ペルソナ3×仮面ライダーエグゼイド【ゲンムがほぼメイン】   作:K氏

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気づけばお気に入りが100超えてる……ひぇっ……(小心者)


あるパソコンから復元された5月頃の記録

 記録日時:5月■■日

 

 先日の5月9日、巌戸台駅から辰巳ポートアイランド駅にかけて運行しているモノレールに、大型シャドウが出現。この処理の為に出動し、これを撃破に成功。しかし、何故あの日に大型シャドウが出現したのか、また、影時間に出現する塔、『タルタロス』には何故その反応がないのか、まだまだ不明な点は多い。

 

 そこで、今回は記録を残すがてら、現在分かっている範囲で、大型シャドウを含めたシャドウの特徴、そして推測を書くものとする。

 

 現在出現している大型シャドウは、先月、巌戸台分寮を襲撃したもの。そして、前述のモノレールを占領した大型シャドウの二体が確認されている。

 

 この二体に共通する点は、それまでのシャドウよりも巨大であるという点しかない。4月時点でS.E.E.S.創設メンバーたる桐条美鶴、及び真田明彦、そして顧問の幾月修司から聞いた話では、それまでにこのような大物が出現した事は一度も無いという。

 

 もっとも、『タルタロス』には『死神』と呼ばれる強力なシャドウがいるそうだが、こちらは時期等関係なく、一つのフロアに長時間留まっていると出現する、との事。

 私自身はまだ遭遇した事はない。というのも、それほど長時間留まらず、ハイペースで『タルタロス』を攻略しているからだ。どうやら、私の判断は間違っていなかったようだ。

 

 『死神』の詳細な情報に関してはおいおい調査を進めるとして、本題に戻ろう。

 

 現在確認されているシャドウだが、桐条美鶴のペルソナ能力によるアナライズによれば、それぞれに大アルカナという分類があるようだ。(注:彼女のアナライズは機械で補っており、ペルソナ自体は前衛向けである)

 これはペルソナも同じで、例えば伊織順平のペルソナ『ヘルメス』は『魔術師』。岳羽ゆかりの『イオ』は『恋愛』となっている。

 アルカナは文字通り、タロットカードのそれである。どうやらそのアルカナによって、シャドウの仮面が異なるようだ。

 例えば、『魔術師』のシャドウはあの青い仮面。『女教皇』ならば赤のドミノマスクとなっている。

 

 また、シャドウの名称や姿も、タロットのそれに何らかの関わりがあるようだ。

 例として挙げるなら、『マーヤ』の名のついたシャドウ。この名前のシャドウは、どれも共通して、影から手と頭が生えている。違いは被っている仮面と、そしてマーヤの前につく最初の言葉ぐらいだろうか。

 その名前は、ギリシャ神話に語られる女神か、もしくはインド神話に存在する概念の事を指していると思われるが、この辺りは語るべき事は無いので省く。

 今回重要なのは、それらの最初の名前が、タロットカードのアルカナ、その逆位置と呼ばれるものに合致するという点だ。

 タロットカード占いにはあまり詳しくはないが、調べたところ、占いの際に重要なのは、タロットカードの『向き』だという。

 『魔術師』のアルカナのマーヤは、『臆病』という名前を冠する。これは、『魔術師』のアルカナの『逆位置』の意のようだ。

 正位置はチャンスや才能といった意味がある事から、そのネガティブの面をこのシャドウが表しているのだろう。

 そもそも、シャドウという名前自体がそういった意味合いを持つのかもしれない。ペルソナという言葉自体、ユング心理学における『心の仮面』の意味だ。ならばシャドウも、単なる英語の『影』ではなく、ユング心理学の用語から来ていると考えられる。

 

 また、シャドウの姿――というよりデザイン――に関しても、何らかのモチーフがあるのだろうと思われる。

 『魔術師』のモチーフとして、『手腕』というものがある。それと同様に、『魔術師』のアルカナのシャドウにはハンドというものが存在するし、4月に出現したあの大型シャドウが腕と手のみでその肉体を構成していたのも、恐らくその辺りが関係していると思われる。

 

 そして、『女教皇』の大型シャドウ。タロットカードに関しては悔しい事に明るくない為、後に知った事だが、あの姿は俗にウェイト版と呼ばれるタロットカードの『女教皇』のデザインに近しいという事が分かった。

