

耳「だれもお酒頼んでないよね!? なんで常闇潰れてんの!!」

 

上「疲れてんじゃねーのかな?」

 

 だれもアルコールを取っていないのにさも取っているかのような雰囲気に耳郎と上鳴は混乱していると、座敷席の戸が開いた。

 

善「おまたせ致しましたー、トリカラ大皿と回鍋肉になりまーす」

 

 善彦が大皿を両手に持ち、座敷に入ってきた。大量の鳥の唐揚げと回鍋肉をテーブルに置くと、耳郎が善彦の肩をチョイチョイとつつく。

 

耳「佐竹、あんた酒持ってきてないよね? それかこの前みたいに注文間違えて酒入りのなにか持ってきたとか」

 

 恨めしそうに耳郎が善彦を見つめる。以前耳郎にコークハイを飲ませた時のように注文を間違えているのではないかと疑っていた。

 

善「それはナイッすよ耳郎さん、そこらへん自分も目を光らせてるんで」

 

 善彦が手を横に振ると皆の様子を見回す。

 

鉄「ギャハハハハハハハハ!!」

 

切「ダハハハハハハハハハハ!!」

 

拳「ほらそこー、静かにしなきゃメーでしょー」

 

取「わー、拳藤お母さんみたーい」

 

緑「それにしてもすごいなこの唐揚げ、しっかりと味が染み込んでるし衣もサックリしている、お肉も程よい弾力で噛めば噛むほど」

 

爆「ブツブツウルセェぞデク!! 味が損なわれるだろうが!!」

 

常「我、、ダークシャドウ、、、グー、、ピヨピヨ、、」

 

 状況を理解した善彦は戸を開けてゆっくりと下がる。

 

善「ちょっと、、父ちゃんが料理酒のアルコールちゃんと飛ばしてるか確認してくる、たまに度数高い日本酒とか入れるからさ、、」

 

耳「よろしく頼むぞー」

 

上「コッチは任せろー」

 

 善彦は座敷席を後にするとすぐそこのカウンター席に目をやる。

 

ブ「相澤ぁ! お前はもっと愛を持ったらどうなんだ!! 生徒への愛を! 愛を!愛をォォオ!」

 

マ「言ってやるなブラドキング! こいつが生徒を思っているのは俺がチョーーーわかってる! こいつは中身がチョーーー激アツなんだよぉ!」

 

相「うるさい」

 

 カウンター席では先生達が飲み会をしていた。全員酒が回っており酔っ払いが出来上がっている。唯一酔っていないのは下戸のオールマイトだけだった。

 

善「大丈夫ですかね、先生方」

 

 善彦がポツリと呟くとオールマイトは善彦に気づき、親指を立てウインクをした。

 

オ(こっちの処理は任せてくれ!)

 

 オールマイトの意思を察した善彦は一礼して厨房に入る。

 

善「父ちゃーん、また料理酒代わりに度数高い日本酒いれてなーい?」

 

豹「おぉ!? なんかようかぁ!」

 

 厨房ではナスカドーパントに変身した善彦の父、豹介が超スピードで調理をしていた。

 

善「てかまたナスカメモリ使ってるし、すっころばないでくださいよー」

 

豹「舐めんなこちとらレベル上がってんだよぉ!」

 

 呆れる善彦に対し豹介は元気ハツラツとしている。豹介がナスカの剣を一振りすると、まな板に乗せられた魚が一瞬で刺身に捌かれた。

 

善「おみごと」

 

豹「酒に関しては心配すんな! アルコール分はちゃんと飛ばしてる! だが少し香りが強いポン酒使ってるからなぁ!」

 

 善彦が豹介の指差した方を見ると、そこには一本5万円もする日本酒が料理酒代わりに使われていた。

 

善「ま、、まさかね」

 

 唐揚げにも大皿の中華料理にも酒は使われている。しかしそれは微量な酒でありアルコール分も飛んでいるはず。

 

善「香りだけで酔っぱらうもんかねぇ、、」

 

 善彦がそんなはずはないと自分に言い聞かせながらクラスメイトのいる座敷席の戸をそっと開けた。

 

鉄「バカヤロォォォォォォ!!」

 

切「ぐはぁぁ!」

 

 戸を開けた瞬間見たのは切島にアッパーをかます鉄哲の姿だった。

 

鉄「俺の鉄には硬度に限界がある! だがお前には限界なんてねぇだろうがぁ! 諦めたようなこといってんじゃねぇぇぇ!」

 

切「すまねぇ、、オレ、弱気になってた、、」

 

鉄「分かればいいんだよダチ公ぉぉ!」

 

 鉄哲と切島が暑苦しい男劇場を始めている。隣では回原と尾白がプロレスを行なっていた。

 

回「そらよぉ!」

 

尾「ふんぬぅぅ!」

 

 回原と尾白は手を組み合い力比べをしている。

 

円「回原ラリアットラリアット!」

 

芦「尾白ー! ジャーマンスープレックスだー!」

 

 円場と芦戸が2人を応援して盛り上げていた。

 

善「なんだこのカオス、、もしかして酒の匂いでこんなことに?」

 

耳「ちょっと佐竹コレどういうこと!? なにこのメチャクチャ!」

 

 カオス現場の一部始終を見ていた耳郎が善彦に詰め寄る。

 

上「みんな唐揚げ食ってからいきなりこんなことに、、独特な風味がクセになるってバクバク食っちまってよぉ」

 

 上鳴の言葉を聞いて善彦が頭を抱える。

 

善「やっぱり料理酒代わりに高級日本酒使うからぁ、、」

 

耳「まったくウチのクラスがこんなに酒に弱いとは思わなかった」

 

善「そういや耳郎さん酔ってないッスね」

 

 善彦が皆が酔っているなか耳郎と上鳴が平常なことに気付く。

 

上「俺は他の料理で腹一杯で唐揚げ食ってねぇからな」

 

耳「ウチはこの前のお酒でちょっと酒に強くなったっぽい」

 

 耳郎が自慢げに話すが善彦と上鳴は何か言いたげな表情をしている。

 

耳「ん? どうした?」

 

善「あの、、耳郎さん」

 

上「上着を着てくれ」

 

 2人が目を逸らしながら耳郎に上着を差し出す。今耳郎は上着を脱ぎ、薄着直前になっていた。

 

耳「ひやっ!? なんでウチこんな格好に!」

 

 耳郎は即座に上着を取り前を隠して赤面する。

 

上「お前酔ったら無意識に脱ぐ癖あるんだから気を付けろよな」

 

 上鳴が注意すると耳郎は顔を真っ赤にさせながら上着を着直す。

 

ブ「ウガァァァァ!」

 

 突然カウンター席からブラドキングの叫び声が聞こえる。

 

善「なんだなんだ!?」

 

上「酔っ払いの喧嘩かよプロヒーローが!」

 

 善彦と上鳴が慌てて戸を開けカウンター席に目を向ける。するとそこには負けず劣らずのカオスが広がっていた。

 

ミ「ハードにいくわよぉ! もっと大きな声で鳴きなぁ!」

 

ブ「うぉぉぉ! まだまだぁ!」

 

マ「ヘイワッチャネーム!!」

 

相「zzzzz」

 

カウンター席では先生達が生徒よりも暴れ狂っていた。

 ミッドナイトはなぜか上裸になっているブラドキングの背中を鞭でビシバシと叩き、相澤先生はモツ煮の器に顔を突っ込みながら寝落ちしている。プレゼント・マイクに至っては床板に頭を突っ込み逆さに直立していた。

 

上「うわぁ、アルコールの直接摂取はやっぱりひどいや」

 

 いつもとは違う荒れ狂う先生達を目の当たりにした上鳴が思い切りドン引きする。

 