 股を開き、身体の正中線で二色に分かれている女という、実に下卑た姿をしていたが、あのシャドウの両乳房に書かれていた『B』と『J』は、アーサー・エドワード・ウェイトという人物がある組織の解釈に基づいてデザインしたものらしい。『B』は闇、『J』は光を意味しているという。

 どうでもいいが、どこかで見た事のある色合いだと思ってしまうのは、私の考えすぎだろうか。

 

 ともかく、これらのシャドウは様々な姿をしているが、いずれも分類される大アルカナに関連した姿であるというのは、疑いようはあるまい。

 それにしても、あれらの姿は如何にして構築されたのだろうか。シャドウ……ユング心理学では自意識の影、つまり「こうなりたくない存在」として定義されているが、ではあのシャドウ達は、一体誰のシャドウなのだろうか?

 そうして考察に耽ると、こういった要素もゲームには重要であるというのが分かってくる。こういった考察をし、そしてその考えを発表するというのは、ユーザー側としてもゲームの楽しみの一つだと考えられる。実際、謎を多く含んだ物語でファンが話題にするのは、秘められた真実に迫る考察や、何気ないシーンに映り込む異常性への考察だ。

 私も、ゲーム制作の為に様々な文献や資料を見てきたが、なるほど、人間の心というまた奥深いものを無視していた。

 思えば人の心を掌握する術は経営者としてやっている内に学んだが、それでもどうにもならない心が存在するという事を、私は知っている。

 

 そういえば【この箇所は数行ほど書かれていたが、データの損傷による文字化けで読み取れず。現在修復中】

 

 その答えに、私は未だに辿り着けないでいる。迷宮入りというやつだ。実に腹立たしい。

 そして、■■■■■■■■■■■■■■■■私にできる事は一つしかない。

 

 『■■■■■最高のゲームを作る』、その一点に限る。

 

 正直、シャドウの被害など私にとってはどうでもいい事だ。いや、プレイヤーが減るというのは良くないが。

 岳羽ゆかりや伊織順平が何の為に戦おうと、桐条美鶴達が何を隠していようと、■■■■が何を企んでいようと、私には関係ない。私の使命は、信念は、どこまでいっても最高のゲームの為にしか存在し得ないのだ。

 

【文字化け。以下同文】

 

 どうせなら、この世界にも神の恵みを与えてやろう。私には、それを可能にするだけの神の才能と、そして経験がある。

 事実、■■■■■私は『幻夢コーポレーション』を、そして数々のゲームを生み出す事に成功した。だが、まだだ。まだ最高のゲームには程遠い。

 

 幸いにも、この世界にはアイデアがゴロゴロと転がっている。私はただ、それを利用し尽くし、最高のゲームを作る。その為に、私はあの少女を雇い入れた。

 ■■■■■■■■■■■■■■、■■■限りなく遠い。従順で、純粋。

 

 心は一切痛まない。彼女にとって私に協力するのは、義務であり贖罪だ。ならば、これを利用しない手はない。

 

 だがしかし、私は仲間となった者への恵みは惜しまない。だからこそ、私は彼女に、『仮面ライダー』としての力を与えた。理論上、『プロトガシャット』に耐えうる肉体を用意した。

 一応給料も支払ってはいるが、どうもそこまで欲が深くないらしい。神の恵みをありがたがらないとは、と思うが、彼女が如何なる存在かを理解している故、ここは慈悲というものを見せるべきだろう。

 

 気づけば関係ない自分語りに一部割いてしまったが、まぁいいだろう。ここに記録するという形で決意表明をしたという事にしよう。

 

 私の崇高な目的の為にも、シャドウのデータ収集は欠かせない。特に、大型シャドウのデータは――私の勘でしかないが――必須だ。思うに、奴らはボスキャラだ。それも、ある一定の周期を置いて出現するタイプの。

 それを証明する為に、恐らく次に出現するであろう大型シャドウ――『女帝』の出現日を正確に把握する必要がある。

 

 ■■■■■■、恐らく■■■■。

 

 後は実証を残すだけだ。

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 今回発見された記録は、以上の通りである。

 恐らく、他にも記録があると思われるが、意図的にデータを破損させたのか、一部が文字化けを起こしている。

 この件に関しては、山岸風花に一任し、このデータの修復、及び残りの記録のサルベージを行ってもらい、我々は引き続き調査を行うものとする。

 

 以上。


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