善「いーい、上鳴きゅん人間はアルコールが入ると人格が540度変わるの、自分はこの商売やってるから見慣れてるけどね」

 

 善彦がため息を吐くとあることに気づく。

 

善「あれ? オールマイト先生は?」

 

上「わーー! 倒れてるー!」

 

 上鳴が床に倒れているオールマイトを見つける。善彦と上鳴が駆け寄り起こすと、オールマイトはか細い声で喋りかける。

 

オ「も、、申し訳ない、、止められなかった、、」

 

善「いいんですよ気にしないでください! それより応急処置を!」

 

 善彦がオールマイトを上鳴に任せ処置をしようとした瞬間。

 

上「ん? オールマイト先生酒くさ、、」

 

善「え?」

 

 善彦がオールマイトの顔を覗き込む。その顔は少し赤らんでおり、酒の匂いがした。

 

オ「やっぱり私はお酒のめにゃいやぁ、、」

 

 オールマイトはそのままムニャムニャと気持ち良さそうな顔で眠った。

 

善・上「、、、、、、」

 

 善彦と上鳴はオールマイトを抱えると、空いた部屋に移動させ、布団をかけてゆっくりと休ませた。

 

上「まずいぞ、、まともなのは俺と佐竹のみ、、、二人でこのカオスを鎮めるのは不可能だ!」

 

耳「ウチも平気だぞーー!」

 

座敷席の戸から耳郎が顔を出す。しかしこのカオス状況は鎮まる気配は一向にない。

 

豹「酒は呑んでも呑まれるな、簡単そうで誰もできねぇんだよなぁ」

 

 突然厨房から豹介の声が聞こえる。善彦は豹介の手に握られたメモリを見逃さなかった。

 

善「父ちゃん、ダメだよそのメモリは! 企業秘密でしょ!」

 

豹「これはオレがやっちまったことだ、落とし前はつける」

 

 豹介はそういうとガイアメモリを挿した。

 

《テラー》

 

善「だぁぁぁぁもぉお!」

 

 善彦は絶叫するが上鳴と耳郎はなにがなんだかわからない。しかし次の瞬間、2人は善彦の絶叫の意味を理解する。

 

ゾワッ!

 

上「な、、なんだっ! この気配!この感覚!」

 

耳「今までに無い危機感ってやつがビリビリくる、、上鳴!気ぃ抜くなよ!」

 

 突然2人に強烈な恐怖感が襲いかかる。今までに感じたことのない感覚に2人は背中合わせで臨戦態勢をとった。

 

ブ「な、、なんだこの気迫! ヴィランでもこんなものを出すやつはいない!」

 

ミ「久しぶりに本気出せそう、、」

 

爆「敵かぁ! ぶっ潰す!」

 

鉄「みんな下がってろ! オレが前に出る!」

 

 その気迫と迫力に皆の酔いも覚める。それを確認した豹介は変身を解除する。

 

切「あれ、、気配が消えた、、」

 

拳「なんだったの今の、、」

 

 変身を解除したのと同時に辺りを包んでいた緊迫感が消える。皆がざわめいていると豹介が厨房から顔をだした。

 

豹「落ち着いたようだね、アイスでもどう?」

 

耳「あ、、いただきます、、」

 

 厨房から出てきたのはいつもの気のいい豹介だった。しかし善彦はまだ少し震えが残っている。

 

善「テラー、、恐怖のメモリ、、酔っ払いの収集がつかない時に使う最終手段だけどヒーローがいる所で使わないでよねぇ、、」

 

 テラーメモリは通常ドライバーを使わなければ変身できないのだがなぜ変身出来るのかは企業秘密なのである。

 

善「今度から料理酒は買いだめしとかなきゃな」

 

 善彦はくわばらくわばらと言いながら豹介の手伝いに戻る。

 

常「ダーク、、シャド、、ピヨ、、ピヨピヨ、、」

 

 常闇は未だに熟睡していた。

 

 




次回は爆豪&轟のデビュー編です

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